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離婚後にも養育費は請求できる? いつまで可能か、請求方法も解説

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離婚時に養育費について取り決めなかった場合でも、あらためて離婚後に養育費を請求することはできるのでしょうか(c)Getty Images
子どもがいる夫婦が離婚する際、子どもの養育費をどうするかは重要な問題ですが、早期に離婚することを優先して、養育費については取り決めをしないまま離婚するケースも少なくありません。離婚時に養育費について何も決めなかった場合、離婚後にあらためて養育費を請求することはできるのでしょうか。また、どうやって請求すればよいのでしょうか。弁護士が詳しく解説します。
目 次
  • 1. 離婚後でも養育費は請求できる?
  • 2. 離婚後に請求できる養育費の相場
  • 3. 離婚後に、養育費はいつまで請求できる?
  • 3-1. 養育費の終期
  • 3-2. 養育費に時効はある?
  • 4. 離婚後の養育費の請求方法
  • 4-1. 相手との協議、合意|公正証書の作成がお勧め
  • 4-2. 養育費調停、審判
  • 5. 養育費の金額や支払期間を変更することはできる?
  • 6. 離婚後に相手や自分が再婚した場合、養育費はどうなる?
  • 7. 離婚後の共同親権制度が養育費に与える影響は?
  • 8. 離婚後の養育費請求を弁護士に依頼するメリット
  • 9. 離婚後の養育費請求に関する弁護士費用
  • 9-1. 着手金|20万〜30万円が一般的
  • 9-2. 報酬金(成功報酬)
  • 9-3. その他
  • 10. 離婚後の養育費請求に関してよくある質問
  • 11. まとめ 離婚後でも養育費の請求は可能。諦めずまずは弁護士に相談を
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1. 離婚後でも養育費は請求できる?

養育費とは、子どもが自立するまで養育するために必要な費用のことで、衣食住や教育、医療などの費用を指します。夫婦が離婚した場合、子どもと離れて暮らす側の非監護親は、子どもと一緒に暮らす側の監護親に対し、子どもが自立するまでの養育費を支払う義務があります。

離婚時に「養育費を月〇万円払う」という約束をしていないからといって、養育費を支払う義務が免除されるわけではないため、離婚後にあらためて養育費を支払ってほしいと請求することができます

もし、離婚時に「養育費を月〇万円払う」という約束をしたにもかかわらず、相手がそれを守っていない場合には、離婚時からの未払い分も請求することができます

このような約束をしていない場合には、過去にさかのぼって養育費を請求することはできず、「養育費を払ってほしい」と請求をした月から養育費の支払い義務が生じるというのが、現在の法律上の考え方です。

しかし、2024年5月の法改正(2年以内に施行予定)で、法定養育費という制度が導入されることになりました。

法定養育費とは、離婚時に養育費をいくら支払うかなどの取り決めをしていなかった場合でも、法務省が定めた必要最低限の金額を離婚日から支払わなければならないという制度です。ただし、具体的な金額は少し低めに設定されると見込まれていますので、できれば離婚時に具体的な金額を決めておくべきです。

一方で、相手との関係をできるだけ絶ちたいからと、離婚時に「養育費は請求しない」と合意するケースもあります。このような合意がある場合は、後に病気になり職を失ったなど特段の事情の変更がない限り、離婚後に養育費の支払いを請求しても認められない可能性が高いため、注意が必要です。

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2. 離婚後に請求できる養育費の相場

養育費の金額は、基本的に双方の収入と、子どもの人数や年齢を考慮して決めます。

裁判所では特段の理由がない限り、家庭裁判所が定めている算定表に沿って金額が決められます。養育費の相場が知りたい場合は、ネットで「算定表」と検索すれば調べることができます。

もっとも、算定表はあくまで目安なので、金額は夫婦間の話し合いで自由に決めることができます。

3. 離婚後に、養育費はいつまで請求できる?

養育費を請求することができるのは、離婚後いつまでなのでしょうか。

3-1. 養育費の終期

養育費の終期、つまり子どもが何歳になるまで養育費を請求することができるのかは、子どもが18歳、20歳、または大学を卒業するまでと定められることが一般的です。

弁護士としてのこれまでの経験からすると、終期を20歳としつつ、20歳の時点で大学に通っている場合には大学卒業時や22歳になって最初の3月までとするケースがもっとも多いように思います。

3-2. 養育費に時効はある?

養育費を請求する権利は、通常5年で時効消滅します。そのため、相手が時効を主張した場合、5年以上前の養育費の請求は認められません。なお、家庭裁判所の調停や審判、判決によって決められた養育費の時効期間は、5年ではなく10年になります。

ただし、時効成立となる5年を経過する前に裁判を提起すれば裁判中は時効の完成が猶予されたり、内容証明郵便を送ることで時効の成立を6カ月間先延ばしにしたりできるなどのルールがあります。

また、時効が成立する前に相手が養育費の一部を支払ったりすると、支払いの義務を相手が承認したとして時効期間がリセットされ、その時点からまた時効成立までのカウントが始まるというルールもあります。

いずれにせよ、元配偶者に未払いの養育費を請求しようと考えている場合は、できる限り早く行動することが大切です。

4. 離婚後の養育費の請求方法

離婚後に養育費を請求する場合の具体的な方法について解説します。

4-1. 相手との協議、合意|公正証書の作成がお勧め

離婚後に元配偶者に養育費の支払いを請求する場合、通常はまずLINEやメール、電話や手紙などの連絡手段で、相手に「養育費を支払ってほしい」と求めることから始まります。

ただし、相手との関係上、直接接触することは避けたいと考える人もいます。そのような場合は、弁護士に依頼して代理人になってもらい、請求を代行してもらう方法もあります。

相手に請求したあとは、金額をいくらにするか、どこに支払うかなどを話し合い、合意をめざします。元配偶者との話し合いで合意できた場合は、金額や終期、振込先などについて、きちんと書面で取り交わしてください。口約束だけでは、あとになってトラブルになるリスクがあるからです。書面の内容は、できれば弁護士に作成をしてもらうか、チェックを受けると安心です。

また、養育費は数年から十数年と長く続くものであるため、途中で未払いとなってしまうリスクも高くなります。そのため、可能であれば公正証書で合意内容を残しておくことをお勧めします。公正証書には法的効力があるため、相手が養育費の支払いを滞納した場合には、すぐに強制執行を申し立てることができます。

公正証書の作成には双方の合意が必要となりますが、最寄りの公証役場に「こういう内容の公正証書をつくりたい」と相談すれば、具体的な流れや費用について説明してくれます。

元配偶者が協力的であれば、協議はスムーズに進む可能性が高いですが、そうでなければ、協議は難航するかもしれません。協議で結論が出ない場合には、裁判所を利用した調停や審判といった手続きに移行します。

4-2. 養育費調停、審判

元配偶者と話し合ったものの金額面で合意できなかった場合や、手紙やメールを送っても無視されて話し合いができなかった場合などは、家庭裁判所に対して養育費の支払いを求める調停や審判を申し立てることができます。

調停とは裁判所内で行われる話し合いであり、男女各1人の調停委員が双方の間に入り、要望や条件を聞き取って、双方が合意できる着地点を探ります。裁判所内で行われる手続きですが、あくまで話し合いであり、双方の合意がないと調停成立とはなりません。

調停でも合意ができなかった場合、通常はそのまま審判という手続きに移行します。審判とは、裁判官が双方の主張や希望を聞き取ったうえで「養育費として月〇万円支払うように」と命令を下す制度です。相手はこの命令を拒否することはできません。

相手との話し合いや調停で解決できなかった場合は、このように審判手続きによって最終的な結論が出されます。

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5. 養育費の金額や支払期間を変更することはできる?

養育費の金額や終期が決まったあとに、何らかの事情によって金額の増減や終期の変更をする必要が生じた場合、条件の変更を求めることは可能です。養育費の取り決めをしたあとに、いろいろな事情によって収入や家族構成が変化することは珍しくないためです。

たとえば、転職をして収入が下がってしまったり、病気によって働けなくなったりした場合や、元配偶者が出世して収入が大きく増えた場合などが当てはまります。

変更したい事情があった場合でも、自動的に変更されるわけではありません。変更するためには、相手の了承を得るか、調停や審判による判断が必要になります。

話し合いで相手の了承が得られれば変更することができますが、最初に養育費の条件を取り決めたときと同様、変更の内容は口約束ではなく、書面で残すようにしてください。

話し合ったものの相手の了承を得られない場合には、家庭裁判所に養育費増額の調停や審判を申し立てる必要があります。調停や審判のなかで増額を求める理由や根拠を示し、相手が認めれば調停が成立します。調停が成立しない場合には、最終的に裁判所が増額すべきかどうかの判断を下します。

6. 離婚後に相手や自分が再婚した場合、養育費はどうなる?

離婚後に、片方または双方が再婚するというケースはよくあります。この場合、再婚という事実によって自動的にそれまでの養育費に影響が出ることはありませんが、扶養家族の変化によって、支払われる養育費や支払うべき養育費の金額が減る可能性があります。

たとえば、養育費を払っていた元夫が再婚し、再婚相手との間に子どもが生まれた場合、元夫は扶養家族が増えたことになり、元妻の子に対し支払う養育費の減額を求めることが可能になります。

また、養育費をもらっていた元妻が再婚し、再婚相手が子どもと養子縁組を結んだ場合には、その子どもを扶養する父親が増えたことになるため、元夫は養育費の減額を請求することが可能となります。

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7. 離婚後の共同親権制度が養育費に与える影響は?

2026年5月までに、離婚後も父母双方が親権を持つ共同親権制度が導入されます。

共同親権になったとしても、離婚で父母が別居し、どちらかの親が子どもと同居する以上は、監護親と非監護親という枠組みは変わりません。そのため、共同親権が導入されても養育費に大きな影響があるとは思えず、金額や終期も変更されることはないと考えられます。

もっとも、共同親権には双方が親権を持つことで父母であることの自覚を強化し、養育費の誠実な支払いにつなげる意図もあると言われています。併せて新設される法定養育費制度や養育費の先取特権化なども含め、改正法が養育費の支払いを重視していることは明らかです。

8. 離婚後の養育費請求を弁護士に依頼するメリット

離婚後に養育費を請求しようとする場合、いくらくらい請求ができるのか、どういう流れで進めていくのが一番よいか、調停や審判に移行した場合にはどのような書類を作成すればよいかなど、専門的な知識や経験が求められます。また、離婚した元配偶者と話し合いをしたり、接触したりすること自体が精神的な負担になるという人もいます。

弁護士に養育費の請求手続きを依頼すれば、弁護士が代理人となってすべての手続きを進めることができますし、法的に一番よい方法を選択することができます。今は初回相談を無料で受けている弁護士も多くいますので、一人で悩まずに、まずは一度弁護士に相談することをお勧めします。

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9. 離婚後の養育費請求に関する弁護士費用

弁護士に依頼した場合の費用は、着手金、報酬金、その他に分けることができます。

9-1. 着手金|20万〜30万円が一般的

着手金とは、弁護士に正式に依頼することになった場合に支払う費用です。着手金を支払うことで、弁護士があなたの正式な代理人となり、業務を開始します。

離婚後の養育費請求に関する着手金の相場額は、20万円から30万円です。依頼前に一括で支払うのが原則ですが、事情によって分割払いに応じる事務所もありますので、分割払いを希望する場合には相談してみてください。

9-2. 報酬金(成功報酬)

報酬金は、弁護士が代理人として業務を行った結果、想定していた成果を得られた場合に支払う費用です。養育費請求の場合は、養育費として認められた金額の2年分から3年分のうち、5%から20%が報酬金とされるケースが多いようです。

報酬金の具体的なパーセンテージは法律事務所によってさまざまですが、得られた養育費の金額が大きければ大きいほどパーセンテージは低くなり、金額が低い場合にはパーセンテージは高くなります。

9-3. その他

その他の費用として、弁護士が出張や外出をした場合の日当がかかることがあります。たとえば弁護士が元配偶者と交渉するために遠方に出向くケースや、調停期日に出廷するようなケースです。日当の金額は、1回あたり2万円から5万円程度のことが多いようです。

また、住民票を取得したり、郵便物を送ったりする場合の実費も必要ですが、一つの案件につき数千円から1万円程度に収まる場合がほとんどです。

10. 離婚後の養育費請求に関してよくある質問

Q. 離婚後に養育費を請求したいが、相手と連絡がとれない場合はどうすべき?

弁護士なら、現在の住民票がどこにあるかを調査することが可能です。調査の結果、所在地が判明すればそこに通知を送り、養育費の支払いを求めます。


また、もし調停調書や公正証書など、法的効力のある「債務名義」と言われる書類を持っている場合には、相手の預貯金や給料を差し押さえる強制執行手続きを取ることもできます。


諦めずに一度弁護士に相談してみてください。

Q. 養育費以外の費用も離婚後に請求できる?

離婚の原因が相手の不貞行為やDV(ドメスティックバイオレンス、家庭内暴力)などのいわゆる不法行為にある場合、離婚した日から最長3年間は、慰謝料の請求が可能です。


離婚時の夫婦の共有財産を分割する財産分与は、離婚後2年間であれば、元配偶者に請求することができます。

Q. 離婚後に妊娠が発覚した場合、元配偶者に養育費を請求できる?

離婚後300日以内に出産した場合、その子は元夫の子と推定されます。この場合、離婚後の出産であっても、離婚前の出産と法的には同じ扱いになりますので、養育費の請求が可能です。


離婚後300日を過ぎて出産した場合には、法的には元夫との子とは推定されません。そのため、元夫の子である場合には、元夫に「自分の子である」と認知してもらう必要があります。認知されないと、子どもは法的に元夫とは他人とされてしまうからです。


元夫が認知を拒む場合には、家庭裁判所に認知を求める調停や審判を申し立てることができます。そのなかでDNA鑑定を行い親子関係が認められれば、通常は認知され、養育費の請求が可能になります。

Q. 元配偶者が離婚後に死亡した場合、養育費はどうなる?

養育費を支払う義務は、親だからこそ負う義務であり、相続の対象にはなりません。そのため、元配偶者が死亡した場合には、その再婚相手などの相続人に対して、今後の支払いを請求することはできません。


一方、死亡時に未払いの養育費が存在する場合は、相続対象となるほかの借金などと同様に扱われるため、相続人が相続放棄をしない限り、相続人に請求することが可能です。

11. まとめ 離婚後でも養育費の請求は可能。諦めずまずは弁護士に相談を

養育費は子どもの成長のために父母双方が分担して負担すべき費用であるため、離婚後であっても元配偶者に請求することが可能です。弁護士に依頼すれば、相手の連絡先がわからないときに所在地を調査して請求してもらうことや、調停や審判などの法的手続きもスムーズに進めてもらうことができます。

また、養育費には終期や請求の時効があるため、なるべく早く行動することが大切です。「離婚するとき何も決めなかったから、今さら養育費はもらえないのでは」と諦めず、まずは一度弁護士に相談してみてください。

(記事は2025年7月1日時点の情報に基づいています)

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