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1. 卒婚とは|戸籍上は夫婦を続けながら、お互いの干渉を減らすこと
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1-1. 卒婚と離婚の違い
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1-2. 卒婚と家庭内別居、仮面夫婦の違い
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2. 卒婚の主なパターン
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2-1. 家庭内卒婚|同居を継続したまま干渉を減らす
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2-2. 別居卒婚|別居した上で婚姻関係は継続する
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2-3. 週末卒婚|平日は同居しつつ週末のみ別々に過ごす
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3. 卒婚のメリット
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3-1. 離婚せずに自由を得られる
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3-2. 距離感をうまくとれれば、配偶者との関係が改善する
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3-3. 精神的な余裕ができる
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3-4. 離婚とは異なり、特別な手続きが不要
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3-5. 配偶者の遺産を相続できる
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3-6. 共有財産を引き続き活用できる
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3-7. 子どもに与えるショックが小さくなる
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4. 卒婚のデメリット
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4-1. 離婚しないと再婚できない・別の異性と恋愛すると不倫になる
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4-2. 別居などによって生活費が増える
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4-3. 最終的に離婚するケースも多い
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5. 卒婚をする際にしておくべき準備
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5-1. 卒婚の形を考える
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5-2. 卒婚のルール(自由の範囲)を決める
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5-3. 家族の理解を得る
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5-4. 生活費の分担や捻出方法を考える
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5-5. 病気や介護について考えておく
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6. 配偶者が卒婚に否定的な場合の対処法
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6-1. 夫婦関係にとってプラスになると説得する
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6-2. 増える生活費の自己負担を提案する
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6-3. お試し期間を設ける
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7. 卒婚について弁護士に相談するメリット
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8. 卒婚に関連してよくある質問
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9. まとめ 卒婚を始める場合は夫婦でよく話し合いルールを決めておく
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1. 卒婚とは|戸籍上は夫婦を続けながら、お互いの干渉を減らすこと
「卒婚」とは、婚姻関係を解消することなく、夫婦間での干渉を減らすことをいいます。卒婚にもさまざまな形があり、同居を続けながら干渉を少なくする場合もあれば、週末だけ別々に過ごしたり、完全に別居してそれぞれの生活を楽しむ形もあります。
1-1. 卒婚と離婚の違い
夫婦間の関わり合いを減らす方法としては、卒婚以外にも「離婚」があります。離婚した夫婦は、戸籍上の夫婦でなくなり、夫婦間における権利義務(同居義務、協力義務、扶助義務、貞操義務など)も消滅する ことになります。
これに対して卒婚は、婚姻関係を解消しません。卒婚をしても戸籍上の夫婦のままで、夫婦間における権利義務もそのまま残ります 。
1-2. 卒婚と家庭内別居、仮面夫婦の違い
家庭内別居とは、夫婦が同じ家に住みながら、お互いにほとんど干渉せずに生活することをいいます。卒婚でも家庭内別居の形をとることがありますが、別居するパターンもあります。
また、家庭内別居は夫婦関係が険悪というネガティブなイメージを持たれやすいです。一方、卒婚は「夫婦間で話し合い、新しい生き方を選んだ」というようなポジティブなニュアンスを含むことが多い です。
仮面夫婦は、表面的には仲の良い夫婦に見えるものの、実際には夫婦の実態を失っている状態を意味します。対外的な評判の悪化を避けたいために、仮面夫婦になっているケースが多いです。これに対して卒婚は夫婦関係についての前向きな選択であって、外部に対しても隠さない傾向 にあります。
2. 卒婚の主なパターン
卒婚のよくあるパターンとしては、主に家庭内卒婚、別居卒婚、週末卒婚の3つが挙げられます。
2-1. 家庭内卒婚|同居を継続したまま干渉を減らす
「家庭内卒婚」は、夫婦が同居を続けたまま、お互いに干渉する場面を減らす卒婚の形です。同じ家に住んではいるものの、「財布は完全に別々にする」「食事も睡眠も別々にとる」「配偶者に気兼ねなく友人との予定を入れる」などの形が考えられます。
2-2. 別居卒婚|別居した上で婚姻関係は継続する
「別居卒婚」は、夫婦が別居するものの、離婚せずに婚姻関係を続ける卒婚の形です。婚姻によるメリットを享受しつつも、配偶者との関わりを最小限まで減らしたい場合は、別居卒婚が有力な選択肢 となるでしょう。
2-3. 週末卒婚|平日は同居しつつ週末のみ別々に過ごす
「週末卒婚」は、平日は通常の夫婦として同居しつつ、週末のみ別居したり別々に過ごしたりする卒婚の形です。配偶者と一緒にいる時間を減らして気分転換したい場合や、部分的に卒婚を試してみたい場合などには、週末卒婚を検討するとよいでしょう。
3. 卒婚のメリット
卒婚のメリットとしては、主に以下の点が挙げられます。
離婚せずに自由を得られる
距離感をうまくとれれば、配偶者との関係が改善する
精神的な余裕ができる
離婚とは異なり、特別な手続きが不要
配偶者の遺産を相続できる
共有財産を引き続き活用できる
子どもに与えるショックが小さくなる
それぞれ順番に説明します。
3-1. 離婚せずに自由を得られる
卒婚をすると、配偶者と一緒に過ごす時間が減り、自分のために使える時間が増えます。
離婚しても同じく自分の時間は増えますが、婚姻関係を続けるからこそ、税金の控除や法的な面で得られるメリットもあります 。離婚せずに自由な時間を増やしたいなら、卒婚が有力な選択肢となるでしょう。
3-2. 距離感をうまくとれれば、配偶者との関係が改善する
配偶者と長い時間を過ごし、距離が近くなり過ぎると、かえってお互いを鬱陶しく感じてしまい、関係性が悪化するケースがあります。このような場合には、卒婚によって一定の距離を置くのも一つの解決策です。
一緒にいる時間をあえて減らすことで、お互いに心地よい距離感を確保できれば、配偶者との関係の改善に繋がります 。
3-3. 精神的な余裕ができる
結婚生活の中では、配偶者と生活リズムを合わせる必要があり、精神的なストレスを感じる場面が多くなります。
卒婚で自由な時間を確保できれば、結婚生活に伴うストレスが軽減され、精神的な余裕が生まれるでしょう。そうなれば、仕事や趣味に打ち込めたり、配偶者にも穏やかに接したりすることができ、生活の質(QOL)の改善が期待 できます。
3-4. 離婚とは異なり、特別な手続きが不要
夫婦が離婚する際には、離婚届の提出に加えて、財産分与や氏名変更などの特別な手続きが必要です。さらに、離婚条件で揉めた場合は、調停や訴訟といった法的手続きを要するケースもあります。
これに対して、卒婚では離婚のような特別な手続きは必要ありません。別居卒婚を選択する場合でも、住所変更が必要になるくらい です。煩雑な手続きを避けたい場合は、離婚ではなく卒婚も検討するとよいでしょう。
3-5. 配偶者の遺産を相続できる
離婚後に元配偶者が亡くなった場合、遺産を相続することができません。これに対して、卒婚で婚姻関係が続いていれば、亡くなった配偶者の遺産を相続できます。配偶者の遺産を相続したい場合は、あえて婚姻関係を解消しない卒婚を選択するとよい でしょう。
3-6. 共有財産を引き続き活用できる
夫婦が離婚する際は、お互いの共有財産を公平に分ける「財産分与」を行います。特に家などの不動産が共有財産である場合は、離婚に伴う財産分与で売却や細分化を強いられる ケースが少なくありません。
離婚せずに卒婚を選択すれば、財産分与を行わないので、夫婦の共有財産を引き続き活用できます。
3-7. 子どもに与えるショックが小さくなる
特に子どもがまだ小さい場合、両親が離婚すると大きなショックを受けてしまうかもしれません。
子どもに与えるショックを最小限に抑えたい場合は、離婚ではなく卒婚が有力な選択肢です。特に週末卒婚など、部分的に卒婚する形をとれば、子どもに悪影響を及ぼすことなく自由時間を確保できる可能性 があります。

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4. 卒婚のデメリット
卒婚のデメリットとしては、主に以下の点が挙げられます。
離婚しないと再婚できない・別の異性と恋愛すると不倫になる
別居などによって生活費が増える
最終的に離婚するケースも多い
4-1. 離婚しないと再婚できない・別の異性と恋愛すると不倫になる
日本では重婚が禁止されているので、卒婚しても婚姻関係を解消しなければ、配偶者以外の人と再婚することはできません。また、卒婚でお互いの干渉を減らしても、婚姻関係が破綻していなければ、配偶者以外の異性と性的関係を結ぶことは不貞行為に当たります 。
不貞行為をした側は、配偶者に対して損害賠償責任を負い、さらに離婚を請求されるおそれがあるので注意が必要です。配偶者以外の異性と再婚や恋愛をしたいなら、卒婚ではなく離婚をしましょう。
4-2. 別居などによって生活費が増える
卒婚によって夫婦が別居したり、家庭内で財布を分けたりすると、生活費が増える可能性があります。卒婚の前後でどのように生活費が変化するのか、事前にシミュレーションをしておきましょう。
4-3. 最終的に離婚するケースも多い
卒婚によって夫婦の関わり合いが減ると、さらに夫婦間が疎遠になり、最終的に離婚してしまうケースもよく見られます。夫婦関係を改善するために卒婚を考えている場合は、逆に夫婦関係が悪化してしまうリスクがある点に注意 しましょう。
5. 卒婚をする際にしておくべき準備
卒婚をする前には、夫婦でしっかりと話し合い、準備を整えてから始めることが大切です。
5-1. 卒婚の形を考える
卒婚には、さまざまな形があります。配偶者とほぼ完全に離れたいなら「別居卒婚」、少し卒婚を試したいなら「週末卒婚」など、夫婦の実情やニーズに合った卒婚の形をよく検討しましょう。
5-2. 卒婚のルール(自由の範囲)を決める
卒婚をする際は、夫婦間で認識にズレが生じないように、ルールを事前に決めておくことが大切です。例えば、生活費はどう分担するのか、新しい恋愛をしてもいいのか、といった具体的な項目を話し合いましょう 。
また、決めたルールは忘れないように書面に残しておくのがおすすめ です。不要なトラブルを生まないためにも、夫婦間でよく話し合ってから卒婚を始めましょう。
5-3. 家族の理解を得る
卒婚は当事者間の問題であるものの、両親から批判されたり、子どもにショックを与えたりと、家族との関係性に影響を及ぼす可能性も否定できません。卒婚に当たっては、その理由を家族に対しても説明し、事前に理解を得ておくことが望ましいでしょう。
5-4. 生活費の分担や捻出方法を考える
卒婚をしても、夫婦でいる間は、生活費などの婚姻費用を分担する義務を負います (民法760条)。お互いの生活費をどのように分担するのか、夫婦間で話し合い決めておきましょう。
その上で、自分の生活に必要な費用を十分確保できるかどうかも検討しておくべきです。卒婚後の収支について具体的にシミュレーションを行い、必要に応じて収入の増加や支出の抑制を試みましょう。
5-5. 病気や介護について考えておく
卒婚をした後に、夫婦の一方が重大な病を患い、介護が必要になるケースも想定されます。配偶者が要介護状態になったら、卒婚中でも助けてあげる必要があります。また、生活費や介護費を賄えないときは援助しなければなりません (民法752条)。実際にどちらかが病気になり、介護が必要になった場合はどうするのかをよく話し合っておきましょう。
6. 配偶者が卒婚に否定的な場合の対処法
卒婚を提案しても、配偶者に拒否された場合には、以下のような対応を検討しましょう。
6-1. 夫婦関係にとってプラスになると説得する
卒婚で離れて暮らしたり、それぞれで過ごす時間が増えたりすることで、ストレスの軽減や夫婦関係の改善に繋がる可能性があります。
現状の夫婦関係に問題があると考えている場合は、その問題意識を配偶者に伝え、卒婚が解決策になると説得してみるのもよいでしょう。
6-2. 増える生活費の自己負担を提案する
配偶者が卒婚を拒否するのは、生活費が増えるのを心配しているためかもしれません。特に自分が家を出ていく場合に、別居後の家の賃料を配偶者に負担してもらおうとすると、拒否反応を示す可能性が高い でしょう。
卒婚によって増える生活費を自分が負担することを提案すれば、配偶者にとって金銭面での不満が解消され、卒婚に同意してもらえるかも しれません。
6-3. お試し期間を設ける
いきなり完全に別居すると、夫婦関係のあり方が大きく変わってしまいます。卒婚を拒否する配偶者は、夫婦関係が激変することに抵抗を感じているのかもしれません。
卒婚にはさまざまな形があり、同居しながら干渉を控える「家庭内卒婚」や、週末だけそれぞれで過ごす「週末卒婚」なども考えられます。まずは部分的に、一定期間卒婚を試すことを提案するとよい でしょう。
7. 卒婚について弁護士に相談するメリット
卒婚をするに当たっては、夫婦間でのトラブルを避けるために、生活費や恋愛などに関してルールを決めておくことが望ましいです。
弁護士に相談すれば、夫婦の実情を踏まえた上で、卒婚に伴いどのようなルールを決めるべきかについてアドバイスを受けられます 。また、夫婦間で決めたルールをまとめた合意書の作成も、弁護士に依頼が可能です。
卒婚を経て、もし夫婦が離婚を決断した場合でも、弁護士に依頼すれば離婚の話し合いをスムーズに進めてもらえます。卒婚を検討している人は、一度弁護士へご相談ください。

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8. 卒婚に関連してよくある質問
9. まとめ 卒婚を始める場合は夫婦でよく話し合いルールを決めておく
卒婚をすると、婚姻関係を続けることのメリットを享受しつつ、配偶者と距離を置いて自由な時間を増やすことができます。卒婚の形はさまざまであり、どのような形を選択するのがよいかは夫婦の状況によって異なります。
また、卒婚後のトラブルを防ぐため、生活費や恋愛などに関してルールを決めておくことも大切です。弁護士に相談して、卒婚をすべきかどうか、どのようなルールを決めるべきかなどについてアドバイスを受けましょう 。
(記事は2025年2月1日時点の情報に基づいています)