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1. 協議離婚の交渉に関する弁護士費用の相場は?
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1-1. 相談料|30分5千円、初回相談は無料が多い
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1-2. 着手金|20万~40万円
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1-3. 報酬金(成功報酬)|20万~40万円+得られた金額の3~20%
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1-4. そのほか(日当や実費)
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2. 協議離婚の弁護士費用の計算例
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2-1. 離婚の可否のみが争点である場合
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2-2. 財産分与や慰謝料請求する場合
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2-3. 親権を争ったうえで養育費を請求する場合
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3. 協議離婚を弁護士に依頼するメリット
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4. 離婚協議が成立せず、調停や訴訟になったら弁護士費用はどうなる?
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5. 協議離婚の弁護士費用を安く抑える方法
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5-1. 相見積もりを取る
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5-2. 夫婦間で争点を絞る
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5-3. 調停や訴訟に移行する前に解決する
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5-4. 法テラスを利用する
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6. 協議離婚の弁護士費用に関してよくある質問
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7. まとめ 協議離婚をめざす場合は、費用面で納得できる弁護士に依頼するのがお勧め
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1. 協議離婚の交渉に関する弁護士費用の相場は?
協議離婚とは、夫婦で話し合い、合意によって成立する離婚のことです。弁護士を代理人に立てることも可能で、弁護士費用は、「相談料」「着手金」「報酬金」「そのほか」の4つに分けられます。それぞれの相場について見ていきましょう。
1-1. 相談料|30分5千円、初回相談は無料が多い
弁護士に協議離婚の交渉を依頼する場合、すぐに依頼することになるわけではなく、まずは法律相談をする必要があります。
相談料の相場は、30分5000円(以下、金額は税別)です。1回の相談時間は30分から1時間程度になることが多いため、相談料は5000円から1万円です。
もっとも、現在は初回相談を無料としている弁護士事務所も多いです。
1-2. 着手金|20万~40万円
着手金とは、弁護士への依頼が正式に決まった場合に支払う費用です。着手金を支払うことによって、弁護士は依頼者の正式な代理人となり、業務を開始します。
協議離婚の交渉を依頼する場合の着手金の相場は、20万円から40万円です。協議離婚と調停離婚の代理業務を合わせた金額を設定している事務所もあります。依頼前に一括払いするのが原則ですが、事情によって分割払いに応じる事務所もあるため、分割払いを希望する場合には相談してみましょう。
弁護士事務所によって金額は異なります。争点の数に応じて着手金額が増減する費用体系を設けている弁護士事務所もあるほか、すべてを含めて固定額としているところもあります。費用体系については一長一短であり、どのような設定がベストかを決めることはできませんが、依頼前に費用についてわかりやすく説明してくれるかどうかは大切なポイントです。
1-3. 報酬金(成功報酬)|20万~40万円+得られた金額の3~20%
報酬金は、弁護士による代理業務の結果、想定していた成果を得られた場合に支払う費用です。
離婚案件は離婚の成立をめざすものであるため、離婚が成立した場合に支払うことになります。
離婚成立の対価としての報酬金は、着手金と同額程度の20万円から40万円が相場と言えます。
そのほかに、相手から慰謝料や財産分与、養育費といった金銭を得られた場合には、得られた金額の何パーセントをかけた金額が報酬金として設定されているケースが多いです。具体的なパーセンテージは、法律事務所ごとによってさまざまですが、3%から20%となることが多く、金額が大きければ大きいほどパーセンテージは低くなり、金額が低い場合にはパーセンテージは高くなるのが一般的です。
また、親権や面会交流が争点となり、親権を得られた場合や面会交流が実現した場合に報酬金がかかる費用体系を設けている事務所もあります。
離婚問題が解決したあとに、「そんなことは聞いていなかった」と弁護士とトラブルにならないよう、報酬金についても依頼前にきちんと確認しておきましょう。
1-4. そのほか(日当や実費)
そのほかにかかる費用として、弁護士が出張や外出をした場合の日当があります。
たとえば、弁護士が配偶者と交渉するために遠方に行くようなケースです。日当の金額は、1回あたり2万円から5万円になることが多いです。
また、住民票を取ったり、郵便物を送ったりした場合の費用として実費がかかります。実費は一つの案件あたり数千円から1万円程度に収まるケースが一般的です。
2. 協議離婚の弁護士費用の計算例
具体的に弁護士に依頼した場合にどれくらいの費用がかかるのかを例として示したいと思います。
ただ、弁護士事務所によって費用体系は大きく異なるため、自分に合った費用体系かどうか見極めることが重要です。
また、事案ごとに争点や重要なポイントは千差万別であり、それに応じてかかる費用にも幅があります。依頼前にどれくらいの費用になるかをきちんと説明してもらうことも重要です。
2-1. 離婚の可否のみが争点である場合
親権や養育費、財産分与や慰謝料については問題となっておらず、単に離婚するかどうかが争点となっている場合、協議離婚の着手金は20万円から30万円になるケースが多いと思います。
そして、報酬金も、離婚の成立を条件に着手金と同額程度になることが多いため、もしこのケースで離婚が成立した場合には、報酬金も20万円から30万円となり、合計金額は40万円から60万円前後になるでしょう。
【離婚の可否のみが争点である場合の弁護士費用】
(着手金20万円~30万円)+(報酬金20万円~30万円)=40万円~60万円
2-2. 財産分与や慰謝料請求する場合
離婚の請求に加えて、財産分与1000万円、慰謝料200万円を求めるケースを想定し、報酬金の割合は10%と仮定します。
着手金は30万円から40万円でしょう。
交渉の結果、離婚が成立し、財産分与も1000万円、慰謝料200万円を得られた場合、離婚成立の対価として着手金と同額の報酬金30万円、また財産分与と慰謝料の報酬金として1200万円の10%前後、つまり120万円が報酬金となります。
すると、合計額は180万円となります。
【財産分与1000万円、慰謝料200万円が得られた場合の弁護士費用(報酬金の割合は10%)】
(着手金30万円)+(報酬金30万円)+(財産分与と慰謝料に対する報酬金1200万円×10%)=180万円
2-3. 親権を争ったうえで養育費を請求する場合
親権が争点となるケースにおいて着手金や報酬金が追加される費用体系の場合には、着手金は30万円から40万円でしょう。
交渉の結果、離婚が成立し、親権も獲得できた場合の報酬金は、着手金に10万円前後の金額が上乗せされるケースが多いです。
また、養育費の報酬金は、相手と取り決めた養育費額の2年から5年分の10%から20%となることが多いです。取り決めた養育費額の3年分に10%をかけた金額を報酬金とする契約の場合、養育費の月額が5万円と決まったのであれば、18万円(月5万円×12カ月×3年×10%)が養育費に対する報酬金となります。
したがって、弁護士費用の合計は88万円から98万円前後です。
【親権を争ったうえで養育費を請求した場合の弁護士費用(養育費の報酬金は3年分×10%)】
(着手金30万円~40万円)+(報酬金30万円)+(親権の報酬金10万円前後)+(養育費の報酬金18万円)=88万円~98万円前後
3. 協議離婚を弁護士に依頼するメリット
離婚協議は夫婦間で離婚の条件がそろえば成立するため、弁護士への依頼は必須ではありません。
もっとも、弁護士に依頼した場合には、自身で配偶者と離婚条件について交渉する必要がなくなります。「もう顔も見たくない」「あの人とまともに話し合うのは無理」という場合、弁護士を代理人に立てれば基本的に配偶者とやりとりをする必要はなくなります。
また、「あの人は口が立つから、私では言い負かされてしまいそう」「どんな条件が公平なのかわからない」といった場合にも弁護士に依頼するメリットがあります。弁護士であれば、法律や裁判例、家庭裁判所で行われる事件に関する実務に沿った見通しが立てられます。そのため、相手の言い分が正しいのかどうか、認められるべきかどうかという目線で対応ができるほか、気づかないうちに一方的に不利な条件を負わされる事態も避けられます。
ほかにも、「夫婦間で話し合っていたときは、相手が離婚について本気に考えておらず、のらりくらりと時間ばかりかかってしまった」というような事態もあり得ます。このような場合は弁護士を代理人に立てることで、離婚に対する真剣さが相手に伝わり、ようやく相手も離婚に応じてくれるケースもあります。
弁護士に依頼した場合、決して安くはない費用がかかるため、メリットとデメリットを見極めることが重要です。
4. 離婚協議が成立せず、調停や訴訟になったら弁護士費用はどうなる?
弁護士に離婚協議を依頼したものの、どうしても条件がまとまらない場合には、離婚調停に移行することになります。この場合、費用体系によって追加の弁護士費用がかかるケースとかからないケースがあります。
たとえば、協議離婚の着手金を20万円と比較的安く設定している事務所の場合、調停に移行する場合には追加着手金が10万円前後かかることが多いです。
一方、協議離婚と調停離婚の代理業務を含めて、着手金30万円から40万円と設定している事務所であれば、追加着手金はかかりません。
どちらの費用体系が優れているかについては、一概には言えません。初期の弁護士費用をなるべく低く抑えたい場合には、段階的に追加着手金がかかるほうがよいでしょう。
ただし、段階的な費用体系のデメリットとしては、協議中に「ここで調停に移行すると弁護士費用がかかってしまうから、納得できていないけど離婚に応じよう」という心理がはたらき、妥協して自分に不利な条件を受け入れてしまうケースが挙げられます。自分の希望や性格に合った費用体系を選択することが重要です。
5. 協議離婚の弁護士費用を安く抑える方法
弁護士費用が安ければ安いほどよいとは限りません。しかし、なるべく費用を抑えたいという人も少なくないでしょう。
弁護士費用を低く抑えるための方法として、次の4つが挙げられます。
相見積もりを取る
夫婦間で争点を絞る
調停や訴訟に移行する前に解決する
法テラスを利用する
5-1. 相見積もりを取る
ほかのサービスを利用するうえでも言えることですが、何名かの弁護士に費用の見積もりを取り、それを比較検討し、安いほうを選ぶ方法があります。
費用の説明を依頼しても明確な回答がなかったり、「この点は追って協議とさせてもらう」というように正確な金額が提示されなかったりする場合には、依頼は避けたほうが無難かもしれません。
5-2. 夫婦間で争点を絞る
財産分与や親権、養育費、面会交流といった争点に応じて弁護士費用の金額が決まる費用体系を設けている事務所の場合、依頼の時点でなるべく争点を減らしておけば、その分弁護士費用を抑えられるでしょう。
そのため、できる限りの協議を夫婦間で進めておき、どうしても双方が合意できない争点だけを残して弁護士に依頼することにすれば弁護士費用を安くできる可能性があります。
5-3. 調停や訴訟に移行する前に解決する
離婚調停や離婚裁判に移行すると、追加着手金がかかる場合があります。
協議離婚と調停離婚までをセットにして着手金を設定している事務所は多いですが、離婚裁判までセットにしている事務所はあまりありません。そのため、離婚訴訟に至る場合には基本的に追加着手金がかかると考えておきましょう。
「弁護士費用をなるべく抑える」という点を重視するのであれば、長く争うことはせずに、お互いある程度歩み寄って協議離婚で解決するのは有効な選択肢だと思います。
5-4. 法テラスを利用する
法的トラブル解決のために国によって設立された「日本司法支援センター(法テラス)」を利用する方法もあります。法テラスでは無料法律相談などに対応するほか、弁護士費用の立て替えなども行っています。すべての法律事務所で利用できるわけではありませんが、法テラスを利用すれば弁護士費用は低く抑えられるでしょう。
もっとも、利用にあたっては、収入と資産が一定の基準以下であることなどの条件を満たす必要があります。
6. 協議離婚の弁護士費用に関してよくある質問
7. まとめ 協議離婚をめざす場合は、費用面で納得できる弁護士に依頼するのがお勧め
協議離婚の代理人を弁護士に依頼する場合、決して安くない費用を支払う必要があります。あとになって後悔しないように、依頼前にきちんと費用感を明確にしておくことが重要です。
依頼するのであれば、費用面についても明確に説明してくれる弁護士がよいでしょう。弁護士事務所によって費用体系が異なるため、自分に合った設定かどうかを確認することも大切です。
今は初回相談に無料で対応している弁護士も多くいるので、一人で悩まず、一度気軽に相談してみてください。
(記事は2025年6月1日時点の情報に基づいています)