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セックスレスは離婚の原因になる? 慰謝料や請求手順まで解説

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離婚時に性の不一致が問題となるケースでは、セックスレスが最も多い問題と言えます (c)Getty Images
セックスレスは非常にセンシティブかつ大きな問題です。2023年にはセックスレスをテーマにした『あなたがしてくれなくても』という漫画がテレビドラマ化され、社会的にも大きな問題として注目を集めました。セックスレスに悩み、離婚も考えている場合を想定し、セックスレスが法的にどのような扱いを受けるのかという点について、弁護士がわかりやすく解説します。
目 次
  • 1. セックスレスとは
  • 1-1. セックスレスの定義
  • 1-2. セックスレスは性の不一致の一種
  • 1-3. セックスレスにおける離婚率
  • 2. セックスレスを理由に離婚できるのか
  • 2-1. 離婚のルール
  • 2-2. 夫婦が合意すればセックスレスでも離婚できる
  • 2-3. 配偶者が離婚に同意しない場合
  • 2-4. セックスレスは「婚姻関係を継続し難い重大な事由がある」と言えるのか
  • 3. セックスレスを理由に離婚できるケースとできないケース
  • 3-1. セックスレスを理由に離婚できるケース
  • 3-2. セックスレスを理由に離婚できないケース
  • 4. セックスレスを理由に慰謝料請求はできるか
  • 4-1. セックスレスを理由とする慰謝料請求の要件
  • 4-2. セックスレスの慰謝料相場
  • 5. セックスレスを理由とする離婚請求や慰謝料請求の手順
  • 5-1. 配偶者と話し合う(協議離婚)
  • 5-2. 調停を申し立てる(調停離婚)
  • 5-3. 裁判を提起する(裁判離婚)
  • 5-4. どのような証拠が必要か
  • 6. まとめ|“セックスレス離婚”を検討の場合は弁護士に相談を

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1. セックスレスとは

1-1. セックスレスの定義

セックスレスという言葉は、法的に定義されたものではないため、明確な定義や基準はありません。一般的には「病気などの特別な事情がないのに、長期間にわたって性交渉がないこと」を言います。

1カ月セックスがなければセックスレスだと感じる人もいれば、半年セックスがなくてもセックスレスだとは感じない人もいるでしょう。一般に夫婦間の離婚問題でセックスレスが取り上げられる場合には、半年から1年以上セックスがないケースが多いと言えます。

1-2. セックスレスは性の不一致の一種

「夫婦間の性に関する価値観が合わないこと」、いわゆる性の不一致という問題があり、セックスレスはこの性の不一致の代表的なパターンです。性の不一致としては、ほかに「性的嗜好が合わない」「性交不能」などのパターンがあります。離婚時に性の不一致が問題となるケースでは、セックスレスが最も多い問題となっています。

1-3. セックスレスにおける離婚率

2022年の司法統計年報の「3 家事編」における「第19表 婚姻関係事件数―申立ての動機別」によると、離婚調停の申立て理由のうち、性的不調和(性の不一致)を挙げた人は、男性で4番目、女性で5番目に多いという結果になっています。

性の不一致にはセックスレス以外も含まれていますが、セックスレスが性の不一致の代表的な例であることを考えると、セックスレスを原因として離婚を考えている人はかなりの数に上ると推定されます。

2. セックスレスを理由に離婚できるのか

2-1. 離婚のルール

セックスレスを理由に離婚ができるのかを説明する前に、そもそも離婚はどうやって決まるのかという前提について説明します。

離婚には「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」の3種類があります。

協議離婚とは、夫婦が話し合い、離婚するかどうか、親権や養育費、財産分与や慰謝料など、どういう条件で離婚するかを決めて、離婚届けに署名をし、役所に提出して離婚することです。離婚のなかでは一番多いパターンです。

調停離婚とは、夫婦間の話し合いでは結論が出なかった場合に、家庭裁判所に「離婚したい」と申立てをして、裁判所を通じて話し合って離婚することです。離婚することに夫婦双方が同意すれば、離婚が成立します。家庭裁判所を通じた手続きとはいえ、協議離婚と同じくあくまで話し合いであり、どちらかが離婚を拒んだ場合には調停離婚は成立しません。

裁判離婚とは、協議から調停という流れを経ても、離婚が成立しなかった場合に取り得る最終手段です。裁判所が「この夫婦は離婚すべきか否か」を判断し、離婚が相当だと判断した場合には、どちらかが離婚を拒んでいても離婚が成立します。

2-2. 夫婦が合意すればセックスレスでも離婚できる

協議離婚と調停離婚では、夫婦が離婚することに合意していれば、理由を問わず離婚が成立します。そのため、セックスレスの問題を抱えた夫婦でも、夫婦間で離婚に合意していれば離婚は成立します。

2-3. 配偶者が離婚に同意しない場合

セックスレスを理由に離婚を求める夫婦間の話し合いのなかで、一方の配偶者が離婚に応じないケースでは協議離婚や調停離婚は成立しません。そのため、その場合は裁判離婚をめざして裁判を起こすことになります。

裁判のなかで裁判所が「この夫婦は離婚すべき」との判決を出すためには、民法が定める離婚原因がなくてはいけません。

離婚原因については民法770条が定めており、以下の5つがあります。

  • 配偶者による不貞行為

  • 配偶者による悪意の遺棄

  • 配偶者が3年間の生死不明

  • 配偶者が重度の精神病にかかり、回復の見込みがない

  • 婚姻関係を継続し難い重大な事由がある

セックスレスは最初の4つのいずれにも該当しないため、最後の「婚姻関係を継続し難い重大な事由がある」に該当するかどうかが問われます。

2-4. セックスレスは「婚姻関係を継続し難い重大な事由がある」と言えるのか

それでは、セックスレスが「婚姻関係を継続し難い重大な事由がある」と言えるのかという点ですが、これはケースバイケースと言わざるを得ません。

セックスレスという概念自体、幅のあるものであり、セックスレスの期間が長いか短いか、セックスレスが原因で別居しているか、若い夫婦で子どもが欲しいけれどセックスレスであるかなど、夫婦によって事情が全く異なるからです。

3. セックスレスを理由に離婚できるケースとできないケース

3-1. セックスレスを理由に離婚できるケース

セックスレスであることに合理的な理由がないケースは、離婚が認められる可能性が高いです。

たとえば、結婚したばかりであり、夫婦の一方は子どもを希望しているものの、他方が「セックスしたくない」「そういう対象として見ることができない」などと個人的な理由でセックスを拒否し続けているような場合には、セックスレスが離婚原因として認められるでしょう。

セックスレスに伴い夫婦喧嘩が絶えず、別居に至り、その別居期間が数年を超えているようなケースも離婚が認められる可能性が高いです。

3-2. セックスレスを理由に離婚できないケース

セックスを1回断られただけである、セックスレスの期間が数カ月であるなど、セックスレスとまでは言えない、あるいはその程度が弱い場合、婚姻関係を継続し難い重大な事由とまでは言えないとして離婚は認められないでしょう。

また、セックスレスの期間はそれなりに長いものの、その間夫婦でセックスレスであることを問題視せずに夫婦仲は良好であるような場合にも、裁判所としては「セックスレスについてきちんと話し合うべき」と考え、離婚原因とまでは認めない可能性が高いです。

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4. セックスレスを理由に慰謝料請求はできるか

離婚のとき、よく「慰謝料」という言葉を耳にするかと思います。セックスレスを理由に離婚する場合、慰謝料を請求することはできるのでしょうか。

4-1. セックスレスを理由とする慰謝料請求の要件

慰謝料とは、どのような離婚のケースでも発生するというものではなく、離婚の原因が「不法行為」と言える場合に限られます。したがって、性格の不一致で離婚するケースでは、慰謝料の支払いは必要ありません。ただし、手切れ金のような目的で慰謝料が支払われることはあります。

不法行為というのは、簡単に言えば、相手の権利を侵害したり法律に違反したりする行為であり、離婚の場合の典型例としては、主に配偶者以外との性行為を行う不貞行為が挙げられます。

セックスレスが離婚原因になる場合、セックスを拒む行為が不法行為であると認定されて初めて慰謝料の支払い義務が生じますので、慰謝料が発生するケースは限定的です

たとえば、妻が子どもをずっと希望していたが、夫が正当な理由なくセックスを拒み、離婚時には妻が子どもを持つことが困難な年齢になっていた、というような場合であれば、慰謝料が発生するケースもあるでしょう。

逆に、夫婦双方がセックスに消極的であったり、セックスができない合理的な理由がある場合には、慰謝料までは認められない可能性が高いです。

4-2. セックスレスの慰謝料相場

それでは、セックスレスを理由に慰謝料請求が認められるとして、慰謝料の相場はどれくらいになるでしょうか。

大体50万円から200万円になることが多いですが、以下のような事情があれば、高額になる可能性が高いと言えます。

  • セックスレスの期間が長い

  • セックスを拒否する態度が悪い

  • 婚姻期間が長い

5. セックスレスを理由とする離婚請求や慰謝料請求の手順

5-1. 配偶者と話し合う(協議離婚)

離婚の方法は、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3つのパターンがあると説明しました。

セックスレスを理由とした離婚を希望する場合も、まずは、家庭裁判所が仲介する調停ではなく、配偶者と離婚について話し合います。夫婦での協議をせずにいきなり離婚調停を申し立てることも可能ですが、相手のDV(配偶者による暴力)でまともな話し合いはできそうもないケースなどを除いて、まずは調停外で話し合うことが多いです。

話し合った結果、離婚をするかどうか、どういう条件で離婚するかが決まったら、その条件を書面化した離婚協議書を作成し、離婚届を役所に提出して離婚成立という流れになります。

この協議の時点で、弁護士を代理人として立てて、弁護士が本人の代わりに協議をすることも可能です。

協議離婚のメリットは、早期解決が可能である点が挙げられますが、相手を協議の場に乗せる強制力まではないことには注意が必要です。

また、長い間、夫婦間で協議をしたものの、結局合意には至らないというケースでは、そこから調停に移行する必要があるため、その協議の時間だけ離婚の成立が遅れてしまうケースもあります。だらだらと半年や1年間話し合ってもあまり意味がないケースが多く、協議離婚は厳しいなと感じた場合には、早めに家庭裁判所が間に入ってくれる調停を申し立てることをお勧めします。

5-2. 調停を申し立てる(調停離婚)

協議離婚が成立しない場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。家庭裁判所に調停申立書や戸籍、印紙などを提出します。

そこからおおよそ1カ月~1カ月半後に1回目の調停期日が開かれ、そこでは、男女2人の調停員が「なぜ離婚したいのか」「どういう条件を希望するのか」などの事情を夫婦双方から聞き取ります。そのうえで妥当な落としどころを探して、双方の意見を調整し、合意に達することができれば調停離婚が成立します。

離婚調停では、申立書や証拠資料の作成、調停員との協議といった場面で法的知識や経験が必要なことが多いです。そのため、できれば弁護士を代理人に就けて対応することが望ましいでしょう。

5-3. 裁判を提起する(裁判離婚)

調停でも離婚が成立しなかった場合、なおも離婚を希望するのであれば、離婚裁判を提起することになります。裁判では、原告被告双方の主張と証拠を裁判所が吟味し、離婚原因があるかどうかを判断することになります。

セックスレスを理由に離婚や慰謝料を求める場合には、セックスレスであったことの証拠が重要です。証拠が一切なく、かつ相手が「セックスレスではなかった」と主張してきたような場合では、実際にセックスレスであっても、その事実が認定されず、裁判に負けてしまう可能性もあります。

裁判では、訴状や主張書面の作成、証拠の作成や提出など、あらゆる場面で法的知識が必要になります。そのため、裁判官に対し自身の主張をしっかりと伝え、認めてもらうためには、弁護士に依頼をするべきと言えます。

5-4. どのような証拠が必要か

セックスレスであったことを証明する証拠としてはどのようなものが考えられるでしょうか。

客観性のある証拠としては、セックスレスに関するLINEなどのやりとりや、配偶者の言動の録音や録画が挙げられます。

あとからの追記や改ざんが可能という点で上記には劣りますが、性交渉の頻度や配偶者の言動をメモした日記も証拠として役に立つことがあります。

いずれにせよ、離婚をリアルに考えていない段階で、将来の離婚に備えて証拠を確保するのはなかなか難しいでしょう。

セックスレスに悩み、もしかしたら近い将来離婚するかもしれない、という状況に至った場合には、あえてLINEなどのメッセージを残したり、話し合いのやりとりを録音したりして、証拠となるものを確保することが重要です。

6. まとめ|“セックスレス離婚”を検討の場合は弁護士に相談を

離婚は、人生に非常に大きな影響を与える問題です。離婚を検討するということは、多少なりとも配偶者との間に何らかの問題を抱えていると言えます。

そのような状況で、配偶者と離婚について話し合うのは、精神的にも肉体的にもかなりのパワーを使います。それが、セックスレスというセンシティブでプライベートな問題となれば、なおさらタフな交渉が必要になります。

今、セックスレスを理由に離婚を考えているのであれば、一度弁護士に相談してみてください。初回相談無料で対応している事務所も多くあり、客観的な立場から適切なアドバイスをすることが可能です。一人で悩まず、専門家のサポートを受けてみてください。弁護士が親身になってあなたをサポートしてくれます。

(記事は2024年12月1日時点の情報に基づいています)

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