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不倫(不貞行為)で慰謝料請求されたときの対処法 すべきことからやってはいけないことまで解説

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不倫の慰謝料を請求された場合は、落ち着いて内容を確認することが重要です(c)Getty Images
ある日突然不倫の慰謝料請求の通知が届いたり、あるいは電話などで請求をされたりしたら、不安になるでしょう。しかし、まずは落ち着いて対処することが大切です。焦って対応すると、交渉をする上で不利になる恐れがあります。慰謝料の請求をされた場合の対処法や、不倫慰謝料の相場、払えない時の対処法について弁護士が解説します。
目 次
  • 1. 不倫の慰謝料を請求された場合の対処法
  • 1-1. 放置だけはしない
  • 1-2. 自分の行為が慰謝料を支払うべき条件にあてはまるか確認する
  • 1-3. 請求内容を確認する
  • 1-4. 不倫の証拠があるか確認する
  • 1-5. 請求金額の妥当性を確認する
  • 1-6. 不倫が事実なら真摯に謝罪する
  • 1-7. 弁護士に相談する
  • 1-8. 慰謝料を支払う前に示談書を作成する
  • 2. 不倫の慰謝料の相場は数十万円から300万円ほど
  • 2-1. 慰謝料が増額される要因
  • 2-2. 慰謝料が減額される要因
  • 3. 相手が不倫の証拠を持っているかどうか確認すべき?
  • 4. 不倫の慰謝料を払えない時の対処法
  • 4-1. 減額交渉をする
  • 4-2. 分割払いをお願いする
  • 4-3. 求償権を行使する
  • 5. 不倫慰謝料を請求された人がよくする質問
  • 6. まとめ 慰謝料を請求されたらまずは弁護士に相談をするのが安全

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1. 不倫の慰謝料を請求された場合の対処法

不倫の慰謝料を請求された場合、以下の8点を踏まえた上で冷静に対応することが必要です。

  • 放置だけはしない

  • 自分の行為が慰謝料を支払うべき条件にあてはまるか確認する

  • 請求内容を確認する

  • 不倫の証拠があるか確認する

  • 請求金額の妥当性を確認する

  • 不倫が事実なら真摯に謝罪する

  • 弁護士に相談する

  • 慰謝料を支払う前に示談書を作成する

「不倫の事実がないのであればその旨を伝える」「不倫の事実があるのであれば慰謝料の減額を交渉をする」という対応をとることになります。

それぞれについて解説します。

1-1. 放置だけはしない

慰謝料の請求を受けた場合、一番避けなければならないことは、放置や無視をすることです。放置や無視をすると、相手も裁判で訴えるなどの強硬手段に出てくる可能性 があります。さらに、裁判においても誠実さに欠けた対応であるなどとして慰謝料が増額される要因 にもなります。

ただし、慌てて相手に連絡をするのは得策ではありません。証拠があるかはっきりしないうちに不倫の事実を否定すれば、後から証拠が提示されて、その後の交渉や裁判において不利になる可能性があるからです。一方で、証拠がないのに認めてしまえば、請求を受けるリスクがあります。

すぐに自分で判断をするのは難しいでしょう。どのように対応したら良いのか分からないのであれば、弁護士に相談するようにしてください。回答をしないうちに相手から連絡があった際も、その場で焦って回答せず、弁護士に相談してから連絡するなど伝えるようにしましょう。

1-2. 自分の行為が慰謝料を支払うべき条件にあてはまるか確認する

不倫の慰謝料の請求を受けた場合は、自分が本当に慰謝料を支払う必要があるのか確認しましょう。不倫の事実がないのであれば、法律上、慰謝料を支払う必要はありません。また、肉体関係がないこと以外にも、下記のようなケースであれば、慰謝料の支払い義務が認められない可能性があります。

  • 相手が結婚していることを知らなかった(知らなかったことについて過失もなかった)

  • 不倫の前から相手の夫婦関係が破たんしていた

  • 相手から婚姻関係が破たんしていると聞かされていた

基本的には、肉体関係の有無が慰謝料の支払いが認められるかどうかの基準 となります。しかし、肉体関係がなくても、相手の家庭を壊す原因となれば、慰謝料の支払いが認められる可能性があります。また、不倫前から夫婦関係が破綻していた場合は、慰謝料の支払いが認められない、もしくは、減額の要因になります。

慰謝料を支払うべき条件に当てはまらない場合は、請求を拒否できます。相手の勢いに押されて思わず不倫の事実を認め、合意書にサインはしないように してください。

1-3. 請求内容を確認する

不倫の慰謝料の請求は、メールや電話で来るケースもありますが、内容証明郵便などの書面で行われるのが一般的です。当事務所でも、慰謝料請求の依頼(慰謝料請求をする方)を受けた場合、相手の住所が判明していれば、内容証明郵便などの書面で慰謝料を請求しています。相手の住所が判明していない場合には、メールや電話で請求しています。

相手から慰謝料を請求された場合、まずは下記の請求内容を確認しましょう。

  • 誰が請求してきているのか

  • 請求金額はいくらか

  • 不貞の証拠はあるのか

  • 慰謝料の支払期限はあるのか など

特に、誰が請求してきているのかによって対応が異なります。

【不倫相手の配偶者本人が請求している場合】
直接配偶者に連絡をして謝罪をした上で、慰謝料の減額ができないか交渉する

【配偶者が行政書士に依頼している場合】
行政書士の場合、行政書士には代理で交渉する権限はないので、不倫相手と直接交渉する

【配偶者が弁護士に依頼している場合】
今後の対応は弁護士とやり取りする

弁護士に依頼している場合は、その後の裁判も見据えて不倫の証拠も揃っている可能性が高いです。真摯に謝罪をして、減額の交渉をしましょう。

1-4. 不倫の証拠があるか確認する

不倫の慰謝料請求は、請求する側が不倫の事実を立証する必要 があります。相手からの書面には、いつごろから不倫があったのか、どの程度の頻度で不倫をしていたのかなど具体的な事実が示されているケースが多いため、それが事実なのかどうかを確認しましょう。

事実でない場合には、慰謝料を支払う必要はないため、相手にその旨を伝えましょう。不倫が事実である場合には、減額や支払方法(分割払い)について相手と相談する方向で話を進めます。

1-5. 請求金額の妥当性を確認する

同様に、慰謝料の請求金額や支払い期限などが妥当かどうかを確認します。金額が妥当かどうか確認できるまでは支払わないようにしてください。不倫慰謝料の相場は、事案によりますが、おおよそ数十万円から300万円です。相場を超える金額を請求されている場合には、減額の交渉が可能 です。

相手からの書面には、「書面を受領してから2週間以内に支払え」「〇月〇日までに回答するように」「期日までに支払いや返事がないなら裁判をします」といった内容が記載されていることが通常です。

この期限に関しては、相手が一方的に定めたもので特に法的強制力があるわけでありません 。期限内に支払いや回答をしなかったとしても、すぐに裁判になるわけではないので安心してください。ただし、回答をしないと相手が訴えてくるリスクがあるため、まずは「手紙は受け取ったので確認する」「弁護士に相談する」などの、何らかのリアクションをするようにしましょう。

結局、請求されている慰謝料が妥当かどうか、個人で判断するのは難しいでしょう。そのため、一度弁護士に相談するのがおすすめです。

1-6. 不倫が事実なら真摯に謝罪する

不倫の事実がある状況で、もし相手と話し合いをする場合は、相手の感情に配慮して、真摯に謝罪をすることが重要です。ただし、相手と交渉する場合、下記のようなリスクがあるため、対面や電話は避けた方が良いでしょう。

  • その場で回答を迫られ、十分に検討できないままに慰謝料の支払いが確定する

  • その場で迫られて回答した場合、内容によっては不利になる

  • 会話内容を録音されていて、矛盾があった場合に追及を受ける

  • 後で水掛け論となりトラブルに発展する など

こうしたリスクがあるため、相手の住所を聞いた上で、後日、書面などで回答する のが得策です。

1-7. 弁護士に相談する

慰謝料を請求された場合には、弁護士に相談するのが一番です。これまでお伝えした通り、個人で対応をすると、下記のようなリスクがあるから です。

  • 回答によっては、交渉や裁判で不利になる

  • 回答によっては慰謝料が増額されるリスクがある

  • 請求内容が妥当かどうか個人で判断をするのは難しく、高額な慰謝料を支払う恐れがある

さらに、相手が弁護士をつけていると、相手にとって有利な内容の合意をさせられる恐れがあります。こちらも弁護士をつければ、交渉で減額できる可能性がありますし、弁護士同士の話し合いであれば、慰謝料の相場から大きく外れることは通常はありません 。過去に私が担当したケースにおいても、相手に弁護士がついている方が交渉がスムーズにまとまり、かつ、慰謝料も適切な金額で合意できたというケースが多いです。

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1-8. 慰謝料を支払う前に示談書を作成する

慰謝料の金額や支払い時期、支払い方法について相手と合意した場合、慰謝料を支払う前に合意内容について書面(合意書、示談書)を作成することが重要です。書面を作成すれば、慰謝料の金額を確定できるため、今後追加で支払いを求められるなどのトラブルを防止 できます。書面に盛り込まれる一般的な項目は下記の通りです。

  • 謝罪文言

  • 慰謝料の金額、支払時期、支払方法

  • 今後の接触禁止と接触禁止に違反した場合の違約金

  • 守秘条項(書面の内容を第三者に開示しない)

  • 配偶者に対する求償権(きゅうしょうけん)の放棄(求償権については後述)

  • 清算条項(書面に記載する以外の権利義務を負わない)

なお、一度、書面に署名押印をしてしまうと、後日、その内容を否定することは難しいです。書面は弁護士に作成してもらうか、相手が持ってきた書面を一度持ち帰り、弁護士に内容を確認してもらった上で、後日署名捺印するようにしてください。

2. 不倫の慰謝料の相場は数十万円から300万円ほど

先述した通り、不倫慰謝料の相場は、数十万円から300万円ほどですが、不倫が原因で離婚するかしないかで金額が大きく異なります。慰謝料が総額される要因と減額される要因について解説します。

2-1. 慰謝料が増額される要因

不倫の慰謝料が増額される要因は下記の通りです。

  • 不倫の期間が長期間であること

  • 不貞行為の頻度が多いこと

  • 婚姻期間が長いこと

  • 不倫の原因が主に自分にあること

  • 不倫相手との間に子どもがいること

  • 不貞行為について反省せず、謝罪もしていないこと

  • 不貞行為があるにもかかわらず、その事実を否定していること

また、不倫が原因で離婚する場合の慰謝料の相場は、200〜300万円 です。この範囲で、上記の要因により、慰謝料が増減します。

2-2. 慰謝料が減額される要因

不倫の慰謝料が減額される要因は、下記の通りです。

  • 不倫の期間が短いこと

  • 不貞行為の頻度が少ないこと

  • 婚姻期間が短いこと

  • 不倫の原因が主に不貞相手にあること

  • 不貞行為について反省し、真摯に謝罪していること

離婚しない場合の慰謝料の相場は、数十万円から150万円 です。上記同様、この範囲で減額される要因を踏まえて判断されます。ただし、これは裁判で争った場合です。交渉であれば、支払い可能な金額なども踏まえて、当事者間で柔軟に決めることができます。

3. 相手が不倫の証拠を持っているかどうか確認すべき?

相手に不倫の証拠があるのか確認しても問題ありませんが、相手がどのくらいの証拠を持っているのかをこちらで把握することは不可能です。

相手が証拠を何も開示してこない場合には、証拠がないのかもしれません。その反面、実は決定的な証拠を握っていて、あえて開示してこないことも考えられます。十分な証拠がないと判断して安易に不倫を否定して嘘をついてしまうと、慰謝料の増額要因となるリスク があります。

相手に弁護士がついて、内容証明に不貞行為の具体的な日時や場所が記載されている場合には、決定的な証拠を得ている可能性が高いと判断して良いでしょう。このように、証拠の開示を巡っても、駆け引きの要素があるため、弁護士に指示を仰ぐのが得策 です。

4. 不倫の慰謝料を払えない時の対処法

もし、不倫の慰謝料を払えない場合は、下記3つの対処法を検討します。

4-1. 減額交渉をする

請求された慰謝料を払えない場合には、相手と減額の交渉ができます。相手も減額要求を見越して、高めの金額を請求しているケースがあります 。相手と交渉する際には、必要に応じてこちらの収入や資産などを提示しながら、いくらなら支払いができるのか説明しましょう。

ただし、相手が感情的になっている場合には、減額の交渉に応じてもらえないこともあります。私が担当したケース(相手に弁護士はついていない)でも、相手が感情的になり一切の減額に応じてもらえなかったことがありました。最終的には、裁判を起こされましたが、相場の範囲内で適切な慰謝料を認定してもらうことができました。

相手が法外な請求をしている場合は、裁判で争った方が適切な範囲で慰謝料を認定してもらえるケースがあるため、どのように対応すべきか弁護士に相談しましょう。

4-2. 分割払いをお願いする

慰謝料の一括払いが難しい場合は、分割払いを交渉する方法もあります。ただし、分割払いだと「途中で支払いがなくなるのではないか」と相手が応じない可能性があります。そのため、下記の点を説明して、分割払いでもしっかり支払いができることを示すことが大切 です。

  • 具体的に月の収入や月の返済額、分割回数など支払いの計画を提示する

  • 支払いが遅れた際の対応を決めておく

  • 最初に一時金として多めに支払うことを約束して分割払いを交渉する

特に、支払いが遅れた際の対応を事前に決めておけば、相手も安心できるでしょう。例えば、示談内容を執行文付きの公正証書という方法で作成しておけば、分割金の支払いが遅れた場合に、裁判をすることなく財産の差押えができます。こうした内容を条件に分割払いをお願いすることもあります。

4-3. 求償権を行使する

不倫の責任は不倫をした二人にあるため、二人で慰謝料の支払い義務を負うことになります。

求償権とは、共同で不法行為(不倫)をした人の一方が損害を賠償した場合に、共同で不法行為者をした他の人に対して、自らが支払った損害の一部の分担を求めることができる権利です。もし、相手の配偶者が、自分だけに慰謝料を請求した場合は、求償権を行使して、不倫相手に対して自分が負担した分の一部の慰謝料の支払いを求める 方法があります。

また、不倫相手に対する求償権を放棄する代わりに、慰謝料を減額してほしいと相手の配偶者にお願いするのも1つの方法 です。不倫をした既婚者が離婚しない場合、不倫相手から慰謝料を支払ってもらっても、求償権を行使されれば、その家計から慰謝料を払い戻すことになります。こうした求償権の放棄を条件に、減額交渉をすることもあります。ただし、切り出し方によっては相手の反感を買う可能性があるため、相手との交渉は弁護士に依頼するのが安全です。

なお、不倫の慰謝料が両者に請求され、どちらも同じ金額を支払っている場合には、原則として求償権はありません。

5. 不倫慰謝料を請求された人がよくする質問

Q. 不倫の慰謝料を請求されても弁護士をつけずに自分で対応できる?
不倫の慰謝料を請求された場合に、自分で対応することはできます。ただし、相手に弁護士がついている場合には、自分で減額交渉をするのが難しいこともあります。対応次第では不利になる可能性があるため、もし可能であれば弁護士を付けたほうが良いでしょう。
Q. 不倫の慰謝料を請求されたけど心当たりがない場合はどうすべき?
不倫について心当たりがない場合には、相手の請求には応じずに、心当たりがないことや、慰謝料の支払義務はないと伝えましょう。
Q. 付き合ってから相手が既婚者と知ったが慰謝料を請求される?
付き合ってから相手が既婚者であると知った場合は、慰謝料の支払義務はありません。ただし、相手が既婚者であると知って以降も交際を継続した場合には、慰謝料の支払義務を免れません。また、交際して親密な時間を過ごす中で、既婚者だと知らなかったという言い分が認められない可能性があります。 一方で、相手が独身などと騙して交際をしていた場合は、慰謝料を請求できる可能性があるため、弁護士に相談してください。
Q. 慰謝料の支払い期日が過ぎるとどうなる?
慰謝料について相手と合意したにもかかわらず、支払い期限を過ぎても慰謝料を支払わなかった場合、合意書に基づいて慰謝料の支払いを求める裁判を起こされるリスクがあります。慰謝料について合意した場合には、期限までに支払うようにしましょう。 相手と合意する前の段階で、相手が一方的に期日を設定して請求してきた場合、支払いに強制力はありません。しかし、相手が訴えてくる可能性があるため、早めに返答をした方が良いでしょう。

6. まとめ 慰謝料を請求されたらまずは弁護士に相談をするのが安全

不倫慰謝料の請求を受けた場合は、請求内容などを確認した上で落ち着いて対処することが重要です。相手がどのような形で慰謝料を請求してきているのか、どの程度の証拠を得ているのかなどによっても、こちらの対応は異なります。一度慰謝料の支払いが確定してしまうと、支払いを拒むのは難しいため、請求を受けた時点でまず弁護士に相談してください。

(記事は2025年1月1日時点の情報に基づいています)

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