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1. DVを弁護士に相談するメリット
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1-1. DVの対応についてアドバイスをもらえる
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1-2. 慰謝料請求や離婚の手続きを教えてもらえる
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1-3. 相談することで精神的な支えになる
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2. DVを弁護士に依頼するメリット
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2-1. DV被害から身を守る手続きをしてもらえる
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2-2. DVの加害者と離婚について代理交渉してもらえる
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2-3. 適切な条件で離婚できる
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3. DV問題を弁護士に無料相談できる窓口
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3-1. DVや男女問題に強い法律事務所
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3-2. 役所の無料法律相談
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3-3. 弁護士会の法律相談
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3-4. 法テラス
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4. DVで弁護士に無料相談する際のポイント
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5. DVを弁護士に依頼した場合にかかる費用
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5-1. 弁護士費用の相場
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5-2. 弁護士費用の具体例
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6. DVに強い弁護士の選び方
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6-1. DV問題の対応経験が豊富かどうか
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6-2. 悩みに寄り添い親身に対応してくれるかどうか
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6-3. 対面相談を希望するなら自宅から近いかどうか
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6-4. 複数の弁護士から相性や費用を比較する
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6-5. 男女の弁護士が在籍している
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7. DVを弁護士に無料相談したい場合によくある質問
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8. まとめ DVは弁護士などに無料相談することが解決への第一歩
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1. DVを弁護士に相談するメリット
DV問題を弁護士に相談することで、次のメリットがあります。
DVの対応についてアドバイスをもらえる
慰謝料請求や離婚の手続きを教えてもらえる
相談することで精神的な支えになる
1-1. DVの対応についてアドバイスをもらえる
DVの被害を受けていると、事情を知らない人からは「早く別れればいい」と勧められることがほとんどです。しかし、被害者は次のような気持ちや考えを抱き、どうしたらいいのか悩んでいることが多くあります。
相手を怒らせた自分が悪いと思っている
加害者と離れたら生きていけない
優しいときが本当の姿で、いつか元に戻ってくれるはず
子どものために別れないほうがいい
親や友人が離婚に反対している
そもそも誰にも悩みを相談できない
加害者からは逃げられないと思っている
こうした迷いや思い込み、無力感などを理解したうえで、客観的なアドバイスをくれるのは、DVに詳しい弁護士 です。もしあなたがDVを受けているなら、一人で立ち向かうことは困難です。法律の力を借りることがどうしても必要 です。司法と行政に相談することで、最悪の展開を避けつつ、DVから逃れられる可能性があります。
自分がDVを受けているという自覚を持てず、「弁護士なんて大げさかな…」とためらうかもしれませんが、「これってDV?」というところから、気軽に相談 してみてください。
1-2. 慰謝料請求や離婚の手続きを教えてもらえる
もしDVの被害を受けているのであれば、離婚や慰謝料の請求が認められる可能性があります。DV加害者に離婚や慰謝料を請求するのは怖いかもしれませんが、泣き寝入りする必要はありません 。
ただし、離婚や慰謝料を請求する際は、別居するなどして身の安全を確保したうえで請求しましょう 。弁護士に相談することで、離婚や慰謝料だけでなく、別居時に使える保護命令の制度や、別居後の生活を守る行政サービス(住所秘匿、加害者の扶養からの脱退、児童扶養手当など)についても、教えてもらえます。
1-3. 相談することで精神的な支えになる
誰かに話を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になったり、思考が整理できたりすることがあります。私が相談を受ける際も、初対面で緊張もあり、硬い表情をしていた相談者の人が、1時間ほど話して帰る時には「なんだかホッとしました」と笑顔を見せることがあります。
私が弁護士の仕事をしていてよかったと感じる場面の一つです。誰かに話せて、自分にどんな選択肢があるのか、何をすべきかが分かるだけでも、安心して前向きになれるよう です。
DV被害は、身内に相談しようと思っても、被害を口にするのが恥ずかしく相談しづらいこともあります。弁護士はもちろん、役所やカウンセラー、医師などの専門職に相談してみることで、専門的な意見がもらえるだけでなく、前に進む力になります。
2. DVを弁護士に依頼するメリット
DV問題を弁護士に相談するだけでなく、実際に依頼した場合も多くのメリットがあります。DV問題は一人で解決することが難しいため、積極的に弁護士への依頼を検討してください。
2-1. DV被害から身を守る手続きをしてもらえる
弁護士に依頼することで、直接連絡や接触をしないよう加害者に通告したり、保護命令の申立てをしたり、DV被害から身を守る手続き をしてもらえます。
離婚や別居を進める場合も、加害者との関わりを最小限に抑えながら、婚姻費用や慰謝料などの請求が可能 です。住所秘匿、扶養からの脱退、児童扶養手当などについても適宜のタイミングで教えてくれるでしょう。
2-2. DVの加害者と離婚について代理交渉してもらえる
被害者が加害者と直接、離婚について対等に話し合うことは、およそ不可能です。弁護士に依頼をすることで、被害者が加害者と顔を合わせることなく離婚成立 まで漕ぎ着けることができます。
加害者は自分が悪いという自覚が一切なく、自分の所有物である配偶者や子どもが服従していたことを「家庭が円満だった」と思い込んでおり、離婚や親権を徹底的に争うことが多い です。話し合いでは解決せず、裁判が必要になるケースも少なくありません。裁判になってから弁護士に依頼することもできますが、はじめから弁護士に依頼しておいたほうがスムーズ であることも多いです。
2-3. 適切な条件で離婚できる
加害者と直接離婚の話し合いをしても、暴力や暴言であなたを追い詰め、結果的に不利な条件で離婚が成立してしまうおそれがあります 。弁護士に依頼することで、財産分与や養育費、年金分割などについて、適切な条件で相手に求めることが可能です。
特に財産分与に関しては、DV加害者が財産隠しをする場合があります 。このようなケースでは、自力で対策を講じるのはかなり難しいです。相手との話し合いが難しく、適切な条件で離婚を進めたい場合は、弁護士の力を借りるのがよいでしょう。
3. DV問題を弁護士に無料相談できる窓口
DV問題を弁護士に無料相談できる窓口は次の通りです。
男女問題に強い弁護士事務所
役所の無料法律相談
弁護士会の法律相談
法テラス
3-1. DVや男女問題に強い法律事務所
法律事務所の中には、無料相談に対応しているところもあります。初回の30分のみなど、時間や回数が限られていることが多いです。
DVや男女問題に力を入れている法律事務所であれば、専門的な知識も豊富で、限られた時間でも有益なアドバイスを得られる 可能性があります。依頼前に弁護士の人柄を確かめる機会にもなるので、法律事務所の無料相談を積極的に活用してみてください。
3-2. 役所の無料法律相談
役所の無料法律相談では、DVに限らず離婚全般の相談もできます。気軽に相談できるため、いきなり法律事務所を訪ねて相談するのは「ハードルが高い」「緊張する」という人にもおすすめです。
ただし、DVに詳しい弁護士を選べない点はデメリット と言えます。また、相談は平日昼間であることが多く、予約が必要であるため、事前に調べてから相談しましょう。
3-3. 弁護士会の法律相談
弁護士会は、弁護士が所属している団体で、各都道府県に設立されてます。弁護士会では、有料の法律相談が可能です。ただし、地方によっては、埼玉弁護士会や千葉県弁護士会のように、DV相談について無料枠を設けている ところもあります。
なお、埼玉弁護士会も千葉県弁護士会も、県民以外でも無料相談が可能です。千葉県弁護士会の場合は、DV問題に詳しい弁護士が担当してくれます。
3-4. 法テラス
法テラスは、誰でも法的サポートが受けられるように国が設立した法律相談センターです。収入や資産が一定基準以下で、弁護士費用を支払うのが難しい人のために、無料法律相談や弁護士費用の立て替えを実施しています。
DVに関しても無料相談可能ですが、収入が一定以下であるなどの条件を満たす必要があります。DVに詳しい弁護士に当たるとは限りませんが、弁護士費用が負担できないという人におすすめ です。
4. DVで弁護士に無料相談する際のポイント
DV問題を弁護士に相談する際は、出来事や証拠を事前に整理しておくとよいでしょう。無料相談は1回から3回に限られることが多く、相談時間も30分から60分程度です。限られた時間を有効にするためにも、事前準備が大切 です。
とはいえ、身の危険を感じて緊急性が高い場合は、準備ができていなくても心配ありません。なるべく早めに弁護士に相談してみてください 。当事務所にも、相談の準備が整わないまま、ご相談に来られる人はいます。
中には、ある日突然DV夫に家から締め出された方もいました。その方は幼い子どもたちさえ連れ出せず、頼れる親族もいなかったため、生活保護を受けて別居しました。最終的には、無事に子どもたちの引渡しと離婚が実現しましたが、生活が整うまでには半年ほどの時間がかかりました。準備も大切ですが、まずは相談することが第一 です。
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5. DVを弁護士に依頼した場合にかかる費用
DV問題を弁護士に依頼したいと思っても、心配になるのが弁護士費用ではないでしょうか。弁護士費用の相場と具体例を紹介します。
5-1. 弁護士費用の相場
弁護士費用は事務所によって大きく異なります。しかし、過去に日本弁護士連合会が設けていた報酬基準を元に費用を決めている法律事務所も比較的多いです。日弁連が過去に設けていた離婚事件の弁護士費用は、以下のとおりです。
【交渉/調停】
・着手金:20万~50万円
+金銭請求を伴う場合、獲得した金額に対して一定の割合が発生する
・報酬金:20万~50万円
+金銭請求を伴う場合、獲得した金額に対して一定の割合が発生する
・計 :40万~100万円+獲得金額に対する報酬
【裁判】
・着手金:30万~60万円
+金銭請求を伴う場合、獲得した金額に対して一定の割合が発生する
・報酬金:30万~60万円
+金銭請求を伴う場合、獲得した金額に対して一定の割合が発生する
・計 :60万~120万円+獲得金額に対する報酬
獲得した金額に対してかかる費用は、次のように設定されていることが多いです。
【着手金】
・300万円以下の部分:8%
・300万~3,000万円の場合:5%+9万円
【報酬金】
・300万円以下の部分:16%
・300万~3,000万円の場合:10%+18万円
また、交渉から調停、調停から裁判を引き続き依頼する場合は、相場の半分の着手金が必要となる ことが多いです。ただし、弁護士の報酬は自由化されているため、各法律事務所によって異なります。相談の際などに、依頼した場合にかかる弁護士費用を確認しましょう。
5-2. 弁護士費用の具体例
仮に上記の旧日弁連基準を当てはめるなら、弁護士費用の具体例は次の通りです。
【事例①】
交渉で離婚成立、DV慰謝料100万円、財産分与100万円獲得した場合の弁護士費用
・着手金:30万円
+16万円(慰謝料・財産分与それぞれ100万円の8%)
・報酬金:離婚成立に対して30万円
+32万円(慰謝料・財産分与それぞれ100万円の16%)
・計 :108万円
【事例②】
保護命令を申し立てた後、交渉で離婚成立、DV慰謝料100万円を獲得した場合の弁護士費用
・着手金:保護命令に対して20万円+離婚交渉に対して30万円
+8万円(慰謝料100万円の8%)
・報酬金:保護命令に対して20万円+離婚成立に対して30万円
+16万円(慰謝料100万円の16%)
・計 :124万円
保護命令の申し立てを弁護士に依頼した場合の費用の相場は、着手金・報酬金それぞれ20万円程度 です。
前述の通り、これはあくまでも一例です。弁護士費用は各法律事務所によって異なります。もし費用の負担が難しい場合は、法テラスを利用する方法があります。
法テラス経由で離婚を依頼した場合の費用は、15万2000円から です(慰謝料・養育費がない場合)。また、弁護士費用立替制度(民事法律扶助)を利用することで、月々5,000円から1万円で分割払いも可能です。生活保護を受給中などの場合は、生活基盤が整うまで返済を猶予されることもあります。
6. DVに強い弁護士の選び方
DV問題を相談・依頼する弁護士を選ぶ際は、次のようなポイントがあります。
6-1. DV問題の対応経験が豊富かどうか
DV問題で弁護士に相談する際は、DV問題を積極的に取り扱っている弁護士を選ぶのがおすすめです。都市部では、弁護士も専門分化しており、中には「離婚一般は対応するけど、DVはやらない」という弁護士もいるため、見極めることが大切 です。
DV事案の取り扱いに慣れていないと、使える制度を見落とす こともあるかもしれません。DV事案を取り扱っている弁護士であれば、制度の活用だけでなく、加害者の脅しや嫌がらせに屈することなく、毅然と対応 してもらえます。
ホームページから取り扱い分野を参考にするほか、執筆・講演・取材などの実績も参考に してみるとよいでしょう。
6-2. 悩みに寄り添い親身に対応してくれるかどうか
弁護士にも個性や相性があります。残念ながらDVに対する感度があまり高くない弁護士や、相性が合わない弁護士もいるでしょう。依頼者によっても、「加害者に強く対応してほしい」「できるだけ穏便に済ませたい」など人や状況によってさまざまです。そのため、自分の希望や性格に合った弁護士を選ぶことが重要 です。あなたの話を聞いた時の弁護士の反応や、提示してくれる選択肢などから、「この人にお願いしたい」と思える人を選びましょう 。
6-3. 対面相談を希望するなら自宅から近いかどうか
もし対面相談を希望するなら、自宅から近いかどうかも弁護士を選ぶポイントになるかもしれません。今はオンラインで遠方の弁護士とも顔を見ながら瞬時にやり取りできます。調停さえ、ウェブ会議の形で出席が可能です。
他方、やっぱり大事な話は直接会って話したい、と感じることもあるかもしれません。離婚を依頼する弁護士とは、それなりの期間、二人三脚で解決を目指す ことになります。ここぞという重要な局面で気軽に会って打合せができるか、といった距離感も、一つの考慮要素 といえるでしょう。
6-4. 複数の弁護士から相性や費用を比較する
自分に合った弁護士を見つけるためにも、複数の弁護士に相談して比較することが望ましいです。同じ質問に対する回答の内容や速さから、DVに詳しいかそうでないか、自分の感じていることや目指したいことを汲み取ってくれているか、察知できる でしょう。
現実面では、弁護士費用も弁護士を選ぶうえでの重要なポイントです。費用の説明が明快かどうか、慎重に聞きましょう。「この弁護士に依頼したいけど、費用がどうしても払えない」という場合は、金額や支払い方法について、思い切ってその弁護士に相談してみるのも一案です。快く調整してくれる弁護士もいます。
6-5. 男女の弁護士が在籍している
男性弁護士と女性弁護士の両方が複数在籍している事務所であれば理想です。女性被害者には女性弁護士、男性加害者には男性弁護士など、チームで解決に当たる ことができるからです。加害者側も、DVに詳しい弁護士が複数態勢で臨んでいると分かると、攻撃しにくくなるかもしれません。
7. DVを弁護士に無料相談したい場合によくある質問
8. まとめ DVは弁護士などに無料相談することが解決への第一歩
DVは被害者自身が「自分が悪いのではないか」と思い込んだり、子どものことなどを考えて相談できなかったりすることがあります。しかし、自分一人で抱えてしまうより、専門家の力を借りた方が、いい解決方法が見つかるでしょう。また、相談することで、解決の道筋が見えるだけでなく、気持ちが楽になったり、冷静になれたりします。
初回は無料で法律相談を受けている弁護士も多いです。依頼するかどうかは別として、まずは相談して、今後の対応を考えるのが解決への一歩となります。身に危険が迫る場合は、迷わず警察を呼んで安全を確保してください。
(記事は2024年12月1日時点の情報に基づいています)