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ダブル不倫(W不倫)の慰謝料の相場 請求方法や事例、注意点まで解説

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ダブル不倫の被害者は誰に慰謝料請求ができるのでしょうか (c)Getty Images
「ダブル不倫」という言葉は、テレビドラマや映画で取り上げられることも多く、一度は聞いたことがあると思います。配偶者がダブル不倫をしていた場合、どのような対応をとるのが適切なのでしょうか? ダブル不倫の被害者は誰に慰謝料請求ができるのかに加え、相場の金額や慰謝料を請求する際に気をつけるべき点などについて、弁護士が解説します。
目 次
  • 1. ダブル不倫とは
  • 2. ダブル不倫の慰謝料は、誰が誰に請求するのか?
  • 3. ダブル不倫のケースでよく見られる慰謝料請求と解決のパターン
  • 3-1. 離婚を前提に単独で慰謝料を請求する
  • 3-2. 四者和解をする
  • 3-3. 不倫相手の配偶者には伝えずに慰謝料を請求する
  • 4. ダブル不倫の慰謝料相場
  • 4-1. 相場は50万〜300万円
  • 4-2. ダブル不倫の慰謝料を増額するためのポイント
  • 4-3. ダブル不倫の慰謝料が減額されるケース
  • 5. ダブル不倫の慰謝料請求に利用できる証拠の例
  • 6. ダブル不倫の慰謝料請求権の消滅時効
  • 7. ダブル不倫の慰謝料請求に関してよくある質問
  • 8. まとめ|ダブル不倫の慰謝料請求は弁護士の支援が有効

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1. ダブル不倫とは

ダブル不倫には2種類の形態があります。一つは既婚者同士が不倫をしているケース、もう一つは夫婦がともに不倫をしているケースです。一般的にダブル不倫は、既婚者同士が不倫をしているケースを指す場合が多い です。

ダブル不倫の2種類の形態を図解。
ダブル不倫の2種類の形態を図解。一般的にダブル不倫は、「既婚者同士が不倫をしているケース」を指す場合が多い
ダブル不倫は既婚者同士であることから、お互いの家庭を壊さないことを前提にしているため、軽い気持ちで始まる場合が多いとされています。刺激的な日々を送りたい、家庭でのストレスを発散したいなど、ダブル不倫に足を踏み入れる理由は人それぞれです。職場の同僚と親しくなった、子どものPTAや課外活動で知り合った、同窓会で久しぶりに会ったなどのきっかけで始まることも少なくありません。

ダブル不倫をしている者同士は、2人だけで秘密を共有し、割り切った関係を楽しんでいるだけかもしれません。しかし、ダブル不倫をされてしまった配偶者の怒りはかなり大きなものと言えます。「配偶者と離婚はしたくないけれど、せめて不倫相手に慰謝料を請求して思い知らせてやりたい……」と考える人も多いでしょう。

2. ダブル不倫の慰謝料は、誰が誰に請求するのか?

ダブル不倫の被害者となった人は、配偶者と不倫相手のどちらか一方、または両方に対して慰謝料を請求できます。慰謝料を請求するにあたって重要なのは、ダブル不倫を決定づける証拠があるかどうか です。そのため、有効な証拠を確保してから慰謝料請求に臨む必要があります。

ただし、ダブル不倫の場合、不倫相手の配偶者も被害者になるため、慰謝料を請求できる一方で自身の配偶者も請求される側になる可能性があります。つまり、お互いの家庭の間で慰謝料請求が行き交う ことになります。

したがって、ダブル不倫をした配偶者と離婚しない場合、お互いに同額の慰謝料を請求すれば、家計全体ではプラスマイナス0円となりますし、自分の配偶者のほうが非が大きい場合にはマイナスになってしまうするケースがあります。配偶者と離婚しないのであれば、相手を思い知らせるために慰謝料請求をしても、経済的には損をするケースもあり得ます。

まずはダブル不倫で慰謝料請求をして家計をプラスにするのは困難であること、そして複雑な部分がある点をきっちり理解しておくことが大切です。もっとも、不倫をやめさせるため、けじめをつけさせるために慰謝料請求をするのは大きな手段でもあります。

3. ダブル不倫のケースでよく見られる慰謝料請求と解決のパターン

配偶者がダブル不倫をしていた場合、配偶者と離婚するかどうかによって慰謝料請求をするべきかどうか、どのように解決するか、パターンが異なります。以下で、よくある請求と解決のパターンをそれぞれ解説します。

  • 離婚を前提に単独で慰謝料を請求する

  • 四者和解をする

  • 不倫相手の配偶者には伝えずに慰謝料を請求する

3-1. 離婚を前提に単独で慰謝料を請求する

配偶者との離婚を決めている場合は、配偶者と不倫相手の両方にそれぞれ慰謝料を請求できます。その際には、配偶者に対していくら、不倫相手に対していくらというようにそれぞれどのぐらいの金額を請求するか選択できます。もちろん、どちらか一方のみに請求することも可能です。

離婚するのであれば、自身は慰謝料をもらうだけの立場となるため、積極的に慰謝料の請求を検討するとよい でしょう。

3-2. 四者和解をする

四者和解は自身、配偶者、不倫相手、不倫相手の配偶者の4人で話し合って和解するパターンです。どちらの夫婦も離婚しないのであれば、最も有効でお勧めしたい選択肢 と言えます。

たとえば、どちらかが積極的に不倫を誘導したことが明らかになれば、どちらか一方が慰謝料を支払い、他方に対して慰謝料の支払いを求めない形で和解することがあります。

一方で、双方の責任が同等で請求額が同程度になる場合は、実際に支払いをしても無意味なので、お互いに慰謝料を請求しないと取り決める、いわゆる「ゼロ和解」で収めるケースもあります。

3-3. 不倫相手の配偶者には伝えずに慰謝料を請求する

配偶者と離婚しない場合は、不倫相手の配偶者にダブル不倫の事実を知らせずに、不倫相手に慰謝料を請求する方法が考えられます。不倫相手の配偶者から、自身の配偶者に対して慰謝料請求され、家庭からお金が出て行ってしまうことを防ぐ ための方法です。

この場合、ダブル不倫によって自身の夫婦関係に大きな亀裂が入ってしまった一方で、不倫相手の家庭では不倫の事実がなかったことになるので心情的に納得できないかもしません。しかし、経済的な利益を得るためには、不倫相手の配偶者が知らないままでいたほうがよいと言えます。

ダブル不倫と慰謝料請求の例を図解。
ダブル不倫と慰謝料請求の例を図解。不倫をされた被害者は不倫相手だけでなく、配偶者にも慰謝料を請求できる

4. ダブル不倫の慰謝料相場

ダブル不倫の場合、慰謝料の相場は最大で300万円ぐらいになるとされています。

4-1. 相場は50万〜300万円

ダブル不倫の慰謝料の相場は、50万円から300万円が標準的と言われています。慰謝料の金額にこれだけ開きがあるのは、それぞれの夫婦が離婚をするのか、婚姻を継続するのかに加え、ダブル不倫に至った事情や婚姻生活の長さ、未成年の子どもの有無などによって違いが生じてくるためです。

4-2. ダブル不倫の慰謝料を増額するためのポイント

ダブル不倫で慰謝料が高額になる可能性があるケースは以下のとおりです。

  • ダブル不倫の期間が長い

  • ダブル不倫によって精神的ダメージを受けた

  • 相手夫婦よりも婚姻期間が長い

  • 良好な結婚生活を送っていた

  • 不倫相手が積極的に誘惑してきた

  • 子どもがいる

  • 不倫相手が高収入者である

・ダブル不倫の期間が長い
長期間にわたってダブル不倫をしていた事実が判明した場合、高額な慰謝料を請求できる可能性があります。不倫期間が長いほど、被害者が受ける精神的苦痛は大きいものと考えられるからです。

・ダブル不倫によって精神的ダメージを受けた
配偶者がダブル不倫をしたことによって精神的ダメージを受けた際には、高額な慰謝料を請求できる場合があります。たとえば、配偶者のダブル不倫が原因でうつ病になった場合、大きな精神的苦痛を受けたことを示す材料となり得ます。このような場合は、主治医から診断書を発行してもらうとよいでしょう。

・相手夫婦よりも婚姻期間が長い
相手夫婦よりも婚姻期間が長いケースでは、高額な慰謝料を請求できる場合があります。平穏な婚姻期間が長いほど、不倫によって婚姻関係が破綻した場合の精神的苦痛も大きいと判断されるためです。

慰謝料の金額はさまざまな事情を総合的に考慮するため一概には言えないものの、婚姻期間が5年未満の場合、慰謝料の最低金額の目安は50万円であり、10年以上20年未満の場合の目安は2倍の100万円となります。

・良好な結婚生活を送っていた
ダブル不倫がなければ、良好な結婚生活を送っていたと考えられるとすれば、高額な慰謝料を請求できる可能性があります。

・不倫相手が積極的に誘惑してきた
不倫相手が積極的に誘惑し、不倫を誘導してきた証拠があるのであれば、高額な慰謝料を請求できるケースがあります。

・子どもがいる
幼い子どもや未成年の子どもがいる際は、高額な慰謝料を請求できる可能性があります。幼い子どもがいるにもかかわらず、配偶者が不倫に及んだのであれば、その精神的苦痛はより大きいだろうと判断されるためです。

・不倫相手が高収入者である
不倫相手が高収入者であったり社会的地位が高かったりすると、高額な慰謝料を請求できるケースがあります。

慰謝料は懲罰的なものではなく、あくまで精神的苦痛を慰謝するものです。支払う側の収入や資産によって当然に増額されるものではありませんが、支払う側に資力がある場合は、離婚慰謝料が高額になる傾向があります。

4-3. ダブル不倫の慰謝料が減額されるケース

ダブル不倫の場合、双方の配偶者が互いに慰謝料を請求するケースが多いものの、次のような事情があると、相手から慰謝料の減額を求められる可能性があります。

・配偶者が積極的に誘惑し、不倫を誘導した
配偶者が積極的に相手を誘惑して、不倫を誘導した場合、慰謝料が減額される可能性があります。

・配偶者との関係が冷え切っていた
ダブル不倫よりも前から配偶者との関係が冷え切っており、婚姻関係が相当程度悪化していたら慰謝料が減額されるケースがあります。

・相手夫婦よりも婚姻期間が短い
相手夫婦よりも婚姻期間が短い場合は、慰謝料が減額されることがあります。夫婦の婚姻期間が短いほど、それにより保護される利益は小さいと考えられるからです。

・ダブル不倫の期間が短い
ダブル不倫をしていた期間が短いと、慰謝料が減額されるケースがあります。不貞行為の回数が少なかったり期間が短かったりする場合は、被害者の精神的苦痛が比較的少ないと考えられるためです。

・相手夫婦のみ離婚する
相手夫婦のみが離婚し、自分たち夫婦は離婚しない状況では、慰謝料が減額されるケースがあります。婚姻を継続する場合には、離婚した場合と比較して、その侵害の程度が低いと考えられるからです。

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5. ダブル不倫の慰謝料請求に利用できる証拠の例

ダブル不倫を理由に不倫相手に対して慰謝料を請求する場合、ダブル不倫をしていたことがわかる証拠が必要となります。ダブル不倫の証拠として有力なものは以下のとおりです。

・配偶者や不倫相手がダブル不倫を自白した音源
・ラブホテルへ出入りする写真や動画
・肉体関係があることが明確なメールやLINEなどのやりとり
・2人で宿泊したことがわかるクレジットカードの明細やホテルのレシート
・調査会社の報告書

ポイントとなるのは、配偶者と不倫相手の間に肉体関係があったことが明らかな証拠 です。「配偶者と不倫相手の顔がはっきりとわからない写真」「食事をしているだけの写真」「日常的な会話をしているメールやLINE」などは、証拠として認められにくいでしょう。

さらに、配偶者に無断でスマホを見て、そのなかでダブル不倫の証拠となる写真を見つけても、プライバシーの侵害として違法行為に該当する可能性があります。著しく反社会的で不正な手段によらないで収集された証拠であれば、原則として有効な証拠となりますが、違法収集証拠とならないよう、証拠の収集は専門家のアドバイスを受けて行う ことをお勧めします。

6. ダブル不倫の慰謝料請求権の消滅時効

ダブル不倫による慰謝料請求権は、原則3年です。配偶者がダブル不倫をしていた事実と不倫相手がどこの誰なのかといった情報を知ってから3年が経過すると消滅時効が成立 します。

消滅時効が成立すると慰謝料請求ができなくなるため、配偶者がダブル不倫をしているのではないかと疑っている場合は、早めに弁護士に相談をしてどのような方法をとるべきか相談をすることが大切です。

不倫に気づかなかったり、不倫相手が特定できなかったりした場合は、配偶者と不倫相手の不貞行為があった日から20年以内であれば、慰謝料の請求ができます。たとえば、配偶者と不倫相手の不貞行為の日から10年後にダブル不倫の事実を知ったのであれば、慰謝料の請求が認められます。

7. ダブル不倫の慰謝料請求に関してよくある質問

Q. 不倫相手がお金を持っていないときは、慰謝料請求をあきらめるしかない?
不倫相手がお金を持っていない場合、現実問題として慰謝料請求をして回収するのは難しいと言えます。どうしても慰謝料をもらわなければ気が済まないなら、配偶者と離婚をして配偶者に対して慰謝料請求するのがよいかもしれません。 ただし、慰謝料請求した時点で不倫相手がお金を持っていない場合でも、将来支払ってもらうことに合意できる可能性があります。そのために慰謝料請求訴訟を提起して、勝訴判決を得ておくのも一つの方法ですが、その際は弁護士のサポートが必須となるので、早めに相談をしたほうがよいでしょう。
Q. ダブル不倫の慰謝料請求が認められないことはある?
ダブル不倫をした当事者同士が不倫を否定している場合、ダブル不倫をしていたことが明確にわかる証拠がなければ、慰謝料請求が認められる可能性が低いです。 慰謝料請求をするなら、ダブル不倫が疑われる2人の間に肉体関係があったことが明確に証明できる証拠が必要となります。たとえば、ラブホテルに一緒に入る写真や肉体関係があったことが明らかにわかるLINEやメールなどのやりとりです。この場合、性交渉だけでなくオーラスセックスや愛撫をしようとしていた、一緒にお風呂に入ったなどがわかる証拠であれば、肉体関係があったものとみなされます。 一方で、頻繁にLINEなどのやりとりをしていても肉体関係があったかどうかがわからず、食事やデートのみでとどまっている場合は慰謝料請求できる可能性が低いです。また、手をつないでいるだけの写真、あるいはキスやハグの写真は、肉体関係があったと認められるには証拠として弱いため、慰謝料を請求できない可能性が高いと言えます。 さらに、ダブル不倫が発覚する以前から婚姻関係が破綻していたことが明らかな場合は、慰謝料請求は認められません。
Q. 内縁の配偶者がダブル不倫をした場合も慰謝料は請求できる?
婚姻届を出していない内縁の配偶者であっても、ダブル不倫による慰謝料請求が認められます。 内縁関係とは、婚姻届を出していないものの、互いに夫婦だと意識して生活していたり、周りにも夫婦だと見られていたりする男女の関係です。事実婚と呼ばれる場合もあります。 法律上の夫婦との違いは、婚姻届を出していない点だけなので、婚姻に準ずる関係として一定の権利や義務が認められます。そのなかには不貞をしてはならない貞操義務も含まれているため、どちらか一方が不貞行為をしたら慰謝料請求ができますし、支払い義務が生じます。

8. まとめ|ダブル不倫の慰謝料請求は弁護士の支援が有効

ダブル不倫は、両者の関係が複雑になるケースが多く、両夫婦が離婚するかどうかによってどのように慰謝料請求をすべきか、方法に違いが出ます。怒りに任せて不倫相手に慰謝料請求をしたものの、逆に返り討ちにあってしまう可能性もあるので、配偶者と離婚をするのかどうかなど、しっかりと作戦を練って行動に移すことが重要です。

配偶者のダブル不倫の証拠をどのようにつかめばいいか、または証拠を見つけたものの有効なものかどうかわからないと悩んだ場合は、ぜひ弁護士にアドバイスを求めましょう。弁護士であれば有効な証拠をどのように手に入れるか、または手に入れた証拠が慰謝料請求に有効に役立つかどうか、的確な判断ができます。

さらに、弁護士が代理人になって相手方と交渉をすることで、納得のいく慰謝料が得られる可能性があります。弁護士を代理人にしたことで、相手もこちらの本気度を理解するはずで、無下な対応ができません。何よりも配偶者の不倫相手と直接顔を合わせるといった精神的ストレスがなくなるのは、非常に大きなメリットと言える のではないでしょうか。

配偶者のダブル不倫で慰謝料請求をすべきかどうか悩んでいるのであれば、ぜひ弁護士に相談をしてください。

(記事は2024年12月1日時点の情報に基づいています)

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