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1. 離婚を決断できない理由
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1-1. 子どもがまだ小さいから
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1-2. 離婚後の生活費が不安だから
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1-3. 相手に情が残っているから
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1-4. 子どもと離れたくないから
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1-5. 住宅ローンなどがあり財産の清算が大変だから
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1-6. 今後再婚できないかもしれないから
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1-7. 世間体が気になるから
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2. 離婚が決断できないときの判断ポイント
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2-1. 本当に修復は不可能なのか、二度と相手会えなくても後悔しないか
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2-2. 子どもにとって幸せかどうか
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2-3. 離婚後の生活は成り立つのか
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2-4. 二人でいる未来、一人で生活する未来、どちらがよいと思うか
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2-5. 離婚のメリットとデメリット、どちら上回るか
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3. それでも離婚が決断できない時にすべきこと
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3-1. 離婚経験者に相談してみる
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3-2. 別居をしてみる
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3-3. 夫婦関係を再構築する
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4. 離婚で後悔しないために離婚前に準備しておくべきこと
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4-1. 離婚時にもらえるお金の把握や請求
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4-2. 不貞行為やDVなどがあれば証拠を確保する
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4-3. 離婚後の生活費のシミュレーション
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4-4. 仕事の確保
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4-5. 別居先の確保
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4-6. 子どもの生活環境の整備
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4-7. 頼れる公的支援の確認
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5. 「離婚が決断できない」に関連してよくある質問
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6. まとめ 離婚が決断できない場合はたくさん悩み後悔のない選択をすることが大切
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1. 離婚を決断できない理由
離婚を考えていても、子どもやお金のこと、今後の生活など多くの要素が頭をよぎり、決断できないケースは珍しくありません。例えば以下のような理由が挙げられます。
子どもがまだ小さいから
離婚後の生活費が不安だから
相手に情が残っているから
子どもと離れたくないから
住宅ローンなどがあり財産の清算が大変だから
今後再婚できないかもしれないから
世間体が気になるから
1-1. 子どもがまだ小さいから
夫婦に幼い子どもがいる場合、「子どもが片親になるのはかわいそう」「子どもの成長に悪影響を与えるのではないか」といった理由で離婚を決断できないことがあります。また、親権を得た場合でも、「仕事と育児の両立が難しいのではないか」との不安から、離婚を踏みとどまるケースも少なくありません。
1-2. 離婚後の生活費が不安だから
離婚後の生活に対する不安も、離婚を決断できない大きな理由の一つです。特に専業主婦や非正規社員だった場合、熟年離婚で再就職が難しいと感じる場合には、金銭面での不安が一層強くなります。
1-3. 相手に情が残っているから
相手と話し合えばまだやり直しができそうな場合や、相手に対して情が残っている場合には、離婚したら後悔するのではないかと考えて、離婚を決断できないことが多いです。
1-4. 子どもと離れたくないから
離婚後に自分が親権を得られない可能性が高いと考えた場合、子どもと離れ離れになることをおそれて、離婚をためらうケースがあります。また、離婚後の面会が十分にできないかもしれないという不安も、離婚を思いとどまらせる要因になります。
1-5. 住宅ローンなどがあり財産の清算が大変だから
結婚後に購入した不動産に住宅ローンが残っている場合、財産の清算が面倒であることから離婚を踏みとどまるケースがあります。特に、住宅ローンを契約してない側が自宅への居住を希望する場合、離婚後のローンや権利関係の処理が複雑です。
また、不動産の評価額から住宅ローンを控除した残額がプラスの場合、住宅をもらう側が、相手に代償金を支払う必要があります。住宅ローンを上回る評価額分を、公平に財産分与するためです。代償金が高額になると現金を捻出できず、結果として離婚を決断できないケースもあります。私の事務所にも「住宅ローンの代償金が支払えないために離婚できない」という相談がよく寄せられます。
1-6. 今後再婚できないかもしれないから
自分の年齢を考えて、「今離婚したら再婚できず、孤独な老後を迎えるのではないか」という不安から離婚に踏み切れない人もいます。特に、熟年離婚のケースでは、そのような心配を抱える人が多いようです。
1-7. 世間体が気になるから
友人や職場、近所の人に「離婚したと思われたくない」と世間体を気にして離婚を決断できないケースもあります。また、私が過去に相談に乗ったケースでは、両親が反対しているため離婚をためらっているという人もいました。
2. 離婚が決断できないときの判断ポイント
離婚が決断できない場合、自分の気持ちや状況を冷静に整理することが重要です。以下のポイントを踏まえて考えてみましょう。
2-1. 本当に修復は不可能なのか、二度と相手会えなくても後悔しないか
離婚が決断できない場合、以下の観点から、離婚しても後悔しないかを自問してみましょう。
相手とやり直したい気持ちがあるか
現実的に修復の可能性があるか
相手と離婚して二度と会えなくなったとしても後悔しないか
例えば、夫婦のコミュニケーション不足が原因で不仲になっている場合、本心は「もっと会話をしたい」という気持ちが隠れているのかもしれません。後悔しないためには、自分の感情を深く掘り下げ、相手と腹を割って話し合いを重ねることが重要です。
2-2. 子どもにとって幸せかどうか
離婚することが、子どもの幸せにとってよいかどうかという点も考える必要があります。両親の関係悪化に子どもが気を遣っているようなら、必ずしも一緒にいることが幸せとは限りません。関係修復が難しい場合、子どもの幸せのために離婚を検討することが必要なケースもあるでしょう。
2-3. 離婚後の生活は成り立つのか
離婚後は基本的に、養育費を除いて相手からの経済的支援は得られません。そのため、離婚後に一人で生計を立てられるかを考え、離婚を検討する必要があります。相手の収入が高く、十分な養育費を受け取れる場合を除き、多くのケースでは自ら働いて生計を立てる必要があります。専業主婦や非正規社員だった人は、再就職して十分な収入を得られるかも含めて判断しましょう。
2-4. 二人でいる未来、一人で生活する未来、どちらがよいと思うか
配偶者との将来を想像して、老後や介護の問題を支え合えるかどうか考えてみましょう。相手の老後の世話や介護をしても構わないと思うなら結婚生活を続ける選択もあります。一方、一人の方が気楽で自分らしく生きられると感じるなら、離婚を選ぶのも一つの道です。一度きりの人生なので、自分の気持ちを大切にしましょう。
2-5. 離婚のメリットとデメリット、どちら上回るか
離婚は今後を左右する大きな決断であるため、離婚のメリットとデメリットを洗い出して、どちらが上回るかを冷静に考えることも大切です。メリットが大きければ離婚を検討し、デメリットが大きければ婚姻関係を継続するのも一つの選択肢です。メリットがデメリットを上回った場合に改めて離婚を検討すればよいでしょう。
3. それでも離婚が決断できない時にすべきこと
さまざまな事情を考えて、それでも離婚が決断できないときは、以下の方法も検討してみましょう。行動することで変化が生じて、進むべき道が見えてくることもあります。
3-1. 離婚経験者に相談してみる
離婚が決断できずに迷った場合は、友人や知人などの離婚経験者に相談してみる方法もあります。その人が離婚を決断したきっかけやタイミング、離婚後に後悔したこと、後悔しないために準備すべきことなどのアドバイスを受けられるかもしれません。
また、友人や知人が離婚時に弁護士に依頼していた場合には、その弁護士を紹介してもらえる可能性もあります。当事務所でも、過去の依頼者からの紹介で相談に来る人が多くいます。
3-2. 別居をしてみる
離婚の決断が難しい場合は、別居をしてみるのも一つの方法です。配偶者と離れて生活することで、自分の気持ちを見直し、結婚生活を続けるべきかを冷静に判断できます。また、別居を通じて離婚後の生活を具体的にイメージできるでしょう。
ただし、別居中の育児については、親権に影響するため、どちらが子どもの面倒を見るか事前に話し合っておく必要があります。さらに、別居が5年程度続くと、婚姻関係が破たんしていると判断され、離婚が認められる可能性が高まります。相手から離婚を求められることもあるため、婚姻関係を継続したい場合は注意が必要です。
DVやモラハラの被害を受けている場合は、まずは安全を確保するために速やかに別居を検討しましょう。
3-3. 夫婦関係を再構築する
離婚に踏み出せない場合、もう一度夫婦関係の改善を試みるのもよいでしょう。当事者間での話合いが難しい場合は、家庭裁判所の「夫婦関係円満調停」を利用する方法もあります。
夫婦関係円満調停とは、家庭裁判所で調停委員を交え、夫婦関係の回復を目指して話し合う手続きです。調停では、調停委員が夫婦双方の事情を聞き、夫婦関係の問題点を探って、改善のためのアドバイスや解決策を提示してくれます。
4. 離婚で後悔しないために離婚前に準備しておくべきこと
離婚を決断したら、事前準備を整えておくことが重要です。後悔しないためにも、以下の準備をしておきましょう。
4-1. 離婚時にもらえるお金の把握や請求
離婚時や離婚後に相手からもらえる以下のお金の見通しをつけておくことが重要です。
【財産分与】
財産分与は、婚姻時に夫婦共同で形成した財産を、離婚時に原則として2分の1ずつ分ける制度です。財産の名義がどちらにあるかは関係なく、夫名義の不動産でも、妻はその価値の半分を財産分与として受け取れます。
【養育費】
離婚後、子どもの監護をしない親が、子の監護をする親に対して支払う費用です。基本的には、養育費算定表に基づき、双方の年収と子の年齢・人数によって算出されます。
【慰謝料】
相手が離婚原因を作り出した場合には、離婚慰謝料の請求が可能です。典型例は、不貞行為(不倫)による離婚です。不貞行為の慰謝料は、200万円から300万円が相場となり、不貞回数や婚姻期間などさまざまな事情を考慮して決定されます。
4-2. 不貞行為やDVなどがあれば証拠を確保する
相手に不貞行為やDVがある場合は、その証拠を確保しておきましょう。証拠があれば交渉が有利に進み、裁判になった場合でも勝訴の可能性が高まります。
4-3. 離婚後の生活費のシミュレーション
離婚後の生活のシミュレーションをして、収入と支出のバランスを確認しておきましょう。養育費、各種手当、自分の収入をもとに、生活費や子どもの教育費を見積もります。子どもの成長に伴う、学費や予備校の費用などの教育費の増加も考慮する必要があります。
また、こうした費用は養育費や特別費用として相手に請求できる可能性があります。こうした生活費をまかなえるかどうか考え準備しておくことで、安心して新生活をスタートできるでしょう。
4-4. 仕事の確保
生活費を試算して、月々の収支が赤字の場合、就労先の確保や収入アップを検討する必要があります。当面の生活費は財産分与などで得られたお金でまかなえるとしても、月々の収支が赤字であれば、いずれ資金が尽きてしまいます。どうしても生活が苦しい場合は、公的支援も検討しましょう。
4-5. 別居先の確保
離婚に伴い家を出る場合、別居先の確保が不可欠です。家賃や引越し費用、職場や保育園・幼稚園、実家までの距離などを考慮する必要があります。離婚後にこれらを検討するのは難しいため、離婚前から準備しておきましょう。実家で暮らせる場合は家賃負担が軽減できるでしょう。
4-6. 子どもの生活環境の整備
子どもと同居する場合、仕事と育児の両立が重要な課題となります。子どもが入園できる幼稚園や保育園があるか、仕事を休めないときに近くで子どもの世話をしてくれる親、兄弟、親戚などのサポートが得られるか、子どもの転校が必要かどうかを確認しておきましょう。
4-7. 頼れる公的支援の確認
生活が苦しくならないように、離婚後の公的支援を事前に調べておくことが重要です。公的支援には以下のようなものがあります。
【児童扶養手当】
ひとり親家庭の子どもを対象とした手当です。子どもが18歳になった最初の3月31日(年度末)まで受給できます。支給額は親の所得や子どもの数によって異なります。
【児童手当】
高校卒業までの児童を育てている家庭に支給されます。子どもの年齢によって支給額が異なりますが、月々1万円から1万5,000円が支給されます。
【児童育成手当】
18歳までの児童を扶養するひとり親家庭を対象にした手当で、児童一人につき月1万3,500円が支給されます。
【住宅手当】
ひとり親世帯の家賃を一部補助する制度です。20歳未満の児童を養育している家庭で、月5,000円から1万円を超える家賃を支払っている人が対象です。
なお、児童手当以外は所得制限があるため注意が必要です。他にも、障がいを抱える児童の保護者を対象とした「特別児童扶養手当」や、ひとり親家庭等医療費助成制度などさまざまな支援があります。お住まいの地域の市区町村役場で確認しましょう。
5. 「離婚が決断できない」に関連してよくある質問
6. まとめ 離婚が決断できない場合はたくさん悩み後悔のない選択をすることが大切
離婚を決断できない背景には、子どものことや経済的な不安、相手への気持ちなど、さまざまな理由があります。迷った際には、子どもの幸せや離婚後の生活をじっくり考えること、そして自分の気持ちを見つめ直し、相手としっかり話し合うことが重要です。
離婚経験者や弁護士に相談するのもおすすめです。離婚が決断できない段階からでも弁護士に相談でき、適切なアドバイスが得られます。たくさん悩み抜いて勇気を出して行動すれば、後悔しない選択ができるでしょう。
(記事は2025年5月1日時点の情報に基づいています)