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自己破産したら養育費はどうなる? 受け取る側の対処法は

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自己破産をしても、養育費の支払いはなくなりません(c)Getty Images
自己破産は、債務整理の一つで、裁判所が認めれば「借金」の返済が免除される手続きです。ただし、養育費は「借金」の中には含まれないため、支払いの義務が残ります。とはいえ、支払える資産が残っていないため、約束通りの支払いができない場合もあります。 元配偶者が自己破産したため養育費が支払われなかった場合には、弁護士に相談して、支払いを求めるのがおすすめです。 自己破産と養育費の関係、未払いの養育費の回収の仕方を弁護士が解説します。
目 次
  • 1. 元夫(元妻)が自己破産したら、養育費はどうなる?
  • 1-1. 自己破産とは
  • 1-2. 自己破産をしても、養育費の支払義務はなくならない
  • 1-3. 未払いの養育費を回収する方法
  • 2. 自己破産をして養育費を支払えない場合はどうすべき?
  • 2-1. 養育費の減額を求めて交渉する
  • 2-2. 養育費減額調停を申し立てる
  • 2-3. 時効が完成している場合は援用する
  • 3. 自己破産者が元配偶者に養育費を払った場合、偏頗弁済になる?
  • 4. 2026年5月までに導入|共同親権制度などが自己破産と養育費の関係に与える影響は?
  • 5. 自己破産と養育費について弁護士に相談するメリット
  • 6. 自己破産と養育費に関するよくある質問
  • 7. まとめ 自己破産をしても養育費の支払い義務はなくならない
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1. 元夫(元妻)が自己破産したら、養育費はどうなる?

仮に、離婚後に元配偶者が自己破産をしたら養育費はどうなるのか、分かりやすく説明します。

1-1. 自己破産とは

自己破産とは、裁判所に申立てを行い、借金(債務)の返済義務を免除してもらう手続きです。収入や資産の状況から見て、返済が不可能と判断された場合に利用できます。認められると、借金を返済しなくてよくなり、生活を立て直すことができます。

ただし、債権者(貸した側)への返済に充てるため、破産者の住宅や車といった高額な財産は処分の対象になることがあります。

借金問題を根本から解決できる有効な制度ですが、一定期間はクレジットカードがつくれなくなったり、新規の借り入れができなくなったりするなど生活への影響もあるため、最後の手段と考えられています

1-2. 自己破産をしても、養育費の支払義務はなくならない

自己破産とは「借金の返済を免除してもらう手続き」と説明しましたが、すべての借金がなくなるわけではありません。破産法では、自己破産をしても免除されず、引き続き支払い義務が残るものを「非免責債権」と呼んでいます。

その中の一つが養育費です(破産法253条1項4号ハ)。そのため、養育費の支払い義務がある元夫が自己破産をしても、元妻は未払い分だけでなく、今後発生する分についても請求することができます

1-3. 未払いの養育費を回収する方法

未払いの養育費を回収するための主な方法を紹介します。

【元配偶者に直接連絡する】
まずは元配偶者に直接連絡を取りましょう。電話でも構いませんが、「言った・言わない」になりやすいため、LINEやメールなど記録が残る手段の方が望ましいです。

【内容証明郵便を送付する】
連絡がつかない場合は、内容証明郵便を送る方法があります。これは郵便局が「いつ、誰に、どんな内容を送ったか」を証明してくれるサービスです。ただし、法的な強制力はなく、相手が受け取りを拒否したり、無視したりする可能性もあります。

【養育費請求調停を申し立てる】
解決しない場合は、家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てます。調停では、双方の収入や子どもの年齢などをもとに、調停委員を交えて金額を話し合います。相手が出席しないときは、裁判官が「審判」で妥当な額を決め、支払いを命じます。

【先取特権】
債務者の全財産から、他の一般債権者よりも優先的に弁済を受けられる権利を先取特権といいます。民法上、一般先取特権として認められているのは、①共益費用(債務者の財産保全に要した費用、②雇用関係の債権(給料等)、③葬式費用、④日用品の供給(光熱費など)の4種類でした。改正民法では、新たに養育費も加わります。ただし、養育費全額について先取特権が認められる訳ではなく、「子の監護に要する費用として相当な額」に限られていて、具体的にいくらかは、法務省令で定めることになります(改正民法308条の2)。

【履行勧告を申し立てる】
離婚時に公正証書を作成した場合や、離婚調停で養育費を取り決めている場合は「債務名義」がある状態です。債務名義とは、裁判所を通じて強制的に支払いを請求できる証拠のようなもので、これがあれば改めて調停をせずに履行勧告を申し立てられます。履行勧告とは、養育費を支払うよう裁判所から催促がなされる手続きで、相手に心理的プレッシャーを与えることができます。

【強制執行(差押)を申し立てる】
債務名義を持っている場合は、強制執行で給与や財産を差し押さえることも可能です。話し合いや履行勧告をしても支払いが期待できない場合は、最初から強制執行を検討するのも一つの方法です。

【消滅時効に注意】
未払いの養育費の回収に当たっては、消滅時効に注意しましょう。民法では養育費の消滅時効は5年(改正民法166条1項1号)と定められています。ただし、調停・審判・裁判など、裁判所の手続によって養育費を決定した場合は10年になります。

これらの手続きを自分で行うのが難しい場合には、一度弁護士に相談しましょう。

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2. 自己破産をして養育費を支払えない場合はどうすべき?

養育費の支払い義務がある元配偶者の側でも、事情の変化によって支払いが難しくなることがあります。たとえば転職・退職や体調不良で収入が大幅に減った場合、あるいは再婚して扶養すべき子どもが増えた場合などです。ただし、自分の判断だけで養育費の支払いを止めることはできません。支払いが困難になった場合は、必ず「減額の手続き」をとる必要があります。

2-1. 養育費の減額を求めて交渉する

自己破産を検討するほど経済的に厳しい状況であれば、これまで通りの養育費を支払い続けるのが難しくなることもあります。そうした場合は、元配偶者に現状を説明し、養育費の減額を交渉することが選択肢の一つです。

法律上も、合意時と比べて状況が大きく変わった場合には、養育費の見直しが認められることがあります(民法880条)。たとえば、失業や病気による収入減、再婚で扶養家族が増えた場合などのケースです。

ただし、定年退職などもともと予測できた事情のほか、ギャンブルによる借金や不祥事による懲戒解雇など自ら招いた変化では、減額は認められにくくなります。まずは誠実に事情を伝え、話し合いを試みましょう。

2-2. 養育費減額調停を申し立てる

交渉でまとまらない場合は、家庭裁判所に減額調停を申し立てます。調停で合意に至らなければ、審判に移行し裁判官が判断します。減額が認められる例としては、以下のような場合があります。

【支払義務者側の事情】
・再婚して新たに子どもが生まれた
・養子縁組により扶養家族が増えた
・解雇や体調不良による休職など、予想外の事情で収入が大幅に減少した

【権利者側の事情】
・再婚して子どもが新しい配偶者と養子縁組した
・収入が大きく増えた

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2-3. 時効が完成している場合は援用する

養育費の支払いには時効があります。民法上「定期給付債権」とされており、各月の支払いについて、権利を行使できると知ったときから5年で時効が完成します(民法166条1項)。そのため、5年以上前の未払い分は、消滅時効を援用することで支払義務がなくなる可能性があります。ただし、直近5年以内の分やこれから発生する分は時効の対象にならず、引き続き支払う必要があります。なお、時効の完成猶予や更新があったときには時効を援用することができません。

時効の完成猶予・更新が認められるのは、以下の場合です。

① 裁判上の請求 (改正民法147条1項1号)
② 支払督促 (改正民法147条1項2号)
③ 和解および調停の申し立て (民法147条1項3号)
④ 破産手続きの参加等 (改正民法147条4号)

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3. 自己破産者が元配偶者に養育費を払った場合、偏頗弁済になる?

自己破産の申立てを控えている人が、滞納していた養育費を元配偶者に支払うべきか迷うケースがあります。結論からいえば、場合によっては偏頗(へんぱ)弁済とされる可能性があります。偏頗弁済とは、破産手続きの前に特定の相手にだけ優先的に支払うことを指し、発覚すると、支払った養育費が取り消されることがあります

【既に発生していた養育費を破産手続開始前に支払った場合】
養育費は原則として自己破産しても免除されない「非免責債権」ですが、それでも破産手続き上は特別扱いされません。したがって、開始前に滞納分を支払うと、偏頗弁済にあたる可能性があり、否認、つまり支払いが取り消されることがあります

【破産手続開始後に発生した養育費を支払った場合】
開始決定後に新たに生じる養育費は、破産債権ではなく「手続外債権」とされます。破産とは関係なく、必ず支払いを続けなければなりません。

つまり、開始前に支払うと偏頗弁済になるリスクがある一方、開始後の養育費は支払いを続ける義務があることになります。

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4. 2026年5月までに導入|共同親権制度などが自己破産と養育費の関係に与える影響は?

「自己破産をした=親権者として不適格」とみなされることはありません。この点は、現在の単独親権制度でも共同親権制度下においても変わらないと考えられます。

ただし、ギャンブル、嗜好品のための浪費や金銭管理ができていないといった事情は、子どもが安全かつ健やかに生活できる監護環境を整えることができないと評価され、結果的に親権者の判断において不利益に評価される可能性はあるでしょう。

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5. 自己破産と養育費について弁護士に相談するメリット

自己破産を検討している人にとって、養育費の支払いをどう扱うべきかは大きな悩みの一つです。たとえば、未払い分の対応や、減額が認められる可能性など、正しく判断するには法律の専門知識が欠かせません

弁護士に相談すれば、自身の状況に応じた適切な手続きやリスク回避の方法がわかります。誤った対応で不利にならないためにも、できるだけ早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

6. 自己破産と養育費に関するよくある質問

Q. 元夫が自己破産した場合、どうすれば養育費を支払ってもらえる?

自己破産をしても、養育費の支払い義務は免除されません。給与などの収入がある場合は、まず交渉や履行勧告を行い、それでも支払われないときは差押えも検討できます。改正民法により、養育費は強制執行の対象になりやすくなっています。対応に迷う場合は、弁護士に相談することで適切な手続きや進め方が明確になります。

Q. 養育費を受け取る側が自己破産した場合、親権や養育費に影響はある?

養育費を受け取る側が自己破産したとしても、すぐに親権を失うわけではありません。また、養育費をもらえなくなるということはなく、経済的に苦しい場合は養育費の増額を求めることができる可能性もあります

Q. 自己破産をする前に離婚しておいた方がいい?

自己破産と離婚のどちらを先にするかについて、法律上は特に決まりがありません。ただし、離婚条件を決める際には、自己破産の予定があることを踏まえる必要があります。


たとえば、慰謝料は「免責」の対象になりやすく、あとから支払い義務がなくなる可能性があります。また、財産分与の対象となった財産も、破産手続きで処分されてしまうおそれがあります。離婚と自己破産のタイミングや手続き内容は、慎重に判断することが大切です。

7. まとめ 自己破産をしても養育費の支払い義務はなくならない

自己破産は借金を整理するための手続きですが、養育費の支払い義務は免除されません。支払いが滞った場合は、直接の連絡や内容証明郵便、家庭裁判所での調停、履行勧告や強制執行などを通じて回収を試みることができます。

一方で、支払う側が収入減少や再婚などで生活が厳しい場合は、養育費の減額を求める手続きも可能です。

偏頗弁済や時効の問題など、状況によって取るべき対応は異なるため、迷ったときは早めに弁護士に相談するのがおすすめです。

(記事は2025年11月1日時点の情報に基づいています)

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