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1. 離婚時に任意売却を選択すべきかの判断基準
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1-1. 不動産が共有名義になっている
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1-2. ペアローンや連帯債務、連帯保証を利用している
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1-3. 離婚後も住宅ローンを返済し続けるのは難しい
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1-4. 夫婦どちらも家に住む予定がない
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1-5. すでに住宅ローンの滞納が始まっている
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2. 離婚時に任意売却を行うメリット
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2-1. 住宅ローンを完済できなくても家を売却できる
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2-2. 競売よりも高く売却できる可能性がある
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2-3. リースバックを利用すれば売却後も住み続けられる場合がある
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2-4. 引っ越し時期や売却条件を調整しやすい
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2-5. 競売よりも周囲に事情を知られにくい
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3. 離婚時に任意売却を行うデメリット
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3-1. 住宅ローンの延滞によって信用情報に影響する場合がある
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3-2. 売却後も住宅ローンの残債を返済する必要がある
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3-3. 金融機関や共有名義人などとの調整が必要
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3-4. 競売が始まっている場合は売却できる期間が限られる
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4. 任意売却を「離婚前」に進めるメリット
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4-1. 配偶者と連絡や話し合いをしやすい
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4-2. 売却後の残債について話し合いやすい
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4-3. 離婚後の生活設計を立てやすい
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4-4. 離婚後の金銭トラブルを回避しやすい
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5. 離婚時に任意売却が難しい場合の対処法
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5-1. 住宅ローンを返済しながら家を所有し続ける
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5-2. 金融機関に返済条件の変更を相談する
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5-3. 親族からの援助などで不足分を補い、通常売却する
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5-4. 個人再生や自己破産などの債務整理を検討する
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6. 離婚時の任意売却に関するよくある質問
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7. まとめ|離婚時の任意売却は状況に応じて判断しよう
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1. 離婚時に任意売却を選択すべきかの判断基準
離婚時にオーバーローンの家を任意売却すべきかどうかは、家や住宅ローンの名義、返済状況、離婚後の収入、どちらかが家に住み続ける予定があるかなどによって異なります。
オーバーローンであっても、離婚後も住宅ローンを無理なく返済でき、家を所有し続けたいのであれば、必ずしも任意売却をする必要はありません。
一方、返済を続けることが難しい場合や、夫婦の関係を整理するためにオーバーローンの家を手放したい場合には、任意売却が有力な選択肢となります。
ここからは、任意売却を検討する際の主な判断基準を解説します。
離婚時に家を売却する場合、まずは売却代金や自己資金で住宅ローンを完済できるかを確認しましょう。
家の売却価格が住宅ローン残高を上回る「アンダーローン」の場合は、通常の売却を検討できます。また、売却価格が住宅ローン残高を下回る「オーバーローン」であっても、不足分を自己資金で補って完済できれば、通常の売却が可能です。いずれの場合も、仲介手数料などの売却費用を含めて資金が足りるかを確認する必要があります。
一方、返済を続けることが難しく、売却代金や自己資金でも完済できない場合には、「任意売却」が選択肢となります。任意売却とは、金融機関などの債権者の同意を得て、住宅ローンを完済できなくても抵当権を抹消してもらい、家を売却する方法です。売却後に残った債務の返済義務は原則としてなくならないため、その返済方法についても債権者と話し合う必要があります。
住宅ローンの滞納を放置すると、残額の一括返済を求められ、最終的には債権者の申立てにより、裁判所の手続きで家を売却する「競売」に進む可能性があります。任意売却は、こうした競売を避けるためにも検討される方法です。
ただし、任意売却のために必ず一定期間の滞納が必要というわけではありません。滞納前でも、離婚後の収入や生活費の変化などから返済の継続が難しいと見込まれる場合には、金融機関に相談できます。実際に任意売却を認めてもらえるかは、返済の見通しや売却条件、金融機関などの方針によって異なります。任意売却をするために自己判断で返済を止めず、早めに相談しましょう。
なお、オーバーローンであっても、離婚後も無理なく返済を続けられ、家を所有し続けたいのであれば、必ずしも売却する必要はありません。
ここからは、家や住宅ローンの名義、離婚後の返済見通し、居住予定などを踏まえ、家の売却を検討したい主なケースを解説します。
1-1. 不動産が共有名義になっている
まずは、家が夫婦の共有名義になっていないかを確認しましょう。
共有名義の不動産全体を売却する場合は、原則として共有者全員の同意が必要です。また、大規模なリフォームなど、不動産を大きく変更する行為についても、他の共有者の同意が必要になることがあります。
共有状態を離婚後も続けると、次のようなトラブルが生じる可能性があります。
家を売りたいのに、他の共有者の同意が得られない
固定資産税や修繕費などの負担をめぐってもめる
一方が自分の共有持分を第三者に売却し、知らない人と共有状態になる
共有者が亡くなり、相続人が新たな共有者になる
共有物分割請求を受け、裁判所の判断によっては競売になる
離婚後は元配偶者との連絡が取りにくくなり、売却や費用負担について話し合うことが難しくなる場合もあります。
そのため、共有名義のままにするのであれば、離婚後の管理方法や費用負担について十分に話し合っておく必要があります。共有状態を解消したい場合は、夫婦のどちらかの単独名義にするか、家の売却を検討しましょう。
オーバーローンで通常の売却が難しい場合には、任意売却も選択肢となります。
1-2. ペアローンや連帯債務、連帯保証を利用している
住宅ローンの契約内容も確認しておきましょう。
たとえば、夫婦がそれぞれ別の住宅ローンを組む「ペアローン」や、一つの住宅ローンについて夫婦双方が返済義務を負う「連帯債務型」を利用しているケースがあります。また、一方が住宅ローンの契約者となり、もう一方が連帯保証人になっている場合もあります。
ただし、住宅ローンの返済義務や連帯保証人としての責任は、離婚しただけではなくなりません。
そのため、離婚後も家を所有し続ける場合には、借り換えや債務引受などによって、家に住み続ける人に住宅ローンを一本化できないか金融機関に確認します。元配偶者が連帯保証人になっている場合は、連帯保証人から外せないかについても金融機関に相談しましょう。
ただし、住宅ローンの一本化や連帯保証人の変更には、金融機関の審査や承諾が必要です。新たな保証人や追加の担保などを求められることもあります。
ローン関係を整理することが難しく、離婚後も夫婦のどちらかが返済リスクを負い続ける場合には、家の売却を検討することをおすすめします。
1-3. 離婚後も住宅ローンを返済し続けるのは難しい
離婚後も家を所有し続けるのであれば、住宅ローンを継続して返済できるかを確認する必要があります。
離婚すると、夫婦二人の収入で生活していた世帯が別々に暮らすことになり、家賃や生活費などの負担が増える場合があります。養育費などの支払いが新たに発生するケースもあるでしょう。
現在は住宅ローンを返済できていても、離婚後の収支によっては返済が難しくなる可能性があります。
住宅ローンの残高だけでなく、離婚後の収入や生活費、養育費、新居の費用なども含めて収支を確認しましょう。
返済を続けることが難しいと考えられる場合には、滞納する前に金融機関へ相談するとともに、通常売却や任意売却を検討することが大切です。
1-4. 夫婦どちらも家に住む予定がない
離婚後に夫婦のどちらも家に住む予定がないのであれば、家を売却して権利関係を整理する方法が考えられます。
売却価格と自己資金で住宅ローンを完済できるのであれば、通常の売却が可能です。オーバーローンで不足分を補うことが難しい場合には、任意売却を検討します。
一方、夫婦のどちらかが離婚後も家に住み続けたい場合には、まず住宅ローンを返済しながら家を所有し続けられないか検討しましょう。
家や住宅ローンが共有名義になっている場合には、可能であれば住み続ける人の単独名義に変更できないか、金融機関にも相談します。一般的に、住宅ローンは契約者本人が住むことを条件としているため、契約者が家を出て元配偶者だけが住み続ける場合は、契約上の問題がないか事前に金融機関へ確認しましょう。
なお、任意売却をした場合でも、必ず退去しなければならないとは限りません。買主との間で賃貸借契約を結ぶ「リースバック」を利用できれば、売却後も同じ家に住み続けられる場合があります。
ただし、リースバックを利用できるかどうかは、買主や債権者との交渉、家賃を支払えるかなどによって異なります。
1-5. すでに住宅ローンの滞納が始まっている
すでに住宅ローンを滞納している場合は、できるだけ早く金融機関に相談しましょう。
滞納を放置すると、金融機関などの債権者から住宅ローンの残額を一括請求され、最終的には抵当権が実行されて家が競売にかけられる可能性があります。
競売になると、売却の時期や条件を所有者自身で決めることが難しくなります。また、一般の不動産市場で売却する通常売却や任意売却と比べて、低い価格で売却される場合もあります。
もし、住宅ローンの返済を再開できる見込みがある場合には、返済条件の変更などを金融機関と相談する方法もあります。
一方、今後も返済を続けることが難しく、競売に進む可能性が高い場合には、競売になる前に任意売却を検討することが重要です。
2. 離婚時に任意売却を行うメリット
離婚時に任意売却を行う主なメリットは、住宅ローンを完済できない場合でも、債権者の同意を得ることで家を売却できることです。
また、競売と比べて市場価格に近い価格で売却できる可能性があり、売却後に残る住宅ローンを減らせることもあります。
条件が合えば、リースバックによって売却後も同じ家に住み続けられる場合もあります。
ここからは、それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
2-1. 住宅ローンを完済できなくても家を売却できる
通常、住宅ローンが残っている家を売却する場合は、売却代金や自己資金を使って住宅ローンを完済し、家に設定されている抵当権を抹消する必要があります。
抵当権とは、住宅ローンが返済されなかった場合に、金融機関などの債権者が、裁判所の競売手続きによって家を売却し、その代金から他の債権者に優先して貸したお金を回収できる権利です。
そのため、住宅ローンの残高が家の売却価格を上回るオーバーローンの場合、売却代金だけでは抵当権を抹消できません。
不足分を自己資金などで補えれば通常売却できますが、それが難しい場合に利用されるのが任意売却です。
任意売却では、金融機関などの債権者の同意を得ることで、売却代金で住宅ローンを完済できず、住宅ローンが残ってしまう状態でも抵当権を抹消してもらえます。
そのため、住宅ローンを完済するための資金を用意できない場合でも、家を売却できる可能性があります。
2-2. 競売よりも高く売却できる可能性がある
任意売却では、通常の不動産売却と同じように一般の市場で買主を探します。そのため、競売と比べて市場価格に近い価格で売却できる可能性があります。
家を高く売却できれば、それだけ住宅ローンの返済に充てられる金額も多くなり、売却後に残る住宅ローンを減らせます。
ただし、任意売却であれば必ず競売より高く売れるわけではありません。実際の売却価格は、物件の状態や立地、市場の状況、債権者との調整などによって異なります。
2-3. リースバックを利用すれば売却後も住み続けられる場合がある
任意売却をした後でも、リースバックを利用することで同じ家に住み続けられる場合があります。
リースバックとは、自宅を第三者に売却した後、その買主と賃貸借契約を結び、家賃を支払いながら住み続ける方法です。
リースバックを利用できれば、次のようなメリットがあります。
引っ越しをせずに生活を続けられる
子どもの転校など、生活環境の変化を避けやすい
家の所有者ではなくなるため、固定資産税など所有者としての負担が原則なくなる
ただし、任意売却をすれば必ずリースバックを利用できるわけではありません。
売却価格や家賃などの条件について買主と合意する必要があるほか、債権者の理解が必要になる場合もあります。
また、住宅ローンの残債がある人は、売却後に残債を返済しながら家賃も支払うことになるため、家計への負担が大きくなる可能性があります。
定期建物賃貸借契約を結んだ場合には、契約期間が満了すると契約は終了します。その後も住み続けるには、貸主と借主が合意して再契約する必要があります。
リースバックを検討するときは、現在の家に住み続けられるというメリットだけでなく、毎月の家賃や残債の返済額も含めて判断しましょう。
2-4. 引っ越し時期や売却条件を調整しやすい
競売では、裁判所の手続きに沿って売却が進むため、所有者が売却時期や価格などを自由に決めることはできません。
一方、任意売却では一般の不動産売却と同じように買主を探すため、買主や債権者との調整が必要ではあるものの、引き渡し時期などについて希望を伝えることができます。
たとえば、「子どもの学校の都合に合わせて引っ越したい」「離婚成立後に家を引き渡したい」といった事情について、買主と相談できる場合があります。
ただし、売却価格や売却時期を売主だけで自由に決められるわけではありません。特に売却価格については、抵当権を抹消する債権者の同意も必要です。
2-5. 競売よりも周囲に事情を知られにくい
競売が始まると、裁判所が運営する「BIT不動産競売物件情報サイト」などで、物件の所在地や外観写真といった情報が公開されます。
そのため、第三者が情報を見れば、その物件が競売の対象になっていることを知る可能性があります。
一方、任意売却は、基本的には通常の不動産売却と同じように売却活動を行います。
不動産ポータルサイトなどに物件情報が掲載されても、一般的に「任意売却物件」と表示されるわけではありません。
家を売りに出していること自体は近隣住民に知られる可能性がありますが、住宅ローンの返済状況などの事情までは分かりにくい点はメリットといえるでしょう。
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3. 離婚時に任意売却を行うデメリット
任意売却にはメリットがある一方、売却後にも住宅ローンが残ることや、債権者などとの調整が必要になるといった注意点があります。
任意売却を選ぶ前に、デメリットについても確認しておきましょう。
3-1. 住宅ローンの延滞によって信用情報に影響する場合がある
任意売却をしたこと自体が、信用情報に事故情報として登録されるわけではありません。
ただし、任意売却に至るまでに住宅ローンを長期間延滞していた場合や、保証会社による代位弁済が行われた場合には、その事実が信用情報機関に登録されます。
信用情報とは、住宅ローンやクレジットカードなどの契約内容や返済状況に関する情報です。
延滞などの情報が登録されると、一定期間、新たなローンやクレジットカードなどの審査に影響する可能性があります。
住宅ローンや自動車ローンなどの新規借り入れができなくなる
クレジットカードが強制解約になったり、新規発行や更新ができなくなったりする
スマートフォン端末などの分割払いができなくなる
信販系の家賃保証会社を利用する賃貸住宅の審査に通らなくなる
なお、任意売却をするために、法律上必ず数カ月間住宅ローンを滞納しなければならないわけではありません。任意売却を始められる時期や条件は金融機関などによって異なります。
返済が難しくなった場合は、意図的に滞納するのではなく、まず金融機関へ相談しましょう。
3-2. 売却後も住宅ローンの残債を返済する必要がある
任意売却をしても、住宅ローンの残債が自動的になくなるわけではありません。
たとえば、住宅ローンが3000万円残っている家を2500万円で売却した場合、売却にかかる費用などを考慮しなければ、単純計算では500万円の住宅ローンが残ります。
この残債については、任意売却後も返済する必要があります。
返済方法については、債権者や、債権を引き継いだ債権回収会社などと話し合います。毎月いくら返済するかは、収入や資産、生活状況などによって異なり、一律の金額が決まっているわけではありません。
また、連帯保証人がいる場合、主債務者が返済しなければ連帯保証人が請求を受ける可能性があります。
残債の返済も難しい場合には、個人再生や自己破産などの債務整理も含め、弁護士に相談することをおすすめします。
3-3. 金融機関や共有名義人などとの調整が必要
任意売却は、所有者一人の判断だけで進められるとは限りません。
主に次のような関係者との調整が必要になります。
関係者 | 必要となる対応 |
|---|---|
抵当権を持つ金融機関など | 住宅ローンが残った状態で抵当権を抹消してもらうため、 |
共有名義人 | 不動産全体を売却する場合は、原則として共有者全員の同意が必要 |
連帯保証人、連帯債務者 | 契約内容や債権者の運用によって、同意や協力を求められる場合がある |
特に家が夫婦の共有名義である場合には、一方だけで不動産全体を任意売却することは原則としてできません。
また、ペアローンなどで複数の住宅ローンが設定されている場合には、それぞれの金融機関との調整が必要になることもあります。
離婚後に元配偶者と連絡が取れなくなると、手続きが進まなくなる可能性があります。そのため、任意売却を検討しているのであれば、できるだけ早い段階から必要な関係者との調整を始めることが大切です。
3-4. 競売が始まっている場合は売却できる期間が限られる
競売手続きがまだ始まっていない段階で任意売却に着手すれば、比較的時間をかけて買主を探せる可能性があります。
一方、すでに競売手続きが進んでいる場合には、任意売却に使える時間が限られます。
任意売却で競売を止めるためには、売買契約を結ぶだけではなく、代金の決済や抵当権の抹消に必要な調整を済ませ、債権者に競売を取り下げてもらう必要があります。
競売が進むほど任意売却を成立させるための時間は少なくなります。特に開札期日(落札者が決まる日)が近づいている場合は、手続きが間に合わない可能性もあるため、早急な対応が必要です。開札によって最高価買受申出人(落札者)が決まった後は、債権者が競売の申立てを取り下げるにはその買受申出人などの同意が必要になるため(民事執行法76条1項)、実務上は開札期日の前日までが任意売却を成立させる期限と考えておきましょう。
住宅ローンを滞納している場合や、すでに競売開始決定通知などが届いている場合には、できるだけ早く金融機関や任意売却に詳しい不動産会社、弁護士などへ相談しましょう。
4. 任意売却を「離婚前」に進めるメリット
任意売却は、離婚前でも離婚後でも行えます。
ただし、夫婦の双方が売却に関わるケースでは、離婚前から手続きを進めておいた方がスムーズな場合があります。
ここでは、離婚前に任意売却を検討する主なメリットを解説します。
4-1. 配偶者と連絡や話し合いをしやすい
先述したように、家が共有名義になっている場合など、任意売却には配偶者の同意や協力が必要になることがあります。
たとえば、次のようなケースです。
不動産が夫婦の共有名義になっている
夫婦がそれぞれ住宅ローンの債務を負っている
配偶者が連帯保証人になっており、金融機関から協力を求められている
離婚後に連絡が取れなくなると、必要な書類への署名や売却条件についての話し合いが進まなくなる可能性があります。
離婚前であれば、離婚条件について話し合う機会にあわせて家や住宅ローンの問題も整理しやすいでしょう。
そのため、任意売却を考えている場合には、離婚成立まで何もせず待つのではなく、早めに売却の方針について話し合うことをおすすめします。
4-2. 売却後の残債について話し合いやすい
オーバーローンの家は、家の価格より住宅ローンの残高の方が大きいため、家単体ではプラスの財産価値がありません。
そのため、その家自体を夫婦で分けるという意味での財産分与は問題になりにくいといえます。
ただし、夫婦に預貯金などほかの財産がある場合は、それらを含めて財産分与について調整することがあります。また、任意売却後に住宅ローンが残る場合には、夫婦間で「どちらがどのように負担するか」を話し合うこともできます。
しかし、夫婦間で取り決めをしても、それだけで金融機関との契約内容が変わるわけではありません。
たとえば、夫婦間では「夫が残債をすべて支払う」と決めても、妻が連帯債務者や連帯保証人になっている場合には、金融機関から妻に請求される可能性があります。
離婚前に任意売却を行えば、実際にいくら住宅ローンが残ったのかを確認したうえで、離婚後の負担について話し合いやすくなります。
4-3. 離婚後の生活設計を立てやすい
任意売却をする前は、家がいくらで売れるのか、売却後に住宅ローンがいくら残るのかが確定していません。
その状態では、離婚後に毎月いくら返済する必要があるのか、新居の家賃をいくらまでにするべきかなどを判断しにくくなります。
任意売却を離婚前に完了できれば、売却後に残る住宅ローンの金額が明確になります。
そのうえで、新居の家賃や引っ越し費用、生活費、残債の返済などを含めた離婚後の生活設計を立てやすくなるでしょう。
ただし、任意売却では売却代金の多くが住宅ローンの返済に充てられるため、新生活の資金として自由に使えるものではありません。新居の契約費用や引っ越し費用などは、別途確保することを前提に準備しましょう。
4-4. 離婚後の金銭トラブルを回避しやすい
家や住宅ローンの問題を残したまま離婚すると、離婚後に次のようなトラブルが起こる可能性があります。
家を売りたいのに元配偶者が売却に協力してくれない
任意売却が終わるまでの固定資産税や維持費をどちらが負担するかでもめる
住宅ローンの返済が滞り、連帯債務者や連帯保証人になっている元配偶者に請求が及ぶ
離婚前に売却や住宅ローンについて整理しておけば、このようなトラブルのリスクを減らせます。
ただし、任意売却後も、残った住宅ローンの返済義務は原則として残ります。離婚前に債権者と返済方法を話し合うとともに、夫婦間でも誰がいくら負担するかを話し合い、合意内容を書面に残しておきましょう。
なお、夫婦間で負担を決めても、債権者の同意なしに連帯債務者や連帯保証人としての責任がなくなるわけではありません。
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5. 離婚時に任意売却が難しい場合の対処法
任意売却が難しいからといって、必ず競売になるわけではありません。
住宅ローンを返済できるのであれば、そのまま返済を続ける方法もあります。また、金融機関に返済条件の変更を相談したり、自己資金を使って通常売却したりする方法も考えられます。
状況に応じて適切な方法を選びましょう。
任意売却を希望しても、売却価格などの条件について金融機関などの債権者の同意が得られない場合や、売却活動を進めても買主が見つからない場合があります。その際は、返済状況や資金の見通しを踏まえて、別の対処法を検討する必要があります。
まだ滞納しておらず、今後も無理なく返済できるのであれば、家を所有したまま返済を続ける方法があります。返済が苦しい場合には、金融機関に返済期間の延長などを相談することも考えられます。
また、新たに親族の援助などを受けられることになり、売却代金で足りない分と売却費用を確保できれば、通常の売却で住宅ローンを完済する方法もあります。返済の継続も資金の確保も難しい場合には、弁護士に債務整理について相談しましょう。
任意売却が成立しないだけで、必ず競売になるわけではありません。ただし、滞納が続き、返済の問題を解決できなければ、競売に進む可能性があります。すでに残額の一括返済を請求されている場合は、自己判断で返済を続けても解決にはならないため、早めに債権者や弁護士に相談してください。
ここからは、任意売却が難しい場合に検討したい対処法を解説します。
5-1. 住宅ローンを返済しながら家を所有し続ける
離婚後も住宅ローンを無理なく返済できるのであれば、家を売らずに所有し続ける方法があります。
夫婦のどちらか一方が住み続ける場合には、可能であれば家と住宅ローンの名義を住み続ける人にそろえられないか検討しましょう。
ただし、住宅ローンの債務者を変更するには金融機関の承諾が必要です。単純に夫婦間で「今後は妻が払う」「家は夫のものにする」と決めるだけでは、金融機関との契約内容は変わりません。
また、住宅ローンの契約者本人が家を出て、契約者ではない元配偶者だけが住み続ける場合には注意が必要です。
住宅ローンは、一般に契約者本人が自宅として居住することを融資の条件としています。契約者が家を出ると契約違反となり、残額の一括返済を求められるなどの問題になる可能性があるため、事前に金融機関へ相談しましょう。
5-2. 金融機関に返済条件の変更を相談する
離婚に伴い、収入が二人分から一人分になったことから、住宅ローンの返済が苦しくなってきた場合には、金融機関に返済条件を変更できないか相談する方法があります。
状況によっては、返済期間の延長や、一時的な返済額の減額などに応じてもらえる場合があります。認められる内容は金融機関や契約内容、本人の収入状況などによって異なります。
返済が難しくなってから何もせず滞納を続けるのではなく、「今後は返済が厳しくなりそう」と感じた時点で早めに相談することが大切です。
相談する際には、現在の収入や支出、今後の収入見込みなどが分かる資料を準備しておくとよいでしょう。
5-3. 親族からの援助などで不足分を補い、通常売却する
任意売却を検討していた場合でも、新たに親族の援助などで資金を確保し、売却代金で不足する金額と売却費用を賄えるようになれば、通常の売却で住宅ローンを完済する方法があります。
オーバーローンであっても、売却代金で不足する金額を自己資金などで補えるのであれば、通常売却が可能です。
たとえば、住宅ローンが3000万円残っている家を2800万円で売却する場合、不足する金額や売却費用などを自己資金で用意できれば、住宅ローンを完済して抵当権を抹消できます。
通常売却には、主に「仲介」と「買取」の2つの方法があります。
仲介:不動産会社に仲介を依頼し、一般の買主を探す
買取:不動産会社や買取業者に直接買い取ってもらう
仲介は、買主を探すまでに時間がかかることがありますが、買取よりも高い価格で売却できる可能性があります。
一方、買取では不動産会社などが直接買主になるため、仲介よりも短期間で売却しやすいことがメリットです。ただし、一般的には仲介よりも売却価格が低くなる傾向があります。
売却を急ぎたいのか、できるだけ高く売りたいのかなどを考えたうえで選びましょう。
5-4. 個人再生や自己破産などの債務整理を検討する
住宅ローンだけでなく、ほかの借金も含めて返済を続けることが難しい場合には、個人再生や自己破産などの債務整理を検討することもあります。
債務整理の種類 | 内容 |
|---|---|
個人再生 | 裁判所を通じて借金を減額し、原則として3年、事情によっては最長5年で返済する手続き |
自己破産 | 裁判所から免責許可を受けることで、原則として借金の支払い義務を免れる手続き |
個人再生は、原則として財産を処分せずに借金を整理する制度です。
一定の条件を満たせば「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」を利用し、住宅ローンの返済を続けながら自宅を残せる場合があります。
ただし、住宅ローン特則を利用したからといって、住宅ローンそのものが減額されるわけではありません。主に住宅ローン以外の借金を整理し、住宅ローンは返済を続ける仕組みです。金融機関に認められれば、返済期間を延長し、月々の支払いを抑えられる場合があります。
一方、自己破産では、免責許可決定が確定すれば、原則として借金の支払い義務を免れます。
ただし、税金や養育費など、自己破産をしても支払い義務がなくならない債務もあります。また、自宅など一定以上の価値がある財産は、原則として処分の対象になります。
個人再生や自己破産のどちらが適しているかは、借金の金額や収入、保有している財産などによって異なります。返済が難しい場合には、早めに弁護士へ相談しましょう。
6. 離婚時の任意売却に関するよくある質問
離婚後でも任意売却はできます。
ただし、家が元配偶者との共有名義になっている場合などは、元配偶者の同意や協力が必要です。
離婚後に連絡が取れなくなると手続きが進まない可能性があるため、任意売却を検討しているのであれば、できるだけ離婚前から売却について話し合っておくとよいでしょう。
なお、離婚前に任意売却を完了させなければならないわけではありません。夫婦の状況や住宅ローンの返済状況に応じて判断してください。
家が自分の単独名義で、住宅ローンについても元配偶者が債務者や連帯保証人などになっていなければ、原則として元配偶者の同意を得ずに任意売却を進められます。
一方、家が共有名義になっている場合は、不動産全体を売却するために元配偶者の同意が必要です。
また、元配偶者が住宅ローンの債務者や連帯保証人になっている場合には、契約内容や金融機関の運用によって協力を求められることがあります。
元配偶者との直接のやり取りを避けたい場合には、弁護士などの専門家を通じて連絡や交渉を行う方法も検討しましょう。
任意売却後の残債を誰が返済するかは、住宅ローンの契約内容によって決まります。
一方だけが住宅ローンの主債務者になっている場合は、原則としてその人が残債を返済します。
ペアローンの場合は、それぞれが自分の住宅ローンについて返済義務を負います。連帯債務型の場合は、夫婦それぞれが金融機関に対して残債全額の返済義務を負います(夫婦間の内部的な負担割合とは別の問題です)。
また、連帯保証人がいる場合、主債務者が返済しなければ、連帯保証人が金融機関から請求を受ける可能性があります。
夫婦間で「夫が残債をすべて支払う」などと取り決めても、その合意だけで金融機関との契約が変更されるわけではありません。
離婚時には、夫婦間の取り決めだけでなく、金融機関との契約上、誰にどのような返済義務があるのかも確認することが重要です。
7. まとめ|離婚時の任意売却は状況に応じて判断しよう
離婚時に自宅の売却を希望する際、任意売却は、オーバーローンで通常の売却が難しい場合に、住宅ローン問題を整理するための有力な選択肢です。
特に、「離婚後は夫婦のどちらも家に住まない」「住宅ローンを返済し続けることが難しい」「家や住宅ローンの関係を離婚後まで残したくない」といった場合には、任意売却を検討する価値があります。
一方、離婚後も住宅ローンを無理なく返済できる場合や、どちらかが家に住み続けたい場合には、必ずしも任意売却が最適とは限りません。借り換えや住宅ローンの返済条件の変更など、ほかの方法が適している場合もあります。
また、任意売却には金融機関などの債権者との調整が必要です。家が共有名義になっている場合には、共有者の同意も必要になります。
任意売却をするべきかどうか迷っている場合は、住宅ローンの残高や家の査定額、名義関係、離婚後の収支などを整理したうえで、任意売却に詳しい不動産会社や弁護士などに相談しましょう。
(記事は2026年11月1日時点の情報に基づいています)