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1. 「その他婚姻を継続し難い重大な事由」とは?
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2. 婚姻を継続し難い重大な事由の具体例
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2-1. 性格の不一致
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2-2. DV(ドメスティック・バイオレンス、家庭内暴力)
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2-3. モラル・ハラスメント(モラハラ)
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2-4. 家事や育児への非協力
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2-5. 金銭面での重大な問題
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2-6. 相当期間の別居
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2-7. 性生活上の重大な問題
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2-8. 怠惰な生活態度
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2-9. 過度な宗教活動
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2-10. 犯罪行為や服役
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2-11. 重篤な疾病
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2-12. 親族との不和
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3. 婚姻を継続し難い重大な事由によって離婚するには?
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4. 婚姻を継続し難い重大な事由によって離婚したい人が、弁護士に相談や依頼をするメリット
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5. 婚姻を継続し難い重大な事由についてよくある質問
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6. まとめ 婚姻を継続し難い重大な事由の立証は、弁護士の助けが有用
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1. 「その他婚姻を継続し難い重大な事由」とは?
離婚の方法には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚があります。
協議離婚と調停離婚は、話し合いを通じた夫婦双方の合意によって成立する離婚方法です。協議や調停で離婚の合意ができない場合、訴訟を起こし、裁判離婚を求める必要があります。裁判離婚であれば、夫婦双方の合意がなくても離婚 することが可能です。
裁判離婚が認められるためには、民法の定める離婚原因が必要となります。民法第770条第1項各号は、次の5つを離婚原因として定めています。
配偶者に不貞な行為があった
配偶者から悪意で遺棄された
配偶者の生死が3年以上明らかでない
配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない(2026年5月までに施行される改正民法によって削除予定)
その他婚姻を継続し難い重大な事由がある
「その他婚姻を継続し難い重大な事由」とは、婚姻関係が破綻し、回復の見込みがない状態 を言います。
2. 婚姻を継続し難い重大な事由の具体例
婚姻を継続し難い重大な事由について、裁判例とともに12の具体例を紹介します。
なお、いずれの例も該当すれば必ず婚姻を継続し難い重大な事由が認められるわけではありません。婚姻関係が破綻し、回復の見込みがない状態に至っていると判断される必要がある 点には、注意しなければなりません。
2-1. 性格の不一致
性格の不一致とは、夫婦関係や結婚生活に対する双方の考え方がかけ離れている状態を言います。
性格の不一致は、相当期間の別居などの事情と相まって婚姻を継続し難い重大な事由となる ケースがあります。
一方で、夫婦には性格の不一致を解消するよう努める義務があります。双方の努力によって夫婦関係の修復が可能な場合には、婚姻を継続し難い重大な事由には該当しません 。
裁判例では、性格が対照的な夫婦について、夫婦の不和が生じた原因は相手を理解し合う気持ちを欠いていたことにあるものの、将来お互いに努力し合うことによって克服ができるとして、婚姻を継続し難い重大な事由を認めなかったものがあります。
2-2. DV(ドメスティック・バイオレンス、家庭内暴力)
DV防止法によれば、DVとは、「配偶者からの身体に対する暴力」または「これに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動」(精神的暴力や性的暴力)を言います。DVも婚姻を継続し難い重大な事由となることがあります。
裁判例では、夫が酒を飲み妻に暴行や傷害を加えるようになり、妻の愛情が冷めた事案において、婚姻を継続し難い重大な事由を認めた ものがあります。
DVを理由に離婚を求める場合には、DVを受けた証拠が重要です。DVに関する動画や音声のほか、怪我の写真や医師の診断書などが証拠となります。
2-3. モラル・ハラスメント(モラハラ)
モラハラについて法律上の明確な定義はありませんが、一般的には人格や尊厳を傷つける言動を意味します。
たとえば、相手の人格を否定したり、長時間無視したりする行為はモラハラに該当します。
モラハラも婚姻を継続し難い重大な事由に該当することがあります。
裁判例では、妻が夫に対して「結婚して損をした」「威張るな」「ばか、何を言いやがる」といった暴言を連日のように吐いていた事案で、婚姻を継続し難い重大な事由を認めた ものがあります。
モラハラを理由に離婚を求める場合にも、その証拠が重要です。モラハラに関する動画や音声のほか、メールやSNSでのやりとりなどが証拠 となります。モラハラが原因でうつ病などの精神疾患を患った場合には、医師の診断書も証拠 となります。
2-4. 家事や育児への非協力
家事や育児に協力しないことも、婚姻を継続し難い重大な事由に該当することがあります。一定の役割分担は許容されるとしても、それぞれの夫婦の事情に応じて必要な協力をしない場合には、婚姻関係が破綻し、回復の見込みがない状態に至っていると判断される可能性 があるでしょう。
裁判例では、妻が2度の流産を経験するなかで、夫がつらさに共感せず家事や育児の分担もしなかった事案で、婚姻を継続し難い重大な事由を認めたものがあります。
2-5. 金銭面での重大な問題
浪費や過度な借金など金銭面での重大な問題は、婚姻を継続し難い重大な事由と判断される可能性があります。
審判例では、妻が競馬や貴金属類の購入といった浪費を重ねたうえ、浪費をしないと誓約したにもかかわらず、その後も浪費を繰り返した事案で、婚姻を継続し難い重大な事由を認めた ものがあります。
2-6. 相当期間の別居
同居は夫婦の本質的な義務であるため、別居が相当期間に及ぶ場合には、原則として、婚姻を継続し難い重大な事由が認められると考えられています。
相当期間については、3年程度が一つの目安 と言われています。単身赴任など正当な理由のある別居は、婚姻を継続し難い重大な事由としての別居には該当しません。
実務上、婚姻を継続し難い重大な事由として、相当期間の別居が主張されることは多いです。離婚訴訟が提起される場合、ほとんどのケースでは別居していると言われています。
なお、別居の仕方によっては自分が不利になるリスクもある ため、離婚前に別居を検討している場合には弁護士に相談するのがよいでしょう。
2-7. 性生活上の重大な問題
夫婦の性生活は、婚姻の基本となる重要な事項と考えられています。
正当な理由のない性交拒否や異常な性交の強要などは、婚姻を継続し難い重大な事由に該当する可能性 があります。
裁判例では、夫がポルノ雑誌に異常な関心を示し、これを見ながら自慰行為にふけり、妻との性交渉を拒否するようになった事案で、婚姻を継続し難い重大な事由を認めたものがあります。
2-8. 怠惰な生活態度
過度の飲酒やギャンブルなど怠惰な生活態度は、婚姻を継続し難い重大な事由に該当する可能性があります。
裁判例では、長女の出生という人生の転機を迎えながら、夫が就職もせず怠惰な生活を続けるなどした事案で、婚姻を継続し難い重大な事由を認めた ものがあります。
2-9. 過度な宗教活動
夫婦の間でも信教の自由は尊重されなければなりません。
ただし、夫婦として共同生活を営む以上、宗教活動にも一定の限度があると考えられています。過度に宗教活動に没頭するような場合には、婚姻を継続し難い重大な事由に該当する可能性があります。
裁判例では、妻が信者の集会などに多くの時間を費やし、夫の反対にもかかわらず、判断能力が不十分な幼い子どもに教義を教えるなどした事案があります。この事案で、裁判所は、子どもが教義の影響を受けることを危惧して、夫が離婚を決意したことはやむを得ないなどとして、婚姻を継続し難い重大な事由を認めました 。
2-10. 犯罪行為や服役
犯罪行為や服役については、それによって配偶者の名誉が傷つけられたり、夫婦生活が困難になったりした場合には、婚姻を継続し難い重大な事由に該当する可能性があります。配偶者に対する犯罪行為はもちろん、配偶者以外に対する犯罪行為や服役であっても離婚原因として認められる場合があります。
婚姻を継続し難い重大な事由に該当するかの判断にあたっては、犯罪行為の内容や重さ、服役期間、家族への影響などが考慮されます 。
裁判例では、夫が詐欺罪で2度にわたって懲役2年に処せられた事案で、婚姻を継続し難い重大な事由を認めたものがあります。
2-11. 重篤な疾病
配偶者の重篤な疾病が、婚姻を継続し難い重大な事由に該当することもあります。
ただし、夫婦には協力義務(民法第752条)があるため、配偶者の疾病のみを理由に婚姻を継続し難い重大な事由が認められることは通常ありません。疾病が原因で夫婦が不和になったり、協力義務を果たせなくなったりした場合に、婚姻を継続し難い重大な事由に該当する と考えられています。
裁判例では、妻がアルツハイマー病になり、長期間にわたって夫婦の協力義務を全く果たせないでいた事案があります。配偶者の疾病のみを理由とする離婚請求は認められないのが原則ですが、この事案では、裁判所は夫が離婚後も妻への経済的援助や面会を考えていることなどを考慮し、婚姻を継続し難い重大な事由に該当するとしました。
2-12. 親族との不和
配偶者の親族との不和は、それだけでは婚姻を継続し難い重大な事由には該当しません。
ただし、配偶者が不和を解消する努力をせず放置しているような場合には、婚姻を継続し難い重大な事由に該当する可能性 があります。
裁判例では、妻と夫の両親との度重なる不和にもかかわらず、夫が両者の間を取り持ったり、円満を取り戻す努力をしたりせず、ただ両親の意のままとなっていた事案で、婚姻を継続し難い重大な事由を認めたものがあります。

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3. 婚姻を継続し難い重大な事由によって離婚するには?
協議離婚や調停離婚であれば、夫婦の合意されあれば離婚できるので、離婚の理由は問われません。それでも離婚の交渉をするうえで、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」など民法の定める離婚原因があり、かつその証拠があれば、話し合いを有利に進められる可能性 があります。
協議や調停で合意を得られなければ、訴訟を起こすことになります。裁判離婚が認められるためには、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」などの離婚原因の存在を立証しなければなりません。したがって、その証拠が必要となります。
このように、離婚の方法にかかわらず、証拠が非常に重要であるため、できる限り証拠を確保しておくことが大切です。決定的な証拠がなくとも、複数の証拠が組み合わさって有効な証拠となる 場合もあります。離婚原因に関係する証拠はできる限り確保しておきましょう。
4. 婚姻を継続し難い重大な事由によって離婚したい人が、弁護士に相談や依頼をするメリット
婚姻を継続し難い重大な事由にはさまざまなものが含まれるため、自分の置かれている状況がこれに該当するのかを判断するのは難しいでしょう。
弁護士に相談すれば、婚姻を継続し難い重大な事由と言えるのかについて適切なアドバイスを受けられます 。また、どのようなものが証拠になるのかに加え、証拠の収集方法などについてもアドバイスを受けることができます 。
さらに、弁護士に依頼することで、弁護士が代理人として相手とやりとりをすることになります。自分で直接やりとりをする必要がなくなり、離婚成立に向けて的確な方針のもと手続きを進めることが可能 となります。
5. 婚姻を継続し難い重大な事由についてよくある質問
6. まとめ 婚姻を継続し難い重大な事由の立証は、弁護士の助けが有用
婚姻を継続し難い重大な事由は、離婚原因の中核と考えられています。
性格の不一致、DV、モラハラ、相当期間の別居、性生活上の重大な問題、 親族との不和などが、婚姻を継続し難い重大な事由に該当し得ます。ただし、その判断は容易ではありません。
また、的確に証拠を収集しなければ、婚姻を継続し難い重大な事由を立証できない可能性があります。
本記事で紹介した12の具体例のような状態で離婚を考えている場合には、早い段階で弁護士からアドバイスやサポートを受けることをお勧めします。
(記事は2025年3月1日時点の情報に基づいています)