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慰謝料の支払いでローンを組める? デメリットや払えない場合の対処法を解説

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離婚慰謝料はフリーローンを利用して支払い可能ですが、金利が高いため慎重に判断しましょう(c)Getty Images
不貞行為などにより発生する慰謝料は、150万円から300万円程度と高額になることがあります。手元に資金がない場合、ローンを利用する選択肢も考えられますが、利用にはリスクが伴います。離婚慰謝料の支払いでローンを組む際の注意点や、ローン以外の対処法を弁護士が詳しく解説します。
目 次
  • 1. 離婚慰謝料を支払うために、ローンを組むことはできる?
  • 1-1. 使途が決められていないローンであれば借りられる
  • 1-2. 離婚専用ローンを提供している金融機関もある
  • 2. 離婚慰謝料を支払うために、ローンを組む際の注意点
  • 2-1. 必ずローンの審査に通るとは限らない
  • 2-2. 金利が高い
  • 3. 離婚慰謝料をローンで支払うメリット
  • 3-1. 手元にお金がなくても、一括で支払うことができる
  • 3-2. スムーズに離婚が成立する可能性が高まる
  • 3-3. 親族や友人からお金を借りずに済む
  • 4. 離婚慰謝料をローンで支払うデメリット
  • 4-1. 金利が発生し、支払う金額が増える
  • 4-2. 他のローン審査に影響が生じ得る
  • 4-3. 返済が困難になり、自己破産せざるを得ないことも
  • 5. 離婚慰謝料のローンを組む前に検討すべきこと
  • 5-1. 慰謝料の支払い義務があるかどうか
  • 5-2. 請求されている慰謝料の額は適正か
  • 5-3. 交渉による慰謝料の減額・分割払い
  • 5-4. 不倫相手に対する求償権の行使
  • 5-5. 親族の援助
  • 6. 離婚慰謝料の支払いが難しい場合に、弁護士へ相談するメリット
  • 7. 離婚慰謝料のローンに関連してよくある質問
  • 8. まとめ ローンを組む前に早めに弁護士に相談を

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1. 離婚慰謝料を支払うために、ローンを組むことはできる?

離婚慰謝料を支払う必要があるものの手元に資金がない場合は、金融機関のローンを組むことが考えられます。使途が決められていないローンのほか、離婚専用ローンを提供している金融機関もあります。

1-1. 使途が決められていないローンであれば借りられる

ローンには、使途が指定されているものと自由なものがあります。住宅ローンや自動車ローンなどは

使途が限定されているため、離婚慰謝料の支払いには利用できません。

一方、使途が自由なローンは、借りた資金を離婚慰謝料の支払いに充てられます。多くの金融機関が「フリーローン」という名称で使途自由のローンを提供しており、カードローンや消費者金融のローンもこれに該当します。

1-2. 離婚専用ローンを提供している金融機関もある

一部の金融機関では、離婚に関する支払いに特化した離婚専用ローンなどを提供しています。これらのローンも離婚慰謝料の支払いにも充てられます。ただし、不動産を担保とするなどの要件が設けられている場合があるため事前の確認が必要です。

2. 離婚慰謝料を支払うために、ローンを組む際の注意点

離婚慰謝料を支払うためにローンを組む際には、以下の注意点があります。

2-1. 必ずローンの審査に通るとは限らない

金融機関はローンを貸し出す際に、利用者の返済能力があるかどうかを厳しく審査します。たとえば、収入が借入額に見合わない場合や、過去にローンやクレジットカードの支払いに延滞歴がある場合は、審査に通らない可能性が高いです。

2-2. 金利が高い

フリーローン、カードローン、消費者金融のローンなどは、使途が自由な反面、金利が高めに設定される傾向があります。具体的な利率は金融機関などによって異なりますが、一般的には年3%から15%程度です。特に年15%に近い利率の場合、返済負担がかなり重くなるため注意が必要です。

3. 離婚慰謝料をローンで支払うメリット

離婚慰謝料をローンで支払うメリットとして、以下の点が挙げられます。

3-1. 手元にお金がなくても、一括で支払うことができる

離婚慰謝料の相場は150万円から300万円程度と高額なため、自己資金だけで準備できない場合も少なくありません。相手に分割払いをお願いする選択肢もありますが、一括払いを求められることが多いです。ローンを利用すれば、自己資金が足りなくても、離婚慰謝料を一括で支払うことが可能です。

3-2. スムーズに離婚が成立する可能性が高まる

自分の不貞行為などが原因で離婚する場合、配偶者は怒りや悲しみから、高額の慰謝料を請求することがよくあります。感情的な問題に発展すると、慰謝料の大幅な減額を求めても、離婚協議が難航する可能性が高いです。

スムーズな離婚成立を目指すなら、配偶者の要求を受け入れ、ローンを組んで慰謝料を用意することも選択肢の一つです。

3-3. 親族や友人からお金を借りずに済む

離婚慰謝料の支払いに親族や友人からお金を借りるのは、気まずいと感じる人も多いでしょう。金融機関のフリーローンなどを利用すれば、担当者に資金使途を説明する必要がなく、気まずい思いをせずに資金を調達できます。

4. 離婚慰謝料をローンで支払うデメリット

離婚慰謝料をローンで支払うことには、以下のデメリットがあります。

  • 金利が発生し、支払う金額が増える

  • 他のローン審査に影響が生じ得る

  • 返済が困難になり、自己破産せざるを得ないことも

ローンの利用は、デメリットを十分理解して判断しましょう。

4-1. 金利が発生し、支払う金額が増える

ローンを借りている期間は、金融機関と合意した利率で金利が発生します。たとえば、離婚慰謝料を支払うために200万円のローンを組み、年利10%の60回払い(5年間)で返済するとします。この場合、合計返済金額は「約255万円」です(標準的な計算による目安額)。

一括で離婚慰謝料を支払う場合に比べると、50万円以上も多く支払いが生じます。高金利のローンを借り過ぎると将来的に返済負担が大きくなるため要注意です。

4-2. 他のローン審査に影響が生じ得る

離婚慰謝料を支払うためのローンを借りている場合は、その後に別のローンを申し込むと、返済能力の観点から審査に通りにくくなる可能性があります。住宅や車の購入を予定している人は、できるだけ自己資金で慰謝料を支払うか、完済できるタイミングで新たなローンを組むようにしましょう。また、返済を滞らせると、以後ローンの審査は一層厳しくなります。期限内に遅れることなく返済しましょう。

4-3. 返済が困難になり、自己破産せざるを得ないことも

ローンの金利負担が重く、途中で返済が困難になるケースも少なくありません。特に、休職や失業などで収入が大幅に減少すると返済が急激に厳しくなります。返済が難しい場合、自己破産を選択せざるを得ないこともあります。

自己破産をすると、その後数年間はローンやクレジットカードの利用が制限されます。また、一定額を超える財産は処分されるため、生活への影響も避けられません。ローンの返済計画は慎重に立てる必要があります。

5. 離婚慰謝料のローンを組む前に検討すべきこと

離婚慰謝料を支払うためにローンを組むと、将来的に返済不能などのリスクが生じます。安易にローンを組むのではなく、以下の点をまず検討しましょう。

  • 慰謝料の支払い義務があるかどうか

  • 請求されている慰謝料の額は適正か

  • 交渉による慰謝料の減額・分割払い

  • 不倫相手に対する求償権の行使

  • 親族の援助

5-1. 慰謝料の支払い義務があるかどうか

離婚慰謝料の支払い義務が生じるのは、自分の行為が「不法行為」に該当する場合です。不法行為とは、故意または過失によって他人に損害を与える行為を指します。たとえば不貞行為、DV(暴力)、モラハラ(精神的な攻撃)などがこれに当たります。

一方、性格の不一致などによる離婚では、慰謝料の支払い義務は生じません。単に「自分の方が悪いかも」と漠然と感じているだけなら、慰謝料を支払う必要がないケースが多いです。

5-2. 請求されている慰謝料の額は適正か

慰謝料の支払い義務があるとしても、相手の要求額をそのまま支払う必要はありません。被害感情や事実誤認が原因で、過剰な金額を請求される場合もあります。支払うべき慰謝料の額は、不法行為の内容や夫婦の状況によって客観的に決まります。弁護士に相談して、請求金額が適正かどうかや減額の可能性を確認しましょう。

5-3. 交渉による慰謝料の減額・分割払い

慰謝料の請求額が高過ぎると感じた場合は、減額交渉を行いましょう。過去の裁判例などを提示して、法的根拠に基づいて減額を求めれば、相手も応じて適正な金額で合意できる可能性があります。

一括払いが難しい場合は、分割払いを申し入れる方法もあります。筆者が担当した事案では、公正証書に慰謝料の支払い義務を明記して、不払いが生じた際の対策を講じることを提案した結果、分割払いに応じてもらえた例がありました。

5-4. 不倫相手に対する求償権の行使

不倫慰謝料は、自分と不倫相手で連帯して負担すべきものです。そのため、配偶者に対して慰謝料を全額支払った場合、自分の負担割合を超える部分を不倫相手に請求できます。この請求できる権利を求償権(きゅうしょうけん)と言います。

慰謝料を支払う前の段階でも、求償権を踏まえて不倫相手に慰謝料の一部負担を求めることが可能です。不倫相手が分担に応じない場合は、弁護士を通じて請求を行いましょう。

5-5. 親族の援助

どうしても慰謝料の支払いが難しい場合は、親族に援助を求めるのも選択肢の一つです。トラブルの内容を親族に相談するのは気が引けるかもしれませんが、背に腹は代えられません。

親族からの援助であれば、金融機関のローンよりも金利負担が軽減できることが多いです。親族の援助を受ける場合でも、借用書などの形で明確な約束を交わしておくと後々のトラブルを防げます。

6. 離婚慰謝料の支払いが難しい場合に、弁護士へ相談するメリット

離婚慰謝料を一括で支払うのが難しいときは、自分で判断する前に弁護士へ相談しましょう。弁護士に相談すれば、慰謝料の減額や分割払いの交渉を依頼できるほか、ローン以外の資金調達方法についてもアドバイスを受けられます。

また、慰謝料以外に離婚条件についてもバランスよく交渉してもらえるため、スムーズかつ適正な条件で離婚が成立する可能性が高まります。離婚慰謝料の支払いに不安を感じている人は弁護士に相談しましょう。

7. 離婚慰謝料のローンに関連してよくある質問

Q. 離婚慰謝料をローンで借りる場合、返済期間はどれくらい?
資金使途が限定されていないフリーローンの借り入れ期間は、1年から10年程度の範囲内で設定するのが一般的です。返済期間が長ければ毎月の返済額は少なくなりますが、返済総額は増える点に注意しましょう。
Q. 離婚慰謝料の請求を無視するとどうなる?
離婚慰謝料を支払わない場合、相手が離婚調停を申し立てる可能性があります。離婚調停の呼び出しも無視し続けると、最終的には離婚訴訟を提起される可能性があります。調停や訴訟に発展すると、離婚問題の解決に時間がかかります。慰謝料の請求を受けたら無視せず、弁護士に相談して対応しましょう。
Q. 離婚慰謝料を支払うためにローンを組んだら、ブラックリストに載る?
「ブラックリストに載る」とは、個人信用情報機関に事故情報(異動情報)が登録されることを意味します。ブラックリストに載ると、ローンやクレジットカードなどが一定期間利用できなくなります。 ローンを組むだけではブラックリストに載りませんが、返済を滞らせると延滞情報が記録されてブラックリストに載ります。返済困難にならないよう、借り入れは収入に見合った額にとどめましょう。

8. まとめ ローンを組む前に早めに弁護士に相談を

離婚慰謝料の一括払いが難しい場合、ローンを組むことも選択肢の一つです。ただし、ローンを組むことには大きなリスクが伴うため、決断する前に弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談すれば、ローン以外の資金調達方法のアドバイスを受けられるほか、慰謝料の減額交渉なども依頼できます。高額の離婚慰謝料を請求されて困っている人は、弁護士に相談しましょう。

(記事は2025年6月1日時点の情報に基づいています)

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