-
1. 30代の離婚率
-
2. 30代の離婚率が高い原因
-
2-1. 不貞行為
-
2-2. 出産や子育てへの価値観の違いがあらわになる
-
2-3. 不妊
-
2-4. セックスレス
-
2-5. 家事育児の負担割合
-
2-6. 離婚へのネガティブなイメージが小さい
-
3. 30代で離婚するメリット
-
4. 30代で離婚するデメリット
-
5. 30代で離婚をすべきかの判断ポイント
-
5-1. パートナーと二度と会えなくなっても後悔しないか
-
5-2. 子どもがいるかどうか
-
5-3. 離婚後に生計を立てられるか
-
6. 30代の離婚で注意すべきこと
-
6-1. 財産分与
-
6-2. 親権
-
6-3. 養育費
-
6-4. 面会交流
-
7. 30代の離婚で弁護士に相談するメリット
-
8. 30代の離婚でよくある質問
-
9. まとめ 30代の離婚は冷静かつ迅速に判断すること
無料相談OK 事務所も!
離婚問題に強い弁護士を探す
1. 30代の離婚率
厚生労働省の「令和4年度 離婚に関する統計の概況」によると、別居離婚の年齢別(5歳階級)離婚率において、夫は1980年以降「30~34歳」の離婚率が最も高く、妻は2005年以降「30~34歳」が最も高いことが分かります。男女ともに30代はもっとも離婚の割合が高い世代であるといえます。
2. 30代の離婚率が高い原因
性格の不一致やDVなどの離婚理由はほかの年代と同様ですが、30代特有の事情を紹介します。
2-1. 不貞行為
出産を経て母親になった妻のことを異性としてみれなくなった、または妻に相手にしてもらえなくなったなどを理由に、不貞行為をする30代男性が一定数います。
2-2. 出産や子育てへの価値観の違いがあらわになる
女性の社会進出が進む一方で、賃金が上がらず経済的に余裕がない家庭も多いことから、「子どもを持つべきかどうか」で夫婦間の意見が分かれることがあります。たとえば、キャリアや経済的な理由で子どもを持ちたくないと考える人と、子どもを持ちたいと考える人の間で意見が対立するなどです。
また、年齢的に出産のタイムリミットが迫る中で「子どもを持たないなら別のパートナーを探すしかない」と考える人もいます。
すでに子どもがいる夫婦の場合、子育ての方針をめぐる意見の不一致が表面化することもあります。例えば、子どもが小学生になり、受験や習いごとをめぐって意見が衝突し、夫婦関係が悪化するケースです。
2-3. 不妊
子どもがほしくてもなかなかできないことで、夫婦関係が悪化することもあります。例えば、不妊の原因をめぐってどちらが悪いかでもめたり、妊活に熱心な側とそうでない側で温度差があったりして、離婚に発展するなどのケースです。
2-4. セックスレス
仕事中心の生活や妊娠・出産のタイミングによって、夫婦間のスキンシップが減少することがあります。特に30代の女性は、妊娠や子育てに追われる時期と重なり、性欲が減退しやすいです。
一方で、30代の男性にはそういった変化があまり見られないため、夫婦間のズレが表面化しやすくなります。こうした背景からセックスレスに陥り、不倫や離婚に発展するケースもあります。
2-5. 家事育児の負担割合
30代の働き盛りで共働きだと、家事育児の分担や負担の割合をめぐって夫婦が不仲になることがあります。また、専業主婦の家庭でも、夫が家事・育児に協力しないなどのケースでは夫婦が不仲になりやすいです。
2-6. 離婚へのネガティブなイメージが小さい
40代や50代と比べると、離婚に対するネガティブなイメージが薄いため、離婚を決断しやすい傾向にあります。また、「今なら新しいパートナーを探せる」と考える人が多いことも、離婚の増加につながる一因といえます。
3. 30代で離婚するメリット
30代で離婚するメリットとしては、「人生をやり直せる」「再就職や再婚をしやすい」などの点が挙げられます。特に30代前半や中盤であれば、新しいパートナーと子どもを持てる可能性も十分にあります。
特に女性の場合、出産や育児を考えると、身体的な負担の点からも早めに離婚するほうがよい場合があるかもしれません。
4. 30代で離婚するデメリット
30代で離婚するデメリットとしては、以下の点が挙げられます。
【子どもへの影響】
生活環境の変化や苗字の変更など、子どもに心理的負担がかかることがあります。
【養育費の問題】
養育費の支払いは、原則として子どもが20歳になるまでとされているため、子どもの年齢が低いほど、支払う側は長期間養育費を負担する必要があります。一方で、受け取る側にとっては、受け取り期間が長くなる分、不払いのリスクが高まります。
【就職のハードル】
20代と比べると、30代は再就職の難易度が上がります。また、小さい子どもがいる場合は、休みがとりやすく時短勤務で働ける職場を希望する人も多いでしょう。育児と仕事を両立しながら生活していけるだけの収入を確保できるか、という点が問題となります。養育費や公的支援などもありますが、離婚後の生活に困らないようにする必要があります。
これらの要因を考慮し、離婚を決断する際には慎重な判断が求められます。
5. 30代で離婚をすべきかの判断ポイント
5-1. パートナーと二度と会えなくなっても後悔しないか
一度離婚してしまうと元には戻れません。本当に離婚してもいいのかどうか、自分の気持ちを整理することが重要です。
5-2. 子どもがいるかどうか
子どもがいない段階での離婚は、心理的なハードルが低くなる傾向があります。また、「自分は子どもが欲しいのに、相手が望んでいない」といった状況では、早めに離婚を決断する方がいいかもしれません。
一方で、小さな子どもがいる場合は、子どもへの影響をしっかり考えましょう。特に男性は育児実績の面で親権の判断に不利になることが多いため、離婚のタイミングを慎重に見極める必要があります。親権を希望する場合、子どもの意向が反映されやすい10歳以降に離婚を検討すると、有利になる可能性があります。
5-3. 離婚後に生計を立てられるか
子どもがいる場合や、結婚時に専業主婦(夫)になった場合は、離婚後に収入を確保できるかどうかが重要です。養育費など離婚時に得られるお金や、月の支出、働いた場合の収入などを試算して、離婚のタイミングをよく考える必要があります。
6. 30代の離婚で注意すべきこと
6-1. 財産分与
財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が共同で築いた財産を離婚時に分けることを指します。名義に関係なく、婚姻時から別居時までの財産が対象で、原則として半分ずつ分けられます。専業主婦(主夫)で自分名義の財産がない場合でも、半分を受け取る権利があります。
財産分与は拒否できず、離婚後でも2年以内であれば請求可能です。30代では住宅ローンの処理が争点になることが多く、自宅に住み続ける側が代償金を支払うことで解決する場合もあります。
6-2. 親権
親権を得る側は、子どもを受け入れる体制を整えておく必要があります。以下の事項について考えてみましょう。
時短勤務が可能な会社か
休みを取りやすい会社か
両親のサポートを得られるか
子ども預ける先があるか
こういった条件が揃っていないと、離婚時の親権争いで負けてしまう可能性がある点にも注意が必要です。
6-3. 養育費
養育費とは、子どもの生活に必要な費用のことです。具体的には、衣食住にかかる費用、教育費、医療費などが含まれます。子どもの面倒を見る親は、もう一方の親から養育費を受け取る権利があります。
不払いのリスクに備えて、養育費に関して取り決めた内容を公正証書にしておくことが有効です。公正証書にすれば、不払いがあった場合に調停や訴訟を経ることなく、相手の財産に対して強制執行が可能になります。
6-4. 面会交流
面会交流とは、子どもと離れて暮らす父母の一方が、子どもと定期的に会って話をしたり、一緒に遊んだりすることです。面会交流の実施にあたっては、離婚時に頻度や時間、場所、子どもの受け渡し方法などを決めておくことが重要です。
相談アリ
得意な弁護士
探せる
7. 30代の離婚で弁護士に相談するメリット
30代の離婚で弁護士に相談するメリットは、以下の点です。
【相手が離婚を拒否したときに交渉を任せられる】
自分が離婚したいと思っても、相手が拒否し続ければ、裁判で争うことになります。裁判で強制的に離婚するには、不貞行為などの法定離婚事由を証明しなければなりません。
裁判になると、離婚までに数年もかかってしまう場合もあり、できれば話し合いの段階で合意したいものです。
相手が離婚に応じない場合でも、交渉のプロである弁護士に代理を依頼すれば、合意を得られる可能性が高まります。それでも合意が得られず裁判になった場合でも、一貫してサポートを受けることができるため安心です。
【住宅ローンの処理について法律的なアドバイスを受け、交渉を依頼できる】
住宅ローンも原則として財産分与の対象となります。ローンが残っている場合は、どちらがその家に住むのか、どうやって返済するのかで争いになるケースもあります。弁護士に相談することで住宅を含む財産分与についてアドバイスがもらえるほか、依頼すると離婚相手や銀行との交渉もしてもらえます。
【未成年の子どもがいる場合、親権や養育費についての対応を一任できる】
弁護士は親権や養育費に関する交渉や、話し合いがまとまらなかった場合の調停・審判・裁判の手続きを代理できます。また、代理人として調停委員や裁判官に主張できるため、有利に進められます。
【不貞行為の慰謝料請求を任せることができる】
慰謝料額や証拠の集め方についてアドバイスがもらえるため、適正な慰謝料を請求できます。また、離婚相手や浮気相手との交渉を弁護士に任せることで、有利に進められるだけでなく、精神的な負担も軽減できます。
そもそも離婚したいと思っても、何から手をつけていいのかわからないという人もいるでしょう。初回相談を無料で対応している事務所も多いので、わからないことや不安なことがあれば、弁護士に相談してみるとよいでしょう。弁護士から法的なアドバイスをもらいながら離婚を進めることで、条件面で損をしにくくなります。
8. 30代の離婚でよくある質問
離婚時に住宅ローンが残っている場合、自宅を売却するか、どちらかが住み続けるかなどの判断が必要です。名義人でないほうが住み続ける場合は、ローンの借換えが必要になるでしょう。しかし、専業主婦などで支払能力がなく借換えが難しい場合は、名義人が支払いを続けることになります。
過去のケースでは、名義人でないほうが家に住み続ける代わりに、名義人に対して住宅ローン相当額を支払うことで合意した例もあります。住宅ローン完済後は、通常、名義書換えが行われます。
離婚後は、養育費を除き基本的に相手からの経済的支援は得られません。そのため、離婚後に自分一人で生計を立てられるかどうかを考慮する必要があります。
相手の収入が高く、養育費が十分に支払われる場合は働かなくても生活できるかもしれませんが、そのようなケースは少ないです。多くの人は、離婚後に自分で生活費を稼ぐ必要があります。
離婚後に子どもの親権を獲得したい場合、離婚を切り出す前に弁護士に相談し、育児の実績を積むことが重要です。また、住宅ローンが残っている場合は、離婚後も返済義務は続きますので、誰が住むかを決めるとともに、ローンの処理方法についても話し合う必要があります。
9. まとめ 30代の離婚は冷静かつ迅速に判断すること
30代の離婚率は高いです。その背景には、価値観の違いや不貞行為、出産のタイムリミットなどが影響しています。30代での離婚には、新しいスタートが切れる、自由な時間が確保できるなどのメリットがあるものの、子どもへの影響や経済面の不安もあります。
離婚後に後悔しないために、親権や養育費、住宅ローンの処理などについては、弁護士に相談してアドバイスをもらいましょう。
(記事は2025年9月1日時点の情報に基づいています)