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離婚前にやってはいけないこと9選 やっておくべきことも解説

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離婚前にやってはいけないことを理解して有利に離婚を進めましょう(c)Getty Images
「配偶者と一緒にいるのが耐えられない」という人は今すぐにでも離婚を切り出したいと思うでしょう。しかし、離婚は事前準備が非常に重要です。感情のままに行動してしまうと、スムーズに進まないばかりか、離婚をするうえで不利になる恐れもあります。離婚前にやってはいけないことや、離婚をする前にやっておくべきこと、弁護士への相談のタイミングなど、弁護士が解説します。
目 次
  • 1. 離婚前にやってはいけないこと9選
  • 1-1. 感情的に離婚を切り出す
  • 1-2. 攻撃的な言葉を発したり、相手の人格を否定したりする
  • 1-3. 不倫をする
  • 1-4. 証拠もないのに不倫について問い詰める
  • 1-5. 財産を隠したり処分したりする
  • 1-6. 一方的に別居をする
  • 1-7. 子どもを置いて別居する
  • 1-8. 合意なく子どもを連れ去る
  • 1-9. 子どもの前で離婚の話をする
  • 2. 離婚する前にやっておくべきことは?
  • 2-1. 本当に離婚したいのか、離婚すべきかを冷静に考える
  • 2-2. 離婚を決意したら証拠を集める
  • 2-3. 離婚の条件を決めておく
  • 2-4. 離婚後の生活に向けて準備しておく
  • 3. 離婚を口にするタイミング|離婚を決意し準備ができた後が最善
  • 4. 離婚はいつ弁護士に相談するべき?
  • 5. 離婚手続きの流れ
  • 5-1. 話し合いによる離婚
  • 5-2. 調停による離婚
  • 5-3. 裁判による離婚
  • 6. まとめ 離婚前にやってはいけないことを避けて離婚の準備を進めよう

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1. 離婚前にやってはいけないこと9選

離婚を進めるには、離婚前にやってはいけないこと、そしてやるべきことを見極めて、着実に準備をすることが重要です。焦って行動すると、離婚の請求や慰謝料の請求、親権獲得において、不利に働く恐れ があります。

離婚前にやってはいけないことは次の9つです。

  • 感情的に離婚を切り出す

  • 攻撃的な言葉を発したり、相手の人格を否定したりする

  • 不倫をする

  • 証拠もないのに不倫について問い詰める

  • 財産を隠したり処分したりする

  • 一方的に別居をする

  • 子どもを置いて別居する

  • 合意なく子どもを連れ去る

  • 離婚の話を子どもの前でする

それぞれの理由について解説するので、参考にしてください。

1-1. 感情的に離婚を切り出す

離婚を切り出す際に避けるべきは、感情的になることです。感情的に離婚を切り出してしまうと、相手も感情的になり、離婚の話が進まなくなってしまう 可能性があります。喧嘩したタイミングで感情的に切り出すことは避けましょう。

また、離婚を切り出したことで、相手が子どもを連れて別居してしまうリスク もあります。

もし離婚を切り出すのであれば、子どもがいない状況で、二人で話せる環境を作ることが大切です。いきなりきつい言葉で伝えてしまうと、相手もすっと受け取りにくくなります。

そのため、まずは日頃の感謝を伝えながら、今後のことを考えたいと、少しずつ相手が受け入れられるペースで話し始めましょう。また、離婚を切り出された相手が納得できるような理由を、相手を責めないように伝えることや、その場で結論を求めず、相手が受け入れる時間をかけることも必要 です。

いずれにしても、一時的な感情に任せて離婚を切り出すのは避けるべきでしょう。法的なリスクなどについても、事前に弁護士と検討したうえで、然るべきタイミングで離婚を切り出すことが重要です。

1-2. 攻撃的な言葉を発したり、相手の人格を否定したりする

感情的になることは無論避けるべきです。また、感情に任せて相手の人格を否定する発言も避けてください。

例えば、「お前は生きている価値がない」「犯罪者以下だ」といった相手の人格を否定する言葉です。こうした発言は、場合によっては、モラハラやDVを理由に慰謝料請求を受ける可能性 があります。

感情的になってしまうような場合は、弁護士に同席してもらって話を進める方法 もあります。

1-3. 不倫をする

離婚前に不倫をすることはNGです。私の事務所の依頼者からも、相手が不倫をしているのだから自分も不倫をしても良いですか、という質問を受けることがあります。

しかし、相手が不倫をしているからといって、自分も不倫をして良いことにはなりません。不倫をすると、逆に相手から慰謝料請求を受けたり、離婚請求を受けたりするリスクがあります

また、離婚原因を作った有責配偶者からの離婚は認められません。自らの離婚請求が認められなくなる可能性もある ため、不倫は絶対にやめてください。

1-4. 証拠もないのに不倫について問い詰める

配偶者が不倫をしている場合は、すぐに不倫を問い詰めたり、離婚を切り出したりするのは得策ではありません。法律上有効となる不倫の証拠がない場合、問い詰めても相手は白を切る可能性 があります。不倫の証拠を見つけたとしても、法律上有効な証拠でないケースもあります。

私の事務所の相談者にも、浮気の証拠が十分ではない段階で相手を問い詰めた結果、相手が警戒してしまい、その後に証拠を入手できなかったケースがありました。

相手が不倫をしている場合、もしくはあやしいと思った場合は、すぐには問いたださず、相手を泳がせて調査会社に依頼をするなどして、確実な証拠を集める ようにしてください。

1-5. 財産を隠したり処分したりする

離婚をする前に、財産を隠したり、勝手に処分したりするのもやめましょう。私の事務所の依頼者からも、不倫をした配偶者に対して財産分与をする必要があるのか、という相談を受けることがあります。しかし、不倫の慰謝料と財産分与は別の問題です。不倫をした配偶者に対して財産分与をしなくてもいいことにはなりません

相手のことが憎いからといって、財産を隠したり、処分したりしてしまうと、さらに対立を深め、トラブルを引き起こす恐れがあります。そのうえ、調停や裁判に発展した際に、調停委員や裁判官の心証を悪くさせてしまう ので、そのような行為は控えた方が良いでしょう。

1-6. 一方的に別居をする

夫婦には、法律上、同居をして互いに協力して助け合う義務があります(民法752条)。そのため、離婚前に一方的に別居をすると、同居義務違反となる可能性があります。正当な理由がなく、同居や助け合うことを拒否すると、「悪意の遺棄」という不法行為に該当して、離婚において不利になることも考えられる でしょう。

ただし、DVを受けている場合には、迷わず別居 を選択をしてください。DVによる別居は、正当な理由となるため、自分の身を守ることを最優先に考えましょう。

1-7. 子どもを置いて別居する

子どもを置いて自分だけで別居をしてしまうと、親権獲得において不利になる可能性があります 。これは、子の養育監護義務を放棄したとみなされてしまうためです。離婚後に親権を獲得したいと考えている人は、自分だけで別居することは控えた方がいいでしょう。

1-8. 合意なく子どもを連れ去る

日常的に子どもの監護をしてこなかった側が、相手との合意なく子どもを連れて別居してしまうと、場合によっては、未成年者略取罪(誘拐)に該当する 恐れがあります。別居中の親権者による連れ去りの事案ですが、自らの子を保育園の送迎の際に連れ去ったケースにおいて、夫を未成年者略取罪で有罪とした裁判例もあります(最高裁平成17年12月6日判決)。

逆に、日常的に子どもの監護をしていた側が、相手との合意なく子どもを連れ去った場合には、未成年者略取罪に問われない傾向 にあります。

未成年者略取罪に問われるか問われないかは別にしても、一方の親から子どもを引き離す行為は、無用なトラブルを生みます。なによりも子どもに悪影響を及ぼしますので、そのような手段には出ることは推奨できません。

もしどうしても子どもの親権を得たいのであれば、離婚を切り出す前に弁護士に相談してください 。離婚を切り出すまでに具体的にどういうことをすればよいのかアドバイスをもらえるでしょう。

1-9. 子どもの前で離婚の話をする

これは法律とは関係がない話ですが、子どもの前で離婚の話をするのはやめましょう。子どもの前で離婚の話をすると、不必要に子どもを傷つけたり、不安を与えたりして しまいます。

2. 離婚する前にやっておくべきことは?

離婚をスムーズかつ有利に進めるには、離婚をする前に準備をしておくことが重要です。離婚をする前にやっておくべきことは次の4つです。

  • 本当に離婚したいのか、離婚すべきかを冷静に考える

  • 離婚を決意したら証拠を集める

  • 離婚の条件を決めておく

  • 離婚後の生活に向けて準備しておく

「離婚しない方がよかった」などと後悔しないために、離婚前にやっておくべきことを解説します。

2-1. 本当に離婚したいのか、離婚すべきかを冷静に考える

離婚をする前にやっておくべきことの1つは、離婚を相手に切り出す前に、自分は本当に離婚をしたいのかを冷静に考えることです。

冷静に考える前に離婚を切り出してしまうと、話し合い中に「やっぱり離婚したくない」と思ったとしても、すでに相手の気持ちが離婚に傾いてしまっており、引き返すことができなくなる可能性があります。

また、離婚した後の自分の生活のこと、子どものこと、住まいをどうするのかを考える必要があるでしょう。

おすすめしたいのは、離婚するメリットとデメリットをリストアップしてみることです。メリットがデメリットを上回る場合には、離婚を決意しても良い でしょう。離婚したい理由も明確にしておけば、相手にスムーズに伝えることができます。

2-2. 離婚を決意したら証拠を集める

離婚を決意した場合、離婚原因となる事実の証拠を集めることが重要です。仮に相手が離婚に同意しない場合は、裁判所に離婚を申し立てることになります。その際、証拠があれば、離婚だけでなく、慰謝料請求も認められる可能性があります

以下、典型的な離婚原因ごとに、どのような証拠が必要なのかを説明します。

【不倫(民法770条1項1号)】
不倫相手と一緒にホテルに入る瞬間の写真、ラブホテルの領収書、不倫相手とのメールやLINEのやり取り、不倫相手との性行為を撮影した動画など

【暴力(民法770条1項5号)】
診断書、警察署の事件記録、暴力を受けた箇所を撮影した写真

【モラハラ(民法770条1項5号)】
相手の声の録音データ、相手の発言を記録した日記など

【相手の病気が回復の見込みがない(民法770条1項4号)】
診断書

【性行為の拒否(民法770条1項5号)】
性行為を拒否された日時を記録したメモ、性行為を拒否された際の相手の発言の録音データなど

また、証拠を集める際に、一度弁護士に相談しておくことで、証拠の集め方もアドバイスしてもらえるでしょう。

2-3. 離婚の条件を決めておく

離婚を切り出す前に、離婚条件(優先順位)を決めておき、自分の要望をまとめておくことが重要 です。離婚をする際は、次の点を考えておく必要があります。

【不倫や暴力などが原因で離婚する場合】
相手には慰謝料をいくら請求するのか、不倫相手にも請求するのかを検討する

【財産分与】
自宅がある場合、売却するのか否か、売却しない場合、どちらが引き続き居住するのか、住宅ローンがある場合、ローンの組み換えが可能なのかどうか

【未成年の子どもがいる場合】
離婚後の親権者をどちらにするのか、養育費はどうするのか(月々の金額、支払期間等)

財産分与については、退職金も対象となるのが実務上の取り扱いです。そのため、相手の退職金の金額がいくらなのかも調査する必要があります。

親権については、親権者とならない親と子どもが行う面会交流についても考えておかなければならないでしょう。例えば、面会交流の内容や頻度、面会交流の支援機関(FPICなど)を利用する場合には、利用条件や料金も調べておく必要があります。

2-4. 離婚後の生活に向けて準備しておく

離婚後の生活に向けて準備をしておくことも大切です。離婚後の住まいや引越しの有無、仕事はどうするのか、就職するのかどうかなど準備を進めておく必要があります。

住まいについては、実家に頼る選択肢もあります。離婚の原因が相手にある場合には、相手に自宅から出ていってもらうよう交渉するのも選択肢の一つです。

特にパート勤務の人や専業主婦の人は、離婚前に、正社員への転職や就職先を探しておいた方がいいでしょう。ブランクがあって正社員としての就職が難しい場合には、正社員登用を前提とした紹介予定派遣という方法もあるため、粘り強く就職活動を行うことが重要です。

また、一人親を対象にした公的支援もあるので、事前にどのような制度が利用できるのかを調べておきましょう

3. 離婚を口にするタイミング|離婚を決意し準備ができた後が最善

相手に離婚を切り出す最善のタイミングは、離婚を決意し、離婚後の準備を十分に整えた段階 です。準備が不十分な段階で離婚を切り出してしまうと、離婚条件について自らに有利に交渉を進めることが難しくなります。

特に、専業主婦だった人などは、離婚後の経済的な自立を整えてから離婚を切り出した方が、安心して離婚交渉を進めることができます。

不倫やDVなどを理由に相手に慰謝料を請求する場合には、離婚を切り出す前に十分な証拠を集める必要があります。先に離婚を切り出してしまうと、相手も慰謝料を請求されないように警戒し、慰謝料を請求できるだけの十分な証拠を収集できなくなる可能性があるため、証拠を集めてから切り出すようにしましょう。

また、財産分与を請求する場合にも、離婚を切り出す前に、相手の保有する資産についてある程度の調査をする必要があります。たとえば、自宅に届く郵便物などから証券口座を保有する証券会社を突き止めることができます。ただし、相手に無断で郵便物を開封することは犯罪に該当する可能性があるので、控えてください。

4. 離婚はいつ弁護士に相談するべき?

弁護士への相談は、離婚を決意したタイミングで相談するのが望ましい です。離婚の決意をした段階であれば、今後の方針も決まります。また、その方針に応じたアドバイスも得られます。

離婚を決意する前に法律相談をすることも可能 です。実際に離婚についての法的な知識を得た後で、離婚のメリットとデメリットを検討したうえで離婚を判断する方法もあります。

離婚トラブルは、行政書士、司法書士などの専門家に相談することも可能ですが、代理人交渉を含めて離婚問題を全面的にサポートできるのは弁護士だけです。なお、弁護士法72条では、弁護士や弁護士法人以外の人が報酬を得る目的で法律事務を取り扱うことが禁止されています。そのため、まずは弁護士に相談しましょう。

また、公的な資格を有しない夫婦カウンセラーは夫婦関係の修復を主な目的とするため、法律上有利に離婚を進めたいのであれば、弁護士に相談してください。

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5. 離婚手続きの流れ

離婚の手続きでは、まず話し合いによる離婚を目指し、折り合いがつかなければ、調停、裁判という流れになります。それぞれについて解説します。

5-1. 話し合いによる離婚

まずは、相手との話し合いで離婚の成立を目指すことになります。双方が離婚届に署名捺印し、証人2人の署名捺印したものを役所に提出すれば、協議離婚は成立します。

協議離婚する際のポイントは、離婚条件について離婚協議書でまとめておくこと です。離婚時に離婚協議書を作成しておかないと、離婚後に相手が慰謝料や財産分与、養育費の支払いをせず、約束を反故にするなどのリスクがあります。

また、公正役場で公証人という専門家に公正証書を作成してもらえば、相手が支払いをしない場合であっても、調停や裁判を経ることなく相手の財産や給与に対して強制執行が可能です。

相手と離婚条件について直接交渉したくない場合には、弁護士に依頼をして、代理人として相手と交渉してもらうこともできます。

5-2. 調停による離婚

協議離婚が成立しない場合には、相手の居住地を管轄する家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。

離婚調停では、調停委員が間に入って、双方の意見を聞いたうえで、解決方法を提案してくれます。

ただ、調停離婚といっても、あくまでも双方の協議により離婚を目指すことになるため、最終的には双方の合意がない限り離婚は成立しません。相手が離婚を拒否している場合には、調停は不成立となり、終了します。

5-3. 裁判による離婚

調停でも決着しなかった場合、最終的には訴訟(裁判)を起こして離婚の成否を決めてもらいます。

裁判は、調停とは異なり、離婚にあたって相手の承諾は不要です。裁判官が、客観的な事実や証拠に基づき、離婚を認めるべきか否かを決定します。

裁判離婚で裁判官が下す判決には強制力があるため、白黒つけられるというメリット がある一方で、法定離婚事由(不倫や暴力など民法770条1項各号で規定されている事由)がなければ、離婚が認められない、解決までさらに時間がかかるというデメリット があります。

なお、過去に私が担当した事案だと、平均1年ほどかかっています。

6. まとめ 離婚前にやってはいけないことを避けて離婚の準備を進めよう

離婚は人生の大きな転機です。決めるべきことも多岐にわたるため、事前準備が重要となります。愛し合った二人が、今後を考える場合、色々な思いが去来するでしょう。

しかし、感情的に離婚を切り出すなどすれば、さらにこじれて離婚まで時間も費用もかかる可能性があります。

離婚前にやってはいけないことを避けて、離婚の準備をすすめましょう。また、離婚をスムーズ、かつ有利に進めたいのであれば、弁護士に相談するのが一番です。弁護士への相談は、離婚を決意する前から可能です。早い段階で情報収集をしておけば、離婚の決断はもちろん、スムーズに離婚できる可能性があるでしょう。

(記事は2024年12月1日時点の情報に基づいています)

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