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別居婚で離婚する際の注意点 離婚率は高い? 手続きについて解説

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別居婚の離婚は、通常の離婚と違う点があります(c)Getty Images
別居婚とは、夫婦で同居せず、別々に暮らしている状態での結婚生活のことをいいます。別居婚を選択している夫婦は、お互いに経済的にも自立していることが多いため、通常の結婚生活と比べ、離婚率が高いといわれています。別居婚の場合、慰謝料や財産分与などで通常の結婚と違う部分があります。別居婚のメリットデメリットや、別居婚がうまくいかない夫婦の特徴、別居婚から離婚する際の注意点などを紹介します。
目 次
  • 1. そもそも別居婚とは?
  • 2. 別居婚は冷める?うまくいかない?
  • 2-1. 別居婚のメリット
  • 2-2. 別居婚のデメリット
  • 3. 別居婚の離婚率は高い? 離婚に至りやすい理由は?
  • 4. 別居婚がうまくいかない夫婦の特徴は?
  • 5. 別居婚のまま離婚する手続き・方法は?
  • 6. 別居婚のまま離婚する上での注意点は?
  • 6-1. 調停や裁判を行う裁判所が遠方になりうる
  • 6-2. 別居を婚姻生活破綻の根拠にはできない
  • 6-3. 財産分与を請求できない可能性
  • 6-4. 不倫の証拠がつかみづらい
  • 6-5. 慰謝料が低くなりやすい
  • 7. 別居婚の配偶者から離婚を切り出された際、回避する方法は?
  • 8. まとめ 別居婚で離婚を検討している人は弁護士に相談を

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1. そもそも別居婚とは?

別居婚について、法律上明確な定義があるわけではありませんが、一般的には、法律上の婚姻関係(夫婦関係)がありながらも、別居をしている夫婦の生活形態 のことをいいます。別居婚は、あくまで夫婦関係が円満であることを前提として、お互い納得の上で敢えて別居して生活することを選択している状態のことをいうため、夫婦仲が険悪になって別居に至ったケースとは区別されます。

別居婚の形態は夫婦によって千差万別ですが、例えば、お互いが遠方に住んでいて週末のみ一緒に過ごすパターン、逆に近所に住んでいて毎日のようにお互いの家に行き来するパターン、お互いの都合の合うときにだけ会うパターンなどがあり得ます。

2. 別居婚は冷める?うまくいかない?

別居婚はうまくいくものなのでしょうか。別居婚のメリットやデメリットを紹介します。

2-1. 別居婚のメリット

別居婚のメリットとしては、まず気楽さ、自由度の高さ が挙げられます。相手のために時間を使うことが少なくなり、独身時代と同様、仕事や趣味に割く時間、一人の時間を大切にできます。

また、同居している場合には、家事分担など日常の役割や価値観の違いで衝突することが多くなりがちですが、別居婚の場合には、同居している場合と比べて、そのような衝突・対立が起こりにくい とも言えます。

さらに、別居婚は、事実婚と違って法律上の婚姻関係があるので、法律婚のメリットを得る ことができます。具体的には、相続権が得られること、子どもの親権を共同で持てること、税金で配偶者控除等が得られること等です。

別居婚は、上記のように、別居によるメリットと法律婚によるメリットの双方を得られます。

2-2. 別居婚のデメリット

一方で、別居婚のデメリットとしては、まず生活費がかさむ ことが挙げられます。別居婚の場合には、住居費や水道光熱費を夫婦それぞれが負担することになるので、同居する場合に比べて、生活費が高額になる傾向にあります。

また、夫婦の双方が別居婚をすることやその形態について納得していないと、夫婦関係がうまくいかなくなる可能性 があります。別居婚をする上で、お互いの仕事との兼ね合い、会う頻度や会ったときの過ごし方などについて、双方の意見が合致することは簡単ではありません。

さらに、別居婚の場合には、お互いの生活が見えないので、不貞行為へのハードルは自然と低くなります 。加えて、別居婚の夫婦に子どもができた場合には、どちらか片方に育児の負担がのしかかる 可能性が高く、また子どもと同居していない方は、子どもとのコミュニケーションが不足してしまう傾向にあります。

3. 別居婚の離婚率は高い? 離婚に至りやすい理由は?

別居婚の離婚率に関する公式なデータはありませんが、全体の離婚率(約37%)よりは離婚率が高くなる要因はあります。

まず別居婚の夫婦は、離婚をしても生活状況が大きく変わるわけではない ので、離婚に対するハードルは同居の場合と比べて低くなることが推察されます。

また、別居婚の場合には、どちらかが専業主婦(主夫)というケースは少なく、双方が経済的に自立しているケースが多いため、経済的な理由で離婚しづらいというケースも少ない と思われます。ただし、別居婚だからこそうまくいっている夫婦もいるはずなので、一概に別居婚だから離婚しやすいとはいえない でしょう。

4. 別居婚がうまくいかない夫婦の特徴は?

別居婚は双方が納得の上でするものなので、別居婚をすること自体や、その形態について片方が納得していない場合には、別居婚はうまくいきません。結婚当初は別居することについて双方納得していたとしても、その後の出産などの生活状況の変化によって、片方が同居を望むケース もあるでしょう。

また、同居の場合と比べて一緒に過ごす時間が必然的に短くなるため、密にコミュニケーションをとっていないとすれ違いが生じやすく なります。一方が自分の都合を優先して会う頻度が少なくなり、もう一方の不満が高まってうまくいかなくなるケースなども考えられます。

さらに、別居婚は、例えば片方が職を失うなど、悲しい出来事に遭遇したような場合に、もう片方の経済的・精神的な支えが十分に受けられず、うまくいかなくなるケースもあり得ます。

5. 別居婚のまま離婚する手続き・方法は?

別居婚の場合でも、離婚する手続き・方法は通常の離婚と変わりません

基本的にはまず、夫婦の話し合いで離婚や離婚の条件について決定・合意します。これを協議離婚と言います。

協議離婚が難しい場合には、離婚調停を申し立てることになります。離婚調停は、家庭裁判所の調停委員を介した話合いによって離婚をする手続きです。双方が遠方に住んでいる場合には、どちらの近くの家庭裁判所で離婚調停が行われるのかが問題となります。通常は、相手方、すなわち離婚調停を申し立てられた側の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所が管轄となります。

離婚調停も不成立だった場合には、裁判(離婚訴訟)によって、法定の離婚事由があるかが判断されます。このように裁判によって離婚が成立した場合は、裁判離婚といいます。離婚訴訟は、夫又は妻の住所地のある家庭裁判所で行われます。離婚調停とは異なり、訴訟を提起する側の住所地を管轄する家庭裁判所も管轄裁判所として認められている点、また、双方の合意があったとしても、夫又は妻の住所地のある家庭裁判所以外の裁判所では行われない点がポイントです。

なお、離婚理由については、協議や調停による離婚は、双方が離婚について合意すれば問われません。一方で、裁判で離婚が認められるには、不貞行為や悪意の遺棄など「法定離婚事由」と呼ばれる理由が必要です。

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6. 別居婚のまま離婚する上での注意点は?

6-1. 調停や裁判を行う裁判所が遠方になりうる

離婚調停や離婚裁判は、夫又は妻の住所地で行われるケースが多いので、夫婦が遠方に住んでいる場合には、どちらか一方にとっては遠方の裁判所で行われることになります。しかし、昨今の法改正によって、離婚調停において、当事者の意見や状況を聴取した上で、テレビ会議システムを採用することが可能 となりました。これにより、遠方にいる当事者も、直接裁判所に出向くことなく離婚調停に参加できるようになりました。 ただし、調停を成立させる際には、裁判所に出頭する必要があります。

6-2. 別居を婚姻生活破綻の根拠にはできない

同居している夫婦の場合には、別居状態が長期間続いていることは、夫婦関係が破綻していることを推認させるので、法定離婚事由の一つである「婚姻を継続し難い重大な事由」があると認められやすくなります。

一方で、別居婚の場合は、夫婦関係が良好なまま別居しているので、ある時を境に夫婦関係が悪化したとしても、別居を理由に夫婦関係が破綻し「婚姻を継続し難い重大な事由」があると見られる可能性は低く、同居の場合と比べて離婚することが難しくなります 。すなわち、別居婚の場合には、別居以外の理由で夫婦関係の破綻を立証していく必要があります。

6-3. 財産分与を請求できない可能性

別居婚の場合には、財産分与を請求できない可能性があります。財産分与とは、婚姻生活の中で夫婦が助け合って築いた財産を離婚の際に分け合って清算することをいいます。同居している夫婦の場合、夫婦が婚姻生活において築いた財産は、どちらの収入や名義で取得したかは関係なく、2分の1ずつ分け合うのが原則です。これは、仮に妻が専業主婦で、夫にしか収入がないケースにおいても、妻は家事や育児を行って夫に協力することにより、夫と同様に夫婦の財産を形成しているものと見なされるからです。

しかし、別居婚の場合には、このような協力関係がなく、各々が別々に財産形成を行うケースが多い傾向にあります。したがって、別居婚の場合には、財産分与を請求できない可能性 があります。

6-4. 不倫の証拠がつかみづらい

別居婚の場合、同居の場合と比べて一緒に生活する時間が短く、お互いの生活が見えにくい ため、浮気の兆候をつかんだり、不倫の証拠をつかんだりすることが難しい傾向にあります。夫婦が遠方に住んでいるようなケースでは、その傾向がさらに強くなります。

このように、自分で不倫の証拠を確保することが難しい場合には、探偵に依頼することも有効です。

6-5. 慰謝料が低くなりやすい

別居婚の場合にも、夫婦が同居している場合と同様、不倫を理由に慰謝料請求をすることができます。それは、不倫が原因で婚姻関係が破綻したと見なされるからです。

しかし、別居している場合には、不倫をした相手方から、「不倫をした時点ですでに別居していたため、不倫をする前から夫婦関係が破綻していた」と主張される可能性 があります。

その場合は、別居婚であること、すなわち「夫婦双方が納得の下夫婦の生活形態として別居を選択したものであること(夫婦関係が円満であったこと)」を立証しなければ、慰謝料が大幅に減額されたり、全く認められなかったりする可能性もあるので、留意が必要です。

7. 別居婚の配偶者から離婚を切り出された際、回避する方法は?

別居婚の場合で、配偶者から離婚を切り出された場合には、まず離婚したい理由を聞き出すのが重要です。別居婚の形態は千差万別なので、配偶者が何に不満をもっているのかを聞き、改善の余地があるのかを話し合いましょう。

配偶者が同居を希望した場合には、離婚を回避するためにも、同居を検討しましょう 。同居の意思はあるものの、今すぐに同居することが難しい場合には、同居の時期についても話し合うのがおすすめです。

一方で、どうしても同居が難しい場合には、そのことを配偶者に伝えた上で、同居以外の方法で配偶者の不満を取り除く方法(例えば、会う頻度や時間を増やす等)を模索 しましょう。それでも配偶者が同居を希望する場合には、離婚を検討するほかないです。また、離婚を切り出してきた配偶者に不倫の疑いがあるような場合には、慰謝料請求ができる可能性があるため、弁護士に相談しましょう。

8. まとめ 別居婚で離婚を検討している人は弁護士に相談を

別居婚の夫婦は、お互いが経済的に自立していることが多いため、離婚へのハードルが低く、通常の夫婦と比べて離婚率が高いといわれています。離婚が認められる条件も通常の夫婦とは違うことがあります。例えば、通常の夫婦では、別居が一定期間続くと「婚姻関係が破綻した」として離婚が認められる可能性がありますが、別居婚の場合、もともと別居しているので、「婚姻関係が破綻したこと」を証明するのが困難です。

また、別居婚の場合、離婚の際に財産分与がなかったり、慰謝料が低くなったりする可能性があります。これらは、日頃の夫婦のお金のやりくりの仕方など、個別に話を聞いて判断する必要があるので、お困りの人は弁護士に相談しましょう。

(記事は2025年2月1日時点の情報に基づいています)

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