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1. 離婚後に大変なこと|よくある悩みやトラブルを紹介
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1-1. 苗字変更や住所変更などの手続きに手間がかかる
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1-2. 親族・友人・職場への報告が面倒
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1-3. 生活が一変して大きなストレスがかかる
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1-4. まとまったお金が必要だが、準備できない
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1-5. 仕事がなかなか見つからない
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1-6. 家事や育児がワンオペ化する
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1-7. 将来への不安から精神的に落ち込んでしまう
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1-8. 子どもが離婚や転校によって不安定になる
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1-9. 元配偶者が養育費を支払わない
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1-10. 養育費の増額や減額を請求される
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1-11. 子どもに会わせてもらえない
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1-12. 離婚後に慰謝料を請求される
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2. 離婚後の大変さを軽減するための方法
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2-1. 離婚後に必要な手続きをあらかじめリストアップする
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2-2. 離婚条件を適切に取り決める
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2-3. 離婚前の段階から生活のめどを立てる
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2-4. 離婚後の当面の生活費だけでなく、将来を見据えた人生設計をする
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2-5. 実家の援助を受ける
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2-6. 公的な支援制度を利用する
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2-7. 子どもとよくコミュニケーションをとる
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2-8. 離婚公正証書を作成する
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2-9. 弁護士やFPなどの専門家に相談する
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3. 離婚後に関するQ&A
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4. まとめ 離婚後の生活は頼れる人に相談しながら進めるとよい
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1. 離婚後に大変なこと|よくある悩みやトラブルを紹介
夫婦の離婚には多くの苦労を伴いますが、離婚後も悩みやトラブルを抱えて大変な思いをすることがあります。離婚後に多い悩みやトラブルの代表例を紹介します。
1-1. 苗字変更や住所変更などの手続きに手間がかかる
離婚に伴って旧姓に戻った場合や、引っ越した場合には、苗字や住所の変更手続きが必要 です。市区町村役場、金融機関、保険会社、ライフライン、身分証明書など、たくさんの変更手続きを行わなければならず、大きな手間がかかってしまうケースが多いです。
1-2. 親族・友人・職場への報告が面倒
離婚したことは、親しい親族や友人、職場などへ報告するのが一般的です。人によっては、たくさんの人に報告しなければならないケースもあるでしょう。報告のために連絡をとること自体が面倒なうえ、そのたびに過度な心配をされたり離婚の理由を詮索されたりすると、大きなストレス となります。
1-3. 生活が一変して大きなストレスがかかる
離婚を機に配偶者との同居生活を終えると、それまでと比べて生活が大きく変化することは避けられません。突然生活スタイルが変わることによって大きなストレスがかかり、心身のバランスを崩してしまう人も います。
1-4. まとまったお金が必要だが、準備できない
離婚を機に新たな生活をスタートさせるには、まとまったお金が必要になることが多いです。家を借りる際には敷金や礼金などが発生し、引っ越し費用もかかります。特に専業主婦(専業主夫)やパートなどで収入が少なかった人は、離婚後の生活に必要なまとまったお金を確保できず、苦労する ケースがみられます。
1-5. 仕事がなかなか見つからない
婚姻中、配偶者の収入で生活をしていた場合、離婚後は自分だけの収入で生活していくため、新たな仕事を見つける必要があります。しかし、十分な収入が得られて無理なく働ける好条件の仕事がすぐに見つかるとは限りません。
子どもの送迎などとの関係で勤務地や働ける時間が限定される場合は、さらに選択肢が狭くなります。仕事がなかなか見つからないと、離婚後の生活の目途が立たずに苦労する ことが多いです。
1-6. 家事や育児がワンオペ化する
離婚によって家事や育児を1人で行う必要が生じた場合は、その大変さに苦労するかもしれません。
実家の両親などに協力してもらえる場合は多少負担が緩和されますが、それができない人も多いでしょう。保育所やベビーシッターなどを利用しても、ワンオペによる負担増を完全に解消することは難しい です。
1-7. 将来への不安から精神的に落ち込んでしまう
離婚後の生活が苦しく、この生活がずっと続くことを想像して、将来への不安から精神的に落ち込んでしまう人がいます。本来は再婚、転職、趣味などさまざまな可能性が広がっており、将来を強く悲観する必要はないケースが多いです。しかし、現在の生活の大変さに強いストレスを感じていると、未来まで真っ暗に思えて悩んでしまうかもしれません。
1-8. 子どもが離婚や転校によって不安定になる
離婚による生活の変化に戸惑うことがあるのは、親だけではありません。子どもの側も、突然父親(母親)がいなくなったり、転校して友人関係が変化したりすることに戸惑っていることがあります。
離婚や転校によって大きなストレスを感じるようになった子どもは、精神的に落ち込んでしまったり、学校に行きたくないと言いだしたりするかもしれません。親としては、自分自身の生活の大変さに加えて、不安定な状態になった子どもにも真摯に向き合わなければならず、二重に苦労する 状況になります。
1-9. 元配偶者が養育費を支払わない
離婚後に子どもと同居する親は、元配偶者に対して養育費を請求できます。養育費がきちんと支払われれば、経済的な面で生活の支えとなるでしょう。
しかし、養育費について合意したとしても、その後に養育費の支払いが滞ることはよくあります。養育費を受け取れることを前提に収支を計画していた場合は、養育費が途絶えると一気に生活が苦しくなります 。
1-10. 養育費の増額や減額を請求される
養育費の金額は、取り決めた時点から状況が変わったことを理由に、増額や減額が認められることがあります。
【養育費が増えるケース】
・支払う側の収入が増えた
・受け取る側の収入が減った
【養育費が減るケース】
・支払う側の収入が減った
・受け取る側の収入が増えた
・支払い側と再婚相手との間に子が産まれた
・支払う側が再婚相手の連れ子と養子縁組をした
支払う側は、養育費の増額が認められると、毎月の支出が増えて生活が厳しくなるかもしれません。反対に受け取る側は、養育費の減額が認められると、毎月の収入が減って生活が苦しくなるおそれがあります 。
養育費の増額や減額は、話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所の調停や審判で決めることになります。調停や審判の手続きに対応すること自体も、労力や費用を要するため当事者にとっては大変 です。
1-11. 子どもに会わせてもらえない
離婚した元配偶者との関係性が良くない場合は、元配偶者と同居している子どもに会わせてもらえない ことがあります。
家庭裁判所の面会交流調停や審判などを通じて、子どもに会わせるよう請求することは可能です。しかし、調停や審判の手続きには時間がかかるので、いつ子どもと会えるようになるかは一概に言えません。子どもと会えない時間が続いて、辛い思いをしている人が多いです。
1-12. 離婚後に慰謝料を請求される
離婚時には慰謝料の話が出なかったものの、離婚後に慰謝料を請求されるケースがあります。慰謝料の対象となるのは、不貞行為、DV、モラハラ、無断別居などの不法行為です(民法709条)。
離婚時に慰謝料が精算済みであるか、または慰謝料を請求しない旨を合意していれば、慰謝料を支払う必要はありません 。しかし、離婚協議書などを締結せずに離婚した場合などは、離婚後に慰謝料を請求されることがあり得る点に注意が必要です。
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2. 離婚後の大変さを軽減するための方法
離婚後の大変さをできる限り軽減するため、離婚の前後で以下の対策を講じましょう。
2-1. 離婚後に必要な手続きをあらかじめリストアップする
苗字や住所の変更、身近な人への報告など、離婚後に必要な手続きはあらかじめリストアップしておきましょう。離婚が成立したらスムーズに手続きを進めることができますし、やるべきことが見えていれば精神的にも楽になります。
2-2. 離婚条件を適切に取り決める
離婚する際には、以下の離婚条件などを適切に決めておきましょう。
財産分与
年金分割
慰謝料
親権
養育費
子どもとの面会交流
離婚条件を適切に取り決めれば、離婚後に元配偶者とトラブルになるリスクを防げます。また、婚姻中の収入が元配偶者に依存していた場合、適正額のお金(財産分与、慰謝料、養育費など)を受け取ることが、離婚後の生活の支えとなります。離婚条件に合意できない場合は、家庭裁判所の離婚調停などを利用しましょう。
2-3. 離婚前の段階から生活のめどを立てる
離婚後の生活に無理が生じないか、離婚前の段階から生活費のシミュレーションをしておく ことをおすすめします。収入が少ない場合は、十分な収入を得られる仕事を探す、副業をする、親族に援助を求めるなどの方法があります。その一方で、住居費や食費などを見直して、生活費を節約できないかどうか検討しましょう。
2-4. 離婚後の当面の生活費だけでなく、将来を見据えた人生設計をする
特に子どもがいる場合は、子どもが大きくなると生活費や学費などの負担が増えます。離婚直後は何とか生活が成り立っていても、子どもの進学などに伴って苦しくなってしまう というケースはよくあります。
離婚後の当面の生活費だけでなく、子どもの成長などを考慮しつつ、将来を見据えた人生設計を考えておきましょう。経済的に不安がある場合には、別居して離婚を先延ばしにすることなども選択肢の一つです。
2-5. 実家の援助を受ける
離婚後にワンオペで家事や育児をするのは非常に大変ですし、自分の収入だけでは生活が苦しいこともよくあります。実家の援助を受けられるのであれば、遠慮せずに受ける ようにしましょう。
実家の両親が健在で、経済的または時間的に余裕がある場合や、近隣に住んでいる場合などには、両親にも頼りながら、離婚後の生活を安定させていきましょう。たとえば、実家で暮らすことができれば、住居費や家事育児の負担を大幅に減らせる可能性があります。
2-6. 公的な支援制度を利用する
離婚後の生活が苦しい場合は、公的な支援制度の利用を検討してください。生活費を賄える十分な収入が得られない人は、生活保護を利用できる可能性 があります。また、離婚によってひとり親となる場合は、自治体ごとに設けられている支援制度を利用できないか、各自治体の窓口やホームページで調べてみましょう。
2-7. 子どもとよくコミュニケーションをとる
離婚による子どもの戸惑いを軽減するには、子どもとよくコミュニケーションをとることが大切です。
特に子どもが一定以上の年齢である場合は、なぜ離婚することになったのか、離婚後の生活は大丈夫なのか、などをきちんと子どもに説明しましょう。また、子どもが不安に感じていることには耳を傾け、その不安を解消するための方法を一緒に考えるべき です。
2-8. 離婚公正証書を作成する
養育費の支払いが滞ると、離婚後の生活が一気に苦しくなってしまいます。未払い養育費を回収するためには、裁判所に強制執行を申し立てましょう。元配偶者の給与などを強制的に差し押さえ、養育費の支払いに充てることができます。
公正証書で養育費の支払い義務を定め、強制執行認諾文言(=不払いが生じた場合は直ちに強制執行に服する旨の債務者の陳述)を記載しておけば、公正証書を用いてスムーズに強制執行を申し立てることができます 。
これに対して、公正証書がない場合は、裁判などを通じて養育費の支払義務を確定させなければなりません。速やかに強制執行の申立てができるように、公正証書を作成しておくことをおすすめします。
2-9. 弁護士やFPなどの専門家に相談する
離婚条件の取り決めや、離婚後に必要な手続きなどは、弁護士に相談すればアドバイスやサポートを受けられます。離婚後の生活費のシミュレーションなどについては、FP(ファイナンシャルプランナー)に相談してもよいでしょう。
離婚に伴うさまざまな対応を自力で行うことが難しければ、専門家に相談して助けを求めましょう。
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3. 離婚後に関するQ&A
4. まとめ 離婚後の生活は頼れる人に相談しながら進めるとよい
離婚後の生活は、様々な手続きがあったり、収入や生活の変化があったりなどで何かと苦労が多いです。また、離婚後も養育費のやりとりなどで、必ずしも元配偶者との縁が切れるわけではない点にも注意が必要です。
離婚後の生活に苦労している場合には、公的な援助を利用したり、実家を頼ったりしましょう。また、元配偶者との間でトラブルが発生している場合には、弁護士に相談するのもおすすめ です。1人で抱え込まずに対処しましょう。
(記事は2024年12月1日時点の情報に基づいています)