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結婚前に浮気していた配偶者と離婚できる? 慰謝料請求は? 弁護士が解説

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配偶者の結婚前の浮気がわかった場合、離婚することはできるのでしょうか (c)Getty Images
配偶者が結婚前に浮気をしていたとわかった場合、それを理由に離婚や慰謝料請求はできるのでしょうか? 結婚前の浮気が、裁判で離婚を認めてもらえる「法定離婚事由」にあたるのか、あるいはどのようなケースなら慰謝料請求ができるのかについて、弁護士がわかりやすく解説します。
目 次
  • 1. 結婚前の浮気(二股)を理由に離婚できる?
  • 1-1. 夫婦間で合意すれば離婚できる
  • 1-2. 裁判で離婚が認められるのは難しい
  • 1-3. 内縁成立後の浮気(不倫)は、法定離婚事由にあたる可能性がある
  • 2. 結婚前に浮気されたら、慰謝料は請求できる?
  • 2-1. 内縁や婚約が成立したあとの浮気には、慰謝料を請求できる
  • 2-2. 浮気相手に対する慰謝料請求できる可能性
  • 2-3. 結婚前の浮気に関する慰謝料の相場額
  • 2-4. 慰謝料請求権には時効がある|期間経過後は慰謝料を請求できない
  • 3. 結婚前の浮気を証明するための証拠の具体例
  • 4. 結婚前の配偶者の浮気に悩んだ場合に弁護士へ相談するメリット
  • 5. 結婚前の浮気に関してよくある質問
  • 6. まとめ|結婚前の浮気については弁護士が専門的に対応

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1. 結婚前の浮気(二股)を理由に離婚できる?

配偶者が結婚前に浮気していたことが発覚した際、それを理由に離婚ができる場合もありますし、離婚が難しい場合もあります。

1-1. 夫婦間で合意すれば離婚できる

夫婦間で合意すれば、離婚できます。離婚意思の合致と届出によって成立する離婚を「協議離婚」と言いますが、その場合、離婚の理由は問われないからです。

夫婦間の話し合いで離婚に合意できなければ、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。調停を申し立てると調停委員が夫婦双方の話を別々に聞き、離婚合意に向けて話し合いを進めていきます。調停も話し合いで合意をめざす方法なので、離婚の理由は不要であり、夫婦双方が同意すれば離婚が可能です。ただし、話し合いがまとまらなければ離婚はできません。

1-2. 裁判で離婚が認められるのは難しい

夫婦間の話し合いがまとまらず、離婚調停も不成立に終わった場合、裁判で争うことになります。裁判では原則、結婚前の浮気を理由とした離婚請求は認められません。

裁判で離婚を認めてもらうには、以下のような法定離婚事由が必要です。

  • 配偶者が不貞行為をした場合

  • 配偶者による悪意の遺棄があった場合

  • 配偶者の生死が3年以上不明の場合

  • 配偶者が強度の精神病で回復の見込みがない場合(民法改正に伴い削除の見込み)

  • その他、婚姻を継続し難い重大な事由がある場合

結婚前の浮気は、一見「配偶者が不貞行為をした場合」にあたりそうですが、法定離婚事由である「不貞行為」は、「配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」を指します。したがって、配偶者以外と性的関係を結んだのが結婚前のことであれば、不貞行為にはあたりません。つまり、結婚前の浮気は法定離婚事由に該当せず、離婚請求をする場合はほかの理由が必要です。

1-3. 内縁成立後の浮気(不倫)は、法定離婚事由にあたる可能性がある

パートナーと内縁関係にあった場合には、結婚前の浮気が法定離婚事由の不貞行為にあたる可能性があります。

内縁関係とは、婚姻届の提出はしていないものの、お互いに夫婦だと認識して生活している関係を指します。内縁関係の成立が認められるためには、双方に婚姻の意思があること、およびこれに基づく共同生活が必要です。

具体的には以下のような事情を総合的に考慮して判断されます。

  • 長期間同居していて、親族をはじめ周囲から夫婦だと思われている

  • 家計を一緒にしている

  • 住民票の世帯が同一で「続柄」に「妻(未届)」、「夫(未届)」と記載されている

  • 一方のパートナーが他方パートナーの社会保険の被扶養者となっている

  • 結婚式を挙げている

内縁が成立したあとの浮気は、不貞行為と同視されて裁判での離婚請求が認められる余地があります。

2. 結婚前に浮気されたら、慰謝料は請求できる?

結婚前に配偶者が浮気をしていたことが発覚した場合、要件を満たしていればパートナーに慰謝料を請求できます。また、浮気相手に対しても慰謝料請求できる可能性があります。

2-1. 内縁や婚約が成立したあとの浮気には、慰謝料を請求できる

内縁や婚約が成立したあとにパートナーが浮気をした場合は、慰謝料を請求できます。

内縁は婚姻の届出をしていないため、法律上の婚姻ではないものの、男女が協力して夫婦としての生活を営む点で言えば婚姻関係と異なるものではありません。そのため、内縁は「法律上の婚姻に準ずる関係」と考えられます。

したがって、内縁関係であっても法律婚の場合とほぼ同様の義務、たとえば貞操義務、同居、協力及び扶助の義務、婚姻費用の分担義務などを負います。内縁関係にあるパートナーが浮気相手と肉体関係を持った場合には、貞操義務違反にあたり得るため、慰謝料を請求できる可能性が高いと言えます。

婚約が成立していた場合も、慰謝料を請求できる可能性があります。婚姻関係における場合ほど強い内容のものではないものの、婚約中の当事者は互いに貞操を維持する義務を負うと考えられているからです。

婚約とは婚姻の予約であり、将来的な結婚を誠実に約束することで成立すると考えられています。ただし、婚約には書類や法的な手続きがないため、曖昧になりやすい傾向にあります。

そのため、実際に婚約が成立していたと主張し、婚約中の浮気を理由に慰謝料を請求するためには、結婚する意思が明確であったことに加えて、婚約していたことが客観的にわかる以下のような事情が必要です。

  • 双方の両親に結婚の挨拶をしている

  • 結納を交わしている

  • 結婚式場の下見や予約をしている

  • 婚約指輪を渡している

  • 知人に結婚相手として紹介されている

2-2. 浮気相手に対する慰謝料請求できる可能性

結婚前に浮気をしていた確固たる証拠があれば、配偶者だけでなく浮気相手に対しても慰謝料請求できる可能性があります。ただし、浮気相手が内縁や婚約の事実を知っているか、または過失によって知らなかったことが条件となります。

浮気相手に慰謝料請求する際には、できるだけ多くの証拠を通じて、自身とパートナーの内縁関係や婚約関係を浮気相手が知っていたこと、または知ることができたことを証明する必要があります。

2-3. 結婚前の浮気に関する慰謝料の相場額

結婚前の浮気に関する慰謝料の相場額は、内縁が成立していれば100万円~300万円程度、婚約はしていたものの内縁が成立していなければ50万円~100万円程度です。

慰謝料の金額を左右する要素は、結婚前も結婚後も考え方は基本的に同じです。浮気の回数や期間、同居していた期間、浮気が2人の関係にどのような影響を及ぼしたかなどで決定します。

たとえば、婚約中に浮気をされたものの、それが1度限りだった場合と、5年以上も内縁関係にあるパートナーが2年にわたり浮気をしていた場合とでは、慰謝料の金額も大きく変わります。

2-4. 慰謝料請求権には時効がある|期間経過後は慰謝料を請求できない

慰謝料請求権には時効があるため、時効期間を経過すると請求できなくなります。慰謝料請求権は不法行為に基づく損害賠償請求権なので、以下のいずれか早いほうの期間を経過すると時効によって消滅します。

  • 浮気(不貞行為)の事実とその相手を知ったときから3年

  • 浮気(不法行為)のときから20年

浮気相手に慰謝料を請求する場合、相手の氏名や住所を特定できるまでは3年の消滅時効期間は進行しません。他方、パートナーに慰謝料を請求する場合には、浮気相手が判明していなくても、浮気を知ってから3年以内に請求する必要があります。

慰謝料請求の時効が迫っているときは、内容証明郵便を送って催告をすることで6カ月間は時効の完成が猶予されます。その間に、交渉で協議を行う旨の合意を取りつけるか、時効の完成前に慰謝料を支払う義務があることを認めさせる方法で解決を図ります。内容証明郵便を送ってから6カ月の間に解決のめどが立たない場合は、訴訟提起によって時効の進行を止める選択肢を検討しましょう。

3. 結婚前の浮気を証明するための証拠の具体例

結婚前の浮気で慰謝料を請求するためには、内縁や婚約が成立していることに加え、浮気の事実についても主張し、立証する必要があります。

浮気を証明するための証拠には、主に以下のようなものがあります。

  • 性行為を撮影した写真や動画

  • ラブホテルに出入りする写真や動画

  • 浮気の際に利用したラブホテルの領収書やクレジットカードの利用明細

  • 性行為の存在を匂わせるメールやLINEなどのやりとり

決定的な証拠がない場合でも、当事者の一方が自白した証言やパートナーの浮気を知る第三者の証言などが証拠として認められる可能性があります。

4. 結婚前の配偶者の浮気に悩んだ場合に弁護士へ相談するメリット

配偶者の結婚前の浮気が判明し、気持ちの整理がつかない場合は、弁護士への相談をお勧めします。結婚前の浮気を理由に慰謝料を請求できるかどうかは、パートナーとの当時の関係性によるところが大きく、内縁や婚約が成立していたかについての判断は、法律的な知見が必要となる場合が多いためです。

弁護士に相談すれば、法律的な観点から慰謝料請求が認められるかどうかを的確に判断してくれます。内縁や婚約が成立していたことや浮気(不貞行為)があったことを示す証拠として、どのようなものが有効かも助言してもらえます。

結婚前の浮気が判明した場合は、だまされた気持ちになることもあるでしょう。配偶者との離婚を望む場合、弁護士に相談すれば、どのような話し合いが早期解決につながるか、仮に離婚裁判までもつれ込んだ場合に離婚判決を得られる状況かどうかについて具体的なアドバイスを得られるはずです。

5. 結婚前の浮気に関してよくある質問

Q. 結婚前の浮気は、浮気調査をすれば判明する?
現在も浮気が続いている場合を除き、過去の浮気が調査で判明するケースはあまり多くありません。実際、過去の浮気調査は、古いケースほど証拠を集めることが難しくなります。 浮気を示すようなSNSの投稿やメールなどが残っている、友人から情報を得られるといった場合には、ある程度の情報をつかめる可能性はありますが、裁判で使えるほどの証拠を得るのは困難であると考えられます。 したがって、探偵に依頼をしたとしても、現在進行形の浮気調査と同レベルの証拠を得られる可能性は低いと言えます。
Q. 結婚直前の浮気が判明したら、離婚請求や慰謝料請求はできる?
結婚直前の浮気であれば、慰謝料請求が認められる可能性は高いでしょう。婚約指輪を受け取ったり、結納を交わしたり、結婚式場の予約をしたりするなど、結婚に向けて具体的な準備を進めている場合は、婚姻の成立が認められやすいからです。 離婚について配偶者の合意が得られず裁判で離婚を請求する場合は、浮気の時点で内縁関係が成立していた事実が必要になります。

6. まとめ|結婚前の浮気については弁護士が専門的に対応

配偶者の結婚前の浮気が、結婚後に発覚した場合、配偶者の合意がない限り、過去の不義理を理由とした離婚請求が認められる可能性は低いと言えます。他方、結婚前の浮気でも内縁関係や婚約関係にあれば、慰謝料を請求できる余地はあります。

結婚前の浮気を理由に慰謝料を請求するのであれば、内縁や婚約の成立と浮気の事実を証明する証拠が不可欠です。結婚前の浮気が問題となるケースでは専門的知識やノウハウが必要となる場面が多いため、配偶者の結婚前の浮気が判明した際は、弁護士に相談することをお勧めします。

(記事は2025年5月1日時点の情報に基づいています)

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