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モラハラとは?特徴や夫婦におけるモラハラの具体例、対応方法まで解説

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モラハラのイメージ図。モラハラの特徴や具体例、対処法について弁護士が解説します
近年、「モラハラ」を理由にした離婚や慰謝料請求を希望する人が増えています。モラハラの判定には継続的かつ一方的な行為や、それに対する客観的な証拠が必要なため、慎重に判断する必要があります。この記事では、モラハラの定義や離婚・慰謝料請求できる基準について、モラハラ案件に注力している弁護士が解説します。
目 次
  • 1. モラハラとは
  • 1-1. モラハラとは精神的な苦痛を与える行為
  • 1-2. モラハラは継続的かつ一方的な行為
  • 1-3. 夫婦間で起こるモラハラの具体例
  • 2. モラハラ問題の特徴
  • 2-1. 表面化しづらい
  • 2-2. 子どもにも悪影響を与える恐れ
  • 3. モラハラ加害者の特徴
  • 3-1. 自己中心的でプライドが高い
  • 3-2. 他責思考である
  • 3-3. 外面がよい
  • 3-4. 束縛気質である
  • 4. モラハラ被害者の特徴
  • 4-1. 気が弱く、争いごとを好まない
  • 4-2. 自分に自信がない
  • 4-3. 他人の意見に同調する
  • 4-4. その他の特徴
  • 5. モラハラ被害への対処法
  • 5-1. 落ち着いて状況を把握する
  • 5-2. モラハラと判断できる証拠を集める
  • 5-3. 信頼できる相手に相談する
  • 5-4. 弁護士のサポートを受ける
  • 6. モラハラをする相手と離婚する方法
  • 6-1. 協議
  • 6-2. 調停
  • 6-3. 裁判
  • 7. モラハラに関してよくある質問
  • 8. まとめ 第三者や弁護士に相談し勇気ある一歩を踏み出そう

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1. モラハラとは

モラハラ(モラル・ハラスメント)とは、明確な定義はないものの、基本的には暴言、無視、人格否定などを「継続的」かつ「一方的」に行い、相手に精神的な苦痛をもたらす行為を指します。

1-1. モラハラとは精神的な苦痛を与える行為

モラハラの一番の特徴は、DV(ドメスティックバイオレンス)と異なり、肉体的な攻撃ではなく、精神的な苦痛を与える行為全般が該当し得るという点です。

DVは、法律上も暴行罪や傷害罪等の犯罪行為に該当するため、違法性の客観的な判別が容易です。しかし、モラハラについては判別基準が曖昧で、客観的にも認知しにくい という特徴があります。

1-2. モラハラは継続的かつ一方的な行為

モラハラのもう一つ大きな特徴として、「継続的」かつ「一方的」である点が挙げられます。

モラハラの具体的な行為には、暴言、無視、人格否定、無理な要求、責任転嫁などが挙げられますが、いずれも単発的かつ短期的なものであればそれほど問題とはなりません。夫婦生活を続ける中で、暴言や無視といった行為におよんでしまうことは、どのような夫婦でも時には起こり得ます。

また、仮にこれらの行為が「継続的」に行われていても、夫婦の関係性が対等であれば、一般的に「夫婦喧嘩」と評価されるでしょう。

問題となるのは、これらの行為が「継続的」かつ「一方的」に行われる場合です。対等ではなく上下関係ができてしまうと、夫婦関係は常に緊張状態に陥ります

結果として、これらの行為を受け続ける側は発言権のみならず、配偶者としての存在価値すら失いかねない状況となる恐れがあります。

1-3. 夫婦間で起こるモラハラの具体例

具体的に「継続的」かつ「一方的」に行われる行為とはどのような行為を指すのでしょうか。ケースバイケースですが、以下のような場合、モラハラとみなされることが多いでしょう。

  • 毎日のように「役に立たない」「価値のない人間だ」といった暴言を投げつける

  • 数カ月間にわたり無視してくる

  • 人格否定となる言葉を投げかけられる

  • 無理な要求をしてくる

  • 常に命令する

  • 生活費を渡さない

  • 束縛したり行動監視したりする

2. モラハラ問題の特徴

モラハラ問題はDVと異なり表面化しにくい特徴があります。また、継続的かつ一方的で長期にわたり行使されるという点から、子どもへの影響も甚大です。

2-1. 表面化しづらい

モラハラには、DVと異なり表面化しにくいという特徴があります。

DVはいわゆる暴力行為を伴うものです。そのため、暴力を受けている瞬間の証拠を残せなくても、後日病院の診断を受けたり痣の写真を撮ったりすることで証明できます。

しかし、モラハラは痣のように残るものがありせん。いつ起こるかわからない中で、録音録画などの証拠確保は難しいでしょう。また、無視など証拠を残すことが不可能 なものもあります。

2-2. 子どもにも悪影響を与える恐れ

モラハラは夫婦間の問題にとどまらず、子どもにも悪影響を与える恐れがあります。

そもそも、夫婦が対等な関係でないため、家庭内は常に緊張感に満ちた状態となっています。そのような中で子どもがのびのびと自由な発言をすることは困難です。不安感から抑うつ症状に陥ったり、自尊心の低下を招いたりする可能性 が考えられます。

また、モラハラが当たり前に行われている家庭で育った子どもは、それ自体が悪いことであると認識できない場合もあります。その結果、将来的に子ども自身がモラハラ行為を行う当事者となるリスクが高まる でしょう。

3. モラハラ加害者の特徴

弁護士として、さまざまなモラハラ加害者と対峙してきましたが、不思議とモラハラ加害を行う人の多くには、いくつかの共通点がみられます。

3-1. 自己中心的でプライドが高い

モラハラ加害者には、比較的高学歴かつ高収入な方が多い傾向です。「自分自身が配偶者を養ってやっている」という考えから、次第に配偶者を対等な立場ではなく、自分よりも劣る存在として認識を歪めます

その結果、人格否定や常に命令するといったモラハラ行為につながります。自分の思い通りにならないことや気に入らないことがあると、家族を思いやる気持ちに欠けた言動をとってしまうのです。

3-2. 他責思考である

モラハラ加害者は基本的に、相手を「自身よりも劣る存在」だと認識しています。そのため、自分は何も悪くなく相手が悪いという思考になりがちです。

このような傾向は、夫婦間のやり取りだけでなく、例えば飲食店のスタッフとのやり取りでも表面化 することがあります。自分自身が「お客様」であるという認識からスタッフを下に見て、何かあれば「自分を怒らせたスタッフが悪い」といった思考が働くケースもしばしばあります。

3-3. 外面がよい

モラハラ加害者は外面が良いことも少なくありません。高学歴・高収入な人も多く、モラハラ被害を周囲の親族や知人に相談しても、「あんなに良い方なんだから、むしろあなたに非があるんじゃないの」などと言われてしまう場合も あります。

その結果、どんどん相談することができなくなり、一人で抱え込み、最終的には考えることすら苦しくなってしまいます。

3-4. 束縛気質である

周囲の人間関係を遮断しようとしてくる人や、友人知人の連絡先を消去させようとするなど、束縛行動をとる人も加害者の特徴です。エスカレートすると、被害者自身の両親や親族との関係についても文句を言うようになります。

その結果、モラハラ被害者は外部と遮断され、自身の現在の状況が他と比べておかしいのか否かの判断ができなくなります。

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4. モラハラ被害者の特徴

加害者と同様に、モラハラを受ける側にも「モラハラ被害者」となりやすい特徴がいくつかあります。

4-1. 気が弱く、争いごとを好まない

そもそも気が弱く、争いごとを好まない人は、モラハラを受けやすい傾向にあります。

当初は対等な夫婦関係であったとしても、「喧嘩を避けるために自分が謝る」「対立しそうな意見は言わない」といった対応を続けていると、モラハラは増長し、夫婦関係の上下関係化が進むでしょう。

4-2. 自分に自信がない

モラハラ被害者は自分に自信がないため、「原因は自分にある」と考えてしまいがちです。加害者からさも当然のように「お前が悪い」と言われると、「これまでもそうだったし、今度もきっと自分が悪いのだろう」と、否定的な言葉を受け入れてしまいます。

4-3. 他人の意見に同調する

モラハラ加害者は基本的に自分自身の意見を次から次へと押し付けてきます。そのため、他人の意見に同調しがちな人ほどあっという間にモラハラ加害者の餌食となってしまうでしょう。

4-4. その他の特徴

モラハラ被害者になりやすい人の特徴としては、他にも以下が挙げられます。

  • 親族関係が希薄

  • 友人が少ない

  • 自己主張が苦手

  • 相談機関を知らない

  • 自己犠牲が強い

  • 責任感が強い

  • 何でも抱え込んでしまう

5. モラハラ被害への対処法

モラハラ被害から抜け出すためには、その環境を変えることが重要です。しかし、加害者への恐怖心から適切に対処できない被害者も多くいます。

モラハラは、適切に対処すれば必ず被害から抜け出す方法があります。下記の方法をもとに、最適な対処法を見つけましょう。

5-1. 落ち着いて状況を把握する

まずは、自分自身が置かれている状況を正確に把握することが大切です。実は、モラハラ相談に来る直前まで、「自分が悪いと思って誰にも相談できませんでした」という人が少なくありません

モラハラは家庭内という閉ざされた空間かつ証拠も残りにくいため、長期にわたって断続的に行われている場合が多くあります。また、ちょっとした場面での無視や否定的な言動の一つひとつを顧みると、「事を荒だてる程のものではないのではないか」と思ってしまうこともあります。

しかし、配偶者に安心して自分の意見を伝えることができないと感じているのであれば、モラハラ被害に遭っているのではないかと考えてみてもよいかもしれません。

5-2. モラハラと判断できる証拠を集める

加害者の中には、自分自身がモラハラをしている自覚のない人も多いのが現状です。そのため、本人や第三者に事実として認識してもらうためには、証拠をできるだけ集めておくべきです。

日常生活の会話や態度に「これはモラハラに当たるのではないか」と感じるものがあれば、ボイスレコーダーやスマートフォンを活用して記録に残しておく とよいでしょう。第三者が見聞きして「モラハラである」と認識できる証拠が多ければ、離婚調停や慰謝料請求の際にも役立ちます。

5-3. 信頼できる相手に相談する

モラハラから抜け出すために重要なのは「誰かに相談する」ことです。その相手は両親でも友人でもかまいません。

ただ、長年モラハラを受け続ける中で、友人はもちろん両親との関係ですら希薄になっている人もいるでしょう。そのような場合は、国や自治体が設けている相談支援窓口などに相談 する方法があります。

「いきなり弁護士に相談するのは敷居が高い」「よく知らない民間団体には相談しづらい」という人も、自治体の専門窓口ならば相談しやすいでしょう。とはいえ、離婚や慰謝料請求が頭の片隅にあれば、親権や財産分与などの法的な争点に対する検討が不可欠です。最終的には1度、弁護士に相談することをおすすめします。

5-4. 弁護士のサポートを受ける

離婚や慰謝料請求などを考えている人は、弁護士からサポートを受けることを検討しましょう。

モラハラ被害者の中には、モラハラ加害者と話をすることはおろか、モラハラ加害者の帰宅を告げるドアのガチャガチャ音を聞くだけでも心臓の鼓動が跳ね上がり、耳鳴りがし、眩暈と吐き気が止まらないという人も少なくありません。そのような被害者が、モラハラ加害者と相対し、話し合いを進めていくのは現実的ではありません。

弁護士に依頼すれば、交渉を弁護士に一任できます。弁護士があなたの代わりに、適切な離婚条件を勝ち取るために、法律の知識とこれまでの経験を駆使して、加害者と話し合ってくれます

実際にサポートを依頼するかどうかは置いておき、まずはモラハラ加害者の主張が専門家の目からみても適切なのか、それとも荒唐無稽で都合のよいことばかりなのかを、弁護士に相談して判断してもらうのも一案です。

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6. モラハラをする相手と離婚する方法

モラハラ加害者は容易に離婚に応じてくれません。ここでは、モラハラ加害者と離婚する方法について、段階ごとに解説します。

6-1. 協議

協議離婚とは、裁判所を利用せず、夫婦の話し合いで取り決めをする離婚のことです。この交渉を弁護士に依頼することも可能です。

裁判所の手続きではないため、定期的に期日が設定されることはありません。毎日のように相手と電話や書面などを通して主張のやりとりの応酬をし、双方が合意に達した際に離婚協議書などを作成して終了となります。

協議離婚は裁判所の期日に縛られないため、双方が解決に前向きであればスピーディーに解決できる手法です。一方で、どちらかが離婚に前向きでない場合は、解決の糸口がなく時間ばかりが経過してしまうデメリットもあります。

6-2. 調停

夫婦での話し合いで合意が得られなければ、家庭裁判所で、調停委員主導の下で話し合いを行う離婚調停に進みます。

調停では、当事者同士が同時に主張し合うのではなく、片方ずつ交代で双方の主張を整理します。両者の意見が出そろってから、合意の余地があるかどうかを探ります。

期日は概ね1カ月から1カ月半に1度程度のペースで開催されます。離婚調停は家庭裁判所で実施する手続きではあるものの、裁判官が最終的な結論を下すわけではありません。そのため、どちらかが解決に前向きでない場合は調停が不成立となり、何も決まらないまま終わってしまう可能性があります。

とはいえ、調停手続では調停委員に加えて、家庭裁判所の裁判官も調停委員会のメンバーとして参画します。「仮に裁判の判決となればこのような結論になるであろう」という方針を示唆しながら話し合いを進めていくため、協議より合意に達しやすい傾向にあるでしょう。

6-3. 裁判

調停が不成立となった場合、離婚を成立させるためにはいわゆる離婚裁判(訴訟)を起こす必要があります。

開催ペースは概ね1カ月から1カ月半に1度程度です。調停手続と異なる点は、裁判を始めてからしばらくは書面(訴状、答弁書、準備書面など)を中心に争点を整理し、判決に向けた準備を進めていくところです。何が争点(主に離婚、親権、養育費、財産分与、慰謝料、年金分割など)になっているかにより期間は大きく異なりますが、判決までに概ね1年前後はかかることが多いです。

争点を整理していく中で、話し合いによる解決の見込みがある場合は、裁判の中でもいわゆる「和解」という形で合意に達することもあります。合意に達しない場合は裁判所が「判決」で判断を下すこととなります。

7. モラハラに関してよくある質問

Q. モラハラ相手と離婚した場合、慰謝料も請求できる?
慰謝料を請求すること自体は可能ですが、請求が必ず認められるわけではありません。一般的に、モラハラ加害者は自身が悪いことをしている認識がないため、慰謝料の支払いに応じてくることはあまり期待できません。 慰謝料を回収するためには、裁判で請求する必要があります。その場合、有利となるよう証拠をきちんと確保しておくことが不可欠です。
Q. モラハラに当たる言葉の例は?
「誰のおかげでメシが食えてると思っているんだ」 ドラマの世界だけで聞くような言葉ですが、現実にこのような言葉を言う人は少なくありません。そもそも、夫婦にはそれぞれの役割やできることがあり、家計の負担をどちらがどの程度担っているかによって夫婦関係に優劣は無いはずです。にもかかわらず、稼いでいる自分が偉いと勘違いし、稼がない相手を下に見るような発言は立派なモラハラです。 「お前みたいなバカが1人で生きていけるわけがない」 そもそもモラハラ加害者は、被害者を自分よりも劣る存在として考えています。自分が養ってあげている、そばにいてあげているという態度を取りつつも、根本的には相手を見下している関係性は、対等な夫婦関係とはいえません。 (子どもに対して)「ママ(パパ)みたいな大人になったらダメだよ」 子どもをどちらかだけの味方に引き込む言動は、モラハラに該当します。基本的にモラハラ加害者は自己の承認欲求が高く、自分自身が常に正しいと考えています。そのため、子どもを含む周囲の人間に対して、相手を非難しつつ自分の正当性を主張する行為が見られる場合は、モラハラだと判断できるでしょう。
Q. モラハラはなおる?
モラハラをする原因次第で改善の余地はありますが、簡単ではないでしょう。 実際に筆者がこれまで多くの相談者から聞いた言葉は、「結婚したら変わってくれると思っていた」「子どもが生まれたら変わってくれると思っていた」「子どもが大きくなったら変わってくれると思っていた」「でも、変わるどころか年々酷くなっていった」というものです。 他人を変えていくことは非常に難しいといえます。それよりも自身の考えや環境を変え、その後の人生を変えていくことが大事だと筆者は考えています。

8. まとめ 第三者や弁護士に相談し勇気ある一歩を踏み出そう

モラハラはDVと異なり表面化しづらい側面がありますが、被害者の心を傷つける立派なハラスメントです。

モラハラ被害者の人が離婚や慰謝料請求に向けた第一歩を踏み出すのは、本当に勇気のいること です。特に、モラハラ加害者が相手となる場合、その道のりは決して平坦なものではありません。

モラハラを受けているかもしれないと感じた際は、第三者への相談や、弁護士などの専門家の適切なサポートを受けましょう。ご自身の人生を改めて価値のあるものとするためには、環境を変える選択肢も検討してみてください。

(記事は2025年1月1日時点の情報に基づいています)

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