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1. 50代で離婚する背景や理由
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1-1. 子育てが一段落するから
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1-2. 老後を意識し始めるから
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1-3. 義父母の介護問題が本格化しはじめるから
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1-4. 不倫されたから
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2. 50代で離婚するメリット
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2-1. 配偶者といるストレスから解放される
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2-2. 時間とお金を自分のために使える
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2-3. 新しい人生のパートナーを探すことができる
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2-4. 義父母や配偶者の介護問題がなくなる
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3. 50代の離婚のデメリット
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3-1. 孤独感を覚える恐れ
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3-2. 老後に生活が困窮する恐れ
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3-3. 老後に子どもに負担をかける恐れ
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4. 50代の離婚協議で起こりやすいトラブル
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4-1. お金のことで揉めやすい
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4-2. 離婚の合意が得られづらい
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5. 50代で「離婚してよかった」と思うためのポイント
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5-1. 離婚に強い弁護士に相談・依頼する
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5-2. 離婚理由やできるかどうかの確認
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5-3. 離婚前に別居してみる
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5-4. 離婚後の生活をシミュレーションする
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5-5. もらえるお金をきちんと請求する
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5-6. 仕事を探す、収入をアップする
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6. 50代の離婚に関するよくある質問
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7. まとめ 50代の離婚は、離婚後も生活していくための準備が重要
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1. 50代で離婚する背景や理由
50代の離婚は、決定的な理由があるわけではなく、長年の我慢や積み重ねが原因であることが多いです。50代で離婚する背景や理由を紹介します。
1-1. 子育てが一段落するから
子どもが成長して経済的に独立すると、残りの人生を自分のために使いたいと考える人が増えます。関係が冷めきっている夫婦が、子どもの自立をきっかけに離婚することは珍しくありません。
1-2. 老後を意識し始めるから
50代になると、次第に老後の生活のことを考えるようになります。配偶者と老後を過ごすよりも、配偶者と別れて今とは違う人生を歩みたいと考えることもあるでしょう。
1-3. 義父母の介護問題が本格化しはじめるから
義父母が高齢になり介護問題が目前に迫ってくると、「義父母の介護はしたくない」と考えることがあります。また、夫婦仲が悪い場合は「将来、配偶者の介護をしたくない」「同じ墓には入りたくない」と考え、離婚を選択することもあります。
1-4. 不倫されたから
配偶者が不倫に走るケースがあります。不倫が発覚すると、離婚を考えるきっかけになります。不倫の証拠を集めながら、子どもが独立したタイミングで離婚を決意し、慰謝料を請求するケースも珍しくありません。
また、過去の不倫がどうしても許せずに離婚を決意するケースもあります。当時は「子どものために」と離婚しなかったとしても、子どもが成長した今、我慢する必要はなくなるためです。
2. 50代で離婚するメリット
50代での離婚は決して遅くありません。ここでは、50代で離婚するメリットを紹介します。
2-1. 配偶者といるストレスから解放される
長年連れ添った配偶者との関係が、必ずしも円満であるとは限りません。子どもが独立し、夫婦二人の時間が増えることで、それまで見えていなかった問題が浮き彫りになることもあります。例えば、価値観の違いが改めて明確になったり、会話が減って気まずさを感じたりするなどです。
配偶者にストレスを感じながら生活している人にとっては、離婚によって精神的な負担が大きく軽減されるメリットがあります。
2-2. 時間とお金を自分のために使える
50代の離婚には「これまで家族のために使っていた時間やお金を、自分のために使えるようになる」というメリットがあります。
結婚生活では、配偶者と家計を共有し、生活費や教育費、親族付き合いなどに多くの支出を割いてきたかもしれません。しかし、離婚することで、これまでのように配偶者の意向に合わせる必要がなくなり、自分の好きなようにお金を管理できるようになります。
また、時間の使い方も大きく変わります。配偶者や義両親との付き合い、家事の負担などから解放されることで、趣味を楽しんだり、旅行に行ったり、資格を取って新しいキャリアを築いたりすることも可能になります。
2-3. 新しい人生のパートナーを探すことができる
離婚後の人生を一人で楽しむ選択肢もありますが、新たな人生のパートナーを見つけるチャンスが生まれるのも離婚のメリットです。結婚している状態では、異性との新たな出会いがあったとしても、その異性と交際し、肉体関係を持つことは「不倫」となってしまうため、自由な恋愛は難しいです。しかし、離婚後であればそのような制約はなくなり、堂々と恋愛を楽しむことができます。
離婚を新しい人生の始まりと考え、新たなパートナーとの出会いを楽しむことができるでしょう。
2-4. 義父母や配偶者の介護問題がなくなる
離婚すれば義父母との関係や介護の心配がなくなるため、精神的・肉体的な負担が軽減されます。将来の配偶者の介護を考える必要もなくなります。
3. 50代の離婚のデメリット
3-1. 孤独感を覚える恐れ
離婚後、新しいパートナーが見つからず、一人で過ごす時間が増えると、孤独を感じることがあります。特に、仕事一筋だった男性は、退職後に孤立しやすい傾向があります。
3-2. 老後に生活が困窮する恐れ
「令和5年度(2023年度)厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、離婚時に年金分割を受けたとしても、年金月額は平均9万1000円程度です。これだけで生活するのは心許ないため、離婚後は自分でお金を稼いで貯蓄を増やし、老後に備える必要があります。
特に、婚姻中に専業主婦やパート勤務だった場合、再就職のハードルが高く、十分な収入を得られない可能性があります。
3-3. 老後に子どもに負担をかける恐れ
子どもに金銭的な援助を求めることで、負担をかけてしまう可能性があります。さらに、離婚によって配偶者の介護は不要になりますが、自分が介護を必要としたときに配偶者に頼ることができなくなってしまうため、結果的に子どもに負担をかけることも考えられます。

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4. 50代の離婚協議で起こりやすいトラブル
他の年代と特別変わるわけではありませんが、50代の離婚協議で揉めやすいポイントについて説明します。
4-1. お金のことで揉めやすい
婚姻期間が長いと財産が多くなり、財産の分け方を巡って争いになることがあります。財産分与では夫婦で協力して得た共有財産を原則として2分の1ずつ分けます。不動産などの資産は、名義がどちらか一方になっていても、婚姻中に取得したものであれば原則として共有財産に含まれます。ただし、結婚前から持っていた財産などは「特有財産」と呼ばれ、財産分与の対象外です。
50代の離婚では、離婚後や老後の生活を安定させるために生活費や住居を確保する必要があり、適切な財産分与が重要になります。
4-2. 離婚の合意が得られづらい
婚姻期間が長いため、配偶者もそう簡単に離婚には応じてくれないでしょう。配偶者の同意なしで離婚するためには、離婚裁判で法定離婚事由が認められなければなりません。法定離婚事由は以下の5つです。
配偶者に不貞な行為があった
配偶者から悪意で遺棄された
配偶者の生死が3年以上明らかでない
配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない(2026年5月頃までに削除予定)
その他、婚姻を継続し難い重大な事由がある
「悪意の遺棄」とは、正当な理由のない別居や、家庭に生活費を入れないことなどが該当します。「婚姻を継続し難い重大な事由」とは、婚姻関係が破綻し、修復の可能性が見込めないことを言います。DV・モラハラ・セックスレス・長期間の別居などが当てはまりますが、具体的な判断基準はあいまいです。
上記の法定離婚事由に何も該当しない場合、基本的に両者の合意がない限り、離婚はできません。
場合によっては、こちらが慰謝料を払うなどして納得してもらう必要があります。
5. 50代で「離婚してよかった」と思うためのポイント
離婚は一大決心であり、その後の人生を大きく変えます。離婚を後悔のないものにするためのポイントは以下の6つです。
離婚に強い弁護士に相談・依頼する
離婚理由やできるかどうかの確認
離婚前に別居してみる
離婚後の生活をシミュレーションする
もらえるお金をきちんと請求する
仕事を探す、収入をアップする
5-1. 離婚に強い弁護士に相談・依頼する
不利な条件で離婚しないためには、弁護士に相談・依頼するのが重要です。弁護士を通じて以下のメリットが得られます。
配偶者の財産を調査できる
有利な条件で交渉できる
精神的負担が軽減される
調停や裁判の対応も任せられる
弁護士に依頼しなかった場合、離婚時の取り決めで見落としをしたり、知らぬ間に不利な条件で離婚してしまったりする可能性があります。
5-2. 離婚理由やできるかどうかの確認
離婚の話し合いを始める前に、離婚裁判で認められる可能性があるか確認しておきましょう。裁判で離婚が認められる状況であれば、交渉も有利に進めやすくなります。自分の離婚理由が法定離婚事由に当てはまるか、また、それを証明する証拠があるかを事前にチェックしておくことが大切です。自分で判断がつかない場合は、弁護士に相談してアドバイスをもらうとよいでしょう。
5-3. 離婚前に別居してみる
離婚を迷っている場合や、配偶者の同意が得られない場合は、一度別居してみるのも方法のひとつです。別居には以下のメリットがあります。
離婚後の生活を疑似体験できる
配偶者に本気度を伝えられる
長期別居すれば、それ自体が法定離婚事由になる可能性がある
まだ本当に離婚したいのかわからない場合には、配偶者には「いったん距離を置かせてほしい。冷静になって、あなたとの今後を考えたい」などと、その旨を伝えておくのが望ましいです。また、婚姻期間にもよりますが、別居が数年以上続くと、それ自体が法定離婚事由となり、裁判で離婚が認められる可能性があります。
5-4. 離婚後の生活をシミュレーションする
財産分与によっては、離婚後の生活が厳しくなる可能性もあります。事前に月々の生活費を試算し、収入と支出のバランスを考えましょう。
参考として、「令和5年(2023年)家計調査年報(家計収支編)」では、単身世帯(平均58.2歳)の1カ月の消費支出は約16万7620円とされています。自分の生活に必要な費用を具体的に計算しておくことが大切です。
5-5. もらえるお金をきちんと請求する
離婚時に配偶者に請求できるものには、財産分与や婚姻費用、養育費、慰謝料、年金分割などがあります。請求できるものがある場合は、取りこぼすことなく請求しましょう。
財産分与:夫婦の共有財産を分け合う
婚姻費用:別居中の生活費
養育費 :18歳未満の子ども等の未成熟子の監護や教育のために必要な費用
慰謝料 :精神的苦痛に対するお金
年金分割:年金を納めた記録を分配する
婚姻費用は別居中の生活費など夫婦の婚姻生活に必要な費用のことで、別居開始時点ではなく、請求した時点から発生すると考えられています。そのため、別居後はできるだけ早く請求することが重要です。また、請求は口頭ではなく、メールやLINEなどで記録を残すようにしましょう。
5-6. 仕事を探す、収入をアップする
財産分与や年金分割だけでは生活費が足りない場合、自分で収入を確保し、老後に備えて貯蓄することが大切です。
例えば、非正規雇用で収入が不安定な場合は、正社員への転職を目指しましょう。現在働いていない場合は、離婚前から就職活動を始めるのが有効です。さらに、就職に役立つ資格を取得しておくと、将来的に安定した収入を得やすくなります。
6. 50代の離婚に関するよくある質問
「人口統計資料集」によると、2022年における50代の離婚率は約2%です。思ったよりも離婚率が低いと感じたかもしれませんが、これは「累積離婚率」と「年間離婚率」の違いです。毎年2%の夫婦が離婚することが何十年も続くと、相当な数になります。
配偶者がまだ退職していなくても、退職金が支給される可能性が高い場合は財産分与の対象になります。例えば、会社の就業規則に退職金の支給が明記されている場合や、退職が間近な場合は、分与の対象となることが多いです。ただし、退職が10年以上先であったり、支給の見込みが低い場合は、対象外となることもあります。
また、財産分与の対象となるのは、婚姻期間に相当する部分のみです。例えば、配偶者が30年間勤務しており、そのうち婚姻期間が20年だった場合、退職金の3分の2が財産分与の対象となります。
最近では共働きの世帯が増えていますが、50代では専業主婦の家庭も多いです。この場合、共有財産が少ないと財産分与で十分な資産を得られず、経済的に困窮する可能性があります。
離婚後、新しいパートナーを見つけることができず、近隣の人々とも関わってこなかった場合には孤立する可能性があります。また、家事のすべてを妻にまかせてきた男性もこの世代には多く、離婚後に食生活が乱れ、健康を損なうおそれもあります。
7. まとめ 50代の離婚は、離婚後も生活していくための準備が重要
50代の離婚は、ライフステージの変化や将来を見据えた決断として、決して珍しいことではありません。離婚後の生活を充実させるためには、財産分与や年金分割を含め、生活設計をしっかりと考え、準備することが大切です。
特に、専業主婦や収入が少ない人は、離婚後の収入を確保する計画を立てておく必要があります。離婚に関して不安や疑問がある場合は、弁護士に相談し、後悔のない選択を目指しましょう。
(記事は2025年9月1日時点の情報に基づいています)