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1. 浮気とは?定義はある?
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2. 浮気と不倫、不貞行為の違い
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3. 浮気はどこから・どこまで?
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4. 浮気を理由に離婚できる?
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5. 浮気で慰謝料を請求できる?相場は?恋人関係でも請求できる?
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5-1. 恋人関係の場合
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5-2. 婚約中・内縁関係の場合
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5-3. 婚姻関係の場合
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6. 肉体関係がない浮気は慰謝料を請求できない?
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7. 肉体関係の伴う浮気で慰謝料請求する際の注意点
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7-1. 浮気の証拠が必要
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7-2. 時効がある
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7-3. 慰謝料請求できないケースもある
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8. 配偶者の浮気で悩んだらどこに相談すればよい?
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8-1. 探偵事務所|浮気の証拠を確保したい人
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8-2. 弁護士|慰謝料請求や離婚を検討している人
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9. 浮気に関するよくある質問
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10. まとめ 浮気に明確な定義はなく、個人の価値観による部分が大きい
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1. 浮気とは?定義はある?
「浮気」という言葉は法律用語ではなく、明確な定義はありません。一般的には、浮気は既婚・未婚にかかわらず、パートナー以外の人と交際関係にあることを指します 。ただし、何が浮気にあたるかは、個人の考え方により異なります。パートナー以外の異性と肉体関係を持つことは浮気としてほぼ異論がないでしょう。これに対し、異性と二人で食事に行くのが浮気なのかは、意見が分かれるところです。
ちなみに広辞苑では、浮気とは「他の異性に心を移すこと」とされています(「広辞苑」第7版)。このように浮気を「(移ろう)気持ちの問題」と捉える人もいれば、「食事に行く」「キスをする」など行為に着目して「浮気」と表現する人もいます。結局、浮気に該当するかは個人の価値観による と言え、明確な定義づけをすることはできません。
2. 浮気と不倫、不貞行為の違い
浮気は未婚同士のカップルでも成り立つのに対し、不倫は当事者の一方または双方が既婚者である場合を指します 。また、当事者の一方が既婚者である場合、遊びなら浮気、本気なら不倫と区別されることもあります。
一方、不貞行為は法律用語であり、配偶者以外の人と自由意思に基づいて性的関係を結ぶこと をいいます。不貞行為は民法で離婚原因のひとつとされており(民法770条1項1号)、不貞行為があると相手に慰謝料を請求できます(民法709条、710条)。浮気は、①未婚・既婚を問わない、②肉体関係に限らない、という点で、3つの中でも最も広い概念 といえます。
3. 浮気はどこから・どこまで?
どこからどこまでが浮気になるのか、その基準は人それぞれです。例えば、異性と二人で会うだけで浮気と捉える人もいれば、キスからが浮気、肉体関係からを浮気と捉える人もいます。結局はパートナーがどう思うかによる といえます。
とはいえ、一般的な基準として、パートナー以外の人と性行為をすることは、浮気にあたるとしてほぼ異論がないでしょう。外泊や旅行も同様に性行為の存在が強く推認されるため、浮気と捉える人は多いでしょう。
キスやハグは微妙なところですが、日本ではこれらを挨拶として行う文化がないため、やはり浮気にあたると捉える人が多いと思われます。他方で、食事や連絡を取る行為は個人の価値観により判断が分かれるところでしょう。冒頭で述べたとおり、浮気を「気持ちの問題」と捉える人にとっては、これらも浮気といえます。
4. 浮気を理由に離婚できる?
協議離婚の場合、離婚理由は問われないため、双方の合意があれば浮気を理由に離婚ができます 。たとえば浮気の内容が「肉体関係はなく、食事のみ」という場合であっても、双方が納得すれば離婚は成立します。
これに対し、相手が離婚を拒否して裁判となった場合には、不貞行為、つまり肉体関係を伴う浮気がなければ離婚は認められません 。肉体関係があったことについては、離婚を求める側が客観的な証拠によって証明する必要があります。肉体関係を証明する証拠として、以下のものが有効です。
ラブホテルに出入りする写真
肉体関係をうかがわせるLINE・メール
性行為の写真・動画
探偵事務所の調査報告書
なお、例えば配偶者の浮気がキスやハグにとどまる場合、原則として「不貞行為」(民法770条1項1号)には該当しません。状況によっては「婚姻関係を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)があるとして離婚が認められる可能性があります。

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5. 浮気で慰謝料を請求できる?相場は?恋人関係でも請求できる?
5-1. 恋人関係の場合
パートナーと婚姻関係にない場合には、たとえパートナーが肉体関係を伴う浮気をしたとしても原則として慰謝料は請求できません 。結婚をしていなくても浮気をされれば精神的苦痛を受けるものですが、夫婦と異なり、裁判実務では恋人としての権利や利益は法律上保護されていない からです。
5-2. 婚約中・内縁関係の場合
婚約中のカップルや内縁関係にある夫婦は、結婚をしていなくても相手の浮気に対して慰謝料が請求できます 。ただし、この場合の浮気は肉体関係を伴うものに限られます。婚約関係・内縁関係にあるかは、以下のような客観的な事情により判断されます。
結納を済ませている
婚約指輪を渡している
結婚式の招待状を発送済みである
内縁関係とは、双方が婚姻意思をもって共同生活を営んでおり、社会的にも夫婦と認められている関係 をいいます。婚姻届を出していないこと以外は法律上の夫婦と同じであり、法律婚に準じた扱いがなされます。
内縁関係にある一方が肉体関係を持つ浮気をすると、他方の平穏な夫婦生活を送る権利や利益を害するため、慰謝料を支払う責任が生じます。
5-3. 婚姻関係の場合
法律上の夫婦であっても、浮気を理由に慰謝料請求するためには、原則として浮気相手と肉体関係があることが条件 となります。慰謝料の相場は、夫婦が婚姻関係を継続するのか、離婚するのかによって金額が変わります。
夫婦が離婚しない場合の相場は、50万円~100万円程度 です。離婚しない場合、夫婦に与えた影響が少ないとされ、通常はかなり減額されます。これに対し、夫婦が離婚に至った場合の慰謝料相場は、100万円~300万円程度 です。以下のような慰謝料の増減要因により金額は変動します。
不貞行為の回数、期間
夫婦の婚姻期間
夫婦関係が良好だったか
子供の有無
不貞相手の妊娠
不貞相手の言動(独身と偽るなど)
真摯な謝罪
6. 肉体関係がない浮気は慰謝料を請求できない?
浮気による慰謝料を請求できるのは、原則として肉体関係があった場合です。しかし、肉体関係がないからといって、一切慰謝料が認められないわけではありません 。不貞行為を理由に慰謝料が認められるのは、それが他方配偶者の平穏な夫婦生活を送る権利や利益を害するからです。
肉体関係がない浮気であっても、このような権利や利益が害される場合には、慰謝料が認められる余地はあります。たとえば、体を密着させながら手を繋ぐ行為は不貞行為とはいえませんが、慰謝料を認めた裁判例があります 。
もっとも、実際のところは、このような親密な行為から不貞行為の存在が推認される事案がほとんどです。なお、肉体関係を伴わない浮気の場合には、慰謝料の相場は50万円以下と低くなります。
7. 肉体関係の伴う浮気で慰謝料請求する際の注意点
7-1. 浮気の証拠が必要
肉体関係を伴う浮気で慰謝料請求するためには、肉体関係の証拠が必要 です。有効な証拠として、以下のものが挙げられます。
ラブホテルに出入りする写真(探偵事務所の調査報告書)
性行為そのものが映った写真・動画
肉体関係をうかがわせるLINE・メール
不貞行為を認める本人の発言(録音したもの)
7-2. 時効がある
不倫の慰謝料請求権は、時効によって消滅するため注意が必要です。不倫の事実及び不倫相手を知ってから3年が経過すると、慰謝料の請求ができなくなります 。
また、不貞行為のときから20年を経過したときも慰謝料請求ができません。過去の不倫について慰謝料請求を考えている場合は、時効が成立していないか確認しましょう。
7-3. 慰謝料請求できないケースもある
不貞行為があった場合でも、慰謝料を請求できないケースがあります。いくつか例を挙げます。
【不倫相手が既婚者だと知らなかった】
不倫相手が独身であると嘘をついていたケースなど、不倫相手が既婚者だと知らなった場合は、慰謝料の支払い義務を負いません。もっとも、実際には既婚者であると知ろうと思えば知れることが多く、その場合には知らなったことにつき「過失」があるとして、慰謝料の支払い義務は免れません。
【無理矢理に肉体関係をもたされた】
不貞行為は、配偶者以外の人と自由意思に基づいて性的関係をもつことを言います。相手に暴力を振るわれたり、脅迫されたりして無理やり肉体関係をもたされた場合には、自由意思に基づく肉体関係とはいえないため、慰謝料の支払い義務は生じません。
【不倫相手の婚姻関係が破綻していた】
浮気前から夫婦関係が破綻していた場合は、慰謝料の支払い義務が生じません。浮気によって平穏な夫婦生活を送る権利・利益が害されたとはいえないから
です。ただし、実際には婚姻関係が破綻していたことを証明するのは難しく、簡単には認められません。
8. 配偶者の浮気で悩んだらどこに相談すればよい?
8-1. 探偵事務所|浮気の証拠を確保したい人
相手に慰謝料請求するには、不貞の証拠を押さえることが何よりも重要です。通常、不貞の証拠を収集するためには対象者を尾行し、ホテル等への出入りを撮影する必要があります。素人がこのような追跡調査をするのは難しいため、証拠収集のプロである探偵事務所に依頼するのも選択肢のひとつです。
実際の裁判でも、探偵事務所の調査報告書は有力な証拠としてよく利用されています 。ただし、一般的に探偵事務所の調査費用は高額となります。
8-2. 弁護士|慰謝料請求や離婚を検討している人
パートナーの浮気が疑われる早い段階から弁護士に相談することで、有効な証拠収集の方法をアドバイス してもらえます。慰謝料請求や離婚交渉を弁護士に依頼すれば、あなたは直接相手と連絡する必要がなくなるため、精神的な負担を大きく軽減 できます。
交渉がまとまれば、弁護士が示談書や離婚協議書等の書面を作成してくれます。弁護士であれば、条項の記載漏れがなく、あなたに有利な書面を作成しますので、後日の紛争を防止できます。また、交渉段階から弁護士に依頼すれば、仮に交渉がまとまらず裁判を起こす場合にも、スムーズに手続きを行うことができます。

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9. 浮気に関するよくある質問
10. まとめ 浮気に明確な定義はなく、個人の価値観による部分が大きい
浮気に明確な定義はなく、どこから浮気と捉えるかは個人の価値観による部分が大きいです。一方、不貞行為には明確な定義があります。不貞行為は、配偶者以外の人と自由意思に基づいて性的関係を結ぶことで、法律で認められている離婚理由のひとつです。
浮気が原因で破局するカップルや離婚する夫婦も少なくありません。特に既婚者の浮気は、大きな代償を伴います。良好な夫婦関係を続けたいと思っている人は、浮気は絶対に控えましょう。
(記事は2025年3月1日時点の情報に基づいています)