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離婚の調停を申し立てられた! 対処法や注意点を解説

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離婚調停を申し立てられた際の対処法や注意点を解説します(c)Getty Images
夫婦の話し合いによる離婚協議を続けるなかで、突然、離婚調停を通知する書面が届き、どのように対応すべきか悩むケースがあります。離婚調停を申し立てられた際には、手続きの流れや必要な準備、期日の対応方法などを正しく理解しておく必要があります。制度の理解や調停への対応を誤ると、大きな不利益を被る結果にもなりかねません。調停の基本的な仕組みから具体的な対処法、弁護士に依頼する際のポイントなどを、弁護士が解説します。
目 次
  • 1. 離婚に関する調停とは?
  • 2. 離婚調停を申し立てられたときの対処法
  • 2-1. 【STEP1】申立人の主張を確認する
  • 2-2. 【STEP2】自分の主張をまとめて書類を準備する
  • 2-3. 【STEP3】期日に出席する
  • 2-4. 【STEP4】離婚調停の流れや期間
  • 3. 指定された期日での出席が難しい場合はどうする?
  • 4. 離婚調停を拒否するとどうなる?
  • 4-1. 調停が不成立になる
  • 4-2. 訴訟や審判に移行する
  • 5. 申立人と顔を合わせたくない場合はどうすべきか?
  • 6. 離婚調停以外の調停を申し立てられたときの留意点
  • 7. 離婚にかかわる調停手続きを弁護士に依頼するメリット
  • 7-1. 手続きや裁判所とのやりとりを全面的にサポートしてくれるため安心
  • 7-2. 弁護士に依頼する際にかかる費用
  • 8. 離婚調停を申し立てられたときに関連してよくある質問
  • 9. まとめ 法的な知識や判断が必要になる離婚調停は、弁護士の支援が有効
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1. 離婚に関する調停とは?

「離婚調停」とは、夫婦の間で離婚やそれに伴う条件について合意ができない場合に、家庭裁判所の調停手続きを通じて話し合いを行う制度です。調停では、家庭裁判所の調停委員2名と裁判官1名が第三者として関与し、当事者双方の意見を個別に聞きながら、中立かつ公平な立場で合意の成立をめざします

離婚に関する調停には、主に以下のような種類があります。

【離婚調停】
夫婦関係を解消するかどうか、および夫婦関係の解消に伴う親権や養育費、財産分与、慰謝料、年金分割といった諸条件について話し合いを行う調停です。親権については、離婚時に取り決めなければなりません。

【面会交流調停】
子どもと同居しない親が、子どもと定期的に会うためのルールを取り決める調停です。

【養育費請求調停】
子どもの面倒を見ている親が、面倒を見ていない親に養育費の支払いを求める調停です。

【婚姻費用分担請求調停】
結婚期間中でありながら別居している夫婦間で、主に収入の少ない側が多い側へ、生活費などの負担を求める調停です。

【財産分与調停】
離婚時に財産分与の合意がなされなかった場合、結婚期間中に築いた共有財産を公平に分けるよう求める調停です。

【年金分割調停】
結婚期間中に形成された厚生年金や共済年金を当事者間で公平に分割するよう求める調停です。

2. 離婚調停を申し立てられたときの対処法

調停は、当事者が第三者を交えて話し合いを行い、解決をめざす手続きです。離婚調停を申し立てられた際には、以下の流れに沿って冷静に状況や内容を確認し、どのような話し合いを試みるのが適切か、的確に判断しなければなりません。

2-1. 【STEP1】申立人の主張を確認する

裁判所から書類が届いた場合、まず期日の日程を把握するとともに、申立人の要求やその根拠などの具体的主張を確認しましょう。申立人側が一方的に離婚を希望している場合は、離婚事由となる夫婦間の問題が明記されているはずです。また、慰謝料や親権、財産分与に関して特に主張がある場合には、その内容も確認します。

この場合、申立人に代理人弁護士がついていても、主張内容がすべて正しいと思い込まないようにしましょう。筆者が弁護士として実際に担当した事例でも、代理人弁護士の主張が法律の要件を満たす内容ではなかった、つまり、請求が認められない内容だったケースがありました。相手に弁護士がついているからといって、相手側の主張が正しいと思い込まないよう注意してください。

2-2. 【STEP2】自分の主張をまとめて書類を準備する

申立人の主張を確認したあとは、それに対応する自分の主張を整理します。主張の内容は、「離婚には同意するが親権は譲れない」「財産分与は自分のほうが多く受け取るべきだ」「慰謝料の支払いは容認できない」など、自分の希望に応じてさまざまな可能性が考えられます。

また、こうした主張を裏づける根拠がある場合は、事前に準備しておくのが望ましいです。離婚調停では、収入や支出、財産に関する主張が特に生じやすく、関連する資料が必要になりやすい傾向にあります。これらの金銭面については、自身の主張が事実であると裏づけられる根拠資料をそろえておきましょう。

2-3. 【STEP3】期日に出席する

調停での解決をめざす場合は、指定された期日に裁判所に出席する必要があります。合理的な理由なく欠席が続くと、調停が不成立となり、訴訟に発展する可能性があります。

やむを得ず出席できない場合は、事前に裁判所に連絡を入れるようにしましょう。事前連絡によって日程変更や電話会議による出席が可能になる場合もあり得ます。

2-4. 【STEP4】離婚調停の流れや期間

離婚調停では、当事者間に調停委員が入り、対話による解決をめざします。調停委員は通常、男女各1名の2名体制となります。

もっとも、夫婦が同席するのではなく、まずは申立人から話を聞き、次に申し立てられた側の話を聞く、といったように、交互に調停委員と面談するかたちで進行します。感情的な争いに終始しないよう、夫婦が直接対面しない形式をとるのが一般的です。

調停委員からは、離婚の原因として主張されている事情に関する認識や、親権、財産分与、養育費、面会交流など、離婚する場合の条件について質問がなされます。それぞれの争点について、自身の主張や希望を明確に伝えましょう。

その際、調停委員は必ずしも裁判や法律に専門性があるとは限らないため、わかりやすい主張を心掛けるとよいでしょう。実際の調停でも、主張したい内容がなかなか調停委員に理解してもらえず、調停での解決が困難になった例が少なくありません。

調停は、1カ月に1回程度のペースで期日が設定されます。争点の内容や当事者間の主張の相違にもよりますが、おおむね半年から1年ほどの期間がかかります。

双方が合意に至った場合、「調停調書」という書面が作成されます。これは、調停で合意した内容を書面化したものです。裁判所での判決と同じ効力をもち、記載された養育費や財産分与の支払いが滞ると、強制執行による財産や給与の差し押さえを可能にするほど重要なものです。

一方、話し合いがまとまらない場合には調停が不成立となり、離婚訴訟(裁判)に移行します。訴訟は、話し合いでの解決ではなく、証拠に基づいて裁判所が法的な判断を下す手続きであるため、より厳格な主張立証が求められます。

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3. 指定された期日での出席が難しい場合はどうする?

特に理由があって指定された期日での出席が難しい場合は、事前に裁判所に連絡するのが適切な対処法です。病気や仕事の都合など、正当な理由がある場合は、期日を再度調整してもらうなど柔軟な対応が期待できます。

初回の調停期日は申立人と裁判所の間で一方的に指定されるため、欠席がただちに不利益につながるとは考えにくいでしょう。しかし、無断欠席はお勧めしません。

調停という合意形成の場に対する姿勢として適切な対応とは評価されにくくなるため、その後の調停の進行に事実上の悪影響を与えるリスクもあります。裁判所への書面提出や電話連絡の際に、欠席の旨を伝えるようにしましょう。

一方、2回目以降の期日は、調停の場で当事者双方の都合を確認しながら調整できるため、比較的、出席しやすくなります。その分、不誠実な出席拒否は避けたいところです。

なお、体調や居住地などの事情によって出席が難しい場合は、電話会議での出席を裁判所に相談する方法もあります。電話会議の希望や現在の事情を裁判所にできるだけ早期に伝えれば、認められる場合もあります。

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4. 離婚調停を拒否するとどうなる?

調停は出席が強制される手続きではないため、出席の拒否も可能です。もっとも、出席を拒否し続けると調停での解決はできないため、以下のような影響が生じます。

4-1. 調停が不成立になる

離婚調停は、離婚条件に関する当事者間の合意を図る手続きです。そのため、出席の拒否が続くなどして出席の見込みがなく、合意の余地がないと判断された場合には、調停は不成立となります。

4-2. 訴訟や審判に移行する

調停が不成立となった場合、離婚を求める申立人は審判や離婚訴訟の手続きに移行すると考えられます。筆者が実際に対応した事例でも、調停を拒否されて不成立となったあと、訴訟などに移行せずに終了したケースはほとんどありません。調停で離婚できない以上、離婚を実現するには訴訟や審判に移行する以外に方法がないため、当然と言えるでしょう。

なお、訴訟に移行したあとも出席を拒否し続けると、裁判所は相手の主張を一方的に認める内容の判決を下す可能性があります。そのため、訴訟に移行した後は出席拒否によって不利益を被る可能性が特に高くなると把握しておきましょう。

5. 申立人と顔を合わせたくない場合はどうすべきか?

離婚調停では、家庭裁判所において夫婦間の話し合いが行われますが、申立人と直接顔を合わせる可能性に不安や抵抗を感じる人も少なくありません。とくにDV(ドメスティック・バイオレンス/家庭内暴力)やモラハラ(モラル・ハラスメント/倫理や道徳に反した嫌がらせや精神的な攻撃)などによる精神的な負担がある場合は、その不安を事前に裁判所に伝えておけば、可能な限り配慮したかたちでの進行を検討してもらえます

離婚調停が申し立てられると、裁判所から「進行に関する照会回答書」という書面が送られ、回答が求められます。その書面には裁判所への配慮を求める事項を記載する欄があるので、理由を明記して希望を伝えましょう。合理的な事情と認められれば配慮が得られやすくなるので、できる限り丁寧で詳細な記載をお勧めします。

また、申立人の立場にあり、なおかつ相手からの暴力やストーカー行為などを回避する理由から自身の居所を秘匿したい場合には、家庭裁判所への申請によって住所などの個人情報を相手方に知られないかたちで申立てを行えます。

離婚調停では多くの場合、当事者の心理的負担を軽減するための柔軟な対応や工夫を裁判所に期待できます。不安がある場合は一人で抱え込むのではなく、できるだけ早めに裁判所や弁護士に相談しましょう。

6. 離婚調停以外の調停を申し立てられたときの留意点

離婚に関する調停としては、離婚調停のほかにも複数の種類があります。一例としては、面会交流調停、養育費請求調停、婚姻費用分担調停などが挙げられます。

これらの調停を申し立てられた場合には、以下の2点に注意する必要があります。

1つ目は、調停の内容ごとに争点や判断基準が異なる点です。たとえば面会交流調停では、子どもの福祉を最優先にし、子どもにとって最善の結論をめざします。また、養育費請求調停や婚姻費用分担調停では、双方の経済力をふまえた公平な金銭負担をめざします。すべての調停で一方が有利な結論になるわけではなく、調停の種類や内容ごとに結果が異なる可能性があります。

2つ目は、これらの調停の結果が離婚調停の方針や結果に影響を及ぼす可能性がある点です。離婚調停以外の調停は、有利な離婚条件の獲得を目的にしているのが一般的であり、申し立てられる側としては、不利益な離婚を防ぐ対策が重要になります。面会交流や養育費に関しては、離婚調停のなかで先に合意するべきかどうかという戦略面の問題があるうえ、婚姻費用分担に関しては、離婚調停が長期化するほど金銭負担が重くなりかねない点に注意が必要となります。

7. 離婚にかかわる調停手続きを弁護士に依頼するメリット

離婚に関する調停は、感情的な対立を前提としつつ冷静な判断を強いられるため、一人での対応は容易でありません。法的な知見も必要となりやすいため、特に相手が弁護士に依頼している場合や、親権、養育費、財産分与などの重要な争いが想定される場合には、できるだけ早期の弁護士への依頼が望ましいでしょう。

7-1. 手続きや裁判所とのやりとりを全面的にサポートしてくれるため安心

弁護士に依頼すれば、調停に必要な書類の作成や証拠の整理、裁判所への対応のすべてを弁護士に一任できるため、安心して調停に臨めます。また、調停の場では、個別の内容をふまえて法的に適切な主張や反論ができるため、有益な解決にもつながりやすいでしょう。

さらに、調停期日への出席を弁護士に委ねる場合には、離婚調停の場に立ち会う必要もなくなるため、精神的、肉体的な負担を避けながら調停を進められます

7-2. 弁護士に依頼する際にかかる費用

調停の対応を弁護士に依頼する場合、主に着手金と報酬金が発生します。着手金は弁護士が対応を開始するために必要となる費用、報酬金は弁護活動の成果が発生した場合に支払う費用です。

着手金の金額は、事案の内容や法律事務所によって異なりますが、おおむね20万円から40万円程度となるケースが一般的です。報酬金は、実現された結果によって異なりますが、調停が成立した場合、基本的に着手金と同等額程度が発生しやすいでしょう。また、相手から慰謝料などの金銭を受け取った場合は、経済的利益に応じて別途報酬が加算される場合もあります。

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8. 離婚調停を申し立てられたときに関連してよくある質問

Q. 調停の申し立てを無視してもいい?

調停への対応は強制されないため、無視も可能です。しかし、無視し続けると、調停が不成立となったうえで審判や訴訟に移行し、相手の主張を認める内容の審判や判決が下される恐れもあります。基本的には対応するほうが適切でしょう。

Q. 初回期日に出席できないと不利になる?

出席できないからといって、ただちに不利になるわけではありません。ただし、無断欠席はその後の進行に悪影響を与える可能性もあるため、あらかじめ裁判所に連絡し、欠席の理由を伝えるのが適切な対応です。場合によっては、出席可能な日に再調整したうえ、次回期日を改めて指定してもらえるケースもあります。

Q. 調停を申し立てるにはどのような書類が必要?

調停の申立てには、主に以下の書類が必要です。

・申立書および付属書類:子についての事情説明書、進行に関する照会回答書など
・主張の裏付けになる資料など
・戸籍謄本:3カ月以内に発行されたもの

調停の種類によって添付書類や書式が異なるため、事前に裁判所や弁護士に相談し、確認しておきましょう。

Q. 調停に弁護士だけ出席しても問題はない?

弁護士に依頼した場合は、弁護士のみの出席も可能です。ただし、その場で自分の意思を表明したり、詳しい事情を説明したりするほうが円滑に進むケースもあるため、出席したほうが望ましい場合もあります。個別の対応方針は、事前に弁護士と十分に話し合っておきましょう。

Q. 調停で住所を教えたくない場合はどうすればよい?

調停の際に、相手に住所を知られると生活に支障が出る可能性がある場合には、裁判所に対して住所の秘匿を求めることができます。また、住民票上の住所を移していない場合には住民票上の住所、移している場合には同居していたときの住所など、相手に知られてもよい住所を記載する方法もあります。

また、弁護士に依頼をしている場合には、代理人弁護士の事務所を連絡先にすれば、住所を知られる可能性を最小限に抑えられます。

9. まとめ 法的な知識や判断が必要になる離婚調停は、弁護士の支援が有効

離婚調停は、夫婦間で離婚やそれに伴う条件について、家庭裁判所の調停手続きを通じて話し合いを行う制度です。相手から離婚調停を申し立てられた場合には、まずは書類を確認して主張内容を整理するなど、冷静な対応が不可欠です。

調停への出席は強制ではないため拒否もできますが、欠席を続けていると調停が不成立となって訴訟や審判に移行し、なおも拒否し続けていると、裁判所は相手の主張を一方的に認める判決を下す可能性があります。期日への出席が難しい場合は、事前に裁判所に連絡すれば期日の変更や電話会議での出席も可能になります。

また、離婚調停は法的な知識や判断が必要になるケースが多いため、特に相手が弁護士に依頼している場合や争点が多い場合には、弁護士のサポートを積極的に検討してください。実際、弁護士のサポートが入る前と後で結果の見通しが劇的に変わるケースも少なくありません

調停への対応に伴う負担をできる限り軽減し、適切な解決をめざすためにも、まずは弁護士に相談してみましょう。

(記事は2025年6月1日時点の情報に基づいています)

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