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1. 言葉の暴力とは? 具体例も紹介
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2. 言葉の暴力を受けたら離婚できる?
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2-1. 協議離婚、調停離婚|合意すれば離婚できる
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2-2. 裁判離婚|婚姻を継続し難い重大な事由にあたれば離婚できる
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3. 言葉の暴力を受けたら慰謝料を請求できる?
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3-1. 慰謝料を請求できる言葉の暴力の内容や程度
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3-2. 言葉の暴力について認められる慰謝料額の目安|数十万円〜100万円程度
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4. 言葉の暴力に関する離婚請求や慰謝料請求の手続きの流れ
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4-1. 【STEP1】「協議離婚」を検討する
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4-2. 【STEP2】「調停離婚」をめざす
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4-3. 【STEP3】「裁判離婚」で決着をつける
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5. 言葉の暴力で精神的苦痛を受けたときの対処法
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5-1. 別居して身を守る
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5-2. 離婚や慰謝料請求について弁護士に相談する
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5-3. 言葉の暴力に関する証拠を確保する
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5-4. 心のケアを考える
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5-5. 警察などの公的機関へ相談する
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6. 言葉の暴力と精神的苦痛に関してよくある質問
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7. まとめ 言葉の暴力による離婚は弁護士に相談を
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1. 言葉の暴力とは? 具体例も紹介
言葉の暴力とは、怒鳴ったり、相手の存在を否定したりして相手を傷つける行為を言います。いわゆるモラル・ハラスメント(モラハラ)の一つに該当し、身体に対する暴力に準ずる心身に有害な影響を及ぼすような重大な侮辱であれば、違法となる場合があります。
たとえば、以下の言動は、言葉の暴力にあたる可能性があります。
大声で怒鳴る
「ブス」「デブ」「チビ」「気持ち悪い」
「誰のおかげで生活できるんだ!」「甲斐性なし!」
「無能」「異常者」「おまえには価値がない」
子どもに「母親(父親)みたいになるな」と言う
人の前でバカにしたり、命令するような口調でものを言ったりする
何を言っても無視して口をきかない
もっとも、上記の言動をとったらただちに違法となるわけではなく、頻度や回数、あるいは内容などによって判断されます。
2. 言葉の暴力を受けたら離婚できる?
言葉の暴力を受けたことを理由に離婚を考えている場合は、協議離婚、調停離婚、裁判離婚という選択肢があります。
2-1. 協議離婚、調停離婚|合意すれば離婚できる
夫婦の双方が離婚に合意している場合は、理由を問わず離婚できます 。つまり、言葉の暴力を理由とする離婚も合意があれば可能です。これを「協議離婚」と言います。
また、夫婦間の協議において離婚に合意できなかったとしても、家庭裁判所における離婚調停で夫婦双方が離婚について合意した場合には調停調書が作成され、調停成立日に離婚が成立します。これを「調停離婚」と言います。
2-2. 裁判離婚|婚姻を継続し難い重大な事由にあたれば離婚できる
さらに、離婚調停で合意できない場合であっても、家庭裁判所における離婚訴訟で夫婦双方が離婚に合意した場合には、和解調書が作成され、離婚が成立します。
夫婦間で離婚に合意できないケースで、裁判所に判決で離婚を認めてもらうためには、裁判上の離婚原因が存在することを立証する必要 があります。
言葉の暴力のうち、身体に対する暴力に準ずる心身に有害な影響を及ぼすような重大な侮辱と言えるものが原因で夫婦関係が破綻したような場合には、裁判上の離婚原因の一つである「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」として、離婚が認められる可能性があります。
また、心身に有害な影響を及ぼすとまでは言えない程度の言葉の暴力であっても、配偶者の言葉が原因で別居に至ったことなどを離婚原因として主張することも可能です。
3. 言葉の暴力を受けたら慰謝料を請求できる?
言葉の暴力は、その言動の頻度や回数、あるいは内容などによっては、不法行為に該当し得るため、慰謝料を請求できる場合があります。
3-1. 慰謝料を請求できる言葉の暴力の内容や程度
慰謝料を請求するためには、頻度や回数、あるいは内容などから、通常の夫婦げんかの範囲を超え、一般的に精神的苦痛を受けるのが通常であると判断できる程度の言動が必要 です。
ただし、相手の配偶者は言葉の暴力を否定する場合がほとんどであるため、慰謝料を請求する側が証拠に基づいて言葉の暴力の内容や程度を立証しなければならず、証拠を確保できるかどうかが重要なポイントとなります。
3-2. 言葉の暴力について認められる慰謝料額の目安|数十万円〜100万円程度
言葉の暴力のうち、身体に対する暴力に準ずる心身に有害な影響を及ぼすような重大な侮辱と言えるものが主な破綻原因である場合の離婚において、慰謝料の相場は数十万円から100万円程度であると考えられています。
身体に対する暴力が主な離婚原因である場合で、暴力の程度が重大な場合には、200万円から300万円の離婚慰謝料が認められるケースもありますが、身体に対する暴力が主な離婚原因である場合に比べ、言葉の暴力が主な離婚原因である場合の慰謝料の金額はあまり高くありません。
4. 言葉の暴力に関する離婚請求や慰謝料請求の手続きの流れ
言葉の暴力に関する離婚請求や慰謝料請求の手続きの流れは以下のとおりです。
4-1. 【STEP1】「協議離婚」を検討する
まず「協議離婚」の道を探ります。言葉の暴力を行った配偶者に対する慰謝料請求については、離婚請求の手続きのなかで併せて交渉や請求 します。
夫婦の双方が離婚の条件に合意した場合には、役所に離婚届を提出することで離婚できます。
言葉の暴力を行った配偶者に対する慰謝料請求については、弁護士に依頼した場合、まずは内容証明などで相手の配偶者に対して離婚、婚姻費用、養育費、財産分与、年金分割などと併せて慰謝料を請求します。相手の配偶者が任意に慰謝料を支払う意向を示した場合には、金額や支払方法について交渉し、合意ができた場合には離婚協議書を作成します。養育費の支払いがある場合や分割払いの場合には公正証書で離婚協議書を作成します。公正証書とは、当事者から依頼を受けた公証人が作成する公的な文書であり、強い証拠力を持ちます。
4-2. 【STEP2】「調停離婚」をめざす
夫婦間の協議により離婚について合意できない場合や、相手の配偶者が任意に慰謝料を支払わない場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立て「調停離婚」をめざします。調停のなかで、離婚の条件の一つとして慰謝料についても話し合います。
離婚に合意し調停が成立した場合、離婚できます。裁判所において調停調書が作成されるので、役所に調停調書の謄本と離婚届を提出すれば、戸籍に反映されます。
4-3. 【STEP3】「裁判離婚」で決着をつける
離婚調停でも話し合いがまとまらない場合、「裁判離婚」という選択肢があります。離婚をするためには家庭裁判所に対し離婚訴訟を起こし、離婚とともに慰謝料を請求します。
家庭裁判所に離婚訴訟で離婚を認めてもらうためには以下のような裁判上の離婚原因が存在することを立証する必要があります。
不貞行為
悪意の遺棄
3年以上の生死不明
回復の見込みがない強度の精神病(2026年5月までに施行される民法改正に伴い削除)
その他、婚姻を継続し難い重大な事由
言葉の暴力が原因で夫婦関係が破綻したような場合には、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性 があります。
ただし、訴訟において相手の配偶者が言葉の暴力を否定した場合、証拠に基づいて言葉の暴力の内容や程度を立証できなければ、離婚請求や慰謝料請求は認められません。
離婚判決が出された場合、判決が確定すれば、離婚が成立します。その後、役所に判決書の謄本、判決確定証明書と離婚届を提出することで戸籍に反映されます。

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5. 言葉の暴力で精神的苦痛を受けたときの対処法
配偶者から言葉の暴力を受け、精神的苦痛を感じている場合の対処法は主に以下の5つです。
別居して身を守る
離婚や慰謝料請求について弁護士に相談する
言葉の暴力に関する証拠を確保する
心のケアを考える
警察などの公的機関へ相談する
5-1. 別居して身を守る
言葉の暴力を受け続けると、精神疾患を発症するなど心が壊れてしまうおそれがあります。まずは、自分の心身を守ることを第一に考えて、配偶者と別居して距離を置くことを検討しましょう。
5-2. 離婚や慰謝料請求について弁護士に相談する
言葉の暴力を受けた場合の離婚や慰謝料請求については、当事者間で冷静に交渉することは難しいケースが多いと言えます。普段から言葉の暴力に苦しんでいる被害者が、加害者である配偶者と交渉することは相当なストレスでしょうし、相手に言葉巧みに言いくるめられてしまうおそれもあります。
そのため、言葉の暴力で離婚や慰謝料請求を検討している場合には、弁護士に相談することをお勧めします。正式に依頼すれば、代理人として適切な離婚条件が得られるように交渉してもらえます。
5-3. 言葉の暴力に関する証拠を確保する
言葉の暴力を理由に慰謝料を請求する場合、相手の配偶者はこれらの言動を否定する場合がほとんどであるため、その証拠をあらかじめ確保しておくことが重要です。
言葉の暴力がメールやLINEなどのメッセージ上での発言である場合には、メールやLINEなどの履歴が証拠 になります。
一方、口頭での言葉の暴力は通常、証拠が残らないので、ICレコーダーやスマートフォンなどで録音や録画をし、言葉の暴力の証拠を残しておくことが重要 です。また、具体的な言動を記した日記やメモなども証拠となる場合があります。
5-4. 心のケアを考える
言葉の暴力を受け続けていると、精神疾患を発症することもあるため、精神が疲弊していると感じた場合には、ためらわずに心療内科や精神科への通院を検討しましょう。
心療内科や精神科への通院をした場合には、通院履歴も証拠になるので、通院したことがわかる資料を確保することが重要 になります。さらに、うつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)などを発症した場合には、医師の診断書を証拠として提出する場合もあります。
ただし、言葉の暴力を受けた時期と通院の時期の間が空いていると、精神的苦痛を受けたことの証拠としては弱くなる可能性があるため、注意が必要です。
5-5. 警察などの公的機関へ相談する
言葉の暴力を含む身体に対する暴力に準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動は、配偶者暴力防止法(DV法)において、身体に対する暴力と同様の重大な人権侵害として、その防止と被害者の保護などを図るべきものとして規定されています。そのため、警察などの公的機関への相談を検討したほうがよい場合もあります。
警察などの公的な機関に相談した場合には、相談した履歴が証拠となる 場合もあります。
言葉の暴力は、精神的な嫌がらせという性質上、客観的な証拠が残らないことが少なくないため、複数の証拠を積み重ねて立証する必要がある場合がほとんどです。したがって、なるべく多くの証拠を確保しておくことが重要となります。
6. 言葉の暴力と精神的苦痛に関してよくある質問
7. まとめ 言葉の暴力による離婚は弁護士に相談を
夫婦間における言葉の暴力によって、離婚を検討している場合は、協議離婚、調停離婚、裁判離婚という選択肢があります。また、言葉の暴力はその言動の頻度や回数、あるいは内容などによっては不法行為にあたると考えられるため、慰謝料を請求できる場合があります。
ただし、言葉の暴力による離婚や慰謝料を請求する場合、訴訟では相手配偶者が言葉の暴力を否定する場合がほとんどです。最終的には裁判所を通じた手続きをとることを見据え、証拠の確保などが非常に重要となるため、まずは弁護士に相談することをお勧めします。
(記事は2025年3月1日時点の情報に基づいています)