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1. 内縁の妻(夫)の定義・意味は?法律婚との違いは?
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1-1. 内縁(事実婚)とは
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1-2. 内縁の要件|「夫婦同然の生活」などがポイント
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1-3. 内縁と法律婚の違い|メリット・デメリット
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2. 内縁解消時に、離婚と同様に認められる権利・請求は?
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2-1. 財産分与
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2-2. 年金分割
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2-3. 慰謝料
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2-4. 養育費(子どもがいる場合)
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3. 【もっと詳しく】内縁解消時に財産分与で分け合う主な財産
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3-1. 預貯金・現金
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3-2. 不動産
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3-3. 自動車
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3-4. 有価証券(株式・投資信託など)
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3-5. 解約返戻金のある保険
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3-6. 退職金請求権(見込額)
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3-7. 財産分与の対象にならない「特有財産」とは?
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4. 【もっと詳しく】内縁解消時に慰謝料を請求できる主なケース
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4-1. 不貞行為
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4-2. 悪意の遺棄
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4-3. DV・モラハラ
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5. 内縁の場合に認められない権利は?
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5-1. 子どもに対する共同親権
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5-2. 死亡時の相続権
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6. 内縁の妻が産んだ子どもに認められる権利と認められない権利
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7. 内縁解消時に財産分与や慰謝料などを請求するために必要なこと
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7-1. 内縁関係にあったことを証明する
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7-2. 財産分与|お互いの共有財産を把握・評価する
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7-3. 年金分割(3号分割)|内縁を解消したうえで必要書類を提出する
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7-4. 慰謝料|内縁解消の責任が相手にあることを証明する
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7-5. 養育費|お互いの収入を把握する
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8. 内縁解消時の請求が認められないケースは?
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8-1. かなり前に内縁関係が解消されていた
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8-2. 重婚的内縁である
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9. 内縁関係を解消する場合の流れ
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9-1. STEP1|内縁解消の条件を話し合い、合意書を締結する
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9-2. STEP2|家庭裁判所に調停を申し立てる
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9-3. STEP3|内縁解消に伴って必要な手続きを行う
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10. 内縁の夫(妻)が財産分与や慰謝料などを支払わない場合は、弁護士に相談を
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10-1. 内縁解消を弁護士に相談・依頼するメリット
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10-2. 弁護士に依頼して内縁をスムーズに解消できた事例
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10-3. 内縁関係の解消に関する弁護士費用の目安
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11. 内縁の妻(夫)についてよくある質問
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12. まとめ 内縁解消では財産分与・慰謝料などの条件を整理して早めに弁護士へ相談を
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1. 内縁の妻(夫)の定義・意味は?法律婚との違いは?
婚姻届を提出していないものの、夫婦同然の共同生活を営んでいるパートナー同士の関係は「内縁」と呼ばれます。内縁は多くの場面において、法律上の婚姻(法律婚)と同様の法的保護を受けます。
1-1. 内縁(事実婚)とは
「内縁」とは、役所に婚姻届を提出していないものの、夫婦同然の共同生活を営む関係性を指します。「事実婚」とも呼ばれています。法律上の婚姻手続きをしていない点が法律婚との大きな違いですが、一定の要件を満たせば、法律婚に準じた法的保護を受けられます。
1-2. 内縁の要件|「夫婦同然の生活」などがポイント
内縁が成立するのは、次の3つの要件をすべて満たしている場合です。
互いに婚姻の意思を有していること
法律婚の夫婦と同等の共同生活を営んでいること
社会的に夫婦と認められていること
特に、夫婦として共同生活を営んでいる実態があるかどうかが大きなポイントとなります。短期間同棲しているだけでは直ちに内縁と認められるわけではありません。一方、同居期間が長く、家計を共にしているなどの事情があれば、内縁と認められる可能性が高まります。
共同生活の実態を証明するためには、住民登録(住民票の記載)や家計の分担状況が分かる資料などが役立ちます。
1-3. 内縁と法律婚の違い|メリット・デメリット
内縁と法律婚は、婚姻届を提出しているかどうかが異なるものの、夫婦として共同生活を営んでいる点は同じです。婚姻生活の実質を保護する観点から、内縁は多くの場面において法律婚と同様の法的保護を受けます。
ただし次の事項などについては、内縁と法律婚では異なる取り扱いがなされています。これらの違いを踏まえて、内縁と法律婚のどちらを選択するか判断するとよいでしょう。
【相続権】
法律婚なら配偶者の遺産の相続権がありますが、内縁の場合はパートナーの遺産の相続権がありません。そのため、内縁のパートナーに財産を残したい場合は、遺言書の作成などを検討する必要があります。
【所得税の配偶者控除・配偶者特別控除】
配偶者の所得が一定以下の場合に受けられる所得税の配偶者控除・配偶者特別控除は、法律婚なら対象となりますが、内縁の場合は対象外です。
【戸籍・夫婦別姓の可否】
法律婚の場合は夫婦が同じ戸籍に入り、夫婦の氏を同じにする必要があります。一方、内縁の場合は別々の戸籍のままで、それぞれが従来の氏を使用できます。
【子どもの親権】
法律婚の場合は父母の共同親権となりますが、内縁の場合は養子縁組や親権者変更の手続きをとらない限り、母親の単独親権となります。
2. 内縁解消時に、離婚と同様に認められる権利・請求は?
内縁を解消する際には、法律婚の夫婦が離婚する場合と同様に、次に挙げる金銭などを請求できることがあります。
2-1. 財産分与
「財産分与」とは、夫婦の共有財産を公平に分けることをいいます。法律婚では、婚姻中に夫婦が協力して取得・形成した財産が、原則として財産分与の対象となります。
法律婚の夫婦が離婚する場合のほか、内縁を解消する際にも、内縁期間に取得した共有財産の財産分与を請求できます。名義がどちらになっているかだけで判断されるわけではありません。
2-2. 年金分割
「年金分割」とは、婚姻中の厚生年金の保険料納付記録を分割する制度です。法律婚の夫婦が離婚する場合のほか、内縁を解消する際にも、一定の要件を満たせば年金分割の対象となることがあります。
年金分割の方法には、夫婦間の合意などによって行う「合意分割」と、相手方の扶養に入っていた期間について単独で請求できる「3号分割」の2種類があります。ただし、事実婚関係にある期間のうち、年金分割の対象となるのは、原則として一方が他方の被扶養配偶者として国民年金の第3号被保険者であった期間です。
したがって基本的には、相手が公務員や会社員などの給与所得者で、かつ自分が専業主婦(主夫)やパートなどであって、内縁期間中に相手の扶養に入っていた場合に年金分割(3号分割)の請求を検討します。
2-3. 慰謝料
「慰謝料」とは、精神的苦痛の賠償金です。内縁解消の主な原因がパートナーにある場合には、相手に対して慰謝料を請求できる可能性があります。
慰謝料の対象となる行為は、不貞行為(不倫)・悪意の遺棄・DV・モラハラなどです。金額はケースバイケースですが、100万円から300万円程度で合意する例がよく見られます。
2-4. 養育費(子どもがいる場合)
「養育費」とは、子どもの養育に必要な費用です。パートナーと子どもの間に親子関係があり、内縁解消後に自分が子どもと同居する場合は、内縁解消後の養育に必要な費用(養育費)をパートナーに対して請求できます。
なお、父親であるパートナーに対して養育費を請求するためには、法律上の父子関係が必要です。父子関係を成立させるには、認知が必要となります。認知は役所に認知届を提出して行います。パートナーが認知を拒否する場合は家庭裁判所で認知調停を申し立て、不成立となった場合には認知の訴えを提起して強制的に認知させることもできます。これは婚姻していない男女の間に生まれた子どもについても同様です。
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3. 【もっと詳しく】内縁解消時に財産分与で分け合う主な財産
内縁解消時の財産分与の対象となるのは、内縁期間中にパートナーが協力して形成した財産です。ただし、いずれか一方が内縁開始前から所有していた財産や、相続・贈与などで取得した「特有財産」は、財産分与の対象になりません。
財産分与を適切に行うためには、対象となる財産を漏れなく把握することが大切です。額面が明らかでない財産については、適切に評価することも重要になります。
財産分与の対象となる財産の種類と、財産分与の対象にならない特有財産とは何かを解説します。
3-1. 預貯金・現金
金融機関の口座に預けている預貯金は、通帳や取引明細などから取得した時期や残高を確認し、内縁期間中に取得した部分について財産分与を行います。不自然な出金や口座間の資金移動が見られる場合は、財産を隠している可能性などを考慮して、その経緯も確認しましょう。
手元に保管してある現金(財布、タンス、金庫などにあるお金)も財産分与の対象になりますが、いつ取得したかの記録が残っていないケースが多いでしょう。少額なら大きな問題にはなりにくいですが、数十万円以上のまとまった現金がある場合は、内縁期間中に得たものかどうかを確認したうえで、どのように処理するかを話し合う必要があります。
3-2. 不動産
不動産については登記事項証明書を確認し、内縁期間中に二人の協力によって取得したものであれば、名義にかかわらず原則として財産分与を行います。
不動産は預貯金などとは異なり、財産としての評価額が一義的に決まるわけではありません。不動産鑑定士の評価や不動産会社の査定など、複数の評価方法があるため、どの評価方法を採用するかについてパートナー間でもめるケースもあります。
なお、不動産を購入するためのローン(住宅ローンなど)が残っている場合は、不動産の評価額からローン残高を差し引き、その差額を財産分与に反映させるのが一般的です。
3-3. 自動車
自動車については登録事項等証明書(軽自動車については検査記録事項等証明書)を確認し、内縁期間中に二人の協力によって取得したものであれば、原則として財産分与を行います。
自動車も不動産と同様に、評価額が問題になり得ます。中古車販売店の査定などを用いる方法が一般的です。自動車は経年による減価が大きい傾向にありますが、高級外国車などの中には価値が落ちにくいものもあるので、評価額をきちんと検討してください。
3-4. 有価証券(株式・投資信託など)
株式や投資信託などの上場有価証券については、証券口座のある金融機関が発行する取引残高報告書などから取得日を確認し、内縁期間中に二人の協力によって取得したものであれば、原則として財産分与を行います。
上場有価証券は価値が日々変動するため、評価の基準日を明確に定めることが重要です。どの時点の価格を用いるかによって財産分与額が変わるため、内縁解消時などを基準として評価することになります。
パートナーのいずれかが会社を経営している場合は、自社株式の財産分与も問題になります。純資産や類似業種の上場会社の状況、将来的な収益性を考慮する評価方法などがありますが、どの方法を選択するかによって評価額が大きく変わり得るので注意が必要です。
3-5. 解約返戻金のある保険
保険の解約返戻金請求権も、内縁期間中に支払った保険料に対応する部分は財産分与の対象となります。保険を維持する場合でも、解約返戻金の見込額について財産分与を行うのが公平です。
保険会社から解約返戻金の見込額が分かる書類を取り寄せ、財産分与すべき金額を確認しましょう。
3-6. 退職金請求権(見込額)
勤務先から将来的な支払いが見込まれる退職金についても、その見込額のうち、内縁期間中の勤続期間に対応する部分が財産分与の対象になります。勤務先に退職金見込額の証明書を交付してもらい、財産分与すべき金額を確認してください。
3-7. 財産分与の対象にならない「特有財産」とは?
次に挙げる財産は「特有財産」に当たり、原則として財産分与の対象になりません。
パートナーのいずれかが内縁開始前から有する財産
内縁期間中に相続や贈与によって取得した財産など、二人の協力とは無関係に取得した財産
たとえば、内縁開始前からためていた預貯金や、親から相続した不動産などが特有財産に当たります。
ただし、いずれかの特有財産であることが明らかでない財産は、共有財産として扱われる可能性があります。特有財産だと主張する場合には、通帳や契約書などの資料によって取得時期や取得経緯を示すことが重要です。
法律婚とは異なり、内縁は開始日を明確に特定するのが難しいこともあります。「内縁が始まっていたかどうか分からない」という期間に取得した財産については、同居を開始した時期や家計の状況、周囲から夫婦として認識されていた時期などを踏まえて、財産分与の対象になるかどうかを判断する必要があります。
4. 【もっと詳しく】内縁解消時に慰謝料を請求できる主なケース
内縁解消時に慰謝料を請求できるのは、パートナーが次に挙げる行為などをした場合です。
4-1. 不貞行為
パートナーが別の人と性的関係を持った場合(=不貞行為をした場合)は、慰謝料を請求できます。パートナーに対する請求のほか、不倫相手に対しても慰謝料を請求できる可能性があります。
不貞行為の証拠としては、ホテルや自宅に出入りする場面を撮影した写真・動画や、性的関係をうかがわせるメッセージなどが挙げられます。探偵に調査を依頼する、メッセージの画像やスクリーンショットを保存する、相手に自白させるなどの方法で証拠を確保しましょう。
4-2. 悪意の遺棄
正当な理由なく生活費の分担を拒否する、一方的に別居する、家事や育児を一切行わないといった行為は「悪意の遺棄」に当たります。相手に悪意の遺棄に当たる行為をされた場合は、慰謝料を請求できる可能性があります。
悪意の遺棄の証拠としては、生活費が振り込まれていないことが分かる通帳や、パートナーとのやり取りが記録されたメッセージ履歴などが挙げられます。
4-3. DV・モラハラ
相手から暴力を振るわれた場合(=DVをされた場合)や、侮辱・過度な監視などの精神的な攻撃を受けた場合(=モラハラをされた場合)も、慰謝料を請求できる可能性があります。
DVの証拠としては、暴行の場面を撮影した動画、相手の暴言などが記録されたメッセージ履歴、医師の診断書などが挙げられます。特に暴行によってけがをした場合は、すぐに医療機関を受診して診断書を発行してもらいましょう。
モラハラの証拠としては、侮辱などの言動が記録された録音データやメッセージ履歴、医師の診断書などが挙げられます。精神的な不調が生じた場合には、医療機関を受診し、その記録を残しておくことも重要です。
5. 内縁の場合に認められない権利は?
法律婚の夫婦とは異なり、内縁の場合は認められない権利もあります。その中で特に重要なものは、子どもに対する共同親権と死亡時の相続権です。
5-1. 子どもに対する共同親権
法律婚の場合、夫婦の間に生まれた子の親権者は父母の双方となります。子どもが生まれてから婚姻した場合も、一定の要件を満たせば父母の双方が親権者となります。また2026年4月以降、法律婚の夫婦が離婚した場合には、子どもの親権者を父母の双方と定めることができるようになりました。
このように、父母の双方が子どもの親権者となることを「共同親権」といいます。
一方、内縁の場合、父親が子どもを認知したとしても、原則として子どもの親権者は母親のみです。2026年4月施行の改正民法により、父母の協議または家庭裁判所の審判によって父母の双方を親権者と定めることもできるようになりましたが、父親が認知しただけで自動的に共同親権となるわけではありません。
5-2. 死亡時の相続権
法律婚の夫婦のいずれかが亡くなった場合、もう一方は「配偶者」として遺産を相続することができます。
内縁の場合は法律婚と異なり、パートナーの一方が亡くなっても、もう一方は法定相続人にはならず、原則として遺産の相続権を有しません。相手に財産を残したい場合は、あらかじめ遺言書を作成しておく必要があります。
6. 内縁の妻が産んだ子どもに認められる権利と認められない権利
内縁のパートナーとの間に子どもが生まれた場合、母親と子どもは法律上当然に親子ですが、父親と子どもはそうとは限りません。生物学上は親子でも、父親が「認知」をしなければ、父親と子どもは法律上の親子関係が成立しません。
父親が子どもを認知しない場合、子どもには父親との関係において、次の権利などが認められません。
扶養請求権(父親に対して扶養を請求する権利)
相続権(父親の遺産を相続する権利)
特に扶養請求権は、内縁解消後に養育費を請求する根拠となるため重要です。父親に対し、子どもの認知を求めることを検討しましょう。
父親が子どもを認知しようとしないときは、裁判所で行われる「認知調停」や「認知の訴え」の手続きを通じて認知を求めることができます。
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7. 内縁解消時に財産分与や慰謝料などを請求するために必要なこと
内縁解消時に財産分与や慰謝料などを請求するには、請求の内容に応じて次に挙げる事項の証明や調査が必要になります。内縁を解消する前から、必要な証拠や資料をできる限り確保しておきましょう。
7-1. 内縁関係にあったことを証明する
内縁解消に伴う各種の請求を行うためには、内縁関係にあった事実を証明する必要があります。内縁が成立するかどうかは、主に次のような事情から判断されます。
互いに婚姻の意思を有していること
法律婚の夫婦と同等の共同生活を営んでいること
社会的に夫婦と認められていること
特に共同生活を営んでいた事実を立証するため、次のような証拠を確保しましょう。
同一世帯に属している住民票の写し
共同名義の賃貸借契約書、不動産売買契約書
生活費の分担状況が分かる家計簿、預貯金通帳
子どもの養育状況が分かる資料
7-2. 財産分与|お互いの共有財産を把握・評価する
財産分与を適切に行うには、お互いが管理している共有財産を漏れなく把握し、適正に評価することが重要です。特に相手方が管理している財産について、次に挙げる証拠などを確保しましょう。
財産の種類 | 具体例 |
|---|---|
預貯金 | ・通帳 ・取引明細書 |
不動産 | ・登記事項証明書 ・固定資産評価証明書 ・固定資産課税台帳(名寄帳)の写し ・不動産鑑定書 ・不動産会社の査定書 ・不動産ローンに関する書類 |
自動車 | ・登録事項等証明書(軽自動車の場合は検査記録事項等証明書) ・中古車販売店の査定書 ・自動車ローンに関する書類 |
有価証券 | ・取引残高報告書 ・取引記録 ・(自社株式がある場合)会社の計算書類 |
保険の解約返戻金 | ・保険証券 ・解約返戻金額の証明書 |
退職金請求権 | ・就業規則、退職金規程 ・雇用契約書 ・退職金見込額の証明書 |
相手が財産の開示に応じない可能性もあるため、手元で確認できる資料は内縁解消前に保存しておくとよいでしょう。
7-3. 年金分割(3号分割)|内縁を解消したうえで必要書類を提出する
内縁期間中、厚生年金に加入している相手の被扶養配偶者として国民年金の第3号被保険者であった場合には、年金分割(3号分割)を請求できる可能性があります。
3号分割の請求に当たり、相手方の同意を得る必要はありませんが、内縁解消後に次の書類を年金事務所へ提出する必要があります。
基礎年金番号またはマイナンバーを明らかにすることができる書類(年金手帳、マイナンバーカードなど)
内縁期間を明らかにすることができる書類(住民票の写しなど)
請求日前1カ月以内に作成された、双方の生存を証明できる書類(戸籍謄本、住民票の写しなど。請求書に個人番号を記載する場合は省略可能)
7-4. 慰謝料|内縁解消の責任が相手にあることを証明する
慰謝料を請求するためには、不貞行為・悪意の遺棄・DV・モラハラなど、内縁解消の原因が相手の行為にあることを証明する必要があります。次に挙げる証拠などを確保しましょう。
【不貞行為】
・ホテルや自宅に出入りする場面を撮影した写真、動画
・性的関係をうかがわせるメッセージ
・探偵の調査報告書
【悪意の遺棄】
・生活費が振り込まれていないことが分かる通帳
・悪意の遺棄に当たる言動が記録されたメッセージ
【DV】
・暴行の場面を撮影した動画
・相手の粗野な言動が表れているメッセージ
・医師の診断書
【モラハラ】
・侮辱などの言動が記録された録音データやメッセージ
・医師の診断書
7-5. 養育費|お互いの収入を把握する
内縁解消後の養育費の分担を適切に取り決めるためには、お互いの収入を把握する必要があります。養育費の適正額は、子どもの人数や年齢に加えて双方の収入額も考慮して決まるためです。
相手方の収入について、源泉徴収票や給与明細、確定申告書、課税証明書などの資料を確保しましょう。裁判所が公表している「養育費算定表」も、養育費の金額を決める際の目安となります。
8. 内縁解消時の請求が認められないケースは?
次に挙げる場合には、内縁解消時の財産分与などの請求が認められないことがあるので注意してください。
8-1. かなり前に内縁関係が解消されていた
内縁解消に伴う各種の請求には、次のような期間制限が設けられています。
財産分与 | 内縁解消時から5年 ※2026年3月31日以前に内縁を解消した場合は、内縁解消時から2年 |
|---|---|
年金分割 | 内縁解消時から5年 ※2026年3月31日以前に内縁を解消した場合は、内縁解消時から2年 |
慰謝料 | 損害および加害者を知った時から3年 ※生命または身体を害する不法行為については、損害および加害者を知った時から5年 |
養育費 | 権利を行使できることを知った時から5年 |
内縁を解消してから長い期間が経っている場合は、上記の請求ができない可能性があるので注意が必要です。内縁解消後、速やかに請求を行ってください。
8-2. 重婚的内縁である
内縁のパートナーのいずれか一方または双方に、法律上の配偶者がいる状態を「重婚的内縁」といいます。重婚的内縁は通常、法的保護に値しないものとして取り扱われるため、財産分与などの各種請求が認められません。
ただし法律上の婚姻が実質的に破綻していたなどの事情があれば、例外的に内縁関係として一定の法的保護が認められる可能性もあります。
9. 内縁関係を解消する場合の流れ
内縁を解消する場合に、行うべき手続きの流れを解説します。法律婚のように離婚届を提出する必要はありませんが、財産分与などの条件を取り決めたうえで、必要な各種手続きを行いましょう。
9-1. STEP1|内縁解消の条件を話し合い、合意書を締結する
財産分与・慰謝料・養育費などの条件を、パートナーとの間でよく話し合って決めましょう。各条件には一定の基準や目安があるため、適正な内容かどうかを判断するためにも、弁護士のアドバイスを受けることをおすすめします。
内縁解消の条件について合意が得られたら、その内容をまとめた合意書を作成します。紛失・改ざんを防止し、不払い時の強制執行をスムーズに申し立てるため、公証役場に申し込んで公正証書を作成するのがよいでしょう。
9-2. STEP2|家庭裁判所に調停を申し立てる
内縁解消に関する話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所に「内縁関係調整調停」を申し立てましょう。調停委員が当事者双方から事情を聴き、話し合いによる解決を目指します。
ただし、内縁関係調整調停はあくまで話し合いによる手続きなので、合意できなければ調停は不成立となります。その場合、財産分与や慰謝料などについては、請求内容に応じて別途、審判や訴訟などの手続きを検討する必要があります。
9-3. STEP3|内縁解消に伴って必要な手続きを行う
内縁を解消したら、生活状況の変化に合わせて、必要に応じて次の手続きなどを行いましょう。
住民票の異動(転出、転入、世帯分離など)
健康保険、年金の手続き(いずれかが相手の扶養に入っている場合)
勤務先への届出(内縁に関する手当を受けている場合など)
生命保険の受取人変更(パートナーを受取人にしている場合)
転校に関する手続き(転居に伴って子どもが転校する場合)
手続きによって期限や必要書類が異なるため、内縁解消後は早めに勤務先や自治体、保険会社などへ確認しましょう。
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10. 内縁の夫(妻)が財産分与や慰謝料などを支払わない場合は、弁護士に相談を
内縁のパートナーに対して財産分与や慰謝料などを請求しても、相手がスムーズに支払うとは限りません。支払いを拒否されたり、減額を求められたりしたときは、自力での交渉にこだわらず、弁護士に相談することをおすすめします。
10-1. 内縁解消を弁護士に相談・依頼するメリット
弁護士に相談すれば、スムーズに内縁を解消するにはどうすればいいか、財産分与や慰謝料などの条件はどのような内容が適切かなどについてアドバイスを受けられます。各種請求に必要となる証拠の収集についても、具体的な方法や集めるべき資料についてサポートしてもらえます。
相手との交渉や裁判所での手続きについても、弁護士に依頼すれば対応を任せることができます。適切な条件で内縁を解消できる可能性が高まることに加えて、労力やストレスが軽減される点も大きなメリットです。
特に、相手が財産を開示しない場合や、内縁関係そのものを否定している場合などは、早めに弁護士へ相談するとよいでしょう。
10-2. 弁護士に依頼して内縁をスムーズに解消できた事例
10年以上にわたって内縁関係にあったという方から筆者が相談を受けた際には、財産分与が大きな問題になりました。
相手方は高収入であったものの、当初は財産の内容を明らかにしようとしませんでした。筆者は相手方に対し、内縁解消後も子どもの養育などに関して協力していく必要があるので、できる限り円満に解決することが双方にとって望ましいことを粘り強く伝えました。
最終的には、相手方から自発的に財産を開示してもらうことができ、依頼者も納得できる条件で解決することができました。
10-3. 内縁関係の解消に関する弁護士費用の目安
内縁関係の解消について受任する際の弁護士費用は、離婚事件に準じて設定している法律事務所が多いと考えられます。日本弁護士連合会の旧報酬基準(現在は廃止)では、離婚事件の弁護士費用が次のように示されており、現在も一定の参考になります(いずれも税込金額に修正しています)。
【離婚手続き】
着手金 | 22万円~55万円 |
|---|---|
報酬金 | 22万円~55万円 |
【財産分与、慰謝料等の請求】
着手金 | 経済的利益の額に応じて以下の金額 ・300万円以下の場合:経済的利益の8.8%(最低額は11万円) ・300万円を超え3000万円以下の場合:経済的利益の5.5%+9万9000円 ・3000万円を超え3億円以下の場合:経済的利益の3.3%+75万9000円 ・3億円を超える場合:経済的利益の2.2%+405万9000円 |
|---|---|
報酬金 | 経済的利益の額に応じて以下の金額 ・300万円以下の場合:経済的利益の17.6% ・300万円を超え3000万円以下の場合:経済的利益の11%+19万8000円 ・3000万円を超え3億円以下の場合:経済的利益の6.6%+151万8000円 ・3億円を超える場合:経済的利益の4.4%+811万8000円 |
実際の弁護士費用は依頼先によって異なるので、委任契約を締結する前に必ず弁護士へ確認してください。
11. 内縁の妻(夫)についてよくある質問
自分から内縁解消を求めた場合でも、内縁期間中に二人で形成した共有財産については、原則として財産分与を請求できます。また、相手の不貞行為・悪意の遺棄・DV・モラハラなどが内縁解消の原因となった場合は、自分から解消を切り出したとしても慰謝料も請求できます。
相手と連絡が取れないからといって、直ちに請求を諦める必要はありません。相手の住所を調べたうえで、家庭裁判所の手続きなどを利用して財産分与などの請求ができる可能性があります。自力で相手の所在を把握することが難しい場合は、弁護士に相談してください。
財産分与は、内縁解消後5年以内(2026年3月31日以前に内縁を解消した場合は2年以内)に請求する必要があります。
慰謝料は、原則として損害および加害者を知った時から3年以内(生命または身体を害する不法行為については5年以内)の請求が必要です。期間を過ぎると請求できなくなる可能性があるため、早めに対応しましょう。
内縁を解消しようと考え始めたら、できるだけ早く弁護士に相談してください。弁護士と協力して十分な事前準備を整えることで、スムーズかつ適正な条件で内縁を解消できる可能性が高まります。
財産の管理方法や支出の分担、子どもが生まれた場合の方針などをあらかじめ話し合っておくとよいでしょう。また、住民票の住所を同じにする、勤務先に対して内縁を届け出るなどの手続きを行えば、後に内縁関係を証明する必要が生じた場合に役立ちます。
12. まとめ 内縁解消では財産分与・慰謝料などの条件を整理して早めに弁護士へ相談を
内縁を解消する際には、法律婚の夫婦が離婚する場合と同様に、財産分与・慰謝料・養育費などを請求できることがあります。ただし、請求を認めてもらうためには、内縁関係にあったことや共有財産の内容、不貞行為などを証明する必要があります。
適正な条件でスムーズに内縁を解消するためには、弁護士のサポートが大いに役立ちます。財産や証拠の調査から相手との交渉、裁判所での手続きまで任せることができ、労力やストレスも大幅に軽減されるので、内縁解消を考え始めた段階で弁護士に相談してみましょう。
(記事は2026年10月1日時点の情報に基づいています)