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1. フキハラ(不機嫌ハラスメント)とは
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1-1. モラハラの一種である
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1-2. 不機嫌は家庭内に伝播する
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1-3. 本人も被害者もハラスメントの認識を持ちづらい
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2. 当てはまるものをチェック!フキハラの具体例
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2-1. 無視をする
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2-2. 大きな音でドアを閉める
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2-3. 舌打ち
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2-4. その他のフキハラ
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3. フキハラをしてしまう原因
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3-1. 体調不良やストレス
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3-2. パートナーへの支配欲
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3-3. パートナーへの不満
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4. フキハラへの効果的な対処法
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4-1. 不機嫌になる理由を聞く
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4-2. 第三者・専門家へ相談する
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4-3. 別居など距離を置く
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5. フキハラを理由に離婚や慰謝料請求はできる?
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5-1. 協議離婚や離婚調停なら可能
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5-2. 裁判離婚は程度や期間、ほかの要因との組み合わせ次第
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5-3. 慰謝料請求も状況次第
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6. フキハラに関するよくある質問
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7. まとめ フキハラによるストレスを感じたら早めに対処を
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1. フキハラ(不機嫌ハラスメント)とは
フキハラ(不機嫌ハラスメント)とは、口調や行動などで自分が不機嫌であることをわざと表に出し、周囲に精神的な負担を与えるハラスメントです 。フキハラを行う本人は自分自身で機嫌を取ることができず、周りに機嫌を取らせたり、不機嫌な態度を示して要求を通そうとしたりしてきます。
1-1. モラハラの一種である
フキハラは、一種のモラハラであるといえます。モラハラとは精神的かつ継続的な嫌がらせを指し、被害状況を目視しづらいことから隠蔽されやすい特徴をもちます。
フキハラは、モラハラのうち、不機嫌さをアピールすることによって行われる精神的な嫌がらせ です。自分が不機嫌なのはお前のせいだと暗に攻撃します。
1-2. 不機嫌は家庭内に伝播する
不機嫌な感情や空気感は、家庭内といった閉鎖的な空間内で伝播します。仕事など外部から受けたストレスを持ち帰り、家庭内で不機嫌さを出してしまったがゆえに、家庭内の空気が悪くなった、という経験をした人もいるでしょう。
このように、不機嫌を隠そうともしないと、一緒に過ごす家族は多大なストレスを受けます 。人はネガティブな感情を受け取りやすいため、時間が経つにつれ、家族内で不機嫌な人が増えることもあります。
不機嫌だった本人はしばらくすると機嫌が良くなるかもしれませんが、このようなことが繰り返されれば、一緒にいる家族のストレスは蓄積していきます。結果として、家庭内の雰囲気が悪くなるほか、家族関係に悪影響をおよぼす可能性も高まるでしょう。
1-3. 本人も被害者もハラスメントの認識を持ちづらい
フキハラは直接的な暴力や暴言ではありません。そのため、フキハラをする本人はもちろん、被害者もハラスメントの認識を持ちづらい特徴があります。
また、フキハラをする本人から「自分は気分屋だから」「仕事でストレスが溜まっている」などという言葉を言われることで、「それなら仕方がないかな」と被害者側が状況を正当化しようとしてしまいます。辛い思いをしていてもつい自分を納得させてしまい、ハラスメントに気付かないのです。
2. 当てはまるものをチェック!フキハラの具体例
ここでは、フキハラに該当する具体例をいくつかピックアップするので、被害を受けている可能性があると感じている人は参考にして下さい。
2-1. 無視をする
不機嫌だからといって、呼びかけに応えず無視をする行為や、その状態を続けることはフキハラに該当する可能性 があります。無視は相手の存在を否定し、コミュニケーションを一方的に遮断するため、受けた人は精神的苦痛を伴います。
2-2. 大きな音でドアを閉める
不機嫌さのアピールとして、大きな音でドアを閉める行為もフキハラに該当する可能性があります。実際に相談を受けていると、わざと大きな音を立ててドアを閉めてくるという訴えは非常に多いです。このような行動をする本人は、自らの行動が他人にストレスを与えるものだという自覚はないことがほとんどでしょう。
2-3. 舌打ち
大きな音でドアを閉める行為と同様に、よく相談を受けるのが舌打ちです。わざと家族に聞こえるように舌打ちをし、自分が苛立っていることをアピールしてきます。舌打ちは一般的に不満や怒りを表現することが多いため、された人は萎縮したり嫌悪感を感じたりしてしまいます。
2-4. その他のフキハラ
ほかにも、下記に該当する行為はフキハラだとみなされる可能性があります。
・ため息をつく
・目を合わせずに返事をする
・壁を蹴る
・自室や風呂場で叫び出す
これらの行為が継続的に行われることで、相手は心理的な影響を受けるでしょう。
3. フキハラをしてしまう原因
配偶者やパートナーがフキハラをするようになると、「なぜなのか」「何か悪いことをしてしまったのか」と気になる人もいるでしょう。フキハラを行う原因にはさまざまな要素が挙げられますが、以下のような理由があると考えられます。
3-1. 体調不良やストレス
フキハラをしてしまう人は、仕事が忙しくて過労や寝不足となり、体調不良やストレスを抱えている可能性があります。
普段、円滑なコミュニケーションが重視される職場では愛想良く振舞えていても、気を遣う必要がなくなる家族の前ではイライラが態度に出てしまう のです。
また、家事や育児で疲労がたまっている場合も同様です。どちらも放置しすぎると、さらなるフキハラの被害や体調不良を招く恐れもあるため、疲労やストレスが原因の場合は、それらを取り除けるよう環境を整えましょう。
3-2. パートナーへの支配欲
フキハラの原因の一つに、配偶者やパートナーを自分の思いどおりにしたいという支配欲が背景にあるケース が考えられます。不機嫌になることで、顔色をうかがう、気を遣ってくるなどの配慮を求めているのです。
支配欲からフキハラを行う人は、パートナーは自分の思いどおりに行動するものだと思っています。ほかにも、言うことを聞かせようとしたり見下したりするモラハラ行為を行ってくることもあるでしょう。
3-3. パートナーへの不満
自分の望みとは異なる行動をパートナーが取ることで不機嫌になります 。例えば家庭内の不満では、家事や育児に協力してくれない、仕事から帰ってきたのに家の中が片づけられていないなどが挙げられるでしょう。
本来であれば、夫婦間で話し合うべきですが、フキハラをする人はそうしません。話し合いでは、自分の要求を飲ませることができないとわかっているためです。それゆえ、相手を尊重する気持ちも持てないのかもしれません。
4. フキハラへの効果的な対処法
不機嫌は周囲に伝播するように、そのまま放置するのはネガティブな影響を受ける可能性があります。適切に対処することで、現状から脱却したいと考える人もいるでしょう。
ここでは、夫婦間でできるフキハラの対処法を3つ紹介します。
4-1. 不機嫌になる理由を聞く
夫婦間でコミュニケーションを取れる関係性であれば、不機嫌な理由を聞き出し、話し合いをすることも意味があります。フキハラの原因の一つに「パートナーへの不満」が考えられることから、お互いを尊重しながら問題を解決できれば、不機嫌という手段に頼る必要もなくなります 。不機嫌な相手に気を遣い、要求に応じてばかりいるのではなく、自分の意思を伝えることが大切です。
4-2. 第三者・専門家へ相談する
フキハラの中でも「無視をする」など、話し合いができない場合は、第三者や専門家へ相談しましょう。女性センターといった公的な相談機関や、夫婦関係の改善を目的とする「夫婦カウンセラー」のような相談先もあります。
また、暴力はもちろんですが、脅迫を受けていたり、家から追い出されたりした場合などは、警察への相談も検討してください。
4-3. 別居など距離を置く
話し合いや第三者への相談でも改善がみられない場合、自身の心を守るためにも、別居を検討してみてはいかがでしょうか。フキハラをする相手から一時的に離れることで、冷静に今後を考えられる 場合もあります。
なお夫婦には同居義務がありますが、この場合は自分の身を守るためですので別居について相手の許可は不要です。
離婚を視野に入れるなら、弁護士への相談も検討してみてください。弁護士なら離婚に向けた手続きや、適正な金額の財産的給付(財産分与・婚姻費用・養育費など)を請求するなど、さまざまなサポートができます。別居をするのであれば、そのまま離婚を前提にすることもできるでしょう。
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5. フキハラを理由に離婚や慰謝料請求はできる?
フキハラを理由にした離婚や慰謝料請求はできる場合があります。方法について解説します。
5-1. 協議離婚や離婚調停なら可能
離婚の手段には、協議、調停、裁判と段階があります。このうち夫婦同士で話し合う協議、家庭裁判所が仲介する調停では、理由に関係なく相手が同意すれば離婚が成立します。そのため、協議離婚や調停離婚であれば、フキハラを原因とする離婚も可能 です。
協議や調停は、話し合いという性質から当事者のみでする場合もありますが、話し合いの進捗次第では離婚合意までに時間がかかってしまうこともあります。不安な場合は協議段階から弁護士に相談し、相手方とのやり取りをお願いするのがおすすめです。
5-2. 裁判離婚は程度や期間、ほかの要因との組み合わせ次第
裁判では、フキハラのみを理由とした離婚が認められるのは難しいでしょう。しかし、別居をしていれば認められる可能性は高まります。
別居をしながら協議、調停、裁判とステップを踏んでいけば、「婚姻関係は継続し難い」と判断され離婚が認められることが大半 です。とはいえ、このあたりの判断は別居期間を含んで総合的に判断されます。モラハラや経済的・身体的DVがあれば離婚できる可能性は高まります。裁判では証拠が問われるので、それらの証拠を確保しておきましょう。
離婚裁判は専門性が高いため、弁護士を立てずにご自身での対応は難しい場合がほとんどです。調停までは弁護士を立てずに対応するケースもありますが、最終的に裁判を考えていたら、弁護士に早めに相談しておくのをおすすめします。
5-3. 慰謝料請求も状況次第
筆者の経験上、フキハラのみを理由に慰謝料を請求するのは難しい印象です。ただし、ほかに暴言や暴力などを受けている場合には、認められる可能性があります。
慰謝料は、100万円以下が相場 です。しかし、体調不良の妻の通院を妨害し、妻や子どもに対し暴言を浴びせ、物に当たるなどしていた事案(東京地裁平成17年3月8日判決)では、250万円もの慰謝料が認められたケースもあります。このように、被害の内容や規模により慰謝料金額は異なるため、フキハラ被害しか受けてないからとあきらめずに、まずは弁護士に状況を相談してみてください。
6. フキハラに関するよくある質問
7. まとめ フキハラによるストレスを感じたら早めに対処を
フキハラは、不機嫌を撒き散らすことによって、周囲に多大なストレスを与えるハラスメントです。もし身近な人からのフキハラに悩んでいる場合は、限界を迎える前に離れることを考えましょう。
フキハラを原因として離婚は可能です。証拠や手続きにより時間はかかることはあっても、最終的には認められるよう進められます。早急かつ確実に離婚や慰謝料請求をしたい場合は、弁護士に相談しながら着々と進めていきましょう。
(記事は2025年1月1日時点の情報に基づいています)