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1. 離婚の慰謝料に税金は原則かからない
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2. 離婚の慰謝料を受け取る人に税金がかかるケース
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2-1. 慰謝料の金額が高額すぎる
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2-2. 慰謝料として不動産を譲り受けた
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2-3. 偽装離婚である
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2-4. 慰謝料などであることが証明できない
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3. 離婚慰謝料の税金はいくらからかかる?
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4. 離婚慰謝料を1000万受け取ったら税金はいくら?
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5. 離婚慰謝料を支払う人に税金がかかるケース
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5-1. 慰謝料として不動産を譲渡した場合
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5-2. 第三者が慰謝料を支払った場合
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6. 離婚慰謝料と税金について気を付けるポイント
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6-1. 離婚協議書を作成する
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6-2. 慰謝料は元配偶者本人から受け取る
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6-3. 不動産を慰謝料として譲渡・譲受する際は慎重に
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7. 離婚慰謝料に税金がかかる場合に必要な手続き
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8. 離婚慰謝料と税金についてよくある質問
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9. まとめ 離婚慰謝料を決める際には弁護士に相談を
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1. 離婚の慰謝料に税金は原則かからない
離婚慰謝料には原則として、税金は課されません。離婚慰謝料は、不貞行為・悪意の遺棄・DV・モラハラなどの不法行為(民法709条)によって受けた精神的損害の賠償金です。
不法行為による損害につき支払いを受けた損害賠償金は、非課税とされています(所得税法9条1項18号、所得税法施行令30条2号)。したがって、離婚慰謝料として受け取った金銭には、原則として税金が課されません 。
なお、離婚に関してやりとりされる金銭については、慰謝料だけでなく、養育費や財産分与も原則非課税とされています 。
2. 離婚の慰謝料を受け取る人に税金がかかるケース
ただし例外的に、以下のケースでは離婚慰謝料に税金がかかることがあります。
慰謝料の金額が高額すぎる
慰謝料として不動産を譲り受けた
偽装離婚である
慰謝料などであることが証明できない
2-1. 慰謝料の金額が高額すぎる
離婚慰謝料は非課税ですが、離婚慰謝料に当たるかどうかは、支払いの名目だけでなく実質にも注目して判断されます。
離婚慰謝料の金額が高すぎる場合には、その一部が実質的に離婚慰謝料ではなく、贈与であると判断される可能性 があります。この場合、離婚慰謝料として相当と認められる金額を超える部分は、贈与税の課税対象となります。
離婚慰謝料に贈与税が課される可能性がある金額については、「3. 離婚慰謝料の税金はいくらからかかる?」で解説します。
2-2. 慰謝料として不動産を譲り受けた
離婚慰謝料は金銭で精算するのが原則ですが(民法722条1項、417条)、夫婦間で合意すれば別の方法で精算することも可能です。たとえば、慰謝料として不動産を譲渡することもあり得ます。
ただし前述のとおり、税金との関係で離婚慰謝料と認められるかどうかは、支払いの名目だけでなく実質にも注目して判断されます。具体的には、夫婦間で授受された財産が、離婚慰謝料として相当の金額(価値)であるかどうかがポイントです。
不動産は、立地などによっては非常に高額となることがあります。離婚慰謝料として不適当なほどに高額の不動産を譲り受けた場合には、相当と認められる金額を超える部分に贈与税が課される ので要注意です。
2-3. 偽装離婚である
離婚慰謝料は不法行為に基づく損害賠償に当たりますが、夫婦間における不法行為の事実が存在しない場合には、そもそも離婚慰謝料を精算する法的根拠がありません。この場合、離婚慰謝料として支払われた金額は、全額が贈与税の課税対象となります。
たとえば、実際には不貞行為(不倫)の事実が存在しないのに、夫婦が通謀して不貞行為を理由に離婚する旨の合意書を締結し、役所には離婚届を提出するものの夫婦同然の生活を続けるようなケースが考えられます。
このような偽装離婚と言うべきケースにおいて、離婚慰謝料の名目で金銭が授受された場合には、その全額が贈与税の課税対象となる可能性が高い でしょう。
2-4. 慰謝料などであることが証明できない
離婚する夫婦の間で授受された金銭が、法的にどのような性質を有するのか不明である場合には、贈与税の課税対象とみなされることがあります。
実際には離婚慰謝料だったとしても、(元)夫婦間で合意書が締結されておらず、精算の時期が離婚時から離れているようなケースでは、税務署に対して離婚慰謝料であることを証明することは困難です。
財産分与や養育費など、非課税である別の名目の支払いであると説明できればよいですが、それも難しい場合には、贈与税が課されてしまうおそれがあります。
3. 離婚慰謝料の税金はいくらからかかる?
前述のとおり、離婚慰謝料が高額過ぎる場合は、相当と認められる金額を超える部分に贈与税が課されることがあります。ただし、離婚慰謝料がいくらを超えると贈与税が課されるのかについては、個別の具体的な事情にもよるため、明確な基準はありません。
税務当局の考え方も担当者によってまちまちなので、いくらまでならセーフ、いくらを超えるとアウトと一概に言うことはできません。
客観的には、離婚慰謝料の金額は300万円程度までに収まるケースが多いと考えられます。当事者の合意によって高めの離婚慰謝料を設定することはできますが、300万円を大きく超える場合は贈与税の課税を警戒すべき でしょう。
なお、贈与税には年間110万円の基礎控除(非課税枠)があります。離婚慰謝料として相当と認められる金額を超える部分が110万円以内に収まっていれば、贈与税の課税を免れられます 。ただし、別の人から受けた贈与を合わせて年間110万円を超える場合には、贈与税が課されるのでご注意ください。
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4. 離婚慰謝料を1000万受け取ったら税金はいくら?
1000万円の離婚慰謝料を受け取ったとしても、実際に贈与税が課されるかどうかは不透明です。しかし、1000万円は離婚慰謝料としては高額なので、贈与税が課される可能性はあると考えられます。
仮に離婚慰謝料として相当な金額が300万円だとすると、それを超える700万円は贈与税の課税対象 とみなされます。離婚慰謝料を受け取った年において、別の贈与を受けていないと仮定すると、700万円に対する贈与税の金額は以下のとおりです。
贈与税額
=(700万円-110万円)×30%-65万円
=112万円
なお、贈与税には累進課税が採用されています。贈与額(離婚慰謝料の額)がさらに多ければ、税率がさらに高くなって贈与税の負担が増える点にご注意ください。
5. 離婚慰謝料を支払う人に税金がかかるケース
稀ではありますが、離婚慰謝料を支払う側に税金が課されることもあります。
5-1. 慰謝料として不動産を譲渡した場合
前述のとおり、離婚慰謝料は金銭で精算するのが原則ですが、夫婦間で合意すれば不動産の譲渡によって精算することも可能です。不動産を譲渡した側において、収入金額から取得費と譲渡費用を控除して残額がある場合、その残額が譲渡所得(=利益)として所得税・住民税の課税対象となります。
離婚慰謝料として無償で不動産を譲渡する場合でも、所得税・住民税との関係では、不動産の時価相当額が収入金額とみなされます。
取得費に当たるのは、不動産の購入時に支払った代金・登記費用・仲介手数料などです。ただし建物は、減価償却費相当額を取得費から控除しなければなりません。譲渡費用に当たるのは、不動産の譲渡時に支払った登記費用・仲介手数料などです。
離婚慰謝料として不動産を譲渡する場合には、譲渡する側においても課税が生じないかを慎重に検討しましょう。
5-2. 第三者が慰謝料を支払った場合
お金を準備できないなどの理由で、離婚慰謝料を家族や友人などに代わりに支払ってもらうケースがあります。この場合、代わりに支払ってもらった離婚慰謝料を返さなくてよいものとされたときは、その金額が贈与税の課税対象となります。本来であれば自分が支払うべき離婚慰謝料を免除されたことにつき、贈与に相当する経済的利益が生じているためです。
離婚慰謝料が基礎控除(年間110万円)の範囲内であれば贈与税は課されませんが、それを超える場合には、贈与税の申告・納付が必要になることがあるのでご注意ください。
6. 離婚慰謝料と税金について気を付けるポイント
離婚慰謝料に対して不測の課税を受けることを避けるための注意点を解説します。
離婚協議書を作成する
慰謝料は(元)配偶者本人から受け取る
不動産を慰謝料として譲渡・譲受する際は慎重に
6-1. 離婚協議書を作成する
税務署に対して、元配偶者から受け取った金銭が離婚慰謝料であることを説明できるように、離婚時には離婚協議書を作成・締結しましょう。
離婚協議書で慰謝料を含む離婚条件を明確化すれば、配偶者との離婚後のトラブルを予防しやすくなるメリットもあります。
6-2. 慰謝料は元配偶者本人から受け取る
離婚慰謝料を受け取る側は、元配偶者本人から金銭の交付(または銀行振込)を受けましょう。別人から受け取った金銭は、離婚慰謝料であることの証明が難しくなる場合がある ためです。
元配偶者側が金銭を準備できず、別の人に立て替えてもらう場合でも、必ずいったん元配偶者に金銭を渡してもらい、そこから離婚慰謝料の支払いを受けるようにしましょう。
6-3. 不動産を慰謝料として譲渡・譲受する際は慎重に
離婚慰謝料として不動産を譲渡する、または譲り受ける場合には、譲渡する側においては所得税・住民税、譲り受ける側では贈与税の課税が問題になるケースが多いです。そのため基本的には、離婚慰謝料として不動産の所有権を移転することは避けた方が無難 でしょう。
不動産の所有権の移転については、財産分与として行うなど別の方法も考えられます。税理士のアドバイスを踏まえて、どのような方法が適切であるかを慎重に検討しましょう。
7. 離婚慰謝料に税金がかかる場合に必要な手続き
受け取った離婚慰謝料が贈与税の課税対象となる場合は、翌年2月1日から3月15日まで(土曜・日曜・祝日の場合はその翌平日まで)に、納税地の税務署に対して贈与税の申告・納付を行う必要があります。離婚慰謝料を第三者に支払ってもらった結果、経済的利益に対する贈与税の課税が生じる場合も同様です。
また、離婚慰謝料を支払う側において不動産の譲渡所得が生じた場合は、翌年2月16日から3月15日まで(土曜・日曜・祝日の場合はその翌平日まで)に、納税地の税務署に対して所得税の確定申告および納付を行う必要があります。
適切に申告を行わないと追徴課税を受けるおそれがあるので、期限内に申告を行いましょう。
8. 離婚慰謝料と税金についてよくある質問
9. まとめ 離婚慰謝料を決める際には弁護士に相談を
離婚慰謝料に対しては、原則として税金の課税は生じません。ただし、金額その他の具体的な事情によっては、離婚慰謝料に対して課税がなされるケースがあるので注意が必要です。
離婚慰謝料などの離婚条件を取り決める際には、弁護士や税理士のアドバイスを踏まえて検討を行いましょう。
(記事は2024年12月1日時点の情報に基づいています)