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1. 離婚にかかる弁護士費用の相場
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2. 離婚にかかる弁護士費用の内訳と相場
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2-1. 相談料|初回無料の事務所も多い
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2-2. 着手金|協議離婚なら20万~40万円
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2-3. 報酬金|30万~60万円
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2-4. 日当|2万~5万円
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2-5. 実費
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3. 離婚の弁護士費用のシミュレーション
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3-1. 協議離婚の場合
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3-2. 離婚調停の場合
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3-3. 離婚裁判の場合
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4. 離婚の弁護士費用は誰が払う?
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5. 離婚の弁護士費用を抑える方法
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5-1. 費用を比較して予算に合う弁護士に依頼する
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5-2. 支払い方法や料金体系が充実している事務所を選ぶ
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5-3. 争点を絞って依頼する
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5-4. 早い段階で弁護士に依頼する
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5-5. 有料相談を活用して自分で対応する
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5-6. 法テラスを利用する
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6. 離婚の弁護士費用に関する注意点
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6-1. 二段方式の請求か確認しておく
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6-2. 費用倒れしないか確認する
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6-3. 支払いのタイミングを把握しておく
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6-4. 弁護士費用は共有財産から支払いをしない
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7. 離婚の弁護士費用に関連してよくある質問
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8. まとめ 弁護士に依頼すれば費用以上の経済的利益を得られる可能性がある
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1. 離婚にかかる弁護士費用の相場
離婚するかどうかだけを争点にして、弁護士に依頼した場合、かかる費用の目安は以下の通りです。
協議離婚:60万~70万円
調停離婚:60万~80万円
裁判離婚:80万~100万円
ただし、実際には離婚に伴い、養育費や財産分与、慰謝料請求についての交渉や手続を弁護士に依頼することも多いでしょう。その場合は、これらの獲得額に対して10%~16%の成功報酬金が追加で発生する事務所が多いです 。
2. 離婚にかかる弁護士費用の内訳と相場
離婚の合意だけを争点にした弁護士費用の内訳と相場は、下記の表を確認してください。
内訳 | 協議離婚 | 離婚調停 | 離婚裁判 |
---|---|---|---|
相談料 | 30分/5000~1万円 | 30分/5000~1万円 | 30分/5000~1万円 |
着手金 | 20万~40万円 | 30万~40万円 | 30万~50万円 |
報酬金 | 30万~60万円 | 30万~60万円 | 30万~60万円 |
実費 | 多くても数万円 | 多くても数万円 | 多くても数万円 |
日当 | 多くても数万円 | 多くても数万円 | 多くても数万円 |
各内訳の詳細について説明します。
2-1. 相談料|初回無料の事務所も多い
相談料とは、弁護士と話をするために必要な費用のことです。弁護士に依頼するかどうかを決めたり、適切なアドバイスを受けたりする際に発生 します。
費用の相場は30分あたり5000円から1万円程度が一般的ですが、初回相談を無料で行う事務所も多くあります。なお、2回目以降は有料になる場合もあるので、事前に確認しておくと安心です。
2-2. 着手金|協議離婚なら20万~40万円
着手金とは、弁護士に事件を依頼する際に支払う費用のことです。金額は事件の内容や手続きによって異なりますが、相場は以下の通りです。
協議離婚:20万~40万円
調停離婚:30万~40万円
裁判離婚:30万~50万円
着手金は、いわば「契約金」なので、弁護士が依頼を失敗したとしても、費用は返還されない 可能性が高いので覚えておきましょう。ただ、弁護士が業務に着手する前であれば、キャンセルをすれば返金される可能性もあります。
2-3. 報酬金|30万~60万円
報酬金とは、事件が終了した際(離婚が成立した際)に支払う費用のことです。金額は事件内容や手続きによって異なりますが、30万円から60万円が相場とされています。
また、慰謝料や財産分与などの経済的利益を得た場合、その獲得額に対して10%~16%の成功報酬金が発生する事務所が多い です。
事前に報酬金の詳細を確認し、納得の上で依頼することが大切です。
2-4. 日当|2万~5万円
遠方の裁判所へ出張が必要な場合、距離に応じて2万円から5万円の日当がかかる事務所が多いです。ただし、近年ではオンラインや電話で裁判に対応する裁判所が増えており、その場合は日当が発生しないケースも増えています 。依頼前に対応方法を確認しておくと安心です。
2-5. 実費
実費とは、切手や印紙の購入などで実際にかかる費用のことです。離婚事件で発生する主な実費には、以下のようなものがあります。
戸籍謄本取得手数料
住民票取得手数料
課税証明書取得手数料
切手代
印紙代
以下に、離婚調停と離婚裁判の申し立て時に必要な具体的な実費(手数料)を説明します。
【離婚調停】
印紙代:1200円
郵便切手代:1240円
【離婚裁判】
印紙代:13000円(離婚のみの場合)
郵便切手代:6000円
手数料の詳細は事前に裁判所で確認することをおすすめします。
※手数料(郵便切手代)は裁判所によって異なる場合があります。ここでは、東京家庭裁判所を例にしています。
3. 離婚の弁護士費用のシミュレーション
次に、離婚の弁護士費用のシミュレーションをします。どのような依頼をするとどのくらいの費用がかかるのか、実際にイメージできるように説明します。なお、弁護士費用は実際には事務所ごとに異なるので、依頼前には確認するようにして下さい。
3-1. 協議離婚の場合
離婚協議で、離婚の成立、財産分与200万円、養育費10年分(月額4万円)を獲得した場合の弁護士費用です。
【弁護士費用の内訳】
・着手金 :20万円
・離婚成立の報酬金:30万円
・財産分与の報酬金:32万円(200万円 × 16%)
・養育費の報酬金 :48万円(4万円 × 12カ月 × 10年 × 10%)
・公正証書作成費用:5万円(任意)
※養育費の支払い期間が長い場合、報酬の計算対象を5年~10年分に制限することがあります。
離婚で得た利益は計680万円で、弁護士にかかった費用は約135万円 でした。
3-2. 離婚調停の場合
離婚調停で「離婚の成立、財産分与200万円、婚姻費用(月額8万円)×1年分、養育費(月額4万円)×10年分」を獲得した場合の弁護士費用は以下の通りです。
【弁護士費用の内訳】
・着手金 :30万円
・離婚成立の報酬金:40万円
・財産分与の報酬金:32万円(200万円 × 16%)
・婚姻費用の報酬金:15万3600円(8万円 × 12カ月 × 16%)
・養育費の報酬金 :48万円(4万円 × 12カ月 × 10年 × 10%)
経済的利益計776万円に対し、弁護士費用として約165万円 かかりました。
3-3. 離婚裁判の場合
離婚裁判で「離婚成立、親権の獲得、養育費(月額4万円)×10年分、不倫慰謝料200万円」を獲得した場合の弁護士費用は以下を参考にしてください。
【弁護士費用の内訳】
・着手金 :40万円
・離婚成立の報酬金 :50万円
・親権獲得の報酬金 :20万円
・養育費の報酬金 :48万円(4万円 × 12カ月 × 10年 × 10%)
・不倫慰謝料の報酬金:32万円(200万円 × 16%)
経済的利益680万円に対して、190万円の弁護士費用 がかかりました。今回は、経済的利益に加えて、親権を獲得しています。
4. 離婚の弁護士費用は誰が払う?
弁護士費用は、原則として自分で支払う必要があり、相手に支払ってもらうことはできません 。ただし、不法行為に基づく損害賠償請求においては、判決における認容額の10%程度が弁護士費用として認められることもあります。そのため、離婚訴訟において不貞行為に基づく慰謝料を請求し、慰謝料が認められた場合、その10%程度が弁護士費用として認められる場合も あります。
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5. 離婚の弁護士費用を抑える方法
依頼の内容にもよりますが、離婚問題を弁護士に依頼すると決して安くない費用がかかります。ここでは、離婚の弁護士費用を抑える方法を紹介します。
5-1. 費用を比較して予算に合う弁護士に依頼する
弁護士費用は各事務所によって異なるので、複数の事務所に見積もりを出してもらって比較し、自分の予算にあった弁護士を選ぶ のがいいでしょう。
5-2. 支払い方法や料金体系が充実している事務所を選ぶ
法律事務所の中には分割払いや後払い、完全成功報酬型の事務所もあります 。そのため、依頼時に一括で着手金を支払うのが難しい場合は、そのような事務所を検討するのも一つの方法です。
完全成功報酬型の事務所では、着手金が無料でも報酬金が高額だったり、追加料金が発生したりする場合があります。そのため、依頼前に離婚成立までにかかる総額を確認することが重要です。
リーズナブルなサポートプランを提供している事務所もあるので、複数の弁護士に相談してみるといいでしょう。
5-3. 争点を絞って依頼する
離婚自体には争いがないものの、養育費や慰謝料の金額で揉めている場合、争点を絞って依頼することで費用を抑えられることがあります。たとえば、養育費や慰謝料だけを争点として依頼する 方法です。ただし、争点を絞った依頼を受けていない事務所もあるため、事前に確認が必要です。
また、離婚にあたって優先順位をつけ、譲れないポイントだけに絞って依頼する方法も あります。例えば、親権だけは譲れないと考え、財産分与や養育費の請求を行わず、親権に絞って依頼する方法です。このように、必要な部分に焦点を当てて依頼することも選択肢の一つです。
5-4. 早い段階で弁護士に依頼する
弁護士費用は、協議離婚から調停離婚、裁判離婚と段階を経るごとに高額となるため、協議の段階で依頼をして離婚を成立させれば、それだけ費用が抑えられます 。
5-5. 有料相談を活用して自分で対応する
協議離婚や調停の場合、その都度法律相談料を支払い、弁護士からアドバイスを受けて自分で進める方法もあります。ただし、弁護士のアドバイスに従って相手と交渉したり、調停で対応するのが難しく、最終的に自分では手に負えなくなり弁護士に依頼するケースもあります。私もそのような事例に対応したことがあるため、注意が必要です。なお、裁判は難易度が高いため、可能であれば早い段階で弁護士に依頼した方がいい でしょう。
5-6. 法テラスを利用する
法テラスは、収入や資産が一定基準を満たす人が利用できる制度です。
利用すると、相場より安い費用で弁護士に依頼でき 、例えば離婚訴訟の着手金は通常より低い金額で依頼可能です。民事法律扶助を利用すれば、弁護士費用を法テラスが立て替えてくれ、月々5,000円から1万円の分割払いで返済できます 。利用には収入要件があるため、近くの法テラスに相談して確認することが大切です。
6. 離婚の弁護士費用に関する注意点
離婚に伴う弁護士費用について、事前に知っておくべき注意点を紹介します。予想外の出費や後悔を避けるためにも、あらかじめ費用についてしっかり確認しておきましょう。
6-1. 二段方式の請求か確認しておく
事務所によっては、協議離婚、調停離婚、裁判離婚ごとに改めて着手金が必要な「二段方式」を採用しているところもあります。二段方式ではない場合でも、協議離婚から離婚調停、または離婚調停から離婚裁判に移行すると、追加の費用がかかります 。協議離婚から離婚調停に移行する場合の追加着手金は約10万円、離婚調停から離婚裁判に移行する場合の追加着手金は10万円から20万円が相場です。
6-2. 費用倒れしないか確認する
費用倒れとは、相手から得られる金額よりも弁護士費用の方が高くなることです。相手からの獲得金額が低い場合、費用倒れのリスクが高くなります 。ただし、離婚そのものが目的の場合、費用倒れしても弁護士に依頼することになる でしょう。費用倒れを避けたい場合は、事前に相手から得られる金額の目安と、総額でかかる弁護士費用を確認しておくことが大切です。
6-3. 支払いのタイミングを把握しておく
法律相談料は相談終了時、着手金は依頼時、報酬金は事件終了時に支払うのが一般的です。日当や交通費は、調停や裁判の期日ごとに支払います。また、協議離婚から離婚調停に移行した場合、調停申し立て前に追加の着手金が必要です。なお、各料金の支払時期は弁護士によって異なるため、事前に確認しておくといいでしょう。
6-4. 弁護士費用は共有財産から支払いをしない
弁護士費用は夫婦の共同生活に関連する費用ではないため、共有財産から支払うことはできません。もし相手に無断で共有財産から弁護士費用を支払うと、後日、相手から返還を求められる可能性 があります。そのため、弁護士費用は自分の特有財産から支払うようにしましょう。もし特有財産から支払えない場合は、法テラスの利用を検討することをお勧めします。
7. 離婚の弁護士費用に関連してよくある質問
8. まとめ 弁護士に依頼すれば費用以上の経済的利益を得られる可能性がある
離婚にかかる弁護士費用は、協議離婚で60万円から70万円、調停離婚で60万円から80万円、裁判離婚で80万円から100万円が目安 です。弁護士費用は相談料、着手金、報酬金、日当、実費などが含まれ、これらは手続きに応じて支払われます。
特に着手金や報酬金は、事件の内容や進行状況によって異なり、事前にしっかり確認しておくことが重要です。
費用を抑えるためには、弁護士費用の比較や支払い方法の検討、争点を絞った依頼などが有効 です。
弁護士に依頼すれば、弁護士費用は確かにかかりますが、それを上回る経済的な利益を得られる可能性があります。夫婦だけでは離婚条件の合意が得られなかったり、不利な条件を突きつけられたりしている場合には、弁護士に一度相談してみるとよいでしょう。
(記事は2024年12月1日時点の情報に基づいています)