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1. 離婚で揉めやすいこと9選
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1-1. 離婚するかどうか
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1-2. 別居中の婚姻費用
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1-3. 財産分与の内容・金額
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1-4. 年金分割の割合
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1-5. 慰謝料の有無・金額
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1-6. 子どもの親権
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1-7. 養育費の金額・特別費用
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1-8. 面会交流の方法
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1-9. 離婚後の約束反故
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2. 離婚について揉めないための方法は?
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2-1. 離婚の切り出し方に気を付ける
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2-2. 法定離婚事由の証拠を確保する
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2-3. 離婚条件に優先順位を付ける
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2-4. 離婚公正証書を作成する
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2-5. 事前に弁護士へ相談する
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3. 離婚について揉めてしまったときの対処法
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3-1. お互いが冷静になるのを待つ
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3-2. 論点を整理した上で、一つずつ話し合う
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3-3. 別居を検討する
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3-4. 弁護士に相談・依頼する
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4. 離婚問題を話し合いで解決できないときの手続き
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4-1. 離婚調停
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4-2. 離婚訴訟
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5. 離婚の揉めごとに関する質問
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6. まとめ 離婚時の揉めごとが解決できない場合は弁護士に相談する
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1. 離婚で揉めやすいこと9選
夫婦が離婚する前後では、以下のような事柄を巡って揉めごとが発生しがちです。
離婚するかどうか
別居中の婚姻費用
財産分与の内容・金額
年金分割の割合
慰謝料の有無・金額
子どもの親権
養育費の金額・特別費用
面会交流の方法
離婚後の約束反故
順番に詳しく説明していきます。
1-1. 離婚するかどうか
夫婦のうち一方が離婚したいと言い出しても、もう一方が離婚を拒否するケースはよくあります。
そもそも離婚するかどうかについて意見が対立していると、離婚協議をまとめることは困難です。裁判手続き(調停、訴訟)に発展し、トラブルが泥沼化してしまうことが少なくありません。
1-2. 別居中の婚姻費用
夫婦は、生活費や子どもの教育費などの婚姻費用を分担する義務を負います(民法760条)。同居中に限らず、別居中も離婚が成立するまでは婚姻費用の分担義務が残ります。
婚姻費用は、収入の多い側や子どもと一緒に暮らさない側が相手に支払いますが、スムーズに支払われるとは限りません。最初から婚姻費用の支払いを拒否される、金額について揉めてしまう、途中で支払いが滞るなどのトラブルが発生することがあります。
1-3. 財産分与の内容・金額
夫婦が離婚する際には、共有財産を公平に分ける「財産分与」を行います(民法768条、771条)。夫婦のいずれかが単独名義で取得した財産でも、婚姻中に取得した財産であれば、原則として財産分与の対象です。
財産分与を行う際には、対象となる共有財産の調査が必要となります。しかし、どちらかが財産を隠していることが疑われて調査が難航し、財産分与の話し合いが進まないケースがよくあります。
また、共有財産に不動産が含まれている場合は、財産分与の方法(売却するかしないかなど)や価値の評価方法について揉めてしまう例も見られます。
1-4. 年金分割の割合
夫婦のいずれかまたは両方が会社員や公務員などで、婚姻中に厚生年金保険料を納付していた場合は、納付記録を公平に分けるよう請求できます(=年金分割)。
年金分割には、夫婦の合意や裁判手続きによって年金分割の割合を定める「合意分割」と、第3号被保険者(相手に扶養されていた人)が単独で請求する「3号分割」の2種類があります。
3号分割の場合、年金分割の割合は2分の1ずつです。これに対して合意分割の場合は、年金分割の割合を夫婦間で話し合いますが、双方が異なる割合を主張して揉めることがあります。
1-5. 慰謝料の有無・金額
夫婦のうちいずれか一方が離婚の原因を作った場合は、相手に対して慰謝料を支払う義務を負います。たとえば不貞行為、DV(暴力)、モラハラ(精神的な攻撃)などが慰謝料の対象です。
離婚慰謝料は必ず発生するわけではなく、発生するとしても金額は具体的な事情によって異なります。慰謝料の有無や金額について、夫婦間で意見が対立して揉めてしまうケースが少なくありません。
1-6. 子どもの親権
子どもがいる夫婦が離婚する場合、離婚後は父母のいずれか一方が子どもの親権者となります。双方が親権を得ることを希望していると、深刻な対立が生じる可能性が高いです。最終的には調停や訴訟に発展し、泥沼の争いになってしまうことがあります。
なお、2026年5月までに施行される改正民法により、離婚後の共同親権も選択できるようになる予定です。
1-7. 養育費の金額・特別費用
離婚後に子どもと一緒に暮らさない側(非監護親)は、子どもと一緒に暮らす側(監護親)に対して養育費を支払う義務を負います。
毎月の養育費の金額を計算する際には、裁判所が公表している「養育費算定表」が参考になります。
しかし、養育費算定表の金額は目安に過ぎず、子どもの教育環境や健康状態などを考慮して個別に定めることが望ましいです。個別事情をどこまで養育費の金額に反映するかについて、父母間で意見が対立してトラブル化してしまうことがあります。
1-8. 面会交流の方法
非監護親も、定期的に子どもと会って交流することが望ましいです(=面会交流)。面会交流の頻度や方法などのルールは、多くの場合、離婚時に話し合われます。その際、監護親が非監護親を信頼していないと、面会交流の回数を減らしたり、自由な行動を制限しようとしたりする傾向にあります。
このような監護親の要求に対して、非監護親が反発してトラブルに発展するケースがよく見られます。
1-9. 離婚後の約束反故
離婚時にした約束が、離婚後に破られてしまうこともあります。養育費の支払いが滞ったり、子どもに会わせてもらえなくなったりするケースが典型例です。
離婚時の約束が破られると、改めて裁判手続きなどが必要になり、深刻なトラブルに発展するおそれがあります。
2. 離婚について揉めないための方法は?
次に、離婚時に揉めないようにする方法を紹介します。事前に知っておかないと意味がないものもあるので、しっかり理解しましょう。
2-1. 離婚の切り出し方に気を付ける
スムーズに離婚を成立させるには、夫婦間で冷静に話し合うことが大切です。
そのためには、相手の感情を無用に刺激することは避けなければなりません。相手の機嫌が悪いときに離婚を切り出すことは避ける、丁寧かつ相手を気遣った言葉で離婚の意思を伝えるなど、細心の注意を払いましょう。
2-2. 法定離婚事由の証拠を確保する
離婚を目指すに当たっては、相手に離婚を拒否されることも想定しておくべきです。不貞行為や悪意の遺棄などの法定離婚事由があれば、最終的には相手が同意しなくても、訴訟を通じて強制的に離婚を成立させることができます(民法770条1項)。
離婚協議においても、法定離婚事由の客観的な証拠を示せば、相手も諦めて離婚に応じるケースが多いです。離婚を切り出す前に、できる限り有力な証拠を確保しておきましょう。
2-3. 離婚条件に優先順位を付ける
離婚条件について、自分の希望をすべて通そうとすると、離婚協議はなかなかまとまりません。相手の主張にも耳を傾けた上で、状況によっては譲歩することも大切です。
離婚協議を始めるに当たっては、あらかじめ離婚条件の優先順位を付けておきましょう。譲れない部分は強く主張しつつ、優先順位の低い条件について譲歩するなどバランスよく交渉すれば、離婚協議がまとまる可能性が高まります。
例えば、自分が「子どもの親権は譲ってもいいが、財産分与の金額は少なく抑えたい」と考えていて、相手が親権の獲得を優先的に考えている場合、お互いに妥協の余地が生まれます。
2-4. 離婚公正証書を作成する
離婚の合意が得られたら、離婚条件をまとめた公正証書を作成しましょう。離婚公正証書を作成すれば、合意した離婚条件が明確化されます。原本が公証役場で保管されるので紛失や改ざんを防げる点、約束が破られた場合は直ちに強制執行を申し立てることができる点も、離婚公正証書の大きなメリットです。
2-5. 事前に弁護士へ相談する
離婚前後におけるトラブルの予防策については、弁護士に相談すれば具体的なアドバイスを受けられます。スムーズに離婚を成立させ、離婚後もトラブルが再燃することがないように、あらかじめ弁護士に相談するのがおすすめです。

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3. 離婚について揉めてしまったときの対処法
離婚の話し合いで揉めてしまったときは、以下に挙げるポイントを意識してください。トラブルを収拾するのが難しいと感じた場合には、弁護士に相談するのがおすすめです。
3-1. お互いが冷静になるのを待つ
揉めごとが発生した直後の段階では、双方がヒートアップしてしまい、冷静な話し合いが難しいケースが多いです。まずは少し時間を置いて、お互いが冷静になるのを待ってから、改めて解決策を話し合いましょう。
3-2. 論点を整理した上で、一つずつ話し合う
複数の原因で揉めてしまっている場合は、論点を整理することが先決です。何が原因で揉めているのか、双方の主張がどのように食い違っているのかなどを整理しましょう。その後、論点を一つずつ話し合って解消していけば、トラブルの解決が着実に近づきます。
3-3. 別居を検討する
夫婦の距離が近すぎることが揉めごとの原因になっていると思われる場合は、別居を試してみることも選択肢の一つです。別居して距離を置けば、冷静な話し合いができるようになる可能性があります。
3-4. 弁護士に相談・依頼する
夫婦間で直接話し合うのが難しい状況になってしまったら、弁護士に相談してサポートを受けましょう。第三者である弁護士が間に入ることにより、法的な観点から論点を整理した上で冷静に話し合うことができ、揉めごとの解決が近づきます。
4. 離婚問題を話し合いで解決できないときの手続き
離婚に関する揉めごとを話し合いで解決できないときは、家庭裁判所に離婚調停を申し立てましょう。離婚調停も不成立に終わってしまったら、離婚訴訟の提起を検討しましょう。
4-1. 離婚調停
離婚調停は家庭裁判所において非公開で行われる話し合いの手続きです。中立の調停委員が夫婦双方から主張を聞き取り、歩み寄りを促すなどして離婚の合意をサポートします。
離婚調停では合理的な説明や資料の提示を行い、調停委員を味方に付けることが大切です。そうすれば、調停委員に相手を説得してもらえるなど、離婚調停を有利に進めることができます。
4-2. 離婚訴訟
離婚調停が不成立に終わった場合に、引き続き離婚を求めるには、裁判所に離婚訴訟を提起しましょう。強制的に離婚を成立させるには、離婚訴訟が唯一の方法です。
離婚訴訟では、公開の法廷で離婚の可否や離婚条件を争います。不貞行為や悪意の遺棄などの法定離婚事由が認められた場合に限り、離婚を成立させる判決が言い渡されます。
法定離婚事由や離婚条件について、客観的な証拠に基づいて説得力のある主張をすることが、離婚訴訟を有利に進めるためのポイントです。弁護士のサポートを受けながら、万全の準備を整えた上で離婚訴訟を提起しましょう。
5. 離婚の揉めごとに関する質問
6. まとめ 離婚時の揉めごとが解決できない場合は弁護士に相談する
離婚の前後で揉めてしまったら、論点を整理した上で一つずつ解決することが大切です。相手と直接話し合うのが難しい場合や、なかなか話し合いがまとまらないときは、弁護士に相談しましょう。状況に応じた解決策についてアドバイスを受けられるほか、相手との協議や裁判手続きに代理人として対応してもらえるので、スムーズな解決が近づきます。
(記事は2025年3月1日時点の情報に基づいています)