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1. 仮面夫婦とは?
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1-1. 仮面夫婦の特徴チェックリスト
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1-2. 仮面夫婦と家庭内別居の違い
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2. 仮面夫婦になるきっかけ・原因
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2-1. 性格や価値観の不一致
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2-2. 子育てや家事のワンオペ化によるストレス
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2-3. 不倫(不貞行為)
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2-4. セックスレス
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2-5. 子どもの独立
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3. 仮面夫婦になっても離婚しないのはなぜ?
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3-1. 子どもへの悪影響を避けたいから
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3-2. 生活レベルを落としたくないから
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3-3. 世間体が気になるから
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3-4. 離婚手続きが面倒だから
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4. 仮面夫婦のまま離婚しないことのデメリット
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4-1. 同居生活にストレスを感じる
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4-2. 子どもがストレスを感じる
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4-3. 新しい人生のスタートをきれない
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5. 仮面夫婦の行く末に訪れるリスク
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6. 仮面夫婦の問題を解決するための対処法
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6-1. 夫婦間で今後をよく話し合う
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6-2. 別居を検討する
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6-3. 夫婦カウンセラーに相談する
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6-4. 弁護士に相談する
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7. 仮面夫婦であることを理由に離婚できる?
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7-1. 夫婦間で合意すれば離婚できる
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7-2. 配偶者が同意しなくても離婚できるケース
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7-3. 配偶者が同意しないと離婚できないケース
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8. 仮面夫婦に関する質問
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9. まとめ 仮面夫婦を続けるリスクやデメリットは大きい
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1. 仮面夫婦とは?
「仮面夫婦」とは、他人からは円満に見えても、実際には険悪な関係にある夫婦の俗称です。仮面夫婦について詳しく説明します。
1-1. 仮面夫婦の特徴チェックリスト
仮面夫婦には、以下のような特徴があります。
人前では円満な夫婦を演じている
家の中ではほとんど会話がない、会話をしても喧嘩ばかり
相手に対して互いに関心がない
相手と一緒にいたくないため、それぞれが頻繁に外出しているか、別居している
長期間にわたってセックスレスである など
上記の特徴がすべて当てはまらなくても、多くの点に心当たりがある場合は、仮面夫婦状態といえるかもしれません。
1-2. 仮面夫婦と家庭内別居の違い
「家庭内別居」は、夫婦が同じ家に住んでいるものの、お互いにほとんど干渉せずに生活している状態です。仮面夫婦は、家庭内別居状態にあるケースが多いと考えられます。
ただし、単に家庭内別居状態にあるだけでなく、対外的には円満な夫婦を装っている場合に、仮面夫婦と呼ばれる傾向にあります。
2. 仮面夫婦になるきっかけ・原因
仮面夫婦になるきっかけや原因としては、以下のようなパターンがよく見られます。
性格や価値観の不一致
子育てや家事のワンオペ化によるストレス
不倫(不貞行為)
セックスレス
子どもの独立
それぞれ順番に説明します。
2-1. 性格や価値観の不一致
結婚したものの、配偶者と性格や価値観が合わず、嫌悪感を抱いてしまうケースは少なくありません。一緒に生活する中で妥協を試みたものの、精神的に限界が来てしまい、ほとんど会話がない仮面夫婦になってしまうパターンがよく見られます。
2-2. 子育てや家事のワンオペ化によるストレス
夫婦の一方が仕事に明け暮れていたり、自分の都合で頻繁に外出していたりすると、もう一方がひとりで子育てや家事をする場面が増えます。
配偶者は自由に過ごしている一方で、自分は家のことに縛られている状態だと、大きなストレスを感じてしまうでしょう。そのストレスが配偶者に対する嫌悪感に繋がり、仮面夫婦となってしまうケースがあります。
2-3. 不倫(不貞行為)
配偶者の不倫が発覚すると、配偶者に対する愛情が一気に冷めてしまうのも無理のないことです。不倫の発覚をきっかけに、配偶者と話すことすら嫌になり、離婚はしないものの仮面夫婦になってしまうケースがあります。
2-4. セックスレス
夫婦間では、性交渉は重要なコミュニケーション手段の一つといえます。性交渉がない「セックスレス」の期間が長引くと、愛情表現をする機会が少なくなり、お互いに愛情が薄れて仮面夫婦になってしまうことがあります。
2-5. 子どもの独立
夫婦関係が少々険悪でも、子育てに関しては会話をするという夫婦は比較的多いです。このような夫婦は、子どもが独立すると会話の材料がほとんどなくなり、仮面夫婦になってしまうことがあります。
3. 仮面夫婦になっても離婚しないのはなぜ?
仮面夫婦は関係が険悪であるため、離婚した方が良いようにも思えます。しかし、それでも離婚を選ばない理由として、以下のようなケースがよく見られます。
3-1. 子どもへの悪影響を避けたいから
両親の離婚は、特に未成熟の子どもにとっては大きなショックとなることが多いです。子どもに及ぼす悪影響を避けるために、仮面夫婦状態でも離婚はしない、あるいは子どもが自立するまで離婚を待つケースがあります。
3-2. 生活レベルを落としたくないから
夫婦が離婚すると、生活費を賄うために相手の収入を当てにできなくなります。特に収入が少ない側は、離婚すると生活レベルを落とさざるを得ないことが多いです。離婚して生活レベルを落とすよりは、仮面夫婦状態でも婚姻を続けようとするケースがあります。
3-3. 世間体が気になるから
「結婚したら生涯添い遂げるべき」などの価値観を持っている人は、離婚自体に大きな抵抗を感じるかもしれません。自分がこのような価値観を持っていなくても、家族や周囲の人が離婚に対して嫌悪感を持っていると、世間体を気にして離婚に踏み切れないケースもあります。
3-4. 離婚手続きが面倒だから
離婚届を提出すれば、離婚すること自体は可能です。しかし、離婚後のトラブルを避けるためには、離婚条件を適切に取り決めなければなりません。
また、配偶者が離婚に反対すれば、調停や訴訟などの法的手続きを要する可能性があります。離婚が成立しても、財産分与や氏名変更などに関連して、さまざまな手続きを行わなければなりません。
このように、離婚に関する面倒な手続きが億劫で、あえて離婚せず仮面夫婦状態を続けているケースもあるでしょう。

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4. 仮面夫婦のまま離婚しないことのデメリット
4-1. 同居生活にストレスを感じる
配偶者との会話がほとんどない、夫婦喧嘩ばかりという状態では、生活の中でストレスを感じる場面が多くなります。同居生活のストレスが耐え難い場合は、健康面にも影響が出る可能性があります。
4-2. 子どもがストレスを感じる
両親の仲が険悪だと、それを見ている子どもも少なからずストレスを感じます。「子どもがショックを受けるから離婚しないでおこう」と考えていても、子どもにとってはむしろ、仮面夫婦状態の両親を見ている方が辛いかもしれません。本当に子どものためになる選択は何かを、改めて考え直す必要があります。
4-3. 新しい人生のスタートをきれない
夫婦関係が冷めきっていても、戸籍上の夫婦である以上は、配偶者のためにある程度時間を使う必要があり、行動にも制約が生じます。例えば、新しいパートナーを見つけたり、たくさんのお金や時間を自分のために使ったりすることは難しいでしょう。
こうした制約を取り払い、新しい人生のスタートを切りたいと考えている場合は、仮面夫婦状態を打ち切って離婚することも選択肢の一つです。
5. 仮面夫婦の行く末に訪れるリスク
仮面夫婦状態を続けていても、何らかの大きなきっかけがない限り、生活の中でのストレスを解消することは困難です。精神的に参ってしまったり、出来心から不倫に走ってトラブルになったりするおそれもあります。最終的には離婚に至るケースも多いです。
仮面夫婦状態に大きなストレスを抱えている方は、これからどのような人生を過ごしたいか考えて解決策を検討しましょう。
6. 仮面夫婦の問題を解決するための対処法
仮面夫婦であることが問題だと感じている場合には、状況を改善するよう努めましょう。代表的な対処法を挙げていきます。
6-1. 夫婦間で今後をよく話し合う
仮面夫婦のまま婚姻関係を続けるのは、夫婦双方にとって望ましくないと思われます。離婚を避けたい場合は、関係改善に向けて努力しましょう。
夫婦関係を改善するならその具体策について夫婦間でよく話し合うことをおすすめします。
6-2. 別居を検討する
配偶者との関係が険悪であり、一緒に暮らすことに大きなストレスを感じている場合は、別居することも有力な選択肢です。
別居して配偶者と離れることにより、適度な距離感が生まれて関係が改善することも少なくありません。その一方で、配偶者がいなくても十分生きていけると確信し、離婚を決意するようなケースもあります。
いずれにしても、別居を機に選択すべき道がはっきり見えてくることも多いです。仮面夫婦状態が苦痛である場合は、視野を広げる意味でも別居を検討するとよいでしょう。
6-3. 夫婦カウンセラーに相談する
夫婦関係を改善する方法については、夫婦カウンセラーに相談すればアドバイスを受けられます。夫婦間で話し合っても解決策が思いつかず、第三者の意見も聞いてみたい場合には、夫婦カウンセラーへの相談を検討してください。
6-4. 弁護士に相談する
配偶者と離婚することを視野に入れている場合は、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談すれば、手続きの流れや離婚が成立するかどうかの見通し、適正な離婚条件などについてアドバイスを受けられます。
離婚協議・離婚調停・離婚訴訟など、離婚成立に向けた手続きを弁護士に代行してもらうことも可能です。弁護士に代理で対応してもらえば、配偶者と直接話し合う必要がなくなるため、精神的なストレスも軽減されます。仮面夫婦状態を解消して離婚したい人は、一度弁護士に相談してみてください。

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7. 仮面夫婦であることを理由に離婚できる?
7-1. 夫婦間で合意すれば離婚できる
夫婦間で合意すれば、どのような理由であっても離婚はできます。夫婦が共同で離婚届を作成し、市区町村役場に提出して受理されれば、その時点で離婚が成立します。
ただし、離婚後のトラブルを防止するためには、離婚届の提出に加えて、離婚条件を詳しく話し合った上で合意しておくことが望ましいです。離婚条件で揉めた場合は、弁護士を通じた協議や離婚調停の申し立てを検討しましょう。
7-2. 配偶者が同意しなくても離婚できるケース
配偶者が離婚に同意しなくても、法定離婚事由が存在すれば、訴訟を通じて強制的に離婚を成立させることができます(民法770条1項)。法定離婚事由とは、次の5つです。
不貞行為
悪意の遺棄
配偶者の生死が3年以上不明である
配偶者が強度の精神病に罹り、回復の見込みがない(2026年5月までに施行される改正民法によって削除される予定)
その他、婚姻を継続し難い重大な事由
また、実際に裁判で離婚する場合、法定離婚事由があったことを証明する証拠が必要です。いずれにしても、弁護士に相談しながら進めるのが望ましいでしょう。
7-3. 配偶者が同意しないと離婚できないケース
法定離婚事由がない場合は、配偶者の同意がなければ離婚できません。例えば以下のようなケースでは、仮面夫婦状態であっても、離婚するためには配偶者の同意が必要になります。
性格や価値観の不一致を理由に離婚したい場合
子育てや家事のワンオペ化によるストレスが原因で離婚したい場合
子どもの独立を機に、視野を広げるために離婚したい場合 など
法定離婚事由がなく、配偶者が離婚を拒否している場合には、別居が一つの選択肢です。一定の別居期間を設けることで、裁判でも離婚が認められやすくなります。
8. 仮面夫婦に関する質問
仮面夫婦の割合は、統計によるデータが存在しないため、どの程度の割合かは不明です。民間企業が運営するウェブサイトのアンケートでは、2割から3割程度とされているケースが多いようです。
仮面夫婦のまま老後を迎えると、夫婦間で適切に助け合うことができないおそれがあります。特に身体が不自由になって介護が必要になった場合に、仮面夫婦状態では配偶者の十分なサポートを受けられないことが懸念されます。 さらに、認知症などが進行して判断能力が低下した場合、勝手に財産を使われてしまったり、必要な治療を受けさせずに放置されたりするおそれもあります。老後を見据えると、配偶者との関係を改善することが望ましいです。それが難しければ、離婚して新たなパートナーを探した方がいいかもしれません。
9. まとめ 仮面夫婦を続けるリスクやデメリットは大きい
「仮面夫婦」とは、他人からは円満に見えても、実際には険悪な関係にある夫婦をいいます。仮面夫婦の状態は、夫婦のあり方として望ましいものとはいえません。一緒に暮らしていて精神的に辛い、子どもにストレスを感じさせるなどのデメリットがあります。
仮面夫婦に息苦しさを感じているなら、夫婦関係の改善に向けて2人で話し合いの機会を持ちましょう。それが難しいなら、別居や離婚も選択肢となります。離婚手続きは複雑かつ専門的ですが、弁護士に相談すればサポートを受けられます。配偶者が離婚を拒否している場合や離婚条件で揉めた場合も、弁護士に依頼すればスムーズな離婚成立に向けて尽力してもらえます。
仮面夫婦を問題に感じていて、離婚を含めた解決策を検討したい人は、弁護士に一度相談してみましょう。
(記事は2025年6月1日時点の情報に基づいています)