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シェルターとは? DVで避難できる条件や期間を解説

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DVシェルターは暴力から身を守るための施設ですが、DV問題を解決するには警察や弁護士と連携して対処することが重要です(c)Getty Images
暴力を受けていても「どこに逃げればいいかわからない」「誰にも頼れない」と悩んでいる人は少なくありません。特に、配偶者からの暴力(DV)は対処が難しく、被害が深刻化しやすい傾向があります。配偶者からDVを受けているときは、DVシェルターへの避難を検討しましょう。公的機関の窓口へ相談すれば、DVシェルターへの入居を手配してもらえることがあります。DVシェルターの入居条件やDV問題を根本から解決する方法について弁護士が解説します。
目 次
  • 1. DVシェルターとは?
  • 2. DVシェルターの利用料金・生活環境・滞在期間
  • 2-1. 公的シェルターの場合
  • 2-2. 民間シェルターの場合
  • 3. DVシェルターに入居するには
  • 3-1. 入居できる条件
  • 3-2. 入居する際の流れ
  • 3-3. 入居する際の持ち物
  • 4. DVシェルターのメリット
  • 5. DVシェルターのデメリット
  • 6. DVシェルターでの生活に関する注意点
  • 6-1. 生活のルールが決められている
  • 6-2. 子どもの入居は年齢制限などが設けられていることもある
  • 6-3. シェルターからの通学は原則認められない
  • 7. DVシェルターへの入居後にすべきこと
  • 7-1. 転居や子どもの転校・転園の手続き
  • 7-2. DV等支援措置(住民票等の閲覧制限)の申出
  • 7-3. 保護命令の申立て
  • 7-4. 生活保護の受給申請
  • 7-5. 離婚手続き
  • 8. DVで悩んでいるときの相談先
  • 9. DVシェルターに関するよくある質問
  • 10. まとめ シェルターはDV被害から一時的に逃れられるが、問題解決は警察や弁護士に相談を
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1. DVシェルターとは?

「DVシェルター」とは、配偶者などからDV(ドメスティック・バイオレンス)を受けている人を一時的に保護する福祉施設です。「福祉シェルター」ともいいます。

配偶者からDVを受けている人は、そのまま家庭にとどまり続けると、心身がさらに深く傷つくおそれがあります。DVシェルターは、そのような被害者を保護し、安全を確保するために設けられています。

DVシェルターは、自治体が運営する公的シェルター(一時保護施設)と、民間団体が運営する民間シェルターの2つに大別されます。公的シェルターは各都道府県に1カ所以上設けられており、民間シェルターは全国で100を超える団体が運営しています。

DV被害者の安全を守るため、加害者が被害者の居場所を特定できないように、DVシェルターの所在場所は非公開とされています。

2. DVシェルターの利用料金・生活環境・滞在期間

DVシェルターの利用料金・生活環境・滞在期間は、公的シェルターと民間シェルターで異なる傾向があります。

2-1. 公的シェルターの場合

公的シェルターは税金で運営されており、原則として費用はかかりません。生活に必要な物資や食事も、シェルター側が提供します。

施設内では1日のスケジュールが決められており、他の入居者と相部屋になることも多く、生活の自由度は民間シェルターよりも低い傾向があります。

滞在期間は原則として2週間とされていますが、特別な事情がある場合は延長が認められることもあります。

2-2. 民間シェルターの場合

民間シェルターでは、1泊あたり1000円から1500円程度の費用がかかります。生活に必要な物資や食事の提供については施設によって異なり、自分で費用を負担することもあります。

民間シェルターの場合は、1日のスケジュールも施設によって異なります。公的シェルターに比べて自由にスケジュールを決められる施設が多い傾向にあります。相部屋のところもあれば、個室を提供しているところもあります。

滞在期間も施設ごとに異なりますが、最大で1カ月程度としている所が多いようです。こちらも特別な事情があれば延長が認められる場合があります。

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3. DVシェルターに入居するには

DVシェルターに入居するための条件や、手続きの流れ、持ち物について解説します。

3-1. 入居できる条件

DVシェルターに入居できるのは、配偶者からのDV被害者、またはDVに準ずる心身に有害な言動を受けている人です。たとえば、以下のような行為が該当します。

  • 殴る、蹴るなどの暴力

  • 大声で怒鳴られる

  • ひどい侮辱や脅迫を受けている

  • 性暴力を受けている(同意のない性交渉の強要)

ただし、DVシェルターの空き状況によっては、緊急性の高い人が優先され、DVを受けていても入居を断られることがあります。

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3-2. 入居する際の流れ

DVシェルターの利用については、全国の警察署や配偶者暴力相談支援センターで相談を受け付けています。最寄りの窓口に相談し、入居手続きの案内を受けましょう。

入居手続きが受理されると、DVシェルター側で保護の必要性などに関する審査が行われます。審査に通れば、入居が認められます。審査は迅速に行われるため、自宅へ戻らずそのままシェルターに入るケースもあります。あらかじめ入居の準備を整えたうえで、相談に行きましょう。

3-3. 入居する際の持ち物

DVシェルターに入居する際は、貴重品やDVの証拠となるもの、離婚手続きに必要なもの、引っ越しに備えたものなどを持参しましょう。具体的には、以下のようなものがあります。

  • 現金

  • 預貯金通帳

  • 年金手帳

  • 健康保険証

  • クレジットカード

  • 実印

  • 携帯電話

  • 母子手帳

  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)

  • DVの証拠となる写真、音声や動画を記録した媒体

  • DVによるケガや精神疾患に関する医師の診断書

  • 配偶者の財産や収入に関する資料(預貯金通帳、源泉徴収票、確定申告書の写しなど)

  • 衣類

  • 友人や子どもとの大切な写真 など

4. DVシェルターのメリット

DVシェルターに入居する最大のメリットは、暴力を振るう配偶者から逃れて身の安全を確保できる点です。状況が改善されず、実家などにも避難できない場合には、DVシェルターの利用を検討しましょう。

公的シェルターは無料で、民間シェルターは1泊当たり1000円から1500円程度と低額で利用でき、経済的負担を最小限に抑えられます。また、施設によっては、退去後の生活に向けた相談や支援を受けられることもあります。

5. DVシェルターのデメリット

DVシェルターのデメリットとしては、生活にさまざまな制限がある点が挙げられます。特に公的シェルターでは、1日のスケジュールや生活ルールが厳格に決められており、窮屈に感じるかもしれません。

また、入居審査があり、必ず入居が認められるわけではありません。入居を認めてもらうには、DVから逃れる必要性が高いことをしっかり訴えるようにしましょう。

さらに、DVシェルターは長期間の滞在ができず、基本的には短期間での退去を求められます。そのため、滞在中に退去後の生活の見通しを立てることが大切です。

一時的に避難できたとしても、それだけでDV問題が解決するわけではありません。後述するような、保護命令の申立てや離婚手続きなど、根本的な解決に向けた行動が必要です。DV問題の根本的な解決は、DVシェルターの職員や弁護士に相談できます。

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6. DVシェルターでの生活に関する注意点

DVシェルターに入居する際には、施設内での生活に関するいくつかの注意点があります。

6-1. 生活のルールが決められている

DVシェルターでは、加害者からの追跡を防ぐため施設の場所は非公開とされており、外部との接触を制限するためのルールが定められています。

たとえば、携帯電話での外部との通話やインターネットの利用が制限されることが多く、外出には許可が必要な場合や門限が設けられていることもあります。また、飲酒や喫煙が禁止されている施設もあります。生活のルールについては、入居前にあらかじめ確認しておきましょう。

6-2. 子どもの入居は年齢制限などが設けられていることもある

DVシェルターの中には、子どもを連れての入居を認めている施設もあります。DVの影響が子どもにも及んでいる場合や、子ども自身も暴力の被害に遭っている場合は、子連れでの入居を検討すべきです。

ただし、施設によっては年齢制限があり、特に中学生以上の男子は入居が制限されることが多いので注意が必要です。

子どもと一緒にシェルターへ入るのが難しい場合は、児童相談所で子どもを一時的に保護してもらうことや、別のシェルターを探すといった選択肢もあります。警察署や配偶者暴力相談支援センターに相談してみましょう。

6-3. シェルターからの通学は原則認められない

子どもと一緒にDVシェルターへ入居する場合、原則としてシェルターからの通学は認められません。DV加害者である親が学校で子どもを待ち伏せし、尾行してシェルターの場所を特定したり、子どもを連れ去ったりするおそれがあるためです。

そのため、子連れで入居するときは数週間程度、子どもが学校へ通えなくなります。学習用教材や書籍を持参し、シェルター内でも学習の機会を得られるように配慮することが望ましいです。

7. DVシェルターへの入居後にすべきこと

DVシェルターへ一時非難した後は、DV問題を根本的に解決するための対応が必要です。具体的には、以下のような対応を検討しましょう。

7-1. 転居や子どもの転校・転園の手続き

DV加害者である配偶者の住む家に戻ると、再び暴力を受ける可能性が高いです。できる限りDVシェルターに滞在している間に、新しい住まいを確保するのが望ましいです。事情を話せば、シェルターの担当者が相談に乗ってくれることがあります。

また、転居する場合には、子どもの転校・転園の手続きも必要です。DVシェルターの担当者のサポートを受けながら手続きを行いましょう。

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7-2. DV等支援措置(住民票等の閲覧制限)の申出

転居後の住所が配偶者に知られると、家に押しかけてくるおそれがあります。そのような事態を防ぐため、市区町村役場の窓口で「DV等支援措置」を申し出ましょう。

DV等支援措置とは、加害者に被害者の住所を知られないよう、以下の請求や申出を拒否できる措置です。

・住民基本台帳の一部の写しの閲覧
・住民票(除票を含む)の写し等の交付
・戸籍の附票(除票を含む)の写しの交付

この申出が認められると、加害者やその代理人からの交付請求が拒否されます。さらに、第三者による請求についても、加害者が他人になりすましている可能性を考慮し、顔写真付き本人確認書類などによる厳格な本人確認が行われるようになります。

DV等支援措置の期間は1年間で、期間終了の1カ月前から延長の申出が可能です。

7-3. 保護命令の申立て

DV被害者は、裁判所に対して保護命令を申し立てることができます。保護命令の主な内容は、以下のとおりです。

【接近禁止命令(1年間)】
被害者へのつきまといや、被害者の所在場所付近の徘徊が禁止されます。接近禁止命令と併せて、面会要求や電話の禁止、被害者と同居する子や親族などへの接近禁止が命じられることもあります。

【退去等命令(原則として2カ月間)】
加害者に対して、被害者と同居していた住居からの退去と、その住居付近の徘徊禁止が命じられます。

保護命令に違反した場合は「2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金」に処されます。刑事罰のペナルティがあるため、配偶者による追跡やDVの再発への抑止力になります。

7-4. 生活保護の受給申請

配偶者の収入で生活していた場合は、すぐに安定した収入を得るのは難しいかもしれません。十分な収入を得られない場合は、生活保護の受給を申請しましょう。申請が認められれば、生活に最低限必要な金銭の援助が受けられます。申請先は、市役所・区役所や都道府県庁などに設置された福祉事務所です。

7-5. 離婚手続き

DV加害者と共同生活を続けることは再び被害に遭う危険性が高いため、離婚を検討することをお勧めします。

しかし、配偶者が離婚に同意しない場合もあり、その際は家庭裁判所での調停や訴訟が必要となります。また、慰謝料や親権、財産分与などで揉めるケースも多いです。適切な条件でスムーズに離婚を成立させるには、弁護士のサポートを受けるのが安心です。

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8. DVで悩んでいるときの相談先

DVに悩んでいる場合は一刻も早く警察署や配偶者暴力相談支援センターへ相談しましょう。DVシェルターの利用方法に加え、その他の支援制度や解決方法についてもアドバイスを受けられます。

また、保護命令の申立てや離婚手続きにあたっては、弁護士のサポートを受けるのが安心です。弁護士に相談することで、DV問題を解決するための提案をしてもらえます。

弁護士費用について不安な場合は「法テラス」の利用を検討しましょう。法テラスでは、収入と資産が一定以下であるなどの条件を満たす人が利用できます。弁護士費用が通常よりも安く、法テラスに費用を立て替えてもらえる(民事法律扶助)などのメリットがあります。

DVの相談は非常に勇気が要りますが、一人で抱え込むと状況が悪化するおそれがあります。相談窓口に、できるだけ早く相談してください

9. DVシェルターに関するよくある質問

Q. 男性もシェルターに入居できる?

男性用のDVシェルターも存在しますが、数は限られています。女性が子ども(男子)を連れて入居する場合は、年齢制限が設けられていることがあるため注意が必要です。

Q. 身体的な暴力を受けていなくても、モラハラや経済的DVなどを理由にシェルターへ入居できる?

侮辱や生活費を渡さないといったモラハラ・経済的DVも、内容が悪質であればDVシェルターへの入居が認められることがあります。ただし、保護の緊急性が低いと判断されると、入居が認められない場合もあります。

Q. 民間のシェルターなら、スマホは使えますか?

施設の方針によりますが、民間シェルターを含む多くの施設では、スマートフォンの使用が禁止されています。

Q. 中学生の息子がいます。シェルターへ一緒に逃げ込めますか?

中学生男子の入居は制限されている施設が多いですが、認められる場合もあります。警察署や配偶者暴力相談支援センターで相談してみましょう。

10. まとめ シェルターはDV被害から一時的に逃れられるが、問題解決は警察や弁護士に相談を

配偶者のDVから逃れるための方法の一つに、DVシェルターへの避難があります。警察署や配偶者暴力相談支援センターに相談することで、シェルター入居についての案内を受けられます。

ただし、DVシェルターはあくまでも一時的な避難場所です。DV問題を根本から解決するには、警察や弁護士と連携した対応が必要です。加害者からの報復をおそれて相談をためらう人もいますが、一人で抱え込むと状況が悪化するおそれがあります。速やかに警察や弁護士を頼ってください。

(記事は2025年9月1日時点の情報に基づいています)

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