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1. 不倫(浮気)の示談とは?
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2. 不倫問題を示談で解決するメリット
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2-1. 早期に慰謝料の支払いを受けられる
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2-2. 相場以上の慰謝料を得られることがある
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3. 不倫の示談金とは?
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3-1. 示談金と慰謝料の違い
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3-2. 不倫の示談金額の相場
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3-3. 不倫の示談金額に影響を与える要素
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4. 不倫の示談交渉とは?
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4-1. 不倫の示談交渉は誰と行う?
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4-2. 示談交渉の流れ
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4-3. 示談交渉時の注意点
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5. 不倫の示談書とは?
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5-1. 示談書を作成する目的
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5-2. 示談書のサンプル
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5-3. 示談書の主な記載事項
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6. 不倫の示談について弁護士に相談するメリット
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7. 不倫の示談に関してよくある質問
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8. まとめ 不倫の示談交渉は男女問題に詳しい弁護士に相談を
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1. 不倫(浮気)の示談とは?
不倫(浮気)の示談とは、慰謝料の支払いなどについて裁判ではなく話し合いで合意することを指します。
不倫をされた被害者が不倫をした配偶者かその不倫相手のどちらか一方と示談するケースもあれば、不倫した配偶者と不倫相手、被害者との3者間でまとめて示談するケースもあります。
2. 不倫問題を示談で解決するメリット
不倫問題を示談で解決するメリットには、主に以下のような点があります。
2-1. 早期に慰謝料の支払いを受けられる
示談ではなく、裁判手続きを通して慰謝料の支払いについて決める場合、不倫の被害者が原告として訴状を提出することから始まり、被告である不倫の加害者からの答弁書を待って書面のやりとりを何度か行ったうえで、裁判上の和解が成立するか、もしくは判決が確定したあとに、ようやく慰謝料が支払われます。
このような裁判手続きでは、早期に和解が成立する場合でも慰謝料が支払われるまで3カ月程度、通常は半年から1年程度の時間がかかります。
一方、示談交渉は当事者同士で日程調整して対面で話し合うか、メールや電話などによる交渉も可能であるため、裁判手続きと比べて格段に早く慰謝料の支払いを受けられるケースも少なくありません。
もちろん、加害者が不倫の事実を認めない場合や、慰謝料の金額がまったく折り合わない場合には、交渉を続けても示談が成立する可能性は低いため、示談のほうが裁判より早く解決できるかどうかは、それぞれの事情によって異なります。
2-2. 相場以上の慰謝料を得られることがある
裁判手続きは、不倫された側の原告だけでなく不倫した側の被告にとっても経済的、精神的な負担が大きいため、裁判手続きになる前に示談したいと考える加害者も少なくありません。
特に、不倫相手も既婚者である、いわゆるダブル不倫のケースでは、被害者から訴訟を起こされると不倫相手の配偶者にも不倫の事実が明らかになってしまう可能性があるため、不倫相手としては裁判手続きになる前に示談したいと考える傾向にあります。
このように、加害者が裁判手続きに持ち込まれたくないと考えている場合、被害者が裁判手続きになることもためらわない姿勢を見せることで、加害者が裁判手続きを避けるために相場以上の慰謝料の支払いに応じるケースがあります。
被害者としては、加害者の経済状況や家族の有無といった事情を考慮し、加害者が相場以上の慰謝料を支払ってでも裁判手続きを避けようとする可能性があるかどうかを見極めることが重要です。
3. 不倫の示談金とは?
不倫の示談交渉を経て支払われる示談金は、慰謝料とどう違うのでしょうか。また、示談金の額はどのように決まるのでしょうか。
3-1. 示談金と慰謝料の違い
示談金とは、法律用語の損害賠償金と同じ意味で、示談交渉の結果、加害者が被害者に支払う金銭全般を指します。一方、慰謝料は被害者が受けた精神的苦痛に対する謝罪や償いのために加害者が支払う金銭のことを指します。
したがって、示談金は慰謝料を含みますが、そのほかの金銭を含む場合もあります。たとえば、被害者が不倫のショックで精神的に不調をきたし通院が必要になった場合の通院治療費などは慰謝料とは異なりますが、交渉の結果、示談金の一部として加害者が支払うケースがあります。
3-2. 不倫の示談金額の相場
不倫の示談金の相場は、不倫が原因で被害者が離婚するかどうかによって異なります。離婚する場合は、不倫によって夫婦関係が修復できないほどのダメージを受けたと考えられ、離婚しない場合と比べて被害者が受けた精神的苦痛がより大きいと判断されるからです。
被害者が不倫を理由に離婚する場合としない場合の示談金額の相場は次のとおりです。
離婚する場合…200万円〜300万円程度
離婚しない場合…数十万円〜100万円程度
3-3. 不倫の示談金額に影響を与える要素
示談金額に影響を与える要素として、被害者が離婚するかどうかのほかに、次のようなものがあります。
婚姻期間の長さ→長いほど高額
子どもの有無や年齢→小さい子どもがいるほど高額
不倫が発覚するまで夫婦関係が円満であったか →円満であるほど高額
不倫の期間や回数→長期間かつ回数が多いほうが高額
不倫発覚後の態度→発覚後も関係を継続した、不倫の期間や回数について虚偽の事実を述べた、不倫関係解消を約束したにもかかわらず約束を破った場合などは高額
被害者への影響→不倫発覚により精神疾患を発症した場合などは高額
加害者の社会的地位や収入→社会的地位や収入が高いほど高額
このうち、不倫した加害者の社会的地位や収入は、裁判手続きで慰謝料が支払われる場合には慰謝料を増額する理由にならないため、示談交渉に特徴的な要素と言えます。
裁判手続きで検討される慰謝料には、加害者に対する罰金という意味合いはなく、慰謝料の額はあくまで被害者の精神的苦痛の大きさによって決まります。一方、示談交渉では被害者の精神的苦痛の大きさに加え、示談が成立せず不倫の事実が公になった場合に加害者に起こり得るリスクの大きさが示談金額に影響します。
これは、不倫が知られることで勤務先の人事評価が下がったり、取引先からの信用を失ったりするなど、社会的地位や収入が下がるリスクを避けたい加害者が、示談金を上乗せしてでも示談を成立させようとする傾向があるからです。社会的地位や収入が高い加害者ほど、こうしたリスクを避けるために示談金を上乗せする傾向が強いことから、社会的地位や年収が金額に影響を与える重要な要素となります。
4. 不倫の示談交渉とは?
不倫の示談交渉はどのように進むのでしょうか。注意点とともに解説します。
4-1. 不倫の示談交渉は誰と行う?
不倫の示談交渉の相手は、配偶者、不倫相手、配偶者と不倫相手の両方、の3つのパターンがあります。
示談交渉を弁護士に依頼して代理で交渉してもらうことも可能です。被害者か加害者の一方にのみ代理人が付いているケースもありますが、双方に代理人が付いている場合は、代理人間で類似のケースの裁判例なども念頭に置きながら交渉が進められます。
4-2. 示談交渉の流れ
示談交渉は、被害者が加害者に対して、不倫の事実を指摘して示談金を請求することでスタートします。代理人を付けずに当事者同士で示談交渉を行う場合、口頭や電話、メールやLINEのやりとりだけで完了するケースもありますが、一般的には、示談交渉がまとまったら示談書を取り交わします。
被害者または双方に代理人が付いている場合は、①被害者から加害者に内容証明郵便を送付→②加害者からの返答を待って交渉→③示談書の締結→④示談書の取り交わし、という流れが一般的です。
4-3. 示談交渉時の注意点
不倫の示談交渉では感情的になってしまいがちですが、努めて冷静でいることが重要です。
たとえば、加害者が示談金の支払いを拒んだり、あまりに低い示談金額を提示してきたりした場合に、加害者の態度を許せない被害者が「加害者の家族や職場に不倫の事実を暴露する」「示談金を払ってくれないなら自殺する」などと脅迫的な言動をしてしまうケースがよく見られます。
しかし、こうした脅迫的な言動があると、示談書を取り交わしたあとになって加害者から「脅迫されて示談金を払わされた」として示談の無効を主張されトラブルになったり、最悪の場合は脅迫罪に問われたりするるおそれもあるため、注意が必要です。
また、示談書に一度サインすると、原則として取り消すことはできません。示談金の支払いに不当な条件がついていないかや、支払い方法や期限が明確になっているかなど、サインする前に確認することが大切です。
5. 不倫の示談書とは?
不倫の示談交渉が成立した際に作成する示談書の目的や書き方について解説します。
5-1. 示談書を作成する目的
示談書とは、示談交渉によって合意した内容を書き留めた書類のことです。示談書を作成しないまま示談金の支払いが行われると、あとになって加害者から「示談金ではなく金を貸しただけだ」などと言われ返金を要求されたり、自分が加害者の場合には被害者から「まだ示談金を受け取っていないから支払ってほしい」などと追加の示談金を要求されるなど、トラブルになる可能性があります。
こうした合意後のトラブルを避けるためにも、示談が成立した際は示談の内容を明確化して必ず示談書を作成しましょう。
5-2. 示談書のサンプル
以下は、示談書のサンプルです。
示談書
○○(以下、「甲」という)と△△(以下、「乙」という)は、乙が甲の妻である□□(以下、「丙」という)と不貞関係にあった件(以下、「本件」という)について、以下のとおり示談した。
第1条(謝罪)
乙は、甲に対し、乙が丙と不貞行為に及んだことを認め、深く謝罪する。
第2条(慰謝料)
乙は、甲に対し、本件の慰謝料として、金●●万円の支払義務があることを認め、令和●年●月●日限り、甲の指定する下記口座に振り込む方法により支払う。支払手数料は乙の負担とする。
金融機関:●銀行 ●支店
口座種別:普通預金
口座番号:●●●●●●●
口座名義:○○
第3条(接触禁止)乙は、甲に対し、方法を問わず、甲及び丙と接触しないことを誓約する。
第4条(清算条項)
甲と乙は、甲と乙の間には、本示談書に定めるもののほかに、何らの債権債務がないことを相互に確認する。
甲と乙の間に示談が成立したことの証として、本示談書2通を作成し、甲乙1通ずつ保有する。
●年●月●日甲)
住所:●県●市●1−2−3
氏名:△△ 印
乙)
住所:●県●市●4−5−6
氏名:○○ 印
5-3. 示談書の主な記載事項
示談書のサンプルで示したとおり、示談書に最低限記載すべき内容は、「不倫の事実があったこと」「示談金額」「示談金の支払い方法」「示談が成立した日付」です。不倫の事実があったことに加えて、加害者から被害者への謝罪の文言を入れる場合もあります。
これらのほかに不倫の示談書に記載されることが多い事項としては、次のようなものがあります。
不倫の当事者が今後接触しないことを約束する内容(接触禁止)
不倫の事実や示談の内容を第三者に口外しないことを約束する内容(口外禁止)
示談書の記載内容以外にはお互いに請求できないことを確認する内容(清算条項)
接触禁止や口外禁止といった禁止事項を定めた場合には、違反した際の違約金の支払いを定めることもあります。また、示談金を分割払いとするケースでは、支払いが遅れた際は残金の一括支払いに加えて遅延損害金を支払うよう記載する場合もあります。
さらに可能であれば、示談金を振り込みで支払う場合の振込手数料をどちらが負担するか(通常は加害者が負担)、示談書を何通作成し誰が保管するかまで記載しておくと、将来的なトラブル発生のリスクをよりいっそう回避できます。
なお、示談書のサインは被害者と加害者双方がする必要がありますが、弁護士が代理人として示談交渉を行い示談書を取り交わす場合には、当事者本人ではなく代理人がサインしても、示談書は成立します。
6. 不倫の示談について弁護士に相談するメリット
不倫の示談交渉では、加害者が不倫の事実を認めなかったり、不倫自体は認めてももう一方の加害者からしつこく誘われて断れなかったなどと言い訳して責任を逃れようとしたりするケースが珍しくありません。反対に、被害者が怒りのあまり加害者に脅迫的な言動をしたり、加害者の自宅や職場に押しかけてトラブルになったりするケースもあります。
実際に弁護士として筆者が相談を受けたケースでも、被害者が加害者に対して自殺をほのめかす画像やメッセージを送ったことで、警察に通報される事態となった事例がありました。
このように、示談交渉を当事者本人が行うには、自分自身はもちろん交渉の相手もある程度冷静でいなければうまくいきません。また、示談交渉では相場を超える金額が支払われることも珍しくないため、示談金がいくら発生する見通しなのかはケースバイケースと言えます。
弁護士に相談すれば、示談交渉に臨むにあたって入手しておきたい不倫の証拠の収集から、個別のケースごとの妥当な示談金額、相手の性質に応じた交渉の方針などについてアドバイスを受けることができます。また、弁護士に代理人として交渉してもらえば、相手と直接やりとりする必要がなくなるので、精神的な負担も軽減できます。
7. 不倫の示談に関してよくある質問
8. まとめ 不倫の示談交渉は男女問題に詳しい弁護士に相談を
不倫の示談交渉は、単に示談金の金額について主張し合うだけではなく、不倫発覚後の夫婦関係や不倫関係を解消するための約束事など、個々のケースごとに重要なポイントが異なります。
配偶者の不倫が疑われる場合や、不倫相手の配偶者から慰謝料を請求された場合は、できるだけ早く男女問題に詳しい弁護士に相談し、不倫の示談交渉も含め適切なアドバイスを受けることをお勧めします。
(記事は2025年4月1日時点の情報に基づいています)