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不倫中に妊娠がわかったときには? 【男女別】とるべき行動とリスクを弁護士が解説

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不倫中に妊娠が判明した場合には早急な対応が求められます(c)Getty Images
不倫相手から妊娠したと告げられた、または不倫相手の子を妊娠した……不倫の結果、妊娠に発展するケースがあります。不倫相手あるいは自分の妊娠に気づいた場合、どう対応すればよいのでしょうか。不倫中の妊娠について、男女それぞれがとるべき行動や男性側のNG行動、知っておくべき点を弁護士がわかりやすく解説します。
目 次
  • 1. 不倫中の妊娠に気づいたらすべきこと
  • 1-1. 本当に妊娠したかを確認する
  • 1-2. 出産または中絶について不倫相手と話し合う
  • 1-3. 配偶者との関係を検討する
  • 2. 【男女別】子を出産する場合に知っておくべきこと
  • 2-1. 男性が知っておくべきこと
  • 2-2. 女性が知っておくべきこと
  • 3. 中絶する場合に知っておくべきこと
  • 4. 不倫相手を妊娠させた(不倫相手の子を妊娠した)場合の慰謝料
  • 5. 不倫相手を妊娠させた場合のNG行動
  • 5-1. 話し合いや判断の先延ばし
  • 5-2. 中絶の強要や誠実さを欠く言動
  • 6. 不倫相手を妊娠させた(不倫相手の子を妊娠した)場合に弁護士へ相談するメリット
  • 7. 不倫と妊娠に関してよくある質問
  • 8. まとめ|不倫中に妊娠させた(妊娠した)場合は弁護士に相談を
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1. 不倫中の妊娠に気づいたらすべきこと

「不倫相手が妊娠したかもしれない」「不倫相手の子を妊娠したかもしれない」と思ったときには、次のような対応が必要です。

1-1. 本当に妊娠したかを確認する

妊娠検査薬で陽性反応が出た場合でも、本当に妊娠したかどうかを確定させるためには医師による診断が必要です。診断の内容次第でその後の対応が変わります。まずは産婦人科を受診して、妊娠の有無を確定 させましょう。

不倫相手が妊娠した場合には、男性も産婦人科に同行し、自分自身の目で妊娠の有無を確認することが望ましいと言えます。

1-2. 出産または中絶について不倫相手と話し合う

産婦人科医の診断により妊娠の事実が確定した場合、産むのか中絶するのかを決める必要 があります。法律上、中絶ができるのは妊娠22週未満までと決まっているので、時間的な余裕はあまりありません。

出産は、自分自身と不倫相手だけでなく、その家族の今後の人生に大きな影響を及ぼすため、慎重に話し合う必要があります。

中絶する場合には、家族にその事実を知らせる法的義務はありません。一方、産むとなった場合には、家族に内緒で出産することは難しいでしょう。場合によっては家族ともきちんと話し合う必要があります。

1-3. 配偶者との関係を検討する

不倫をした側は、婚姻関係破綻の原因をつくった「有責配偶者」という扱いになります。そのため、離婚するかどうかの選択肢は主に不倫をされた配偶者側にあり、配偶者が離婚を希望しない場合には有責配偶者が離婚を決めることは難しい と考えられます。

もっとも、今後の話し合いの出発点となるので、不倫した側も離婚を希望するのか、あるいは離婚をせずに婚外子として産むのかはしっかりと検討する必要があります。

2. 【男女別】子を出産する場合に知っておくべきこと

不倫中に妊娠した子を出産しようとする場合に男女それぞれが知っておくべきポイントは次のとおりです。

2-1. 男性が知っておくべきこと

不倫相手が出産することになった場合、男性側が知っておかなければならない法的問題は「①認知」「②養育費」「③相続」の3点です。

①認知
認知とは「公式にその子どもを自分の子であると認めること」を言います。認知をすれば、自分の戸籍に生まれた子が記載され、法的にも正式にその子の父親であることが確定 します。

「妻に知られたくないから認知は避けたい」と考える人もいますが、相手が望んだ場合、最終的には認知の効力が発生するケースが多く見られます。認知は、養育費の請求権や相続権発生のために必要な要素であり、女性側が認知を望む場合が少なくありません。「生まれてくる子どもの父親をきちんとわかるようにしておきたい」と考える女性が多いためです。

②養育費
認知した子を不倫相手が養育することになった場合には、その子の養育費を支払う義務が発生 します。これは、配偶者と離婚するしないにかかわらず発生する法的な義務となります。具体的な金額は、双方の収入や、子どもの数を含む家族構成によって算出されます。

③相続
婚姻関係にない男女の間の子ども、いわゆる非嫡出子(ひちゃくしゅつし)にも相続権は発生するため、将来男性が亡くなった場合には、不倫相手の子も男性の財産を相続する権利を持ちます 。男性の配偶者やその夫婦間の子どもと非嫡出子の関係性が良好というケースは稀ですから、相続においても、トラブルが生じるリスクは大きいと言えます。

2-2. 女性が知っておくべきこと

男性の場合とは逆で、産んだ子の養育費を不倫相手に支払ってもらうためには、子の父親に認知をしてもらう必要があります。

ただし、女性の場合、婚姻期間中に産んだ子どもは夫の子であると推定するという民法722条の定めがあります。そして、その推定を覆すためには、夫が嫡出否認の訴えを起こさなければなりません。

そのため、不倫相手の子であったとしても、夫にその事実を告げずに出産した場合には、法的には夫の子として扱われるため、不倫相手に養育費を請求することができません。認知をさせるためには、「自分の子どもではない」という「嫡出否認(ちゃくしゅつひにん)」の訴えを夫が起こし、夫との血縁関係がないと認められたうえで、本当の父親(不倫相手)に対し認知を求める必要があります。

もし不倫相手が父親としての認知を拒んだときには、家庭裁判所に認知調停を申し入れる ことが可能です。家庭裁判所では、DNA鑑定などを実施し、父親と子の親子関係が明らかとなった場合には、不倫相手が父親としての認知を拒んだとしても、強制認知というかたちで認知の効力が生じます。

3. 中絶する場合に知っておくべきこと

母体保護法により、人工妊娠中絶手術を受けられるのは妊娠22週未満(21周6日)までと決められており、この期限を過ぎると中絶手術は受けられません

また、中絶手術は妊娠12週未満の妊娠初期の場合と、12週以降22週未満の場合とで種類が異なります。

妊娠12週未満の場合には、子宮内の内容物を器具でかき出す掻爬法術(そうは​​ほうじゅつ)という子宮内容除去術、もしくは吸引法が行われており、どちらも母体への影響は比較的少ないとされています。日本では多くの医療機関で掻爬法が実施されています。

12週以降22週未満の場合は、薬で人工的に陣痛を起こし流産させます。基本的にはお産と同様、母体に負担がかかるため数日間の入院が必要です。また、役所に死産届を提出したうえで、胎児を火葬することになります。

中絶の是非にかかわらず、母体への負担を考えると妊娠初期に中絶手術をするのが望ましい と言えます。

中絶費用は、男女で折半にするケースが一般的です。しかし、女性は中絶によって身体的にも精神的にも大きな苦痛を被ることを考慮して、中絶費用を男性がすべて負担するケースもあります。

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4. 不倫相手を妊娠させた(不倫相手の子を妊娠した)場合の慰謝料

不貞行為が自身の配偶者や不倫相手の配偶者に発覚した場合、慰謝料を請求される可能性があります。

不倫に対する慰謝料の相場は、50万円~300万円程度とかなり幅があります。不倫の期間や回数、婚姻期間の長短、不倫が原因で離婚するかなど、事案によって事情が大きく異なるからです。

一般的に、慰謝料額に最も大きく影響を及ぼすのは、不倫が原因で離婚するかどうかという点です。不倫が原因で離婚することになった場合、慰謝料額は150万円前後になることが多いのに対し、離婚はせずに婚姻関係を継続する場合には100万円前後になるケースが多く見られます。

さらに、不倫の期間や婚姻期間の長短に加え、不倫により妊娠や出産をした事実も慰謝料額に大きく影響 します。

弁護士としてのこれまでの経験上、不倫の結果、妊娠あるいは出産することになった場合には、慰謝料額が50万円ほど増額となることが多いです。

不倫した結果、妊娠あるいは出産し、配偶者と離婚する場合には、慰謝料額は200万円前後、離婚しない場合にも150万円前後になることが多いでしょう。

5. 不倫相手を妊娠させた場合のNG行動

不倫相手が妊娠した場合、男性が避けるべき行動は次の2つです。

5-1. 話し合いや判断の先延ばし

不倫相手から妊娠したと告げられた場合、話し合いや判断を先延ばしにしたいと思う人も多いでしょう。

しかし、これまで説明したとおり、中絶をする場合には時間的な制限もあり、これを超えると出産しか選択肢がなくなってしまいます。話し合いや判断を先延ばしにする事態は避け、なるべく早く話し合いの場を持ちましょう

5-2. 中絶の強要や誠実さを欠く言動

不倫相手が妊娠した結果、中絶することになった場合でも、責任は男女双方にあります。妊娠と中絶の事実のみで男性側が女性に対し慰謝料を支払う義務が発生するわけではありません。

もっとも、女性は不倫の結果と言えども、中絶により身体的にも精神的にも苦痛を被ります。そのため、男性には、女性の苦痛を和らげるための誠実な対応が求められるでしょう。

過去の裁判例でも、女性の妊娠を知った男性が、一方的に中絶を強要したり、きちんとした話し合いの場を持たずに逃げ回ったりした場合に、慰謝料の支払いを命じたものがあります。

男性は、不倫相手の意向を聞かずに強い言葉で中絶を強要したり、女性から話し合いを求められてもそれを拒絶したり、逃げ回ったりすることはせずに、誠実な対応を心がける ことが重要です。

6. 不倫相手を妊娠させた(不倫相手の子を妊娠した)場合に弁護士へ相談するメリット

不倫の結果、妊娠が発覚した場合、中絶するのか、または産むのかを早急に判断しなければなりません。産む場合は認知や養育費の問題、中絶した場合には中絶費用の負担や慰謝料の支払いのほか、配偶者との離婚や離婚慰謝料の話など、検討しなければならないさまざまな問題 が生じます。

弁護士に相談すれば、これらの問題点について、一つずつ見通しや法的見解を示しながら整理してもらえます。正式に依頼をすれば、不倫相手との認知や養育費の話し合い、配偶者との離婚や慰謝料の話し合いを弁護士が代理人として行うことが可能です。

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7. 不倫と妊娠に関してよくある質問

Q. 【男性側】不倫相手が妊娠した子を認知しなければならない?
認知の方法は、「任意認知」と「強制認知」の2つに大別されます。 任意認知とは、母親からの認知の求めに対し、父親がそれを自主的に受け入れて認知する方法です。役所に認知届などの必要書類を提出すると認知の効力が発生します。 強制認知とは、父親が任意認知を拒んだ場合に、家庭裁判所による判断をもって、強制的に認知の効力を発生させる方法です。家庭裁判所ではDNA鑑定が実施されるケースが多く、その結果、親子関係の存在が明らかになれば、強制的に認知されます。 そのため、父親がいくら拒んだ場合でも、親子関係がある限り、最終的には認知しなければならないと言えます。
Q. 【女性側】不倫相手の子を妊娠したら、夫に言うべき?
不倫は法律上の不法行為ですが、不倫した事実や妊娠した事実を夫に言わなければならない法的な義務はありません。 ただし、出産するとなったら、現実的に夫に黙って産むことはできないうえ、夫の子であると嘘をついて産むことは、あとから発覚した場合に大きな問題になるリスクがあります。また、そもそもそのような行動は道義的にも許されるものではありません。産むという選択をする場合には、夫ときちんと話し合うのがよいでしょう。 中絶する場合には、うまくいけば夫に知られずに済むかもしれません。不倫や妊娠を自白する法的な義務がない以上、弁護士としても、夫に正直に話すべきだと言うべき立場にはないと考えています。しかし、夫婦の状況次第では誠実に伝えたほうがよいケースもあります。
Q. 【女性側】不倫相手の子を妊娠した。中絶の同意は誰から?
母体保護法は、人工妊娠中絶手術をする要件として、配偶者の同意を求めています。そのため、母体保護法の規定からすれば、不倫相手の子であったとしても、中絶には配偶者の同意が必要になると読み取れます。 実際の対応は医師により異なり、不倫相手をパートナーであると解釈して、不倫相手の同意をもって手術をするケースなどもあるようです。詳しくは中絶手術を依頼しようと考えている医師に相談しましょう。
Q. 夫が不倫(浮気)相手を妊娠させてしまったらどうすべき?
不倫相手が夫の子を産むとなれば、あなた自身の生活にも大きな影響を及ぼします。 離婚をするのかどうか、離婚するとしてどのような条件でするべきか、離婚しないとして、不倫相手に慰謝料を請求すべきかなど、選択肢や検討対象が多いため、弁護士に相談することをお勧めします。

8. まとめ|不倫中に妊娠させた(妊娠した)場合は弁護士に相談を

不倫による妊娠や出産は、自分自身だけでなく、周囲にも大きな影響 を与えます。検討すべきことや決めなければならないことも多岐にわたり、一つずつきちんと対応するにはかなりの労力が必要です。

今後の見通しを整理するためにも、一度弁護士に相談してみましょう。初回相談無料で対応している弁護士事務所も多くあります。

弁護士は客観的な立場から適切なアドバイスをすることが可能 ですので、一人で悩まず、専門家のサポートを受けてみてください。

(記事は2025年1月1日時点の情報に基づいています)

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