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1. 10年前の浮気を理由に離婚はできる?
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2. 10年前の浮気を理由に慰謝料請求はできる?
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2-1. 過去の浮気に関する慰謝料請求権の消滅時効の取り扱い
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2-2. 配偶者に対する慰謝料請求|証拠があれば認められる可能性大
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2-3. 不倫相手に対する慰謝料請求|時効の起算点による
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2-4. 10年前の浮気が結婚前の出来事だった場合の取り扱い
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3. 10年前の浮気が離婚や慰謝料を請求するのが難しい理由
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4. 10年前の浮気に関する慰謝料の金額相場
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5. 10年前の浮気が原因で離婚するときに考えるべき慰謝料以外のお金
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5-1. 財産分与
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5-2. 年金分割
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5-3. 婚姻費用
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5-4. 養育費
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6. 10年前の浮気に関する離婚・慰謝料請求を弁護士に相談すべき理由
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7. 10年前の浮気についてよくある質問
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8. まとめ 10年前の浮気でも慰謝料請求できる場合がある
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1. 10年前の浮気を理由に離婚はできる?
配偶者の浮気は、たとえ10年前の出来事であっても許せないと感じる方が多いでしょう。10年前の浮気を理由とする離婚は、お互いの合意があれば可能です。協議離婚または調停離婚であれば、夫婦間で合意することによって、どのような理由であっても離婚を成立させることができます。
これに対して、離婚訴訟において離婚を認める判決を得るためには、法定離婚事由(民法770条1項各号)を立証しなければなりません。浮気(不貞行為)も法定離婚事由の一つですが、10年前の浮気の事実を立証することは、証拠を確保しにくいなどの理由で難しいケースが多いです。
また、10年前の浮気が判明してから相当の期間が経過している場合は、夫婦間において浮気の問題は解決したものと判断され、離婚請求が棄却される可能性もあります(民法770条2項)。離婚判決を得るには、10年前の浮気に関する証拠を集めることに加えて、別の理由で離婚が請求できるかどうかも検討しましょう。たとえば、より最近の時期の不貞行為や、DV・モラハラなどの不適切な行為を立証できれば、離婚請求が認められる可能性が高まります。
2. 10年前の浮気を理由に慰謝料請求はできる?
10年前の浮気(不倫)については、配偶者や不倫相手に対して慰謝料を請求できる場合があります。
ただし慰謝料請求に当たっては、消滅時効などに注意が必要です。
2-1. 過去の浮気に関する慰謝料請求権の消滅時効の取り扱い
浮気の慰謝料は、不法行為(民法709条)に基づいて発生します。不法行為に基づく慰謝料請求権は、原則として以下の期間が経過すると時効により消滅します(民法724条)。浮気に当てはめて説明します。
浮気の事実および浮気相手を知った時から3年
浮気があった時から20年
時効は上記のどちらかの期間が経過すると成立します。「浮気の事実および浮気相手を知った時から3年」ですが、配偶者と浮気相手で、時点が異なります。
配偶者に対する請求 :浮気の事実を知った時から3年
浮気相手に対する請求:浮気の事実と浮気相手を知った時から3年
上記の期間を超えると、時効が完成し、慰謝料を請求する権利を失います。ただし、配偶者に対する慰謝料請求権については、婚姻中および婚姻解消の時から6か月を経過するまでの間は、時効が完成しないものとされています(民法159条)。
2-2. 配偶者に対する慰謝料請求|証拠があれば認められる可能性大
上記の時効に関する取り扱いを踏まえると、配偶者との婚姻が続いている場合は、浮気が10年前の出来事であっても、配偶者に対する慰謝料請求権の消滅時効は完成しません。したがって、浮気の証拠を確保できれば、慰謝料請求が認められる可能性は高いと考えられます。
また、離婚成立後に浮気が発覚した場合の慰謝料請求については、離婚が成立した時から3年間が経過するまで行うことができます。この場合も、浮気の証拠を確保できれば慰謝料請求が認められる可能性が高いです。
2-3. 不倫相手に対する慰謝料請求|時効の起算点による
これに対して、不倫相手に対する慰謝料請求権については、浮気が10年前の出来事である場合、消滅時効が完成している可能性があります。
浮気の事実と不倫相手を知っていれば、その両方を知った時から3年が経過すると、慰謝料請求権が時効により消滅します。これに対して、浮気の事実または不倫相手のいずれかを知らなかった場合は、時効期間が進行しません。
消滅時効との関係で、不倫相手に対する慰謝料請求が認められる余地があるかどうか、弁護士に相談して確認しましょう。
2-4. 10年前の浮気が結婚前の出来事だった場合の取り扱い
10年前はまだ配偶者と結婚しておらず、交際中であったにとどまる場合は、原則として浮気の慰謝料を請求できません。ただし、浮気の当時において婚約や内縁が成立しているなど、特段の事情があれば慰謝料を請求できる可能性があります。
なお、浮気の慰謝料が発生するとしても、結婚前の段階で消滅時効が完成している場合には、時効の援用によって慰謝料請求が認められなくなるのでご注意ください。
3. 10年前の浮気が離婚や慰謝料を請求するのが難しい理由
10年前の浮気については、離婚や慰謝料を請求するのが難しい傾向にあります。長い期間が経過している分、その証拠を確保するのが難しいからです。
浮気の証拠の代表例は、不倫相手との密会現場を撮影した写真や動画などです。しかし、10年前の不倫相手との関係は、現在では終わっているケースが多いでしょう。この場合、密会現場を撮影した写真や動画を新たに確保することは難しいです。
過去に撮影された浮気相手との親密な写真・動画や、浮気の事実を推認させるメッセージの履歴などは、証拠として利用できる可能性があります。しかしこれらの証拠も、10年前のものとなるとどこまで確保できるか不透明です。
10年前の浮気に関する慰謝料請求に当たっては、決して十分には残っていない証拠を、できる限り漏れなく集める姿勢が求められます。また、配偶者を問い詰めて自白させることができれば、証拠が十分でなくても慰謝料請求が認められる可能性が高くなります。弁護士のアドバイスを受けながら、10年前の浮気に関する慰謝料請求を成功させるための準備を進めましょう。

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4. 10年前の浮気に関する慰謝料の金額相場
夫婦間における浮気慰謝料(不倫慰謝料)の金額は、離婚しない場合で50万円から200万円程度、離婚する場合で150万円から300万円程度が標準的です。浮気の期間・頻度・回数、婚姻期間の長さ、未成熟の子の有無などによって、浮気慰謝料の適正額が変化します。
浮気が10年前の出来事であっても、基本的には上記の考え方が当てはまります。ただし、10年前の浮気についてかなり前から知っていたにもかかわらず、長期間にわたっておおむね問題なく夫婦生活を送っていた場合は、認められる慰謝料の金額が低く抑えられる可能性があるのでご注意ください。
5. 10年前の浮気が原因で離婚するときに考えるべき慰謝料以外のお金
10年前の浮気が原因で離婚する場合、配偶者に対して慰謝料以外にも以下のお金を請求できる可能性があります。
財産分与
年金分割
婚姻費用
養育費
弁護士のサポートを受けながら、請求できるお金を漏れなく請求しましょう。
5-1. 財産分与
婚姻期間中に夫婦のうちいずれかが取得した財産は、一部の例外を除いて、離婚時に山分けすることになります。
財産分与は、夫婦間で合意すればどのような方法で行うこともできますが、審判や離婚訴訟で決める場合は2分の1ずつが原則とされています。適正な財産分与を受けるためには、配偶者が所有している財産を把握することが大切です。別居を始める前に、できる限り財産に関する資料を集めておきましょう。
5-2. 年金分割
年金分割とは、婚姻期間中の厚生年金保険加入記録(=将来の厚生年金)を公平に分ける手続きです。10年前の浮気が原因で離婚する方は、熟年に差し掛かっているケースが多いので、年金がどのくらいもらえるのかも重要なポイントです。特に専業主婦(専業主夫)の方、配偶者よりも収入が少ない方、自営業の方などは、年金分割によって将来の年金が増える可能性が高いので、忘れずに年金分割を請求しましょう。
5-3. 婚姻費用
婚姻費用とは、婚姻生活に必要な生活費などの費用です。夫婦は資産・収入などの事情を考慮して、婚姻費用を分担する義務を負います(民法760条)。同居している夫婦は生活の中で婚姻費用を分担しますが、別居している夫婦は、いずれか一方が相手に対して婚姻費用を支払う形で精算を行います。したがって、離婚前に別居する期間を設ける場合は、婚姻費用の精算が発生します。
自分の方が相手よりも収入が少ない場合や、別居中に自分が子どもと同居する場合には、婚姻費用を請求できる可能性が高いので、離婚時において忘れずに請求しましょう。
婚姻費用の金額を計算する際には、裁判所が公表している「婚姻費用算定表」が参考になります。
5-4. 養育費
養育費とは、子どもの養育に必要な費用で、生活費・教育費・医療費などが含まれます。子どもがいる夫婦が離婚する場合には、親権者でない側が親権者に対して養育費を支払うのが一般的です。ご自身が子どもの親権者となる場合は、養育費を忘れずに請求しましょう。
養育費の金額を計算する際には、裁判所が公表している「養育費算定表」が参考になります。
6. 10年前の浮気に関する離婚・慰謝料請求を弁護士に相談すべき理由
10年前の浮気に関する離婚請求や慰謝料請求は、浮気から時間が経っている分、成功させるためには丁寧に深堀りした対応が求められます。事前に弁護士に相談して、アドバイスを踏まえながら準備を進めましょう。
弁護士に相談すれば、10年前の浮気を立証できる証拠の集め方などについてアドバイスを受けられます。弁護士と協力して、訴訟も見据えた十分な準備を整えることで、離婚請求や慰謝料請求の成功率が上がります。また、弁護士には離婚請求や慰謝料請求の対応を一任できるので、労力やストレスが大幅に軽減されるでしょう。
10年前の浮気について慰謝料を請求したい方は、弁護士にご相談ください。

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7. 10年前の浮気についてよくある質問
8. まとめ 10年前の浮気でも慰謝料請求できる場合がある
10年前の浮気についても、消滅時効が完成しておらず、浮気の証拠を確保することができれば慰謝料請求が認められる可能性があります。
配偶者に関しては、今も婚姻が続いている、もしくは離婚から6か月以内であれば時効が完成していないため、慰謝料請求が可能です。浮気相手に対しては、浮気の事実と、浮気相手を知ってから3年以内であれば時効が完成していないため、慰謝料請求が可能です。
10年前の浮気となると、証拠を集めるのが難しいため、浮気を立証できる証拠の集め方などについて、弁護士からアドバイスを受けるのがおすすめです。配偶者の10年前の浮気を許せないと感じている方は、慰謝料請求についてお早めに弁護士へご相談ください。
(記事は2025年1月1日時点の情報に基づいています)