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1. 2年前の浮気(不倫)についても慰謝料を請求できるのか?
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1-1. 消滅時効が完成していなければ、過去の浮気についても慰謝料を請求できる
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1-2. 浮気の慰謝料請求権の時効期間|2年前の浮気であれば時効は完成していない
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1-3. 2年前の浮気が結婚前の出来事である場合は?
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2. 2年前の浮気の慰謝料はいくらが適正?
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2-1. 離婚しない場合の浮気慰謝料相場|求償権に注意
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2-2. 離婚する場合の浮気慰謝料相場
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3. 浮気慰謝料の金額を決める際の考慮要素
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3-1. 浮気の頻度と回数、期間
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3-2. 婚姻期間の長さ
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3-3. 未成熟の子どもの有無
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3-4. 浮気以外の不適切な行動の有無や内容
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4. 浮気を原因とする離婚請求と慰謝料請求の手続き
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4-1. 離婚協議
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4-2. 離婚調停
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4-3. 離婚訴訟
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4-4. 不倫相手に対する慰謝料請求
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5. 2年前の浮気について慰謝料請求を成功させるためのポイント
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5-1. 浮気について配偶者に自白させる
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5-2. 浮気の証拠を確保する
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5-3. 慰謝料の増額につながる事実を主張する
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6. 2年前の浮気の慰謝料請求について弁護士に相談するメリット
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7. 浮気の慰謝料請求に関してよくある質問
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8. まとめ|過去の浮気に対する慰謝料請求は弁護士に相談を
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1. 2年前の浮気(不倫)についても慰謝料を請求できるのか?
1-1. 消滅時効が完成していなければ、過去の浮気についても慰謝料を請求できる
配偶者が自分以外の異性と性交渉(=不貞行為)をした場合、配偶者や不倫相手に対して慰謝料を請求できます(民法709条)。
過去の不倫についても、消滅時効が完成していなければ、さかのぼって慰謝料を請求可能です。あまりにも時間が経っていると証拠集めに苦労する可能性がありますが、その点さえクリアすれば、慰謝料の獲得が見込めます。
1-2. 浮気の慰謝料請求権の時効期間|2年前の浮気であれば時効は完成していない
婚姻している状態での不貞行為は、法律上の「不法行為」にあたります(民法第709条)。不法行為に基づく損害賠償請求権は、原則として以下のいずれかの期間が経過すると時効により消滅します(民法724条)。
損害および加害者を知ったときから3年
不法行為のときから20年
なお、「損害および加害者を知ったときから3年」の起算点は、慰謝料の請求先によって異なります。
配偶者に対する請求については「不貞行為の事実を知ったときから3年」です。ただし、配偶者との婚姻中および離婚後6カ月を経過するまでは、配偶者に対する慰謝料請求権の消滅時効は完成しません(民法159条)。
一方で、不倫相手への請求は「不貞行為の事実と不倫相手を知ったときから3年」となっています。
したがって、配偶者の浮気が2年前の出来事であれば、3年間の消滅時効が完成していないので、配偶者および不倫相手に対して慰謝料を請求可能 です。
なお、上記は不貞行為そのものに関する不貞慰謝料の時効です。
配偶者に対しては、不貞行為が原因となって離婚が成立した場合には、離婚に関する離婚慰謝料を請求できます。離婚慰謝料請求権の消滅時効の起算点は「離婚が成立したときから3年」で、不貞慰謝料とは異なる点に注意が必要です。
1-3. 2年前の浮気が結婚前の出来事である場合は?
2年前の浮気が結婚前の出来事であった場合、浮気を理由に慰謝料を請求するためには、その時点で少なくとも「婚約」か「内縁」のいずれかが成立していなければなりません。
婚約:将来の結婚に向けた真摯な合意
内縁:婚姻届を提出していないものの、実質的には夫婦同然である状態
婚約も内縁も成立していない段階での浮気については、慰謝料請求は難しいでしょう。
2. 2年前の浮気の慰謝料はいくらが適正?
不貞行為に関する慰謝料の金額相場は、過去の出来事でも最近の出来事でも、基本的に同じです。離婚するかどうかによって、慰謝料の金額相場が異なります。
2-1. 離婚しない場合の浮気慰謝料相場|求償権に注意
配偶者と離婚しない場合の浮気慰謝料の額は、100万円〜200万円程度 が標準的です。
離婚しないケースでは、不倫相手だけに慰謝料を請求するのが一般的ですが、その際には求償権に注意する必要があります。求償権とは、不倫慰謝料を支払った側が、不倫の相手方に対して、自分の負担割合を超える額の返還を請求できる権利です。
不倫相手から慰謝料全額の支払いを受けた場合、不倫相手が求償権を行使して配偶者に対して慰謝料の一部を返還するよう求めてくる可能性があります。配偶者と離婚しない場合は、家計からお金が出て行ってしまいます。
また、求償権があることを考慮して、不倫相手が慰謝料の減額を求めてくる場合もある点に注意してください。
2-2. 離婚する場合の浮気慰謝料相場
配偶者と離婚する場合の浮気慰謝料の額は、150万円〜300万円程度 が標準的です。離婚しない場合よりも、離婚する場合のほうが慰謝料は高くなる傾向にあります。
3. 浮気慰謝料の金額を決める際の考慮要素
浮気慰謝料の金額相場には幅があり、実際の適正額は個々の事情によって変わります。
3-1. 浮気の頻度と回数、期間
浮気の頻度が高い場合や回数が多い場合、または期間が長い場合には、浮気慰謝料は高額となる傾向にあります。多額の慰謝料を獲得するためには、配偶者と不倫相手が何度も頻繁に会っていたことを立証できるかどうかがポイント です。
3-2. 婚姻期間の長さ
婚姻期間が長いほど、浮気慰謝料は高額となる傾向にあります。長年続いた婚姻関係が浮気によって破壊された場合、その損害は大きい と考えられるためです。
3-3. 未成熟の子どもの有無
経済的に自立しておらず、親の扶養を必要とする子を未成熟の子どもと言います。成人年齢に達しているかいないかは問いません。
夫婦間に未成熟の子どもがいる場合は、いない場合に比べて浮気慰謝料が高額となる傾向にあります。子どもがいる家庭を浮気によって破壊される損害は、きわめて大きい と考えられるためです。
3-4. 浮気以外の不適切な行動の有無や内容
浮気のほかにも、配偶者に不適切な行動が見られる場合には、慰謝料の増額要素となります。
配偶者の不適切な行動としては、以下の例が挙げられます。これらの行為が見られるときは、浮気の事実と併せて主張し、慰謝料の増額を求めましょう。
DV(家庭内暴力)
モラハラ(侮辱や無視など)
悪意の遺棄(家事や育児をまったくしない、生活費の分担を拒否する、無断で別居するなど)
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4. 浮気を原因とする離婚請求と慰謝料請求の手続き
配偶者の浮気を理由に離婚を請求する手続きとしては、「離婚協議」「離婚調停」「離婚訴訟」の3つが挙げられます。慰謝料請求も、離婚請求と併せて行うのが一般的です。
不倫相手に対する慰謝料請求は、協議や訴訟などの手続きによって行います。
4-1. 離婚協議
離婚協議は、配偶者と話し合って離婚の合意をめざす手続きです。合意が整ったあと、市区町村役場に離婚届を提出することで離婚が成立します。
離婚協議では慰謝料のほか、財産分与および年金分割、婚姻費用などの金銭的条件や、親権と養育費、面会交流など子どもに関する条件を取り決めましょう。
合意した離婚条件は、離婚公正証書にまとめたうえで締結しておけば、離婚後にトラブルが生じるリスクを防げます。
4-2. 離婚調停
離婚調停は、家庭裁判所において離婚条件などを話し合う手続きです。中立である調停委員と個別に面談を行い、そのサポートを受けながら離婚条件の合意をめざします。
離婚調停では、浮気の慰謝料についても話し合うことができます。慰謝料などの条件で折り合わず、離婚協議がまとまらなかった場合には、離婚調停の申立てを行いましょう。
4-3. 離婚訴訟
離婚訴訟は、裁判所に訴状を提出して、強制的に離婚を成立させる判決を求める手続きです。
離婚判決を得るためには、法定離婚事由を立証しなければなりません(民法770条1項)。法定離婚事由とは、法的に認められた離婚の理由で、浮気(不貞行為)もそのうちの一つです。
配偶者が浮気の事実を否認している場合は、客観的な証拠によって浮気を立証できるかどうかがポイントです。
離婚判決が言い渡される際には、判決主文によって慰謝料についても結論が示されます。慰謝料を増額すべき要素がある場合は、離婚訴訟のなかで主張と立証を行いましょう。
4-4. 不倫相手に対する慰謝料請求
不倫相手に対する慰謝料請求は、まず内容証明郵便などによって請求書を送付し、返信を待って示談交渉を行うのが一般的です。
示談交渉がまとまらなければ、裁判所に慰謝料請求訴訟を提起することも考えられます。訴訟では、不貞行為の事実や慰謝料の増額要素を立証できるかどうかがポイントです。
5. 2年前の浮気について慰謝料請求を成功させるためのポイント
2年前の浮気について、配偶者や不倫相手に対する慰謝料請求を成功させるためには、以下のポイントに注意して対応することが大切です。
浮気について配偶者に自白させる
浮気の証拠を確保する
慰謝料の増額に繋がる事実を主張する
5-1. 浮気について配偶者に自白させる
浮気の事実を配偶者に自白させることができれば、相手にお金がない場合を除き、慰謝料請求は大きく成功に近づきます。客観的な証拠が手元にある場合は、それを示して配偶者を問い詰めましょう。
一方的に責め続けるのではなく、配偶者の話を聞く姿勢を見せれば、浮気を自白する可能性が高まると思われます。
実際に筆者が弁護士として依頼を受けたケースでは、依頼者が穏やかなトーンで事情を聴く姿勢を見せた結果、配偶者の自白を引き出せた例 がありました。
配偶者の自白は、録音や文書などで記録に残しておきましょう 。あとで配偶者が自白を撤回しても、記録が残っていればそれを証拠として用いることができます。
5-2. 浮気の証拠を確保する
配偶者や不倫相手が浮気の事実を否認している場合は、浮気の客観的な証拠を確保することが慰謝料請求を成功させるための大きなポイントです。
浮気の証拠としては、主に以下の例が挙げられます。
浮気の現場を記録した写真、動画、音声
性交渉が行われそうな場所(自宅やホテルなど)に出入りする場面を記録した写真、動画
浮気の事実を推認させるメッセージの記録
手元に浮気の客観的な証拠がない場合は、探偵に浮気調査を依頼することも選択肢の一つです。できる限り多く浮気の証拠を集めて、慰謝料請求に備えましょう。
5-3. 慰謝料の増額につながる事実を主張する
浮気の慰謝料を増額するためには、増額につながる事実を豊富に主張することが大切です。
特に浮気の頻度や回数、期間のほか、DVやモラハラ、悪意の遺棄といった配偶者の浮気以外の不適切な行動などは、客観的な証拠を提示できるかどうかがポイントになります。
弁護士のサポートを受けながら、万全の証拠収集を行って慰謝料請求の準備を整えられると安心でしょう。
6. 2年前の浮気の慰謝料請求について弁護士に相談するメリット
配偶者の2年前の浮気が発覚したら、慰謝料請求について弁護士に相談することをお勧めします。
浮気の慰謝料請求について、弁護士に相談する主なメリットは以下のとおりです。
法的な相場に照らして、どの程度の額の慰謝料を請求できるのかがわかる
慰謝料の増額に繋がる要素を漏れなく主張できる
浮気の事実や、慰謝料の増額要素に関する証拠の収集方法についてアドバイスを受けられる
さらに、弁護士に依頼した場合は、慰謝料請求の手続きへの対応全般を一任できます。各手続きについて適切に対応してもらえるほか、自力で対応する場合に比べて労力やストレスが大幅に軽減されるはずです。
2年前の浮気に関する慰謝料請求は、早めに弁護士への相談を検討してください。
相談アリ
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7. 浮気の慰謝料請求に関してよくある質問
8. まとめ|過去の浮気に対する慰謝料請求は弁護士に相談を
配偶者による2年前の浮気については、離婚しない場合は100万円〜200万円程度、離婚する場合は150万円〜300万円程度の慰謝料を請求できます。
ただし、浮気から2年間も経っていると、浮気の証拠を集めるのが難しい場合もあります。弁護士のサポートを受けながらできる限り証拠を収集しつつ、配偶者の自白を引き出せるように努めましょう。
浮気の慰謝料請求は、弁護士に依頼することで成功率が上がります。配偶者の過去の浮気が発覚した場合は、早めに弁護士に相談してください。
(記事は2025年1月1日時点の情報に基づいています)