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1. 離婚時に行う財産分与とは
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2. 持ち家(不動産)を財産分与する際の主な方法|売らないで済むこともある
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2-1. 売却してお金を分ける(=換価分割)
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2-2. いずれか一方が家を単独所有し、相手に対して代償金を支払う(=代償分割)
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2-3. いずれか一方が家を単独取得し、相手に対して貸す
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2-4. 双方の共有とする
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3. ケース別|家のローンが残っている場合における財産分与
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3-1. アンダーローン(評価額≧ローン残高)の場合
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3-2. オーバーローン(評価額<ローン残高)の場合
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4. 数字で解説|持ち家と預貯金の財産分与例
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4-1. 家の評価額4,000万円・ローン残高3,000万円・預貯金1,000万円
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4-2. 家の評価額3,500万円・ローン残高4,000万円・預貯金1,000万円
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4-3. 家の評価額3,000万円・ローン残高4,000万円・預貯金500万円
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5. 財産分与における不動産の評価方法
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5-1. 固定資産税評価額や路線価などを用いる
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5-2. 不動産鑑定士に評価を依頼する
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5-3. 不動産業者に査定を依頼する
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6. 離婚時に持ち家の財産分与をする際の注意点
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6-1. 査定は複数の不動産業者に依頼すべき
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6-2. 住宅ローンの借り換えが必要になることがある
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6-3. オーバーローンだと売却できないことがある
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6-4. ペアローン住宅の代償分割時には、ローンの一本化が必要
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6-5. 財産分与で持ち家を取得したら、速やかに登記手続きを行う
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7. 持ち家(不動産)の財産分与に関するよくある質問
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8. まとめ 状況や希望に応じてベストな方法で財産分与をしよう
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1. 離婚時に行う財産分与とは
夫婦が離婚する際には「財産分与」を取り決めるのが一般的です。財産分与は、夫婦の共有財産を公平に分ける手続き です。夫婦の共有財産だけでなく、婚姻中に夫婦のいずれかが単独名義で取得した財産も、原則として財産分与の対象となります。
財産分与の対象財産の種類は幅広く、預貯金や不動産などが代表的です。またプラスの財産だけでなく、借金などの債務も財産分与の対象になります 。
2. 持ち家(不動産)を財産分与する際の主な方法|売らないで済むこともある
持ち家の財産分与は、離婚協議においてトラブルになりやすい論点の一つです。持ち家を財産分与する方法としては、主に以下の例が挙げられます。
上記イラストの2と3は似ているところがありますが、それぞれについて説明していきます。
2-1. 売却してお金を分ける(=換価分割)
持ち家を売却してお金を分けること(=換価分割)は、最も後腐れがない財産分与の方法 といえます。売却代金を1円単位で分けられるので夫婦間の公平を確保しやすい点や、家を所有していることに伴うトラブルのリスクから解放される点が、換価分割の大きなメリットです。
ただしオーバーローンの場合は、持ち家の売却が現実的に難しい ケースもあります(後述)。
2-2. いずれか一方が家を単独所有し、相手に対して代償金を支払う(=代償分割)
夫婦のいずれか一方が家を単独で取得し、相手に対して金銭(代償金)を支払う方法(=代償分割)も考えられます。子どもの通学などとの関係で、家を手放さずにどちらかが住み続けたい場合は、代償分割が有力な選択肢となる でしょう。
ただし、代償分割に当たっては代償金の準備が必要となるほか、住宅ローンが残っている場合には借り換えが必要となることがあります(後述)。
2-3. いずれか一方が家を単独取得し、相手に対して貸す
夫婦のうちいずれか一方が家を取得し、相手に貸す方法もあります。代償分割の一種ですが、代償金の支払いに代えて賃料を免除したり、低額に抑えたりするケースなどが見られます。
ただし住宅ローンが残っている家については、ローン契約の規定上、債務者がその家に住んでいなければならないので、この方法をとると契約違反になってしまう点に注意が必要です。住宅ローンを借りた金融機関に相談し、許可を得る必要があります。
2-4. 双方の共有とする
財産分与について話し合いをまとめるための妥協点として、持ち家を夫婦双方の共有とするケースも稀に見られます。ただし、離婚後も持ち家を共有することはトラブルの原因となる可能性が高いので、基本的におすすめできません 。
3. ケース別|家のローンが残っている場合における財産分与
持ち家の住宅ローンが残っている場合は、離婚時の財産分与に当たり、住宅ローンとの関係で特有の注意が必要になります。
実際には、住宅ローンだけでなく、その他の共有財産も合わせて財産分与することが多いですが、ここでは住宅ローンに限定して説明します。
3-1. アンダーローン(評価額≧ローン残高)の場合
持ち家の評価額が住宅ローン残高以上である状態を「アンダーローン」といいます。アンダーローンの場合、換価分割には特に支障がありません。売却代金をもって住宅ローンを完済し、残額を財産分与に回せばよいでしょう 。
これに対して、代償分割を行う際には、家に住み続ける人が住宅ローンの債務者と同じか否かによって対応が変わります。家に住み続ける人が住宅ローンの債務者と同じである場合は、特に問題ありません。
これに対して、家に住み続ける人が住宅ローンの債務者と違う場合は、住宅ローンの借り換えが必要となる点に注意しましょう(後述)。また、アンダーローンの家を単独で取得する側には、余剰額に相当する経済的利益が生じるので、その金額を財産分与に反映するのが公平です。
3-2. オーバーローン(評価額<ローン残高)の場合
持ち家の評価額が住宅ローン残高を下回っている状態を「オーバーローン」といいます。換価分割の際には、売却時に住宅ローンを完済しなければなりませんが、オーバーローンの場合は売却代金だけでは完済できません。この場合、不足額に相当する金銭を別途用意する必要があります 。
代償分割の際、家に住み続ける人が住宅ローンの債務者と違うときは、アンダーローンと同様に住宅ローンの借り換えが必要です。また、オーバーローンの家を単独で取得する側には、不足額に相当する経済的損失が生じるので、その金額を財産分与に反映するのが公平でしょう。
4. 数字で解説|持ち家と預貯金の財産分与例
財産分与の対象となる家の評価額、ローン残高および預貯金の額に応じて、持ち家の財産分与を行う方法の例を示します。
4-1. 家の評価額4,000万円・ローン残高3,000万円・預貯金1,000万円
家の評価額が4,000万円、ローン残高が3,000万円の場合にはアンダーローンなので、売却して代金を分けることが有力な選択肢です。売却代金からローンを返済した残額が1,000万円だとすると、預貯金1,000万円と合わせて2,000万円のお金があるので、これを1,000万円ずつ夫婦間で分けるのがよいでしょう。
家を売却せずに夫が取得し、妻に対して代償金を支払う方法も考えられます(夫と妻が逆でも可)。
この場合、夫が得る家は1,000万円分アンダーローンの状態なので、残りの預貯金1,000万円をすべて妻が得る形とするのが公平でしょう。
4-2. 家の評価額3,500万円・ローン残高4,000万円・預貯金1,000万円
家の評価額が3,500万円、ローン残高が4,000万円の場合にはオーバーローンなので、売却代金だけではローンを完済できない可能性が高いです。家を売却するに当たって、売却代金がローンの完済に500万円分不足する場合は、預貯金から不足分を補填しなければなりません 。この場合、預貯金は500万円残るので、これを250万円ずつ夫婦間で分けるのがよいでしょう。
家を売却せずに夫が取得する事も考えられます(夫と妻が逆でも可)。この場合、夫が得る家は500万円分オーバーローンの状態なので、預貯金1,000万円のうち、夫が750万円、妻が250万円を得る形とすれば、財産分与の割合が半分ずつ となります。
4-3. 家の評価額3,000万円・ローン残高4,000万円・預貯金500万円
家の評価額が3,000万円、ローン残高が4,000万円の場合には、1,000万円分オーバーローンの状態です。
売却する場合は1,000万円程度の補填が必要になりますが、財産分与の対象となる預貯金が500万円しかない場合には、それだけでは不足額を補填できません。
不足額の補填に当たっては、特有財産(=財産分与の対象とならない夫または妻の財産)を充てる、親族の援助を受ける、借り入れたお金を充てるなどの方法が考えられます。これらの方法がいずれも現実的でない場合は、家の売却は難しい でしょう。
家を売却せずに夫が取得する事も考えられます(夫と妻が逆でも可)。夫が得る家は1,000万円分オーバーローンの状態ですが、財産分与の対象となる預貯金が500万円だけでは埋め合わせることができません。
本来であれば、妻が特有財産から支出するなどして、夫に対して250万円を支払うのが公平と考えられます。直ちに支払うことが難しければ、分割払いで徐々に支払うことや、早期解決のために精算を行わないなど が選択肢となるでしょう。
5. 財産分与における不動産の評価方法
不動産を財産分与する際には、その価値を評価すべきケースがあります。換価分割では実際に得られた利益(または損失)を財産分与に反映すれば足りますが、代償分割では現実に不動産を売却しないので、財産分与に当たって不動産の価値を評価すべきです 。
財産分与時に不動産を評価する方法としては、以下の例が挙げられます。夫婦双方が納得できる評価方法を選択しましょう。
5-1. 固定資産税評価額や路線価などを用いる
不動産には、固定資産税の課税を目的として「固定資産税評価額」が設定されています。市区町村役場で「固定資産評価証明書」を取得すれば、固定資産税評価額を確認できます。
また、土地については「路線価」が設定されている地域もあります。路線価に土地の面積を掛けると、その土地の評価額を求めることができます。土地の路線価は、国税庁のウェブサイトで確認できます。
固定資産税評価額や路線価などの公的な指標を用いると、安価または無料で不動産の評価額を計算できるメリットがあります。ただし、これらの公的な指標を用いて計算した評価額は、不動産の実勢価格よりも低く抑えられやすい点に注意が必要 です。
5-2. 不動産鑑定士に評価を依頼する
不動産鑑定士に依頼すれば、不動産の立地や状態などを踏まえて、客観的な時価に近い金額を計算してもらえます。不動産鑑定士が作成する「不動産鑑定評価書」は、離婚調停や離婚訴訟においても客観的な証拠として提出することが可能 です。
ただし、不動産鑑定士への依頼に当たっては、数十万円程度の費用が必要となります。
5-3. 不動産業者に査定を依頼する
不動産の価値を簡易的に知るためには、不動産業者に査定を依頼する方法が考えられます。
不動産業者による査定は、無料で行ってもらえるケースが多いです。査定額は必ずしも客観的であるとは限りませんが、複数の不動産業者の査定結果を総合すれば、おおむね正確な不動産の時価を知ることができる でしょう。
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6. 離婚時に持ち家の財産分与をする際の注意点
持ち家の財産分与に当たっては、さまざまなポイントに注意しなければなりません。特に以下の各点には十分注意し、トラブルのリスクを回避できるように努めましょう。
査定は複数の不動産業者に依頼すべき
住宅ローンの借り換えが必要になることがある
オーバーローンだと売却できないことがある
ペアローン住宅の代償分割時には、ローンの一本化が必要
財産分与で持ち家を取得したら、速やかに登記手続きを行う
6-1. 査定は複数の不動産業者に依頼すべき
代償分割に当たって持ち家の価値を評価する必要がある場合、不動産業者に査定を依頼する方法が選択肢の一つとなります。
ただし、不動産業者の査定は独自の基準によって行われており、また仲介依頼を勧誘する目的があるので、客観性が担保されたものではありません。不動産業者の査定額を参照する場合は、複数の不動産業者に査定を依頼して、その平均値を評価額とするなどの対応を検討すべき でしょう。
6-2. 住宅ローンの借り換えが必要になることがある
住宅ローンの債務者は、その家に住み続けなければならないというローン契約上のルールがあります。代償分割による財産分与に伴い、住宅ローンの債務者が持ち家に住まないこととなる場合は、実際に住む人を新債務者とする形で住宅ローンの借り換えが必要 です。
借り換えに当たっては融資審査が行われるので、新債務者の収入が不十分な場合は、従前と同額の住宅ローンを借りられない ことがあります。また、借り換えに当たって手数料などが発生する点にもご注意ください。
6-3. オーバーローンだと売却できないことがある
住宅ローンが残っている持ち家を売却する際には、住宅ローンを完済しなければなりません。
アンダーローンであれば特に支障はありませんが、オーバーローンの場合は売却代金の不足額を補填することが必要です。手元に十分なお金がない場合は、住宅ローンを完済できないため、持ち家を売却できないことがある点にご注意 ください。
6-4. ペアローン住宅の代償分割時には、ローンの一本化が必要
ペアローンで購入した持ち家を代償分割する場合は、離婚後も家に住み続ける人にローンを一本化する必要があります。
しかし、ペアローンの残高は、個々の収入と比較して高額であるケースが多いです。そのため、ローンを一本化する際の融資審査において十分な金額の借り入れが認められず、代償分割が困難になってしまうことがあります 。代償分割が難しい場合は、換価分割など別の選択肢を検討せざるを得ません。
6-5. 財産分与で持ち家を取得したら、速やかに登記手続きを行う
財産分与によって配偶者から持ち家を譲り受けることになったら、速やかに不動産の所在地の法務局または地方法務局において、所有権移転登記手続きを行いましょう。
登記手続きが遅れると、配偶者が不動産を第三者へ勝手に譲渡した場合などに、不動産の所有権を失ってしまう おそれがあります。登記手続きは不動産の取得と同日に行うか、それが難しい場合でもできる限り速やかに行いましょう。
7. 持ち家(不動産)の財産分与に関するよくある質問
8. まとめ 状況や希望に応じてベストな方法で財産分与をしよう
家を財産分与するには、いくつかの方法があります。最もシンプルなのは、家を売却して、その金を夫婦で分け合う 方法です。この方法は、住宅ローンを完済している場合や、不動産評価額が住宅ローンを上回っている(アンダーローン)場合に可能です。
住宅ローンが残っていて、かつ、家を売却しても住宅ローンを返済しきれない場合には、財産分与の方法を検討する必要があります。例えば、自宅売却後の住宅ローン不足分を共有財産で補ったり、片方が家に住み続けて、住宅ローンを返済し続けたり 、などです。
離婚時に持ち家を財産分与する際には、多くの注意点を踏まえて対応しなければなりません。弁護士のアドバイスとサポートを受けて、トラブルのない形で財産分与を完了できるように努めましょう。
(記事は2025年1月1日時点の情報に基づいています)