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離婚後に慰謝料請求をする方法 条件や成功のポイントを解説

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離婚後の慰謝料請求は可能ですが、いくつか注意点があります(c)Getty Images
離婚後に元配偶者に慰謝料を請求することは可能です。ただし、請求するには様々な条件を満たす必要があります。離婚後の慰謝料の請求が認められる条件や、慰謝料の相場、請求のポイントについて弁護士が解説します。
目 次
  • 1. 離婚後でも慰謝料の請求はできる
  • 2. 離婚後の慰謝料請求が認められる条件
  • 2-1. 時効を迎えていない
  • 2-2. 相手の作った離婚原因が民法の不法行為に該当する
  • 2-3. 離婚原因の証拠がある
  • 2-4. 離婚時に慰謝料の取り決めをしていない
  • 3. 離婚後に慰謝料を請求する方法
  • 3-1. 話し合いや書面で直接請求する
  • 3-2. 調停や裁判を申し立てて請求する
  • 4. 離婚後に請求できる慰謝料の相場
  • 5. 離婚後の慰謝料請求を成功させるポイント
  • 5-1. 言い逃れできない証拠があるかどうか
  • 5-2. 弁護士に交渉を依頼する
  • 6. 離婚後に請求できる慰謝料以外のお金
  • 6-1. 財産分与
  • 6-2. 養育費
  • 6-3. 年金分割
  • 7. 離婚後に慰謝料を請求されたらどうする?
  • 8. 離婚後の慰謝料請求でよくある質問
  • 9. まとめ 離婚後の慰謝料請求はまず弁護士に相談するのがおすすめ
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1. 離婚後でも慰謝料の請求はできる

離婚後であっても慰謝料請求は可能です。ただ、離婚をしたからといって必ずしも慰謝料が発生するわけではありません。離婚の際、離婚の原因が相手(配偶者)にあり、かつその原因が慰謝料の発生理由に該当することが必要です。

離婚をしてから、慰謝料や財産分与を請求するケースはよくあります。相手と交渉をしたくないから先に離婚したいというだけでなく、慰謝料を請求したいが証拠がなかったり、配偶者の不倫に後から気付いたりした場合などもあります。

また、不倫の慰謝料請求については、配偶者ではなく、不倫相手に対してのみ行うことも可能です。

2. 離婚後の慰謝料請求が認められる条件

離婚後に慰謝料の請求が認められるには次の条件があります。

  • 時効を迎えていないこと

  • 相手の作った離婚原因が民法上の不法行為に該当すること

  • 離婚原因の証拠があること

  • 離婚時に慰謝料の取り決めをしていないこと

それぞれについて下記でわかりやすく解説します。

2-1. 時効を迎えていない

離婚後に慰謝料の請求が認められるには、慰謝料を請求できる権利が時効を迎えていないことが前提です。慰謝料請求における時効は、慰謝料が発生する事案を知り、その相手を知った日から3年、もしくは発生事案を知ってから20年です(民法724条)。

例えば、不倫があったことや不倫相手を誰か知っている場合の時効は、不倫があった日や不倫相手を特定した日から3年です。一方で、離婚後、最近になって不倫に気づいた場合は、不倫があった日から20年以内であれば、慰謝料を請求できます。

また、離婚原因を作り離婚に至った慰謝料を元配偶者に対して請求する場合の時効は、離婚した日から3年です。時効は短いため、早期に弁護士に相談してください。

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2-2. 相手の作った離婚原因が民法の不法行為に該当する

慰謝料が認められるには、相手の作った離婚原因が、民法上の不法行為に該当する必要があります。法律上離婚が認められる法定離婚事由には、次のものがありますが、不法行為として慰謝料が請求できるものとできないものがあります。

法定離婚事由(民法770条1項)

慰謝料請求

不貞行為(不倫)

悪意の遺棄

3年以上の生死不明

×

回復の見込みがない

強度の精神病

×

その他婚姻関係を継続しがたい

重大な事由

多いのは、不貞行為による慰謝料の請求です。不貞とは、簡単に言うと肉体関係のことですが、それに至らないものであったとしても、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当するとして、慰謝料が認められることがあります。

同様に、DVやモラハラも「その他婚姻を継続し難い重大な事由」として慰謝料の請求が認められるケースがあります。

一方で、「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない」「配偶者が3年以上生死不明」については、配偶者に帰責性がなく、民法上の不法行為には該当しません。同様に「性格の不一致」も、どちらに責任があるとは一概に言えません。慰謝料が請求できるかどうかは、離婚原因があるかどうかというより、民法上の不法行為に該当しているかどうかで判断されます。

2-3. 離婚原因の証拠がある

慰謝料の請求を認めてもらうには、証拠が揃っていることが前提です。そのため、離婚後の慰謝料請求は、証拠が集められるかどうかが最大のハードルだと言えます。

もしまだ離婚をしていないのであれば、証拠を集めて、いつでも慰謝料を請求できる状態にしてから離婚をするようにしましょう。今ある証拠が有効かどうか、今から集められる証拠があるかどうかについては、弁護士に相談して判断してもらうのが一番です。

2-4. 離婚時に慰謝料の取り決めをしていない

離婚時に慰謝料の取り決めをしていないことも、慰謝料請求を認めてもらう条件の一つです。ただし、取り決めがあったとしても、その内容次第で請求できるケースもあります。

例えば、離婚協議書に「DVの慰謝料として〇万円」と明記されていて、かつ「この件」に関して金銭請求をしないという清算条項がある場合は、別途「不貞」について慰謝料を請求できます。あくまで、「この件=DV」であり、不貞についての清算条項とはなっていないためです。

一方、「DVの慰謝料として〇万円」と定め、今後は何らの金銭請求をしないという清算条項がある場合は、一切の慰謝料の請求はできません。

慰謝料の内訳について明記しておらず、「慰謝料として〇万円」と定めている場合は、不貞なのかDVに関する慰謝料なのか裁判で争いになります。

交渉や合意書の作成は非常に難しく、例えば離婚協議書に「本件」と離婚について明記するかしないかによっても、その後の慰謝料請求の可否が異なります。そのため、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

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3. 離婚後に慰謝料を請求する方法

3-1. 話し合いや書面で直接請求する

慰謝料を請求する場合は、最初に話し合いや書面で、当事者が直接請求することが考えられます。自分で請求する際は、あらかじめ金額や支払い時期、何を理由として慰謝料を請求するのかをはっきりさせておきましょう。可能であれば録音するようにしてください。

私の事務所に相談がある案件は、話し合いをしたがうまくいかなかったということが多いです。話し合いがうまくいかなくても、すでに述べた証拠や時効、慰謝料の取り決めをしていないなどの条件を満たしていれば、次のステップに進み、請求できます。なお、交渉の段階で弁護士に依頼することも可能です。裁判の対応を依頼するよりは、費用が抑えられるメリットもあります。

3-2. 調停や裁判を申し立てて請求する

話し合いでの解決ができなければ、法的手続きをとります。慰謝料を請求する場合、基本的には裁判を選択することが多いです。裁判を申し立てて、請求側が証拠を提示して、相手に慰謝料の支払い義務があることを主張します。最終的には和解をするか、裁判所が慰謝料の金額や支払いを命じて決着します。

なお、裁判は自力では難しいため、弁護士への相談が前提になるでしょう。

調停を申し立てて請求することも可能です。調停は、話し合いなので、証拠が薄いようなケースで利用することがあります。費用も裁判よりも安いというメリットはありますが、話し合いが不成立となれば、改めて裁判を申し立てなければなりません。二度手間になるため、最初から裁判を選択することが多いです。

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4. 離婚後に請求できる慰謝料の相場

離婚後に請求できる慰謝料の相場は、おおよそ100~300万円で、理由ごとに異なります。

不倫 :150万~300万円
DV :50万~250万円
モラハラ:50万~300万円
悪意の遺棄(同居義務違反など):50万~300万円
性行為の拒否:数十万円~100万円

相手の不法行為の内容により増減するため、事案によります。上記の数字は参考程度に考えて、具体的な金額は、弁護士に相談してみましょう。

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5. 離婚後の慰謝料請求を成功させるポイント

5-1. 言い逃れできない証拠があるかどうか

離婚後の慰謝料請求を成功させるには、言い逃れできない証拠を押さえておくことです。裁判でも戦える動かぬ証拠(LINEや録音、写真、SNSなど)がポイントとなります。

例えば、不倫の場合は次の証拠が必要です。

・不倫相手とのLINEなどのやり取りのスクリーンショット(肉体関係があったことを示す内容がベスト)
・不倫相手とホテルに出入りする写真や泊りがけの旅行の写真
・不倫相手との会話の録音や肉体関係を記録した動画

DVの場合は、ケガの診断書や日記などを残しておくことが重要です。

ただし、こうした証拠は別居後や離婚後に収集するのが難しいケースも多いです。今持っている証拠が有効となることもあるので、慰謝料の請求が可能かどうかの判断や、他に必要な証拠があるかどうかについては、弁護士に相談した方が確実です。

5-2. 弁護士に交渉を依頼する

離婚後の慰謝料の請求については、弁護士に依頼するのがおすすめです。どれだけ良い証拠があっても、相手が交渉に応じなければ、自力で裁判を申し立てなければなりません。弁護士に依頼することで、相手に対してもプレッシャーを与えると共に、法的措置を連想させるため、相手が交渉のテーブルにつくことが期待できます。何より、依頼者の代理で交渉を行うため、相手と直接会う必要はなくなります。

また、交渉が決裂しても、そのまま裁判の手続きを任せることが可能です。慰謝料の増額要因があれば主張してもらうことができるため、自分で手続きをするよりも、慰謝料が増額できる可能性もあります。

ただし、そもそも慰謝料が請求できるかどうかによります。まずは請求ができるか、いくらくらい認められそうなのかといった点から相談してみて判断するのが一番です。

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6. 離婚後に請求できる慰謝料以外のお金

離婚後に請求できるのは、慰謝料だけではありません。離婚時に請求できなかったお金があれば、今からでも検討してみるとよいでしょう。

6-1. 財産分与

財産分与は、結婚期間中に夫婦が協力して築いた財産を二人で分けるというものです。夫婦の役割や収入などに関わらず、基本的に5:5で分与されます。

財産分与の請求期間は、離婚後から2年(民法768条2項但書)と決まっているので、注意が必要です。

また、離婚前に相手の財産情報や共有財産を取得しておかないと、どこからどこまでが二人で築いた共有財産なのか、請求ができるのか、後から調査することは困難を極めます。

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6-2. 養育費

養育費は、未成年者の親権者が相手方に対して有する権利です。未成年者の権利を親が代わりに行使しているとも言えます。そのため、この権利を親の勝手な判断で放棄することはできません。

養育費は、裁判所が作成した養育費算定表に基づいて両親の年収から算定されます。この金額が最低ラインになるので、この金額より多い合意は当然有効です。なお、養育費については、基本的に二十歳までとされていますが、個々の事情に応じて成人までとするケースもあります。

養育費は取り決めがない以上、請求期限もありません。ただし、取り決めがある場合は、支払い期限から5年が経過すると時効となるため、早めに請求をするようにしましょう。

6-3. 年金分割

年金分割は、結婚期間の厚生年金や共済年金を双方で平等に分割する制度です。自身の年金受領額が相手よりも低いのであれば、申請しない手はありません。

しかし、年金分割も離婚をした日の翌日から2年で時効となります。元配偶者が死亡した場合は、死亡日から1か月経過すると請求できません。年金分割の時効も短いため、早めに請求するようにしてください。

7. 離婚後に慰謝料を請求されたらどうする?

もし離婚後に慰謝料を請求されたら、まず、落ち着いて相手がどのような証拠を持っているのかよく考えましょう。慰謝料請求の原因となった事実が正しいのかどうか、よく検討し、事実であれば潔く相場付近で示談することもあります。

一方で、相手が有効な証拠を得ていないのであれば、裁判に持ち込み、低額での和解を検討することもあります。しかし、相手がどのような証拠を得ているのか、確認する術はありません。

相手が弁護士を立てている場合は、有効な証拠を得ている可能性もあります。こちらも弁護士に依頼して減額交渉を検討することが考えられるでしょう。慰謝料を請求された場合も、自分で判断するのは難しいため、弁護士の助言を得るのが得策です。

また、慰謝料について離婚時に離婚協議書や合意書で取り決めがあると、裁判で訴えられて差し押さえが実行される恐れがあります。支払いが難しいのであれば、相手と交渉して、支払い方法を相談するのも1つの方法です。

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8. 離婚後の慰謝料請求でよくある質問

Q. 離婚後に慰謝料を請求できないケースは?

離婚後に慰謝料を請求できないケースは次のとおりです。

・相手と慰謝料について何らかの合意をしている
・時効が過ぎている
・不貞などの慰謝料を請求できる証拠がある
・請求相手からすでに慰謝料を受け取っている

上記のケースでは、慰謝料を請求できません。

Q. 離婚後に結婚期間中の不倫が発覚したら慰謝料請求できる?

不倫の慰謝料請求の時効完成前であれば、請求可能です。離婚後、友人関係から元配偶者の不貞が明らかになることもままあります。交渉で相手が認めれば、請求できますが、交渉が決裂して裁判となる場合は、不倫の証拠が必須です。いきなり慰謝料を請求する前に、今の状況で慰謝料請求が可能かどうか、一度弁護士に相談してください。

Q. 離婚後の慰謝料請求でかかる弁護士費用は?

弁護士費用は各弁護士事務所によりますが、下記のような費用がかかります。

・着手金 :依頼する際に発生するお金
・報酬金 :慰謝料を獲得できた際に発生する報酬金
・その他交通費や書類の印刷代

着手金は最低でも10万円からとなるケースが多いです。また、報酬金は、相手から得られた慰謝料の16%程度が相場です。例えば、慰謝料200万円が回収できた場合、報酬金は32万円程度が目安となり、着手金とあわせると50万円前後になります。得られた金額のおおよそ25%が弁護士費用になると考えられるでしょう。

9. まとめ 離婚後の慰謝料請求はまず弁護士に相談するのがおすすめ

慰謝料の請求は離婚後でも可能ですが、慰謝料が認められる条件として、時効や不法行為に該当しているか、そして証拠があるかどうかなどのハードルがあります。離婚後にこうした証拠があれば、請求できますが、後から証拠を集めるのは困難なケースも多いでしょう。

慰謝料を請求する場合は、まず弁護士に「今ある証拠が有効かどうか」「どの程度の慰謝料が請求できそうか」「他に必要な証拠がないかどうか」などを相談して計画的に進めるようにしましょう。

(記事は2025年8月1日時点の情報に基づいています)

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