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1. 不貞行為した側も弁護士に依頼すべき?
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2. 不貞行為した側が弁護士に依頼すべきケース
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2-1. 相手と話すのが精神的につらい
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2-2. 弁護士から内容証明郵便が届いた
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2-3. 裁判所から訴状が届いた
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2-4. 慰謝料の減額交渉をしたい
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3. 不貞行為した側の弁護士費用の相場
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4. 不貞行為した側が弁護士を選ぶ際のポイント
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4-1. 男女問題や不倫問題をたくさん手がけ、経験が豊富である
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4-2. レスポンスが早い
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4-3. 説明がわかりやすくやりとりがスムーズにできる
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4-4. 料金体系が明確である
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5. 不貞行為した側が弁護士に依頼する際の注意点
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5-1. 弁護士に相談する前に示談をしない
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5-2. 明確な見積もりを提示してもらう
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5-3. 費用倒れに注意する
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6. 不貞行為した側から依頼を受け、減額交渉に成功した事例
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6-1. 340万円の減額に成功した事例
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6-2. 220万円の減額に成功した事例
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7. 不貞行為した側が弁護士に依頼する際によくある質問
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8. まとめ 不倫相手の配偶者から慰謝料請求をされたら弁護士に相談を
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1. 不貞行為した側も弁護士に依頼すべき?
不貞行為は、「配偶者のある者が配偶者以外と自由な意思にもとづいて性的関係をもつこと」です。
不貞行為をした側が相手の配偶者から慰謝料を請求された場合、迷わず弁護士に依頼したほうがよいでしょう。加害者という立場から弁護士に依頼するのをためらったり、依頼自体ができないと考えたりする人も多いようですが、そんなことはありません。弁護士は常に依頼者の味方であり、加害者に対しても最善の方法を提案し、問題の解決に力を尽くします。
弁護士の介入によって慰謝料や離婚の条件について適切な内容で解決できる可能性が高まり、相手とやりとりをするストレスが軽減されます。
2. 不貞行為した側が弁護士に依頼すべきケース
不貞行為をした側が弁護士に依頼すべきケースは、以下の4つです。
相手と話すのが精神的につらい
弁護士から内容証明郵便が届いた
裁判所から訴状が届いた
慰謝料の減額交渉をしたい
2-1. 相手と話すのが精神的につらい
慰謝料を請求してきた相手と話すのが精神的につらいと感じるなら、弁護士への依頼を検討すべきです。相手の態度が攻撃的であったり、脅迫的な言動があったりするのであれば直接の対話は避けたほうが賢明です。冷静さを欠いた相手と交渉をするのは困難ですが、弁護士が間に入ることで相手の態度が軟化し、建設的な話し合いができる可能性が高まります。
2-2. 弁護士から内容証明郵便が届いた
弁護士から慰謝料請求の内容証明郵便が届いた場合は、あなたも弁護士に依頼したほうがよいと言えます。相手が弁護士に依頼をしている場合、知識や交渉力の差に太刀打ちできず、相手の弁護士のペースにのまれた結果、不利な内容で合意してしまうおそれがあります。
対等な立場で交渉を進めるためには、専門家の助けが必要です。弁護士に対応を委ねることで相手の強気な姿勢を押しとどめられ、対等かつ公平な立場で交渉のテーブルにつけます。相手が弁護士を介して連絡をとってきたら、迷わずにあなたも弁護士に依頼をしましょう。
2-3. 裁判所から訴状が届いた
裁判所から訴状が届いた場合は、すぐに弁護士に依頼しましょう。訴状を受け取ったら、答弁書を作成して提出し、期日に出席して裁判所に自分の言い分を伝える必要があります。これらの適切な対応をとらないと、欠席のまま裁判が行われ、相手の主張どおりの判決が下される可能性があります。
訴訟による解決までには、通常、少なくとも半年から1年程度を要し、その間も複数回の書面のやりとりや証拠の提出など、専門的な手続きへの対応が求められます。これらを一人で対応するのは難しいので、なるべく早く弁護士に相談をすることが重要です。
2-4. 慰謝料の減額交渉をしたい
慰謝料の減額交渉をしたいと考えている場合は、弁護士に相談をしましょう。不貞行為の慰謝料の相場は、不倫相手とその配偶者が離婚する場合は200万~300万円、離婚しない場合は100万円程度です。相手がそれよりも高額な慰謝料を請求しているのであれば、減額できる可能性があります。
不貞行為に基づく慰謝料は、あなたと不倫相手が共同して支払い義務を負います。そのため、あなたが慰謝料の全額を負担した場合には、責任部分を超えている部分について、不倫相手に請求できます。
これを「求償権」と言い、相手が離婚しない場合には、この求償権を放棄することを条件として、慰謝料を減額できる場合があります。相手にとっても、もらえる慰謝料額を一定程度減額する代わりに求償権を放棄させれば、慰謝料の支払いと求償権行使の往復を回避し、精算を一回で済ませることができるメリットがあります。
また、以下のような事情がある場合も、慰謝料を減額できる可能性があります。
不貞行為の期間が短く回数が少ない
相手の婚姻期間が短い
社会的制裁をすでに受けている
いずれの場合も、不貞行為をした側のあなたの立場では、相手からの譲歩を引き出しにくい側面があります。第三者である弁護士が介入し、あなたの言い分や事情を正当な主張として伝えることで減額に応じてもらえる可能性が高まるでしょう。

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3. 不貞行為した側の弁護士費用の相場
不貞行為した側の弁護士費用の相場は、依頼する弁護士や依頼する手続きの内容によって異なります。
一般的に、弁護士に支払う費用の種類には、相談料や着手金に加え、報酬金、日当、実費(事務手数料)があります。
慰謝料の減額交渉のみを弁護士に依頼する場合の相場は、下表のとおりです。
慰謝料の減額交渉のみを弁護士に依頼する場合の相場
費用 | 慰謝料の減額交渉のみ |
---|---|
相談料 | 30分:5500円~1万円程度 |
着手金 | 10万~30万円程度 |
報酬金 | 経済的利益の10%~20%程度 |
日当 | 1時間あたり1万~3万円程度 |
実費 | 数千円~数万円程度 |
慰謝料だけでなく離婚の話し合いも含めて依頼する場合は、別途費用がかかります。おおよその相場は以下のとおりです。
離婚の話し合いも含めて依頼する場合の相場
費用 | 協議離婚 | 調停離婚 | 裁判離婚 |
---|---|---|---|
相談料 | 30分:5500円~1万円程度 | 30分:5500円~1万円程度 | 30分:5500円~1万円程度 |
着手金 | 30万円程度 | 40万円程度 | 50万円程度 |
報酬金 | 30万円前後+経済的利益の | 40万円前後+経済的利益の | 50万円前後+経済的利益の |
日当 | 1時間あたり | 1時間あたり | 1時間あたり |
実費 | 数千円~数万円程度 | 数千円~数万円程度 | 数千円~数万円程度 |
なお、相談料は初回を無料に設定している事務所も多いです。
4. 不貞行為した側が弁護士を選ぶ際のポイント
不貞行為をした側が弁護士を選ぶ際のポイントは、主に以下の4点です。
4-1. 男女問題や不倫問題をたくさん手がけ、経験が豊富である
男女問題や不倫問題をたくさん手がけているかどうかを確認します。男女問題や不倫問題は千差万別なので、多く手がければ手がけるほど弁護士の経験値として蓄積されていきます。経験豊富な弁護士は、経験から得た知識を存分に活用して、依頼人にとって何がベストなのかを選択できます。
4-2. レスポンスが早い
依頼を考えている弁護士事務所にメールや電話で問い合わせをして、レスポンスが早いかどうかを確認してください。裁判所から訴状が届いた場合など、迅速に対応しなければならない状況が多々あります。電話をしてもいつも弁護士が不在で折り返しの連絡がない、メールの返信が遅いなど、相談した弁護士の対応があまりにも悪いようであれば、別の弁護士に切り替えることも検討しましょう。
4-3. 説明がわかりやすくやりとりがスムーズにできる
実際に弁護士に会って、説明がわかりやすいか、やりとりがスムーズにできるか、話をしやすい雰囲気があるかどうかを確認することは大切です。相手と話し合いを進めていくうえでは、不倫に至った事情などセンシティブな内容について弁護士と話をしなければいけません。プライベートな情報をすべて打ち明けられる話しやすい存在かどうか、この弁護士なら安心して任せられるかどうかを見極めましょう。
4-4. 料金体系が明確である
料金体系が明確かどうかを確認しましょう。実際に依頼をした場合、どのようなケースでいくら程度かかるか具体的に説明してくれれば安心できるはずです。料金の話になるとあいまいな説明になったり面倒くさそうな態度をとったりする場合は、依頼をしないほうがよいかもしれません。

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5. 不貞行為した側が弁護士に依頼する際の注意点
不貞行為をした側が弁護士に依頼する際の注意点は、以下の3つです。
5-1. 弁護士に相談する前に示談をしない
弁護士に相談する前に相手と示談をしないでください。示談に応じてしまったら、それを覆すのは難しいからです。相手から何か提案を受けた場合は、自分で判断をせずに必ず弁護士のアドバイスを受けましょう。法的な相場や減額事由の存否などを理解してから示談に応じるかどうか判断すべきです。
5-2. 明確な見積もりを提示してもらう
弁護士に依頼をする際は、明確な見積もりを提示してもらいましょう。着手金や報酬金以外にどのような費用がかかるのかを正確に把握していないと、依頼後に予期せぬ費用が発生しトラブルになることもあります。弁護士費用については、事前によく確認をする必要があります。
5-3. 費用倒れに注意する
費用倒れにならないように注意することが大切です。弁護士に依頼をして慰謝料を減額できても、弁護士費用がそれ以上にかかってしまっては、依頼をした意味がありません。たとえば、弁護士に依頼しても減額できる金額が十数万円程度と少なければ、弁護士に依頼せず相手の請求金額どおりに支払ったほうが合理的なケースもあります。
費用倒れになる可能性がないか事前に確認する方法として、無料法律相談の利用をお勧めします。最近では多くの法律事務所で初回相談を無料で受けつけているので、実際に弁護士に相談をして、減額が見込める金額の幅やそれに応じた弁護士費用の目安を確認するとよいでしょう。
6. 不貞行為した側から依頼を受け、減額交渉に成功した事例
筆者が弁護士として不貞行為をした側から依頼を受け、実際に減額交渉に成功した事例を2つ紹介します。
6-1. 340万円の減額に成功した事例
【依頼の経緯】
依頼者は、会社の同僚であり妻子ある男性と1年にわたって不貞関係にあった女性です。男性の妻から弁護士を通じて400万円の慰謝料が請求されました。
【交渉の経緯と結果】
不貞期間は短くなかったため、男性の妻は不貞行為が原因で離婚になったと主張していました。これに対し当方は、主に「不貞行為開始前から夫婦関係が破壊していたこと」「不貞行為発覚後に離婚したが、その後不貞相手の男性と男性の妻が再婚したこと」の2点を主張し、粘り強く交渉を続けました。
その結果、最終的に60万円で示談が成立し、340万円の減額に成功しました。
【弁護士費用】
上記のケースにおける弁護士費用の総額は以下のとおりです。金額は現在の筆者の報酬規程に基づいて算出したものです。
合計:91万800円(税込)
[内訳]
・着手金:16万5000円(税込)
・報酬金:5万5000円+経済的利益の額340万円×18.7%=69万800円(税込)
・事務手数料:5万5000円(税込)
【減額費用と弁護士費用の差額】
減額に成功した金額(340万円)から弁護士費用(91万800円)を差し引いてもなお、依頼者には約249万円の経済的利益が残りました。
6-2. 220万円の減額に成功した事例
【依頼の経緯】
依頼者は、会社の飲み会で親密な関係になった既婚者の男性と交際した女性です。1年3カ月後に男性の妻から弁護士を通じて300万円の慰謝料請求を受けました。
【交渉の経緯と結果】
依頼者は男性との間に子どもを妊娠して出産した経緯があり、慰謝料が高額になる可能性がありました。これに対し、当方は主に「妊娠は男性側が一切避妊せずに性交渉を行ったことが原因だったこと」「男性側が関係を開始して継続を主導していたこと」「男性は女性に、妻が不貞をしていると虚偽の事実を伝えていたこと」の3点を主張し、粘り強く交渉しました。
その結果、80万円で示談が成立し、220万円の減額に成功しました。
【弁護士費用】
上記のケースにおける弁護士費用の総額は以下のとおりです。金額は現在の筆者の報酬規程に基づいて算出したものです。
合計:68万6400円(税込)
[内訳]
・着手金:16万5000円(税込)
・報酬金:5万5000円+経済的利益の額220万円×18.7%=46万6400円(税込)
・事務手数料:5万5000円(税込)
【減額費用と弁護士費用の差額】
減額に成功した金額(220万円)から弁護士費用(68万6400円)を差し引いてもなお、依頼者には約151万円の経済的利益が残りました。
7. 不貞行為した側が弁護士に依頼する際によくある質問
弁護士費用は、相談料、着手金、報酬金、日当、実費(または事務手数料)から成りますが、着手金は慰謝料の減額ができず目的が達せられなくても返ってきません。一方、報酬金は成果に応じて発生するものであり、原則として減額できなければ請求されません。
不倫相手が弁護士費用の負担に合意していれば可能ですが、合意がなければ弁護士費用の請求は難しいでしょう。
8. まとめ 不倫相手の配偶者から慰謝料請求をされたら弁護士に相談を
不貞行為を理由に不倫相手の配偶者から慰謝料請求をされたら、迷わずに弁護士に相談をしてください。請求された慰謝料の金額が正当なものかどうか、自分で判断するのは難しく、相手と直接やりとりをすると、予期せぬトラブルが起きる可能性があります。
弁護士であれば法律に則り、最善の方法をアドバイスできます。慰謝料請求に対して、減額を成功させられるケースもあります。まずは無料の法律相談を受けて、どのような要求をされているかどうか、弁護士に依頼すべき案件かどうかを見極めましょう。
(記事は2025年7月1日時点の情報に基づいています)