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1. パパ活は不倫になるのか?
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1-1. パパ活とは
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1-2. パパ活が不倫に当たるケース
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1-3. パパ活が不倫に当たらないケース
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2. パパ活を理由に離婚する場合、慰謝料請求はできる?
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2-1. パパ活が不法行為に当たる場合は、離婚慰謝料を請求できる
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2-2. 慰謝料は、配偶者とパパ活相手の両方に請求可能
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2-3. パパ活相手に離婚慰謝料を請求できないケース
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3. パパ活による不倫慰謝料の金額相場
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3-1. 離婚しない場合|50万~200万円程度
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3-2. 離婚する場合|150万~300万円程度
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3-3. パパ活不倫の慰謝料額に影響を与える要素
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3-4. 性交渉がない場合|数十万円程度
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4. パパ活不倫を理由に離婚する手続きの流れ
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4-1. 【ステップ①】離婚協議
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4-2. 【ステップ②】離婚調停
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4-3. 【ステップ③】離婚訴訟
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5. パパ活不倫の慰謝料請求を成功させるためのポイント
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5-1. 不法行為の証拠を確保する
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5-2. 慰謝料の増額に繋がる事情をリストアップする
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5-3. 弁護士に相談する
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6. パパ活の相手が未成年者の場合は要注意
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7. パパ活不倫に関するよくある質問
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8. まとめ パパ活が発覚したら弁護士に相談するのが一番よい
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1. パパ活は不倫になるのか?
既婚者が配偶者以外の異性と性的関係を結ぶ場合は、「パパ活」という名目でも不貞行為(不倫)に当たります。これに対して、双方が既婚者でないパパ活や、性的関係を結ばないパパ活は不貞行為に当たりません。
1-1. パパ活とは
「パパ活」とは、若い女性が中高年の男性と飲食、デート、性交渉などを行い、その対価として金品を受ける行為の俗称です。
ここ数年で、SNSなどを通じてパパ活がクローズアップされる機会が増え、パパ活をする人が増えています。男性は若い女性と交流する機会を得られる点、女性は高額の金銭を短時間で得られる点などに魅力を感じているようです。
なお、若い女性と年上の男性の間では、1990年代ごろから「援助交際」が横行していました。援助交際では、デートや性交渉などの対価として、男性が女性に対して金品を渡します。
援助交際は「性の売買」という側面が強調されるのに対して、パパ活は「性的関係がなくてもOK」というソフトなイメージが広まっています。しかし、実態としてはパパ活においても性交渉がなされるケースがあるため援助交際との境目は曖昧です。
なお、「援助交際」や「パパ活」など名目の如何を問わず、性交の対価として金品を授受する行為は売春防止法によって禁止されています。
1-2. パパ活が不倫に当たるケース
「不倫」という言葉は法律用語でなく、その意味するところは人によって異なります。法律上は、配偶者以外の異性と性的関係を結ぶ「不貞行為」がなされた場合は、離婚請求が認められることになっています(民法770条1項1号)。
不貞行為が「不倫」に該当することについては、一般的に異論はないでしょう。したがってパパ活においても、男性と女性のいずれかが既婚者で、性交渉をした場合は不倫に当たります。
1-3. パパ活が不倫に当たらないケース
不貞行為の定義からすると、男性と女性がいずれも既婚者でないパパ活や、性的関係を結ばずにデートやキスなどだけで済ませるパパ活は、不貞行為に当たりません。ただし、不貞行為に当たらないデートやキスなどの行為でも、不倫に当たると考える人もいます。配偶者とのトラブルを避けるためには、性交渉なしのパパ活についても避けた方がよいでしょう。
2. パパ活を理由に離婚する場合、慰謝料請求はできる?
配偶者のパパ活が「不法行為」に当たる場合は、配偶者やパパ活相手に対して慰謝料を請求できます。
2-1. パパ活が不法行為に当たる場合は、離婚慰謝料を請求できる
「不法行為」とは、故意や過失によって他人に違法な損害を与える行為を指します(民法709条)。パパ活が不法行為に該当する場合、被害者は慰謝料を請求することが可能です。
【性交渉を伴うパパ活の場合】
性交渉を伴うパパ活は、夫婦間の貞操義務に反する違法行為です。この場合、被害者である配偶者(妻)は、不法行為に基づいて加害者である夫に慰謝料を請求できます。
さらに、「夫が既婚者であること」をパパ活相手が知っていた場合、または知らなかったことに過失があった場合には、夫だけでなくパパ活相手の女性にも慰謝料を請求できる可能性があります。
【性交渉を伴わないパパ活の場合】
性交渉がない場合でも、夫婦関係の平穏を著しく乱す行為と認められる場合には、不法行為に該当する可能性があります。例えば、男性が女性に対して常識を超える多額の贈与をした場合や、パパ活に夢中になり、家庭を顧みずほとんど帰宅しなくなってしまった場合などが該当します。
2-2. 慰謝料は、配偶者とパパ活相手の両方に請求可能
パパ活において、配偶者とパパ活相手の両方に不法行為が認められる場合、被害者はどちらに対しても慰謝料全額を請求できます。例えば、被害者の精神的損害が200万円に相当する場合、配偶者とパパ活相手のどちらに対しても、200万円を上限として慰謝料請求が可能です。
ただし、「二重取り」は認められないため、200万円を回収した時点で追加の請求はできません。また、配偶者と離婚しない場合には、配偶者がパパ活相手から求償されると、家計からお金が出て行ってしまうことに注意しましょう。
2-3. パパ活相手に離婚慰謝料を請求できないケース
パパ活が性交渉を伴わず、かつ夫婦生活の平穏を乱すものとも認められない場合には、不法行為が成立しないため、慰謝料請求は認められません。また、配偶者については不法行為が成立する場合でも、パパ活相手に故意または過失がなければ、パパ活相手に対する慰謝料請求は認められません。
すなわち、配偶者が既婚者であることをパパ活相手が知らず、かつ知るきっかけもなかった場合には、パパ活相手に対する慰謝料請求は認められません。
3. パパ活による不倫慰謝料の金額相場
パパ活を理由とする不倫慰謝料の金額相場は、離婚しない場合で50万円から200万円程度、離婚する場合で150万円から300万円程度です。
3-1. 離婚しない場合|50万~200万円程度
パパ活の中で性交渉があった場合でも、配偶者と離婚しない選択をするなら、不倫慰謝料の相場は50万円から200万円程度です。ただし、離婚しない場合には、慰謝料の支払いに関して注意すべき点があります。それは、パパ活相手が支払った慰謝料の一部を後から配偶者に請求(求償)する可能性があることです。
例えば、パパ活相手の女性が妻に対して200万円の慰謝料を支払ったとします。その後、パパ活相手が「不貞行為は夫にも責任がある」と主張し、夫に対して半額の100万円を請求するケースが考えられます。これは「求償権」と呼ばれる権利で、法的に認められているものです。
パパ活相手に慰謝料を請求すると、求償権を根拠に「慰謝料を半額程度に減額してほしい」と交渉されることがあります。離婚しない場合に慰謝料を請求すると、求償権に関する問題が発生する可能性があることをあらかじめ理解しておくことが大切です。
3-2. 離婚する場合|150万~300万円程度
パパ活の中で性交渉がなされ、配偶者と離婚することになった場合、不倫慰謝料の金額は150万円から300万円程度が標準的です。離婚しない場合に比べると、離婚する場合の方が大きな精神的ダメージを被ると考えられるため、より高額の慰謝料が認められる傾向にあります。
3-3. パパ活不倫の慰謝料額に影響を与える要素
パパ活不倫の具体的な慰謝料額は、以下の要素などによって変動します。
パパ活の頻度、回数、期間
パパ活に費やした金額
婚姻期間の長さ
未成熟の子の有無
配偶者がパパ活に入れ込み過ぎていたり、婚姻期間が長かったり、夫婦間に未成熟の子がいたりする場合などには、高額の不倫慰謝料が認められやすいです。
3-4. 性交渉がない場合|数十万円程度
性交渉が伴わないパパ活については、夫婦関係の平穏を乱す程度に至っていない限り、慰謝料請求が認められません。仮に慰謝料請求が認められたとしても、慰謝料額は数十万円程度にとどまるケースが多いです。
配偶者とパパ活相手の性交渉が強く疑われるとしても、慰謝料請求の相手方が否認する場合は、請求する側が性交渉の事実を立証しなければなりません。訴訟で性交渉の事実を立証できないと、性交渉がなかったものとして扱われてしまいます。パパ活の不倫慰謝料を請求する際には、性交渉を立証できる客観的な証拠の確保に努めましょう。
4. パパ活不倫を理由に離婚する手続きの流れ
パパ活不倫をした配偶者に愛想を尽かし、離婚したいと考えている場合には「離婚協議→離婚調停→離婚訴訟」の流れで手続きを進めましょう。
4-1. 【ステップ①】離婚協議
まずは配偶者との間で、離婚に関する話し合い(=離婚協議)を行いましょう。離婚協議では、離婚する旨と各種の離婚条件について話し合います。決めるべき離婚条件としては、以下の例が挙げられます。
財産分与
年金分割
慰謝料
親権
養育費
面会交流
それぞれの離婚条件を漏れなく、適切な内容で取り決めましょう。離婚の合意が得られたら、合意内容をまとめた公正証書を作成することをおすすめします。
4-2. 【ステップ②】離婚調停
離婚協議がまとまらないときは、家庭裁判所に離婚調停を申し立てましょう。離婚調停は、家庭裁判所において非公開で行われます。中立の調停委員が夫婦双方の言い分を聞き取り、歩み寄りを促して合意形成をサポートします。
客観的な資料に基づいて事情を合理的に説明すれば、調停委員を味方に付けやすくなります。調停委員の信頼を得ることができれば、相手を説得してもらえるなど、離婚調停を有利に進めることができます。
夫婦間で離婚の合意が得られた場合は、その内容をまとめた調停調書が作成され調停離婚が成立します。これに対して、合意が得られる見込みがない場合は調停不成立となります。この場合、家庭裁判所の判断で審判離婚が成立することもありますが、審判がなされなければ調停は終了します。
4-3. 【ステップ③】離婚訴訟
離婚調停が不成立となった場合は、裁判所に離婚訴訟を提起しましょう。離婚訴訟では、不貞行為などの法定離婚事由を立証できれば、裁判所が強制的に離婚を成立させる判決を言い渡します。また、訴訟の途中で双方が合意すれば、和解離婚が成立することもあります。
離婚訴訟を有利に進めるためには、不貞行為の事実や離婚条件について、客観的な証拠をもとに主張を展開することが重要です。弁護士と協力し、万全の準備を整えて訴訟に臨みましょう。
5. パパ活不倫の慰謝料請求を成功させるためのポイント
パパ活不倫の慰謝料請求を成功させるためのポイントを紹介します。これらのポイントを理解しておけば、適正額の慰謝料を得られる可能性が高まるので、しっかりと理解しましょう。
5-1. 不法行為の証拠を確保する
パパ活不倫の慰謝料請求を成功させるには、不貞行為をはじめとする不法行為の証拠を確保することが大切です。動画や写真、メッセージのやり取りなど、配偶者とパパ活相手の性交渉等の立証に繋がる客観的な証拠を確保しましょう。
5-2. 慰謝料の増額に繋がる事情をリストアップする
慰謝料の増額に繋がる事情を豊富に主張できれば、高額の慰謝料を得られる可能性が高まります。婚姻期間が長いことや未成熟の子がいることは、慰謝料の増額に繋がる重要な要素です。
また、配偶者とパパ活相手が会っていた頻度などを立証できれば、慰謝料の増額が認められる可能性があります。これらの事情をできる限りリストアップして、慰謝料請求に備えましょう。
5-3. 弁護士に相談する
慰謝料請求の成功率を高めるには、法的な観点からの十分な検討が欠かせません。そのため、配偶者のパパ活不倫が判明したら、法律の専門家である弁護士への相談をおすすめします。
弁護士には、慰謝料請求の相手方との交渉や、裁判手続き(調停や訴訟など)の対応などを一任できます。労力やストレスが大幅に軽減される上に、慰謝料請求が認められる可能性や増額の可能性が高まるので、お早めに弁護士へご相談ください。
6. パパ活の相手が未成年者の場合は要注意
配偶者のパパ活相手が未成年者の場合には、配偶者が児童買春・児童ポルノ禁止法違反によって逮捕される可能性があります。
配偶者が逮捕された場合は、離婚手続きの進め方について慎重な検討を要します。また、未成熟の子どもがいる場合には、子どもへの影響も懸念されるところです。
配偶者のパパ活不倫が疑われる場合には、まずパパ活相手の素性を調査しましょう。その結果、パパ活相手が未成年者であることが判明したときは、弁護士に相談しながら慎重に対応することをおすすめします。
7. パパ活不倫に関するよくある質問
8. まとめ パパ活が発覚したら弁護士に相談するのが一番よい
配偶者のパパ活不倫が判明した場合には、配偶者とパパ活相手の両方に対して慰謝料を請求できる可能性があります。性交渉の証拠を確保するなど、慰謝料請求の準備を進めましょう。
パパ活不倫への慰謝料請求を成功させるためには、弁護士のサポートが大いに役立ちます。慰謝料請求の対応を弁護士に一任すれば、労力やストレスが大幅に軽減され、慰謝料請求の成功率も高まります。パパ活不倫の慰謝料請求は、弁護士にご相談ください。
(記事は2025年5月1日時点の情報に基づいています)