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国際結婚からの離婚は大変? よくある外国人との離婚理由や事例、注意点を弁護士が紹介

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国際結婚カップルの半数近くが離婚しているのはなぜなのでしょうか (c)Getty Images
厚生労働省の人口動態調査で結婚と離婚の件数を同じ年で比べてみると、国際結婚カップルの半数近くが離婚していることになります。国境を超えた結婚生活はなぜうまくいかない可能性が高いのでしょうか。国際結婚カップルの離婚率が高い理由や外国籍配偶者と離婚する際に大変な要素などについて、国際法律事務所の代表弁護士が解説します。
目 次
  • 1. 国際結婚の離婚率は高い
  • 1-1. 国際結婚の離婚率は約47.9%
  • 2. 国際結婚カップルの離婚率が高い理由
  • 2-1. 文化や価値観の違い
  • 2-2. 子どもの教育方針のずれ
  • 2-3. 言葉の壁
  • 2-4. 宗教の違い
  • 2-5. 子育てについての考え方​​の差異
  • 2-6. 物理的な距離
  • 3. 国際離婚に適用される法律のルール
  • 3-1. 準拠法の確認
  • 3-2. 国際裁判管轄
  • 4. 外国籍配偶者と離婚する際に大変なこと
  • 4-1. 日本と配偶者の国(地域)のそれぞれで手続きが必要になるケースがある
  • 4-2. 海外にある財産に関しては強制執行が難しい|財産分与や慰謝料など
  • 4-3. 子どもに関する問題で揉めやすい|親権や面会交流など
  • 5. 外国人との離婚にあたって注意すべきポイント
  • 5-1. 金銭が絡む問題について
  • 5-2. 子どもの連れ去り
  • 5-3. 国際離婚に詳しい弁護士に相談すべき
  • 6. 国際離婚の手続きや問題点
  • 7. 国際結婚や離婚に関してよくある質問
  • 8. まとめ 国際離婚を検討の場合は早めにグローバル案件が得意な弁護士に相談を

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1. 国際結婚の離婚率は高い

日本人同士のカップルの離婚率に比べ、国際結婚カップルの離婚率は高いことがわかっています。

1-1. 国際結婚の離婚率は約47.9%

厚生労働省の「人口動態調査 人口動態統計 確定数 婚姻​」や「人口動態調査 人口動態統計 確定数 離婚​​」によると、2022年の特殊離婚率(=年間の離婚数を婚姻数で割った値)は約35%でした。婚姻件数は50万4930件、離婚件数は17万9099件​​というもので、​​日本では夫婦3組のうちおよそ1組は離婚をしている計算になります。

夫婦の一方が外国人の国際結婚カップルについて見ると、2022年の特殊離婚率は47.9%となっています。国際結婚カップルの半数近くが離婚しており、日本人同士の夫婦に比べ、離婚率が高い ことがわかります。2022年の国際結婚カップルの数は、婚姻数が1万7685件、離婚数が8478件という状況でした。

国際離婚における夫妻の国籍の割合(2022年)を示したグラフ
2022年の国際離婚における夫妻の国籍の割合のグラフ。夫が日本人の場合のほうが多く、妻が日本人の場合の倍以上となっている
国際離婚における国籍別の割合(2022年)を示したグラフ
国際離婚における国籍別の割合のグラフ。2022年に離婚した夫婦では元配偶者が同じアジア人の割合が多かった

2. 国際結婚カップルの離婚率が高い理由

筆者が代表弁護士を務める国際法律事務所が実際に相談を受けたり国際離婚の事案を受任したりするなかで見えてくる国際離婚の原因には、主に以下の6つがあります。

  • 文化や価値観の違い

  • 子どもの教育方針のずれ

  • 言葉の壁​​

  • 宗教の違い

  • 子育てについての考え方​​の差異

  • 物理的な距離

2-1. 文化や価値観の違い

日本人同士の夫婦は特に子どもがいる場合、「家庭」という単位が重要になり、多少夫婦関係に問題があっても、「家庭」を維持するために離婚を限界まで避けようとする傾向があります。一方、特に配偶者が欧米人の場合、親子関係と夫婦の関係は別のものと捉える ため、子どもの有無にかかわらず、夫婦間に問題が生じれば夫婦関係は終了させてほかの配偶者を探すケースが少なくありません。

また、配偶者が中国、台湾、韓国などの出身の場合、その親や兄弟姉妹とのつながりが日本人よりも強い 傾向にあります。そのため、日本人の配偶者からすると、夫(妻)は結婚相手の自分よりも親や兄弟姉妹を大事にしているように感じられ、中国、台湾、韓国出身の配偶者からすると、日本人夫(妻)は、結婚相手である自分の親や兄弟姉妹を大事にしていないように映ってしまう、という価値観の違いがしばしば見られます。

2-2. 子どもの教育方針のずれ

子どもの学校の選択で揉めやすくなります。日本人同士の夫婦であれば、公立か私立かという二択がほとんどですが、国際結婚のカップルの場合はさらに、日本にある母国系の学校かインターナショナルスクールかなどと選択肢が増えるため、意見の食い違いも増えます。加えて、日本では大学や専門学校を卒業するまで親が教育費を負担することが多いものの、欧米の国では親がお金を出すのは高校までという考え方が強く、その認識の違いが夫婦間の揉め事になる ケースもあります。

2-3. 言葉の壁

互いの母語が異なることから、細かいニュアンスが伝わらなかったり、コミュニケーションが減りがちになります。意思が通じ合う場面が減るほど、お互いの心の距離が離れていく可能性が高まります。

2-4. 宗教の違い

外国籍の配偶者が特定宗教の信者であり、日本人配偶者がその宗教の信者でない場合は、儀式やしきたりの違いで意見が分かれるケースがあります。子どもがいる場合、宗教上の食物の制限などがあると、食生活で揉める場面も出てきます。

2-5. 子育てについての考え方​​の差異

日本人の親は、子どもを養育するにあたり、しつけの一環として子どもを叩くことがあります。一方、特に欧米出身の配偶者の場合は、その行為を子どもへの暴力や虐待と考え、許容できない行為と受け止めることがあります。

2-6. 物理的な距離

外国人配偶者の場合、勤務地が母国になることや親族の世話などの事情で、海外での単身赴任生活になったり、遠距離の夫婦生活になったりすることがあります。物理的な距離が生じた結果、夫婦関係も疎遠になってしまう場合があります。

3. 国際離婚に適用される法律のルール

外国人配偶者との離婚で最も気をつけなければならない点は、離婚の法律や手続きが、日本と異なったり複雑になったりする点です。配偶者の出身国によっては離婚自体を認める制度がない場合もあります。また、夫婦の一方が日本に住んでいたとしても、日本の裁判所で離婚の話し合いをしたり訴訟をしたりができないケースもあります。

3-1. 準拠法の確認

準拠法とは、離婚やそれに伴う親権の決定、養育費や財産分与の問題を処理するのに用いられる法です。たとえば、子どものいる夫婦が離婚する場合、日本人同士の夫婦であれば、日本の法律に従って夫婦のどちらか一方が子どもの単独親権者となります。なお、2026年5月までに施行される予定の法改正によって、離婚後に共同親権を選択できるようになります​​。

対して国際離婚の場合、日本人の母親は日本の法律に従って単独親権者となることを望む一方、外国籍の父親は自分の国の法律に従って共同親権を主張する場合があります。裁判所を介さず夫婦のみの話し合いで結論を出す協議離婚も日本の法律に従えば認められますが、国によっては認められません。

どこの国の法律で離婚が認められるのか 、これが準拠法の問題です。注意しなければならないのは、離婚、財産分与、養育費、親権など、それぞれの面で準拠法を個別に検討する必要がある 点です。

準拠法のルールによれば、離婚については法の適用に関する通則法(通称「通則法」)27条に準拠法の規定があり、夫婦の一方が日本に住む日本人の場合は日本の法律に従って離婚することができます。

他方で、親権については、子どもの国籍が親の国籍と同じであれば、子どもの国籍のある国の法律が準拠法になります(通則法32条)。国際結婚の場合、子どもは二重国籍であることが多いものの、その場合でも親の一方が日本人であれば日本の法律が準拠法となります(通則法38条1項)。

財産分与については離婚の準拠法が使われ、養育費については別の法律によって、子どもの暮らしている国の法律が準拠法となります。

これらは代表例を挙げたにすぎません。こうした準拠法の煩雑さに鑑みて、国際結婚の当事者が具体的に離婚を考える場合は国際離婚を専門とする弁護士に相談することをお勧めします。

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国際離婚を弁護士に相談するメリット 選び方から費用まで解説

3-2. 国際裁判管轄

国際離婚でもう一つ注意すべきは、国際裁判管轄です。国際裁判管轄とは、簡単に言うと、離婚調停や離婚訴訟などを日本の裁判所で行える か、という問題です。裁判所を使う場合の話であるため、夫婦間の話し合いによる協議離婚の場合は国際裁判管轄は問題になりません。

準拠法の問題と国際裁判管轄の問題は別です。したがって仮に準拠法が外国法であっても、日本の裁判所に国際裁判管轄が認められれば、日本の裁判所を利用して離婚調停や離婚訴訟ができます 。離婚訴訟を提起するには、まず離婚調停を行うのが原則ですが、厳密に言うと、離婚調停の国際裁判管轄と離婚訴訟の国際裁判管轄のルールは少し異なります。

大まかなルールとしては、被告(以下、相手)が日本で生活していれば日本の裁判所に管轄があります。「では、相手が外国にいる場合は日本の裁判所を使えないのか」という心配が出てきますが、夫婦で最後に生活していた場所が日本であり、裁判手続きを開始する原告(申立人)の住所が日本にある場合や、相手が外国に戻って行方がわからない場合などは、相手が日本にいなくても日本の裁判所に管轄が認められる可能性があります。さらに、調停についてはこれらに該当しなくても、当事者が合意すれば日本での実施が可能です。

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4. 外国籍配偶者と離婚する際に大変なこと

外国籍の配偶者と離婚する際は、準拠法や裁判管轄について注意が必要になるうえ、以下の3点にも慎重にならなければなりません。

  • 日本と配偶者の国(地域)のそれぞれで手続きが必要になるケースがある

  • 財産分与や慰謝料など、海外にある財産に関しては強制執行が難しい

  • 親権や面会交流など、子どもに関する問題で揉めやすい

4-1. 日本と配偶者の国(地域)のそれぞれで手続きが必要になるケースがある

日本人同士の夫婦であれば、日本で離婚の届けが済めばそれで離婚手続きは完了します。

しかし、国際離婚の場合、外国籍配偶者の国や地域でも法律上の婚姻が届けられているケースでは、その国や地域でも離婚手続きをする必要があります 。必要な離婚手続きは国や地域によって異なります。離婚するのに裁判所の手続きが必要な国も多く、その国であらためて離婚手続きをする事例も少なくありません。

国際離婚においては、日本での離婚の効力を外国でも反映させることができれば二度手間になりません 。たとえば、イタリアと日本の双方で婚姻を届け出ているイタリア人夫と日本人妻の夫婦が日本で離婚をする場合、協議離婚をしてしまうと、あとであらためてイタリアの裁判所を使ったイタリアでの離婚手続きが必要となってしまいます。

そのため、筆者の国際法律事務所がこのようなカップルの離婚を担当する場合は、争いがあってもなくても、日本の裁判所に調停を申し立て、日本の裁判所に離婚の審判や判決を出してもらいます。その審判書や判決書を添えて日本人妻が本籍地の役所に離婚届を提出すれば、日本の離婚が成立します。

次に、日本人妻は離婚が記載された新しい戸籍謄本を入手し、その新しい戸籍謄本と、裁判所の審判書や判決書とその確定証明を公証役場に持ち込んで、正式な公的文書であることの証明(「アポスティーユ」と言います)を取得します。その書類をイタリア語に翻訳して、在東京イタリア大使館、またはイタリア本国の担当官庁に提出すれば、イタリアで裁判をすることなくイタリアでの離婚が実現します。

4-2. 海外にある財産に関しては強制執行が難しい|財産分与や慰謝料など

離婚の際には、配偶者から財産分与を受けたり、慰謝料を受け取ったり、養育費を決めたりします。夫婦間の話し合いによる協議離婚ではなく、裁判所の審判や判決でこうした金銭支払いが決められたにもかかわらず、これらが支払われない場合、その審判書や判決書を使い、配偶者の日本国内の財産について強制執行をすることができます

配偶者が外国人の場合、日本ではなくその出身国に預金そのほかの財産がある場合が少なくありません。そのような場合でも、その国にある財産について、一定の手続きを踏めば日本の裁判所の審判書や判決書を使って強制執行ができる場合もあります。ただし、強制執行の対象となる預金の銀行口座や不動産を特定しなければならないという前提問題があります。

筆者の事務所が扱った事件でも、アメリカ人の夫が日本の口座にあった財産分与対象の預金を米国の銀行に送金した後、さらに別の銀行に預け替えるなどして追跡が困難になったケースがありました。アメリカの弁護士を雇って追跡し、強制執行に持ち込むことは可能であるものの、言葉の問題や費用の問題でハードルがかなり高くなります。

また、送金したお金でアメリカの不動産を購入した疑いもありましたが、米国の不動産登録の仕組みは日本と異なっており、配偶者名義の不動産を見つけ出すには調査会社に依頼しなければならず、その費用も少額では済みません。このように海外にある財産については、制度そのものの問題や費用の問題で、回収が困難になるケースが多くなります。

4-3. 子どもに関する問題で揉めやすい|親権や面会交流など

筆者の事務所は日本人同士の離婚も扱いますが、それと比較すると、外国人夫と日本人妻の国際カップルの離婚では親権や面会交流で揉める割合がとても高い気がします。

離婚によって夫婦の一方が海外に生活し、他方が子どもと日本に住むことになれば必然的に距離が生じるため、面会交流の頻度は現実問題として低くならざるを得ません。頻度が低いだけでなく、面会交流は日本ではなく自国で行いたいと考える外国人夫と、幼い子どもを長距離の海外訪問させることに安易に同意できない日本人妻との間で、対立構図がますます深まるケースがしばしばあります。

加えて、共同親権の法制度を持つ国出身の夫は、「子どもにときどき会いたい」というより、「子育てに関わる権利がある」と考えます。そのため、離婚後に外国人夫が日本に住み続ける場合などは、共同親権を取れない代わりに頻繁な面会交流や交代の監護、たとえば週の半分や月の半分ずつ交代で子どもの世話をするといったことを希望する傾向にあります。一方、それが子どもの負担となると考える日本人妻は、夫の希望に合意できないというずれが生じるのです。

このように親権と面会交流は切り離せない問題であり、かつ、どちらの主張にも一理あることも多く、解決が難しい論点の一つです。こうした争点は双方の当事者が子どもを愛しているがゆえのトラブルであり、解決のカギは、辛抱強く念入りな交渉を重ね、双方の誤解や懸念を解きほぐし、妥協点を探ること にあります。当事者同士の話し合いだけで歩み寄るのはなかなか困難であるため、海外の文化や制度に詳しい弁護士に間に入ってもらうことは有益です。

5. 外国人との離婚にあたって注意すべきポイント

外国人との離婚にあたって、トラブルを避けるためのポイントは主に3つあります。

5-1. 金銭が絡む問題について

離婚の際には財産分与のほか、子どもがいる場合は養育費などの金銭が絡んできます。ところが、配偶者の収入や資産について何も知らない、という人が相当数います。特に外国人と結婚してその国で専業主婦または専業主夫として生活する日本人は、言葉の壁もあり、すべて配偶者にお任せ、というケースもあります。

ただし、そうした関係性は、実はとても危険です。夫婦仲がよかったときは相手に対して金銭面で寛大であった夫や妻も、離婚を意識すれば財布のひもが固くなったり、財産や収入を隠したりするのは心情として当然です。よくわからない外国で、子どもは取られて追い出され、お金という兵糧攻めに遭ってひとり泣く泣く日本に逃げ帰り、筆者の事務所に来る相談者もいます。

日本で生活していても、外国出身の配偶者が海外に財産を蓄財したり移したりした場合、適正な財産分与の額や養育費の額を決めることは困難です。仮に適正な額を決めることができても、すでに述べたとおり、その支払いがなされない場合に強制執行の手段で回収するのは難しいと言えます。

したがって、金銭的な不利益を可能な限り避けるためには、日々の生活のなかでアンテナを張り、配偶者の収入や預貯金口座や投資先などの情報収集をしておく ことがとても重要です。相手のプライバシーを侵害する行為は厳禁ですが、日常生活のなかで、配偶者の資産や収入について知識や情報を得る機会を逃さないようにしましょう。

また、配偶者の財産が海外(配偶者の出身地)に集中しているような場合には、離婚手続きをその国(地域)で行うことも視野に入れる べきです。たとえばアメリカの離婚裁判手続きでは財産開示が行われ、現地の財産を把握できますし、離婚後に支払いがなされない場合も、離婚を担当した現地の弁護士に強制執行などの手立ても含め、パッケージで依頼できます。

当事務所のような国際法律事務所は、現地の弁護士を探したり、現地の弁護士との間に入ってのサポートを行ったりといった役割も担っています。

5-2. 子どもの連れ去り

国際結婚で海外に暮らす日本人妻が、子どもを日本に連れ去る、という事案が国際的に問題になったケースがあります。日本は、国境を越えた子どもの連れ去りや留置などの紛争に対応する国際的な条約である「ハーグ条約」に加盟しているため、このような場合、海外の夫は日本の裁判所に子の返還の申立てをすることができます。

「ハーグ事件」となった場合、例外的な事情が認められない限り、子どもを元の国に帰さなければなりません 。子どもを連れての帰国にはやむにやまれぬ夫婦間トラブルがあることが多いのですが、そのような主張は残念ながらハーグ事件では通りません。外務省の発表によると、2024年8月1日現在の締約国は103カ国に上ります。これらの国の間で子どもの連れ去りが起きた際、連れ去られた親は、連れ去った親の国の裁判所に返還申立が可能です。一方、ハーグ条約に加盟していない国に子を連れ去られた場合は、子の返還制度を利用することはできません。

自身の国際結婚がハーグ条約加盟国の出身者同士である場合は、配偶者に無断で子どもを連れて自国に帰ることは避ける べきです。逆に、配偶者の出身国がハーグ条約締約国でない場合、子を連れ去られると、子どもを法的に連れ戻すことは非常に難しいと言わざるを得ません。日本人との国際結婚が多いものの、中国(香港とマカオを除く)はハーグ条約の締結国ではありません。そのため、中国籍の配偶者との結婚生活が危うくなった場合は、子どもを連れ去られないような手立てを講じておく ことが大事です。

なお、残念なことに国際社会で日本人母の子どもの連れ去りや面会交流拒否がクローズアップされがちですが、近年は外国人夫によって子どもを外国に連れ去られたり、留め置かれたりしている、という日本人妻からの相談を受けることもあります。国境を越えた連れ去りは、今や性別を問わないことを心にとめておくとよいでしょう。

5-3. 国際離婚に詳しい弁護士に相談すべき

国際離婚は、日本の法律を知っているだけでは対応しきれない特殊性があります。また、海外の弁護士に依頼する必要性が生じるケースもあります。国際離婚に詳しい弁護士は、海外の弁護士とのネットワークを持っている場合も多く、さまざまな面においてアドバイスやサポートを頼むことができます。国際離婚は対応が遅れると解決が困難になることも多いため、国際離婚問題を得意とする弁護士から早めにアドバイスを受けておく ことをお勧めします。

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6. 国際離婚の手続きや問題点

国際離婚をするにあたっての具体的な手続きや、知っておきたい知識などは別記事「国際離婚の手続きや必要書類 親権はどうなる? 弁護士がわかりやすく解説」で説明していますので、ご参照ください。

関連記事
国際離婚の手続きや必要書類 親権はどうなる? 弁護士がわかりやすく解説

7. 国際結婚や離婚に関してよくある質問

Q. 夫が外国籍で現在は夫婦いずれも日本に住んでいない場合、離婚手続きはどのように進めるべき?
外国人配偶者との離婚訴訟は、相手が日本に住んでいるか、夫婦の最後の共同生活の場所が日本でないと、日本の裁判所の裁判管轄が認められません。 夫婦の生活の本拠地が海外であれば、夫婦財産も現地にある可能性が高いと思われます。そうであれば、必要になったときに強制執行もしやすいため、現地の手続き(多くは裁判所)を使って離婚し、それを現地の日本大使館に届け出れば日本でも離婚が成立します。 ただし、国によっては、離婚の手続きの前に法定の別居期間の経過を待たなければならない場合もあり、離婚に時間がかかるケースあります。その期間を短縮したいうえ、夫婦が離婚に同意している場合は、日本で調停を行うことを合意し、弁護士を代理人として1日の調停で離婚の審判を取得して日本と当該外国での離婚を成立させるといった選択肢もあります。この方法においては、本人が来日する必要はありません。
Q. 国際離婚したあとはいつから再婚できる?
日本では2024年4月1日で女性の再婚禁止期間の規定が廃止されたため、離婚が成立していれば男女ともに特に期間を空けずに再婚が可能です。相手の国や地域での再婚手続きについては別途確認が必要です。

8. まとめ 国際離婚を検討の場合は早めにグローバル案件が得意な弁護士に相談を

半数近くが離婚するという国際離婚の原因には、文化や価値観の違い、子どもの教育方針のずれ、言葉の壁などが挙げられます。外国籍配偶者と離婚する際には、日本と配偶者の国(地域)のそれぞれで手続きが必要になるケースがある点などに注意する必要があります。

国際離婚は、手続きの煩雑さだけでなく、親権や面会交流で揉めやすく解決も難しい という問題があります。また、財産分与や慰謝料など海外にある財産に関しては強制執行が難しく、正当な財産分与や養育費の支払い確保が困難という現実もあります。これらの不利益や問題を最小限に抑えるためには、早めに国際離婚を専門とする弁護士に相談 することをお勧めします。

(記事は2025年2月1日時点の情報に基づいています)

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