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離婚後も自宅を共有名義のまま名義変更していないとどうなる?8つのリスクと4つの回避法

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離婚後も家を夫婦の共有名義のままにしておくと、トラブルにつながりかねません(c)Getty Images
離婚しても不動産を夫婦の共有名義のままにしておくことはできます。例えば将来子どもに残したい場合などは、名義変更しないのも1つの選択肢です。 一方で、夫婦の共有名義の不動産を名義変更しないと、不動産を自由に売却・活用できなかったり、固定資産税や維持管理費の負担割合でトラブルになったりするリスクがあります。 将来的なトラブルを回避するためにも、離婚時には早めに財産分与を行い、不動産の名義を変更しておくことをおすすめします。 離婚後も夫婦の共有名義のまま名義変更しない場合のリスクについて、離婚時の不動産の扱いに詳しい弁護士が解説します。
目 次
  • 1. 離婚後も共有名義のまま名義変更していない場合のリスク
  • 1-1. 不動産を自由に売却したり活用したりできない
  • 1-2. 元配偶者の同意なしでは不動産担保ローンが組めない
  • 1-3. 元配偶者が住宅ローンを滞納する
  • 1-4. 固定資産税や維持管理費の負担割合でトラブルになる
  • 1-5. 元配偶者が共有持分を第三者に売却する
  • 1-6. 相続が発生して権利関係がさらに複雑化する
  • 1-7. 共有物分割請求訴訟を起こされる
  • 1-8. 居住する側と退去する側で、不公平感からトラブルになる
  • 2. 離婚による共有名義の変更(財産分与)を行う方法
  • 2-1. 住宅ローンを完済している場合
  • 2-2. 住宅ローンが残っている場合
  • 3. 離婚に伴う共有名義の名義変更にかかる費用と税金
  • 3-1. 登録免許税
  • 3-2. 譲渡所得税
  • 3-3. 司法書士への報酬
  • 3-4. 贈与税・不動産取得税
  • 4. 離婚後も共有名義のまま名義変更していない場合の4つのトラブル回避法
  • 4-1. 持分移転登記を行い単独名義にする
  • 4-2. 「不分割特約」を結び、共有物分割請求を防ぐ
  • 4-3. 元配偶者の同意を得て共有名義不動産全体を売却する
  • 4-4. 自分の共有持分だけを売却する
  • 5. 離婚後も共有名義のまま名義変更しないことに関するよくある質問
  • 6. まとめ|離婚後の共有名義は放置せず、財産分与で早めに整理しよう
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1. 離婚後も共有名義のまま名義変更していない場合のリスク

自宅の名義が夫婦の共有名義だったとしても、離婚しただけでは不動産の名義は変更されません。そのため、変更手続きをしなければ共有名義のまま所有し続けることができます。しかし、離婚後も名義変更せずに共有名義のままにしておくと、、これから述べるような実務的な問題が生じやすくなるため、なるべく離婚とともに共有状態を解消する(名義変更する)ことをおすすめします。

1-1. 不動産を自由に売却したり活用したりできない

夫婦の共有名義の不動産は、どちらか一方の意思だけで売却や活用ができません。これは、民法に、他の共有者の同意を得なければ、共有物の売却や活用といった行為ができないと定められているためです(民法251条及び民法252条)。

共有名義の不動産は共有者全員のものであるため、原則として売却したり活用したりするには共有者全員の同意が必要です。ちなみに、共有不動産に対する行為は大きく分けて「保存行為」「管理行為」「変更行為」の3種類があり、それぞれ同意条件が異なります。

行為の内容によって同意を取らなければならない割合は異なります。特に、売却や大規模リフォームのように、不動産自体の性質が大きく変わる行為については原則として共有者全員の同意が必要です。

例えば元妻が財産分与された不動産であっても、共有名義のままでは、元妻の独断で売却したり賃貸に出したりすることはできません。必ず元夫と連絡を取り、同意を得る必要があります

とはいえ、離婚後は関係が悪化しやすく、感情的なもつれから同意形成が難しいケースは少なくありません。あるいは、そもそも連絡がつかないというケースも見られます。

もう1つ考慮すべきなのが、年月が経って相手が認知症になってしまう可能性です。認知症などによって判断能力が低下すると、たとえ本人が処分に賛成していても、有効な意思表示ができないと判断され、売却や活用が認められないケースがあります。

相手が認知症になってしまった場合、売却等には成年後見制度(判断能力が低下した人に代わり、家庭裁判所が選任した人が財産管理を行う制度)の利用や家庭裁判所の許可が必要になるなど、処分手続きが極めて複雑になり、時間や手間が余計にかかるリスクがあります。

1-2. 元配偶者の同意なしでは不動産担保ローンが組めない

不動産担保ローンとは、家や土地を担保にして低金利で高額な借り入れができるローンです。主に、独立開業などの事業資金や子どもの教育費、自宅の大規模リフォーム費用など、まとまった資金が必要な際に利用されます。共有名義の不動産でも不動産担保ローンの利用は可能ですが、不動産全体を担保にしてローンを利用する場合は、原則として共有者全員の同意が必要です。

なお、法的には自分の共有持分のみを担保として抵当権を設定することも可能です。しかし、実際は金融機関が不動産全体に抵当権を設定することを融資の条件としているケースがほとんどであり、共有持分のみを担保にローンを組めるケースは少ないです。

そのため、離婚後に共有名義の不動産を担保にローンを借りたい場合は、基本的に元配偶者と連絡を取り、同意を得る必要があります。行方不明などで連絡が取れない場合や、同意を得られない場合は、不動産担保ローンの利用が難しくなってしまいます。

なお、住宅ローンの支払いが残っている不動産を担保とする場合は融資のハードルがさらに上がります。すでに住宅ローンを組んでいる金融機関が抵当権を設定しているため、不動産の価値がローン残高を大きく上回っていると判断されなければ、新たな審査には通りません。

加えて、住宅ローンの契約内容によっては、金融機関に無断で新たな抵当権を設定することが契約違反となる恐れもあります。つまり、元配偶者の同意を得るだけでなく、現在の借入先である金融機関の承諾も必要であり、希望通りに資金を調達するのは難しいでしょう。

1-3. 元配偶者が住宅ローンを滞納する

夫婦で不動産を共有名義にしている場合、住宅ローンについても共有名義で契約しているケースも少なくありません。しかし、離婚後もローンの共有状態を解消せずにいると、元配偶者が滞納した際に大きなリスクが生じます。

例えば、共有持分を持つ元夫が家から退去し、元妻がそのまま住み続けるケースは多く見られます。この場合、何らかの理由で元夫が自身のローン返済を滞納すると、住んでいる元妻に大きな影響が及びます。

共有名義に伴って夫婦が共同で組む住宅ローンには以下の3つの形態があり、相手が滞納した場合はもう一方に返済義務が生じます。

支払方法

滞納した場合

ペアローン

夫婦それぞれが住宅ローンを組む

連帯保証人として、
相手が滞納した分の支払い義務を負う

連帯債務型

一方が主債務者、
もう一方が連帯債務者になる

もう一方が、滞納分を含めた
残債に対する返済義務を負う

連帯保証型

一方が主債務者となり、
もう一方が連帯保証人になる

連帯保証人であるもう一方が、
代わって返済義務を負う

もし元妻が元夫の滞納分を代わりに支払えない場合は、家が差し押さえられ、最終的に競売にかけられてしまいます。その結果、元妻は突然住む家を失うリスクがあります。

特に離婚調停でもめた場合は、夫が意図的にローンを返済しないといったトラブルも見られます。あるいは、離婚後の経済的な変化でどうしても夫が返済できなくなった、という事例も珍しくありません。

住宅ローンの返済には離婚といった私的な事情は考慮されないため、共有名義のまま名義変更せずにいると、このようなトラブルに発展する可能性があります。

1-4. 固定資産税や維持管理費の負担割合でトラブルになる

不動産は所有し続ける限り、固定資産税や維持管理費の支払いが発生します。これらは共有持分にしたがって共有者全員が負担するのが原則ですが、離婚した夫婦の場合は実務上、いったんどちらかが全額支払っておき、後日、元配偶者に請求するパターンがほとんどです。

特に固定資産税は、納税通知書が共有者全員に届くわけではなく、「代表者」として登録された1名のみに送付されます。例えば、夫婦共有名義の家で元夫が代表者になっている場合、固定資産税の納税通知書は元夫宛てに届くのが基本です。

しかし、すでに代表者である元夫が家を出ているケースも少なくないため、元夫が通知を無視したり、現在住んでいるのが元妻だった場合など、自分はもう関係ないといって支払いを拒否したりするといったトラブルに発展するケースもあります。

また、固定資産税は共有者それぞれに「持分だけ請求される」わけではありません。自治体は共有者全員に対して納税義務を負わせる「連帯納税義務」という扱いをしているため、たとえ自分の分だけ納めていても、相手が支払っていなければ未払い扱いになり、最終的には不動産全体が差し押さえの対象になります。そのため、「とりあえず差し押さえを避けるために、現在住んでいる側が全額支払う」という対応になりやすいのが実情です。

立て替えた分は後から元配偶者に請求(求償)できますが、相手が支払いを拒否した場合、最終的に調停や訴訟といった法的な手続きをとるしかありません。多大な労力と費用がかかるうえに、元配偶者との関係がさらにこじれるリスクがあります

1-5. 元配偶者が共有持分を第三者に売却する

共有名義の不動産は、自分の持分のみであれば自由に売却できるため、すでに退去した元配偶者が独断で、第三者に共有持分を売却してしまう場合があります

つまり、もう一方にとっては赤の他人と不動産を共有する状態になるため、以下のようなさまざまなトラブルに発展するリスクがあります。

  • 突然、共有持分の買取交渉を持ちかけられる

  • 不動産全体の売却を求められる

  • 共有物分割請求を起こされる

  • 家賃相当額(使用料)の請求を受ける

もっとも、共有持分だけでは不動産を自由に利用できないため、一般的な個人の買主が現れるケースは少ないです。そのため、共有持分専門の買取業者が購入することが多くなります。

専門の買取業者は、最終的に不動産全体を単独所有にしたうえで再販することで利益化するビジネスモデルをとっています。そのため、他の共有者に対して残りの持分の買取交渉を行ったり、不動産全体の売却を提案したりすることもよくあります

その結果、離婚後もその家に住み続けている人は、持分の買取交渉や不動産全体の売却を求められ、最終的に住み続けることが難しくなる可能性があります。

「思い出がある」「子どもに家を残しておきたい」と考えていても、共有名義のまま放置していると、自分の意思だけでは家を守れなくなるリスクがあるため注意が必要です。

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1-6. 相続が発生して権利関係がさらに複雑化する

名義人が亡くなった場合、その共有持分は法定相続人に引き継がれます。法定相続人とは、民法で定められている「相続する権利を持つ人」のことです。法定相続人になれる範囲と順位は決まっており、代表的には以下のとおりです。

  • 配偶者:常に法定相続人になる

  • 子ども:第1順位

  • 親(直系尊属):第2順位

  • 兄弟姉妹:第3順位

例えば、亡くなった人に配偶者と子どもがいる場合は、配偶者と子どもが法定相続人になります。一方、子どもがいない場合は、親や兄弟姉妹へ順位が移ります。もし、離婚後に共有名義を放置したままにすると、相続によって面識のない相手と共有状態になる可能性があります。

例えば、元夫が離婚後に再婚し、再婚相手との間に子どもがいた場合、元夫の共有持分は再婚相手やその子どもへ相続されます。その結果、元妻は元夫の再婚相手と不動産を共有する状態になる可能性があります。

共有者が亡くなり相続が発生すると権利関係がより複雑になることを示した図解。例えば元夫が所有していた2分の1の持分は再婚相手やその間の子どもに相続されてしまうことがある
共有者が亡くなり相続が発生すると権利関係がより複雑になることを示した図解。例えば元夫が所有していた2分の1の持分は再婚相手やその間の子どもに相続されてしまうことがある

この状態になると、不動産を売却したい場合でも、再婚相手側と連絡を取りながら話し合いを進めなければなりません。しかし、相続人同士は必ずしも利害関係が一致するとは限らず、「住み続けたい」「売却したくない」といった意見対立から、協議がまとまらないケースも考えられます

さらに、問題を解決しないまま年月が経過すると、今度は元妻側でも相続が発生し、その相続人へ共有持分が引き継がれていきます。

このように共有名義の不動産は、相続を重ねるたびに共有者が増えていき、権利関係が複雑化していきます。最終的には、「誰が共有者なのか把握しきれない」「連絡先が分からない共有者がいる」といった深刻な問題へ発展する可能性もあります。

1-7. 共有物分割請求訴訟を起こされる

不動産における共有物分割請求訴訟とは、裁判所に強制的に共有不動産を分割してもらう手続きです。民法256条によって、共有者であれば誰もが分割を請求する権利が認められています。

例えば元夫の死後、持分を相続した再婚相手から訴訟を起こされても、元妻は原則として訴えを拒否することはできません

共有物分割請求訴訟では、裁判所が最終的な不動産の分割方法を決定します。裁判所の判決には法的拘束力があるため、希望しない結果になったとしても従わなければなりません

共有物分割請求訴訟による分割方法には、「現物分割」「代償分割」「換価分割」の3種類があります。

共有物分割請求訴訟による3種類の分割方法を示した図解。現物分割、代償分割、換価分割があり、基本的には「現物分割」もしくは「代償分割」が優先的に選択される
共有物分割請求訴訟による3種類の分割方法を示した図解。現物分割、代償分割、換価分割があり、基本的には「現物分割」もしくは「代償分割」が優先的に選択される

基本的に裁判所は共有者全員が公平になる分割方法を選択します。民法上は不動産を物理的に分ける「現物分割」が原則とされていますが、実際は物理的な分割が難しいケースが多いため、どちらか一方が不動産を取得し、もう一方へ現金を支払う「代償分割」が選択されることが多く見られます

元妻・元夫の再婚相手のどちらも資金力がない場合は、不動産を売却して代金を分ける「換価分割」が選択される可能性があります。協議がまとまらない場合は、競売手続きへ進むケースもあります。

この場合、住み続けている側が希望しても退去せざるを得ません。訴訟に発展すると、競売によって相場より安く強制的に売却させられるなど、自分にとって不本意な結果を受け入れざるを得なくなるリスクがあります。

1-8. 居住する側と退去する側で、不公平感からトラブルになる

共有名義のまま離婚し、元妻がそのまま家に住み続け、元夫は退去するというケースがよく見られます。この場合、妻は住み慣れた家に住み続けられますが、夫は新たな住居を探さなければなりません

さらには退去後も固定資産税や維持管理費、住宅ローンの支払いが続きます。そのため住む側と退去する側で不公平感が生じやすく、税金などの支払いで連絡を取り合う度に衝突する恐れもあります。

前述のような税金や維持管理費用の支払い拒否といったトラブルにもなりかねないことから、離婚の際は共有名義を解消することが望ましいです。

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2. 離婚による共有名義の変更(財産分与)を行う方法

離婚後も不動産を夫婦の共有名義のままにするのはデメリットが大きいため、基本的には財産分与として、どちらかの単独所有になるよう名義を書き換えるケースが多いです。

離婚による共有名義の変更は、ローン残債の有無で手続きの進め方が異なります

住宅ローンが残っていると、ローンの借り換えや連帯債務者の変更といった煩雑な手続きが必要になる場合もあります。ここでは、離婚による共有名義の変更の進め方について、ローン残債がない場合・ある場合に分けてみていきましょう。

2-1. 住宅ローンを完済している場合

住宅ローンを完済している場合は、夫婦間の話し合いだけで財産分与を行えます。基本的には、相手の持分を自分の持分に移転する「持分移転登記」を選択するケースが多いです。

例えば夫婦で2分の1ずつ所有している不動産を妻が単独取得する場合は、夫の持分を妻へ移転することになります。

手続きの流れとしては、まず離婚協議書を作成し、離婚が成立してから管轄の法務局に持分移転登記を申請します。なお、財産分与は「離婚の成立」を前提とするため、原則として離婚前に財産分与を原因とした登記申請はできません

財産分与による精算方法としては「現物分与」と「代償分与」の2種類があります。「現物分与」は、不動産そのものを一方へ引き渡す方法です。例えば、夫が家を単独取得し、その代わりに預貯金など他の財産をすべて妻に引き渡すなどして、全体のバランスを調整するケースもあります。

「代償分与」とは、一方が不動産を単独取得し、もう一方に差額を現金で支払う方法です。例えば夫が3000万円の家を単独取得した場合は、妻に1500万円を現金で支払います。物理的な分割が難しい不動産を均等に分配できるため、不公平感が少ない方法です。

不動産の価値や他の財産とのバランスを見ながら、双方にとって公平になる方法を選択するとよいでしょう。

2-2. 住宅ローンが残っている場合

ほとんどの住宅ローンは、次のような契約内容となっています。

  • ローンの名義人と住んでいる人が一致している

  • ローンの名義人と登記上の名義人が一致している

離婚によってローンの名義人となっている夫が退去したり、夫婦の共有名義となっている住宅の名義を妻単独にしたりすると、契約違反を問われてローン残債の一括返済を求められる場合もあります。そのため、離婚でローンが残っている家の名義を変更する際は、必ず事前にローン会社への相談が必要です。

なお、離婚を理由に住宅ローンの名義変更が認められるケースは少なく、一般的には次の2つの選択肢から選ぶことになります。

  • 家を売却してローン残債を一括返済する

  • 家を単独所有する人の名義でローンを借り換える

離婚後、どちらも住む予定がなければ、家を売ってその売却金でローン残債を一括返済する方法がよいでしょう。売却代金がローン残債を上回った場合(アンダーローン)は、余ったお金を夫婦で二等分できます。

一方、売却金がローンの残額を下回った場合(オーバーローン)は、自己資金や親族などから不足分のお金を借りるなどして完済するか、金融機関の承諾を得て任意売却します。

あるいは、家を単独所有する方がローンを借り換えて、ローンも単独名義にする方法もあります。ローンの借り換えとは、現在返済中のローンを完済して、別の金融機関でローンを組むことです。金融機関によっては、自社ローンの借り換えサービスを提供しています。

例えば財産分与で元妻が所有者となって住み続ける家が、夫婦のペアローンとなっていた場合、借り換えをして、元妻が新しいローンの単独名義人になります。これによって、不動産およびローンともに名義が元妻となります。

ただし、これは元妻がローンを組めるだけの経済的信用力があることが前提となります。特にペアローンは夫婦合算の収入を審査基準としているため、元妻単独での借り換えは認められにくい傾向にあります。

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3. 離婚に伴う共有名義の名義変更にかかる費用と税金

離婚で共有名義の不動産の名義を変更するには、さまざまな税金や費用が発生します。実際の費用は個々のケースで異なりますが、総額で5万円~20万円程度が相場です。

原則としてそれぞれの支払いは一括で行うため、離婚で名義変更する場合は、ある程度の現金を手元に準備しておく必要があります。

3-1. 登録免許税

登録免許税は、不動産の所有権を移転登記するのにかかる税金です。離婚による所有権移転登記の場合は、「固定資産税評価額×税率2%」の計算式で求められます。

なお、夫婦の共有名義の不動産の場合、移転登記するのはどちらかの持分のみです。そのため、登録免許税が発生するのも持分の部分だけです。

例えば、固定資産税評価額が2000万円の不動産を夫婦それぞれで2分の1ずつ所有しており、夫の持分を妻に移転登記するとします。

まず夫の持分は、「2000万円×1/2=1000万円」となります。この部分を妻に移転登記するため、登録免許税は「1000万円×2%=20万円」となります。

3-2. 譲渡所得税

譲渡所得税とは、不動産や株式を売却して利益が出た場合に、その利益に対して課される税金(所得税+住民税)です。購入当時の金額よりも不動産の価値が上昇している場合に、その上がり幅に対して税金が生じます。

離婚の財産分与として不動産を譲渡する場合、法律上は、財産を手放す代わりに離婚時の財産分与義務を消滅させたと見なされます。

この財産分与義務の消滅が、経済的な利益の享受にあたることから、譲渡が無償・有償にかかわらず、譲渡した側に譲渡所得税が発生する場合があります

譲渡所得税は次の計算式で求められます。

{ 持分を移転したときの時価 - (購入時の取得費 + 譲渡費用)- 特別控除額 } × 一定の税率

税率は不動産の所有期間によって次のように変化します。

種類

所有期間

税率

短期譲渡所得

5年以下

39.63%

長期譲渡所得

5年超

20.315%

10年超所有軽減税率適用

10年超

14.21% ※

※課税譲渡所得6000万円以下の部分に適用。6000万円超の部分は20.315%となります。適用には一定の要件があります

例えば、夫婦で1500万円ずつ出し合って購入した不動産(総額3000万円)のうち、夫の持分2分の1を妻に移転登記すると仮定します。現在の不動産全体の時価は4000万円のため、夫の持分の価値は2000万円となります。また、妻への譲渡にかかる費用は100万円、所有期間は8年とします。

上記の計算式に当てはめると、譲渡所得税は「{2000万円-(1500万円+100万円)}×20.315%=81.26万円」となります。

しかし、実務では離婚の財産分与における名義変更で譲渡所得税が発生することはほとんどありません。住居用の建物には「居住用財産の3000万円特別控除」が適用でき、譲渡によって得る利益が3000万円以下であれば非課税となるためです。上記のケースでも譲渡益は「2000万円-(1500万円+100万円)=400万円」となるため、特別控除の対象になります。

なお、この特例は親子や夫婦など特別な関係にある人への譲渡には適用されないため、離婚成立前の夫婦間で名義変更を行った場合は、特例を利用できず譲渡所得税が発生する可能性があります。そのため離婚による財産分与でこの特例の適用を受けるためには、離婚が成立した後に名義変更の手続きを行うことが重要です。

3-3. 司法書士への報酬

共有名義の不動産の名義変更は自力でもできますが、膨大な書類準備や煩雑な手続きがあるため、実務では専門家である司法書士に任せるのが一般的です。この場合は、各種税金の支払いに加えて、司法書士への報酬がかかります。

離婚による不動産の名義変更のみであれば、報酬相場は2~10万円です。住宅に抵当権がついていたり、ローンが残っていたりする場合は、その処理のために追加報酬が発生するケースもあります。

報酬体系は司法書士事務所ごとに異なるため、事前に見積もりを依頼することをおすすめします。

3-4. 贈与税・不動産取得税

贈与税とは、個人から年間110万円より多くの財産を受け取ったときにかかる税金のことです。一方で不動産取得税とは、不動産を購入したり、贈与を受けたりして取得するとかかる税金を指します。

離婚による財産分与として不動産を単独名義にする場合は、贈与税・不動産取得税は原則発生しません。財産分与は、夫婦が婚姻中に協力して築いた財産を分配するため、無償の贈与(贈与税)や、新規の取得(不動産取得税)には当たらないと見なされるためです。

ただし、財産分与の金額が極端に大きい場合は、贈与税や不動産取得税が発生する場合もあります。これらの税金の発生有無は個別のケースで異なるため、税理士や管轄の税務署などへの相談をおすすめします。

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4. 離婚後も共有名義のまま名義変更していない場合の4つのトラブル回避法

離婚後も共有名義のまま不動産の名義変更をせずにいると、元配偶者との金銭トラブルや相続トラブルに発展しかねません。トラブルにはならなくても、元配偶者と完全に縁が切れず、すっきりしない状態が続く恐れもあります。

そのため、離婚後の元配偶者とのトラブルを避けるには、できる限り早めに共有状態を脱出することが望ましいです。感情的対立を防ぐとともに、自分の財産を守ることにもつながります。ここでは、離婚後も共有名義のまま名義変更していない場合の4つの対処法について解説します。

4-1. 持分移転登記を行い単独名義にする

元配偶者の持分を無償で譲渡してもらうか、有償で買い取って自分の単独名義として登記しなおす方法があります。不動産を自分1人の財産にできるため、売却や賃貸として貸し出したいときも単独で判断できるのがメリットです。

離婚による財産分与であれば、原則として贈与税や不動産取得税はかかりません。離婚後の財産分与を家庭裁判所へ請求できるのは、原則として離婚成立から5年以内です(2026年4月1日施行の改正民法による。同年3月31日以前に離婚が成立した場合は従前どおり2年)。

とはいえ、5年を経過したからといって、財産分与による名義変更が一切できなくなるわけではありません。当事者間で合意があれば、5年経過後でも財産分与を原因とした名義変更を行うことは可能です。

一方で、元配偶者との協議がまとまらない場合は、家庭裁判所へ財産分与を請求することができなくなるため、持分の売買や贈与など別の方法を検討する必要があります。

有償の場合は、持分に相当する代金を相手へ支払って所有権を譲ってもらう形になり、原則として買主側には不動産取得税や登録免許税が課税されます。特に、不動産価格が購入当時より上昇している場合は、売主側にも譲渡所得税が課税される可能性が高くなります。

一方、無償で譲り受ける場合は通常の贈与として扱われるため、贈与を受けた側には、評価額から基礎控除110万円を差し引いた残額に対して贈与税が課税されます

なお、住宅ローンが残っている不動産の場合、名義変更を金融機関の承諾なしに自由に行えるわけではありません。無償の譲渡・有償の買取のどちらを選択する場合でも、事前に金融機関への相談が必要になります。

無断で名義変更を進めると、住宅ローン契約違反とみなされ、一括返済を求められる恐れもあるため注意しましょう。

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4-2. 「不分割特約」を結び、共有物分割請求を防ぐ

離婚後に元配偶者や元配偶者の再婚相手から共有物分割を請求されると、最悪の場合、家を失う恐れがあります。こうしたリスクを抑える方法のひとつが、「共有物分割禁止特約(不分割特約)」を結ぶことです。

不分割特約とは、民法第256条に基づいて、共有者間で「最長5年間は不動産を分割しない」と約束する特約です。期間満了後は更新することもでき、更新のたびに最長5年間延長できます。

なお、当事者間で不分割特約を結んだだけでは、元配偶者が持分を第三者へ売却した場合、新たな共有者に対して特約の効力を主張できません。

しかし、この不分割特約を法務局で登記しておけば、新たに持分を取得した第三者に対しても「最長5年間は共有物分割請求をしない」という内容を法的に主張できます

例えば、元配偶者が持分を第三者へ売却した場合や、債権者による差し押さえによって第三者が持分を取得した場合でも、不分割特約が登記されていれば、その第三者に対しても特約の効力を主張できます。そのため、有効期間中は共有物分割請求によって直ちに共有関係の解消を求められるリスクを軽減できるのです。

予期せぬ第三者との共有関係に備えるためには、不分割特約を結ぶだけでなく、登記まで行っておくことが重要です。

4-3. 元配偶者の同意を得て共有名義不動産全体を売却する

不動産そのものを手放してしまうのも選択肢の1つです。不動産全体を売却すれば現金が入るため、離婚後に生活を立て直す経済的基盤にもなります。

共有名義の不動産全体を売却するには、共有名義者である元配偶者の同意が必要です。また、実務では、売却代金は持分に応じて元配偶者と分配します。

夫婦で住んでいた家をきれいに清算できるため、「子どもに家を残したい」などの事情がない限りは、気持ちの面でもすっきりする方法と言えます。

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4-4. 自分の共有持分だけを売却する

元配偶者と共有状態を続けていると、不動産の売却やリフォームのたびに連絡や協議が必要になります。1-5で「元配偶者が持分を第三者へ売却するリスク」をお伝えしましたが、反対に言えば「自分の共有持分だけを第三者へ売却する」ことで、自分自身が共有関係から抜け出す有効な解決策になります。

共有持分の売却であれば、他の共有者の同意は一切不要です。そのため、「元配偶者が不動産全体の売却に応じてくれない」「早く共有状態を解消したい」といったケースでも利用できます。

そのため、「元配偶者が不動産全体の売却に応じてくれない」「早く共有状態を解消したい」といったケースでも利用できます

共有持分を売却すれば、共有関係から離脱できるだけでなく、不動産を現金化することも可能です。ただし、共有持分だけでは不動産を自由に利用・処分できないため、市場価値は不動産全体より低くなる傾向があります。

実際の売却先は共有持分を専門に扱う買取業者が中心です。不動産全体の売却より価格が低くなるケースは多いものの、元配偶者との関係を整理したい場合や、将来的な相続トラブルを避けたい場合には有効な選択肢といえます。

5. 離婚後も共有名義のまま名義変更しないことに関するよくある質問

Q. 財産分与に期限はありますか?

離婚に伴う財産分与の請求権には、離婚成立から5年間の除斥期間が設けられています。そのため、元配偶者との協議がまとまらない場合に家庭裁判所へ財産分与を請求するには、原則として離婚成立から5年以内に申し立てを行う必要があります。


ただし、当事者間で合意があれば、5年経過後でも財産分与を原因とした不動産の名義変更は可能です。そのため、元配偶者との話し合いがまとまらない可能性がある場合は、権利を失わないよう5年以内に対応することをおすすめします。

Q. 離婚後かなり時間が経っていても名義変更はできますか?

法的には、離婚後時間が経っていても名義変更は可能です。ただし、離婚による財産分与の除斥期間は5年間の期限があり、これを過ぎて元配偶者から不動産を無償で譲り受けた場合は、贈与税がかかる場合があります


また、有償で買い取る場合は、買い取る側に登録免許税と不動産取得税がかかるほか、不動産の時価次第では売る側にも譲渡所得税が発生します。そのため実務では、節税のために、離婚後は速やかに不動産の売却や名義変更をおすすめしています。

Q. ローンが完済済みでも元配偶者と協議が難航する場合の対策を教えてください

住宅ローンを完済している場合、不動産の名義変更に金融機関の承諾を得る必要はなく、夫婦間の話し合いだけで済みます。しかし実際は、感情的な対立から元配偶者との協議がまとまらないといったことはよくあります


そういう場合は、まずは弁護士への相談をおすすめします。法的な専門家が間に入ることでお互い冷静になり、スムーズに話し合いがまとまるケースが多くみられます。


また、不動産が夫婦の「共有名義」となっている場合、相手の同意がなくても自分の持分だけを売却できる場合もあります。「話し合い自体がストレス」「相手と関わらずに現金化して終わりにしたい」という場合は、訳あり不動産の買取専門業者に一度問い合わせてみるのもひとつの手です。

6. まとめ|離婚後の共有名義は放置せず、財産分与で早めに整理しよう

離婚後も共有名義の不動産を名義変更しないと、処分や税金・維持管理費用の負担を巡って元配偶者とトラブルになりやすいです。将来的なリスクを避けるには、財産分与で早めに権利関係を整理しておきましょう。

実務では、持分を譲ってもらって単独名義にするか、不動産全体を売却してお金に換えるのが一般的です。住宅ローンが残っている場合は金融機関の承諾が必要なため、早めに財産分与に強い弁護士や不動産会社への相談をおすすめします。

(記事は2026年9月1日時点の情報に基づいています)

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