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1. 定年離婚とは
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1-1. 定年離婚のメリット
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1-2. 定年離婚のデメリット
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2. 定年離婚に至る理由
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2-1. 退職し、一緒に過ごす機会が増えるから
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2-2. 家に居場所がないから
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2-3. 相手の介護など面倒を見たくないから
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2-4. 子どもが自立したから
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2-5. 不倫やDV・モラハラなどがあるから
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2-6. 退職金込みで財産分与できるタイミングだから
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3. 定年離婚のために準備すべきこと
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3-1. 本当に定年離婚して後悔しないか考える
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3-2. 離婚時にもらえるお金を確認する
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3-3. 定年離婚後に必要な生活費を計算しておく
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3-4. 仕事を探す
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3-5. 定年離婚後の住まいをどうするか考える
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3-6. 相手が離婚に応じない場合の手続きを確認する
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3-7. 定年離婚後に頼れる人を見つけておく
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3-8. 趣味などの生きがいを見つけておく
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4. 定年離婚時に請求できるお金
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4-1. 財産分与
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4-2. 年金
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4-3. 不法行為があれば慰謝料
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5. 定年離婚で弁護士に相談するメリット
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6. 定年離婚に関連してよくある質問
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7. まとめ 定年離婚を検討したら離婚後の生活に備えることが重要
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1. 定年離婚とは
定年離婚とは、配偶者または自分の定年を機に離婚すること を指します。熟年離婚は一般的に20年以上連れ添った夫婦の離婚を指すのに対し、定年離婚は連れ添った期間に関係なく、定年を機に離婚することを意味します。離婚のタイミングがわかっているため、準備や計画がしやすい特徴があります。
1-1. 定年離婚のメリット
定年離婚には以下のメリットがあります。
配偶者と過ごす日々のストレスから解放される
自分の自由な時間が増える
新しい配偶者を探すことができる
配偶者の不倫、モラハラや暴力、親の介護、親族の問題などから解放される
離婚のタイミングがわかっているため、準備がしやすい
1-2. 定年離婚のデメリット
一方で、定年離婚には以下のデメリットがあります。
配偶者がいなくなる孤独感や喪失感を覚える
体調不良や介護で頼れる人がいなくなる
自分の蓄えや年金だけで生活する必要がある
介護やお金の面で子どもに迷惑がかかる可能性がある
2. 定年離婚に至る理由
定年後の人生を考えた場合に、さまざまな理由から定年離婚を決断する人は少なくありません。例えば、以下の理由が考えられます。
2-1. 退職し、一緒に過ごす機会が増えるから
定年離婚に至る理由の一つは、退職後に配偶者と一緒に過ごす時間が増えるからです。配偶者に対する不満や価値観のズレを感じていても、仕事中心の生活では接する時間が限られていたため、耐えられたという人もいます。しかし、退職後に四六時中一緒に過ごす生活を考えて、離婚を選択する ケースは少なくありません。
2-2. 家に居場所がないから
夫が仕事で家にいる時間が少なかった場合、妻が家庭の主導権を握ることがあります。そのため、夫が、居心地の悪さや邪魔者扱いされていると感じることがあります。
また、これまで育児に関われなかった場合、子どもとの関係が薄く、家庭内で孤立感を抱くことも少なくありません。こうした要因が積み重なり、定年離婚の決断につながるケースがあります。
2-3. 相手の介護など面倒を見たくないから
配偶者やその親族との関係が悪い場合、「嫌いな相手やその親の介護をしたくない」という理由で定年離婚を決断することがあります。また、夫が家事を手伝わない場合「老後まで夫の面倒を見たくない」という理由から定年離婚を選択することもある でしょう。
2-4. 子どもが自立したから
これまで「子どものため」として夫婦関係を続けてきた人が、子どもの自立により親としての責任を果たしたと考え、離婚を実行に移す人もいます。また、子どもが独立して夫婦二人だけの生活になることで、これまで我慢してきた関係に耐えられなくなることもあります。
2-5. 不倫やDV・モラハラなどがあるから
配偶者による不倫や暴力、モラハラなどの問題が現在進行形で発生している、または過去に経験した場合、相手の定年をきっかけに離婚を決断することがあります。これまで相手と過ごす時間が少なかったから、割り切って夫婦を演じられたことも耐え切れなくなり、離婚を選択する ことがあるでしょう。
2-6. 退職金込みで財産分与できるタイミングだから
退職金は財産分与の対象となるため、相手が退職金を受け取れる定年退職のタイミングで離婚を実行 する人も少なくありません。実際、私の事務所に相談に来る人でも、相手が退職金を受領するタイミングで離婚を決意する人が相当数います。
3. 定年離婚のために準備すべきこと
定年離婚すれば、老後は自分のためにお金や時間を使えます。一方で、老後の生活不安や、ケガや病気、健康面、介護の問題など不安も尽きません。定年離婚をする前に、以下のことをじっくり考えて準備をしておきましょう。
3-1. 本当に定年離婚して後悔しないか考える
定年離婚には、生活の不安などのデメリットがあります。夫婦仲が悪い場合や、配偶者から長年暴力やモラハラを受けてきた人にとっては、定年離婚が配偶者から解放される手段となるでしょう。ただし、蓄えや年金が少ない場合、離婚後の生活が苦しくなる可能性 があります。金銭的な問題も含め、離婚後に後悔しないかどうかを十分に検討しましょう。
3-2. 離婚時にもらえるお金を確認する
もし定年離婚をするのであれば、離婚時にもらえるお金をしっかりと確認しておきましょう。特に重要なのは、財産分与と年金分割 です。離婚時にもらえるお金については後述します。
3-3. 定年離婚後に必要な生活費を計算しておく
定年離婚後の生活不安をなくすためにも、離婚後の生活費を試算しておくことが重要です。政府の統計によると、受け取れる年金、支出の平均は以下の通りです。
【平均年金月額】
令和4年度の厚生年金保険・国民年金事業の概況によると、年金分割を受けた人が受け取る平均年金月額は8万7,949円です。
【65歳以上の女性の単身世帯の月の支出】
令和4年度の家計調査報告では、65歳以上の単身世帯の1カ月あたりの支出は15万5,495円(消費支出14万3,139円、税金1万2,356円)です。
そのため、年金だけでは月々の生活費が6万7,546円不足することがわかります。安心して生活するには、以下の点を考えることが重要です。
家賃などの固定費を見直してどの程度生活費を削減できるのか
どの程度の期間働く必要があるのか
月々いくらの収入が必要となるのか
できれば90歳くらいまでの収支を試算し、将来的にどれだけの資金が不足するかを把握しましょう。なお、ファイナンシャルプランナーに依頼すると、こうした収支の試算を作成してもらえます。
3-4. 仕事を探す
今後の生活に必要なお金を試算した結果、生活費が不足する場合には、月数万円でもよいので働く ことを検討しましょう。毎月の収支が赤字のまま、預貯金に頼る生活だと、生活が苦しくなります。働けるうちは働き、月数万円でも稼ぎがあれば、その分預貯金の目減りを抑える ことができます。
3-5. 定年離婚後の住まいをどうするか考える
離婚後の住まいを確保しておくことも重要です。住宅ローンが残っている場合は、その処理について話し合う必要があります。特に、住宅ローンを契約して支払う人ではない側が引き続き住む場合、離婚後の住宅ローンの負担を決めておくことが不可欠 です。
転居が必要な場合には、一般住宅を借りるのか、市営住宅を申し込むのか、あるいは子どもと一緒に暮らすのかを検討する必要があります。家賃をどう捻出するのかも含めて、具体的な計画を立てましょう。
3-6. 相手が離婚に応じない場合の手続きを確認する
相手が離婚に応じない場合に備えて、離婚の手続きを把握しておくことも重要です。夫婦の話し合いで合意できなかった場合は、離婚調停を申し立てることになります。離婚調停でも解決できない場合、最終的には離婚訴訟を提起する必要があります。
離婚訴訟では、「法律上の離婚事由」が証拠によって認定されます。離婚事由には、不倫や暴力などが挙げられますが、これらの事実を証明しなければなりません。法律上の離婚事由がない場合には、一定期間の別居が必要になることもあります。離婚を実現するためのポイントを事前に確認しておきましょう。
3-7. 定年離婚後に頼れる人を見つけておく
定年離婚後に一人で暮らす場合は、ケガや病気などいざ自分に何かあった場合に備え、頼れる人を見つけておくことが大切です。友人や子どもと定期的に連絡を取ったり、新しい恋人を見つけたりするなどして、誰かに頼れる状況を整えておきましょう。
3-8. 趣味などの生きがいを見つけておく
定年離婚後は、長い老後生活が始まります。一人で暮らしていると社会とのつながりがなくなり、健康リスクが懸念されるため、離婚後の生活を充実させるために、生きがいとなる趣味や目標を見つけておくことも大切です。
孤独を防ぐために、地域のコミュニティやサークルに参加するのも良いでしょう 。新しい人間関係を築くことが、前向きな生活への一歩となります。

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4. 定年離婚時に請求できるお金
定年離婚後の生活を安定させるためにも、離婚時に請求できるお金を把握しておきましょう。
4-1. 財産分与
財産分与とは、婚姻後に夫婦で形成した財産を離婚時に原則として2分の1ずつ分ける制度です。婚姻期間中に夫婦が築いた財産であれば、あらゆる財産が対象になります。例えば、預貯金や退職金、自動車、婚姻後に購入した不動産などが挙げられます。
ただし、夫婦のどちらかが婚姻前に保有していた財産や、親や祖父母から相続した財産などは、「特有財産」として財産分与の対象にはなりません。
4-2. 年金
年金は、「年金分割」によって分けることが可能です。対象となるのは、厚生年金と共済年金で、国民年金は対象外です。令和4年度の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、分割後に受け取れる月の平均額は以下のとおりです。
・合意分割をした側:11万5,363円
・合意分割を受けた側:8万7,949円
・3号分割をした男性:13万1,139円
・3号分割をした女性:5万1,793円
4-3. 不法行為があれば慰謝料
離婚慰謝料とは、民法で定められた離婚原因を作った配偶者に対して、不法行為(民法709条)に基づき請求できる損害賠償のことです。典型的には、不貞行為(不倫)、モラハラ、DVなどが挙げられます。慰謝料を請求するには、離婚原因を示す証拠が必要 です。
不倫の場合、配偶者が不倫相手とホテルに出入りしている場面を撮影した写真などが証拠となります。モラハラやDVの場合は、配偶者との会話記録や診断書が証拠として活用されます。
5. 定年離婚で弁護士に相談するメリット
定年離婚では、夫婦がこれまで築いてきた財産が争点となることがよくあります。特に離婚後に安定した生活をおくる際に鍵となるのが財産分与です。
夫婦の財産は原則として2分の1ずつ分けますが、不利な条件で合意してしまう事例は少なくありません。また、離婚時には相手が財産を隠すケースもあります。弁護士に相談することで、相手の財産調査や、相手の提案の妥当性について、確認してもらえます 。
また、配偶者が離婚を拒否するケースでは、弁護士から離婚の見通しや手続きについて具体的なアドバイスを受けられます 。相手との交渉や調停、裁判、慰謝料の請求でも、弁護士が一貫してサポートしてくれるため、スムーズに進めることができるでしょう。
6. 定年離婚に関連してよくある質問
7. まとめ 定年離婚を検討したら離婚後の生活に備えることが重要
定年離婚とは、配偶者の定年を機に離婚することです。これまでの結婚生活ですれ違いや不満が積み重なってしまうと、定年離婚を決意するきっかけになります。自由な生活が手に入る一方で、金銭的な不安も大きくなるため、離婚後の生活をシミュレーションしておくことが重要です。特に、夫婦で築いた財産が大きい場合、離婚時の争点となる可能性があります。事前に弁護士に相談して準備を整えておきましょう 。
(記事は2025年2月1日時点の情報に基づいています)