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不倫は犯罪になる? 処罰されるケースやリスク、疑問点を弁護士が解説

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不倫は犯罪として処罰の対象になるのか、弁護士が解説します (c)Getty Images
許されない行為だと自覚しながら不倫している人は少なくありませんが、なかには「不倫は犯罪として処罰されるのではないか」と不安を抱く人もいます。実際のところ、不倫は法律上の犯罪にあたるのでしょうか。また、不倫が発覚した場合はどのようなペナルティーを負うことになるのでしょうか。不倫(不貞行為)の法律上の位置づけや、不倫によって生じるリスクについて、弁護士が解説します。
目 次
  • 1. 不倫や浮気は犯罪? 罰則や法律のルールはある?
  • 1-1. 不倫は原則として犯罪ではない|「不倫の罪」のようなものはない
  • 1-2. 不倫は違法|民事上の不法行為にあたる
  • 1-3. 不倫は不貞行為にもあたり、離婚原因になる
  • 2. 不倫が犯罪にあたり得るケース
  • 2-1. 相手が未成年者の場合
  • 2-2. 相手を脅して性行為などに及んだ場合
  • 2-3. 相手に対してストーカー行為をした場合
  • 2-4. 不倫の事実を公然と言いふらした場合
  • 3. 不貞行為(不倫や浮気)はなぜ悪いのか?
  • 4. 不倫の境界線|どこからが不貞行為?
  • 4-1. 不貞行為にあたる行為とは?
  • 4-2. 不貞行為にあたらない行為とは?
  • 4-3. 婚姻関係が破綻していれば、不法行為責任を負わない
  • 5. 不貞行為(不倫)によって生じるリスク
  • 5-1. 配偶者に離婚を求められる
  • 5-2. 配偶者に慰謝料を請求される
  • 5-3. 不倫相手の配偶者からも慰謝料を請求される
  • 5-4. 社会的評価が低下する
  • 6. 配偶者に不倫がバレた場合の対処法
  • 7. 不倫問題を弁護士に相談するメリット
  • 8. 不倫は犯罪かどうかに関してよくある質問
  • 9. まとめ|不倫に関するトラブル解決は、弁護士への相談が近道

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1. 不倫や浮気は犯罪? 罰則や法律のルールはある?

結論から言えば、不倫は原則として犯罪にあたりません 。しかし、不倫をすると不法行為に基づく損害賠償責任が生じるほか、既婚者の場合は配偶者から離婚を請求されるおそれ があります。

1-1. 不倫は原則として犯罪ではない|「不倫の罪」のようなものはない

上述のとおり、不倫は原則として犯罪にあたりません。

犯罪として処罰するためには、法律上の明確な処罰規定が必要です。これは「罪刑法定主義」と呼ばれるものです。

戦前の日本の刑法では、妻が夫以外の男性と性的関係をもつことについて「姦通(かんつう)罪」を規定し処罰の対象としていましたが、現在の日本の刑法などの法律では「不倫の罪」のようなものは定められていないため、不倫をしても原則として処罰されることはありません。ただし例外的に、不倫相手の年齢や不倫に関連する行為などが原因で処罰の対象となることがあります。

1-2. 不倫は違法|民事上の不法行為にあたる

不倫は犯罪ではありませんが、民事上の「不法行為」(民法709条)にあたります。

「不法行為」とは、故意または過失によって他人に対して違法に損害を与える行為です。不法行為をした人は、被害者に生じた損害を賠償しなければなりません。

不倫の被害者とは、不倫していた既婚者の配偶者です。不倫の当事者である既婚者とその不倫相手には、被害者に生じた損害を連帯して賠償する責任があります

1-3. 不倫は不貞行為にもあたり、離婚原因になる

また、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことは「不貞行為」にあたり、法律で定められた離婚原因(法定離婚事由)となります (民法770条1項1号)。

既婚者が不貞行為をすると、本人は離婚したくなくても、配偶者に離婚訴訟を提起されれば強制的に離婚が成立してしまいます。

2. 不倫が犯罪にあたり得るケース

不倫は原則として犯罪にあたりませんが、以下のようなケースでは犯罪として処罰されるおそれがあります。

  • 相手が未成年者の場合

  • 相手を脅して性行為などに及んだ場合

  • 相手に対してストーカー行為をした場合

  • 不倫の事実を公然と言いふらした場合

2-1. 相手が未成年者の場合

18歳未満の者とみだりに性交または性交類似行為をすると、各都道府県の青少年保護条例によって処罰されるおそれがあります。

たとえば「東京都青少年の健全な育成に関する条例」によれば、18歳未満の者(=青少年)とみだらな性交または性交類似行為をした者は「2年以下の懲役または100万円以下の罰金」に処されます(同条例18条の6、24条の3)。

また、以下の者に対してわいせつな行為をした場合は「不同意わいせつ罪」(刑法176条)、性交等をした場合は「不同意性交等罪」(刑法177条)が成立します。

・13歳未満の者
・13歳以上16歳未満の者(その者より5年以上前の日に生まれた者に限る)

なお、「性交等」は以下の行為を指します。

・性交
・肛門性交
・口腔性交
・膣または肛門に身体の一部(陰茎を除く)または物を挿入する行為であってわいせつなもの

不同意わいせつ罪の法定刑は「6カ月以上10年以下の懲役」、不同意性交等罪の法定刑は「5年以上の有期懲役」です。

2-2. 相手を脅して性行為などに及んだ場合

相手を脅してわいせつな行為をした場合は「不同意わいせつ罪」(刑法176条)、相手を脅して性交等をした場合は「不同意性交等罪」(刑法177条)が成立します。

2-3. 相手に対してストーカー行為をした場合

恋愛感情やそれが満たされなかったことなどを理由に、特定の人に対して「つきまとい等」または「位置情報無承諾取得等」を繰り返すことは「ストーカー行為」にあたり、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」に処されます(ストーカー規制法2条4項、18条)。

また、都道府県公安委員会の禁止命令に違反してストーカー行為をした者は、「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」に処されます(同法19条)。

【「つきまとい等」にあたる行為】
・つきまとい
・待ち伏せ
・進路への立ちふさがり
・住居などの付近における見張り
・住居などへの押し掛け
・住居などの付近をみだりにうろつく
・行動を監視していると思わせるような事項を告げ、または知り得る状態に置く
・面会、交際その他義務のないことを要求する
・著しく粗野または乱暴な言動をする
・無言電話
・拒否されたにもかかわらず、連続して電話、文書の送付、ファックス送信、電子メール送信などをする
・汚物や動物の死体など、著しく不快または嫌悪の情を催させるような物を送付し、または知り得る状態に置く
・名誉を害する事項を告げ、または知り得る状態に置く
・性的羞恥心を害する事項を告げ、物を送付し、記録を送信し、またはこれらを知り得る状態に置く

【「位置情報無承諾取得等」にあたる行為】
・相手の承諾を得ずに位置情報などを取得する
・相手の承諾を得ずに位置情報記録装置などを取り付ける

2-4. 不倫の事実を公然と言いふらした場合

不倫をしていることを公然と言いふらすと、相手に対する名誉毀損にあたり、「名誉毀損罪」によって処罰されるおそれがあります(刑法230条1項)。名誉毀損罪の法定刑は「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」です。

3. 不貞行為(不倫や浮気)はなぜ悪いのか?

配偶者以外の者と性的関係を結ぶ「不貞行為」は、原則として犯罪ではないものの、民法上は違法(不法行為) とされています。

夫婦には、互いに協力して助け合いながら生活しなければならないという協力義務と扶助義務があります(民法752条)。夫婦間のこれらの義務は、現代におけるほとんどの家族で必要不可欠の要素です。それを維持するためには、夫婦関係の平穏、つまり不貞行為をせずに添いとげるという約束が欠かせません。

民法上で不貞行為が違法とされているのは、こうした夫婦の協力および扶助の関係を破壊する行為であるためです。

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4. 不倫の境界線|どこからが不貞行為?

「不倫」という言葉は多義的で、使用される文脈や状況によって意味合いが異なることがあります。

これに対して「不貞行為」は、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことを意味します(最高裁昭和48年11月15日判決)。したがって、離婚請求や慰謝料請求の対象になるかどうかは、原則として性的関係があったかどうかを基準に判断 されます。

4-1. 不貞行為にあたる行為とは?

不貞行為にあたるのは、配偶者以外の者と性的関係を結んだ場合です。

「性的関係を結ぶ」とは、主に性交(=性器の挿入)が想定されていますが、肛門性交や口腔性交などの性交類似行為も不貞行為と判断される可能性があります。

4-2. 不貞行為にあたらない行為とは?

配偶者以外の者と恋愛関係にあったり、互いに好意の感情をもっていたりした場合でも、性的関係がなければ不貞行為にあたりません。

たとえば手をつなぐ、ハグ、キスなどの行為は、不貞行為にあたらないと解されています。

4-3. 婚姻関係が破綻していれば、不法行為責任を負わない

配偶者以外の者と性的関係を結んだ場合でも、その時点で婚姻関係が破綻していれば、特段の事情がない限り、配偶者に対する不法行為責任を負いません (最高裁平成8年3月26日判決)。

婚姻関係が破綻している場合には、夫婦関係を法律上保護する必要性が乏しいためです。

5. 不貞行為(不倫)によって生じるリスク

不倫は原則として犯罪ではありませんが、不倫相手と性的関係をもつと、以下のようなリスクがあります。そのため、不倫相手との関係は早めに断ち切るべきです。

  • 配偶者に離婚を求められる

  • 配偶者に慰謝料を請求される

  • 不倫相手の配偶者からも慰謝料を請求される

  • 社会的評価が低下する

5-1. 配偶者に離婚を求められる

不貞行為は法定離婚事由にあたるため、配偶者に離婚訴訟を提起されると、強制的に離婚が成立 してしまいます。

子どもがいる場合は、親権を失って離れて暮らすことを強いられ、なかなか会えなくなってしまうかもしれません。不貞行為の代償として、円満な家庭を丸ごと失ってしまうことになるのです。

5-2. 配偶者に慰謝料を請求される

不貞行為は、配偶者に対する不法行為にもあたるため、配偶者から慰謝料を請求されたら支払わなければなりません

慰謝料の金額は、離婚しない場合で50万円~200万円程度、離婚する場合で150万円~300万円程度が標準的です。

特に離婚する場合は、家庭を失ってしまうだけでなく、大きな経済的負担を強いられることになります。

5-3. 不倫相手の配偶者からも慰謝料を請求される

自分も不倫相手も既婚者である「ダブル不倫」の場合は、自分の配偶者だけでなく、不倫相手の配偶者からも慰謝料を請求されるおそれ があります。

二重に慰謝料の支払い義務が生じることになるので特に注意が必要です。

5-4. 社会的評価が低下する

近年では、不倫をした人に対して厳しい視線が向けられています。不倫をしたことが原因で職場での立場が悪くなったり、親しい人々からの信用を失ってしまったりするケースが少なくありません。

不倫が発覚すると、日常生活の多くの場面で悪影響が生じるリスクがあることを覚悟すべきです。

6. 配偶者に不倫がバレた場合の対処法

配偶者に不倫が知られてしまった場合、家庭の崩壊を防ぐためには、とにかく謝罪を尽くすほかありません 。二度と不倫をしないことを誓ったうえで、夫婦関係を修復するための話し合いを重ねてください。

しかし、どんなに夫婦関係の修復に努めても、配偶者を引きとめられないこともあります。配偶者が離婚を強く希望する場合は、最終的には受け入れざるを得ません。

離婚が避けられない場合は、財産分与、年金分割、慰謝料、婚姻費用、親権、養育費、面会交流などの離婚条件を取り決める必要があります。適切な離婚条件で合意するために、弁護士に相談してサポートを受けるとよいでしょう。

7. 不倫問題を弁護士に相談するメリット

不倫に関するトラブルが発生した場合は、弁護士に相談することが解決への近道です。

弁護士に相談すれば、不倫トラブルを解決するために何をすべきか、具体的な状況に合わせたアドバイスを受けられます。また、正式に弁護士へ依頼することで、配偶者や不倫相手との交渉や調停、訴訟などの法的手続きを代行してもらえます。

特に自分が不倫をしてしまった場合は、配偶者や不倫相手とのやりとりを自分で行うのは精神的にもつらいものです。弁護士に対応を一任することで、労力やストレスが大幅に軽減されます。

不倫トラブルの当事者になってしまったら、早めに弁護士へ相談することをお勧めします。

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8. 不倫は犯罪かどうかに関してよくある質問

Q. 不倫は法律違反にあたる?
不倫(不貞行為)は犯罪ではありませんが、不法行為および夫婦間の貞操義務に違反する行為にあたるため、法律違反(=違法)です。
Q. 配偶者の不倫が発覚した場合、不倫相手の家族に対して慰謝料を請求できる?
不倫慰謝料を請求できる相手は、不倫の当事者(=配偶者と不倫相手本人)のみです。不倫相手の家族に対しては、不倫慰謝料を請求することはできません。
Q. 不倫慰謝料に時効はある?
不倫慰謝料の請求権は、以下のいずれかの期間が経過すると時効により消滅します(民法724条)。 ・損害および加害者を知ったときから3年 ・不法行為のときから20年 「損害」とは、不倫による精神的損害(≒配偶者が不倫している事実)を言います。「加害者」とは、不倫した配偶者に対する請求については配偶者、不倫相手に対する請求については不倫相手を言います。 ただし、配偶者への不倫慰謝料の請求権は、婚姻中や婚姻解消のときから6カ月を経過するまでは時効が完成しません(民法159条)。 また、不倫が原因で配偶者と離婚した場合は、離婚成立時から3年間が経過するまでは離婚慰謝料を請求可能です。

9. まとめ|不倫に関するトラブル解決は、弁護士への相談が近道

不倫は原則として犯罪ではありませんが、慰謝料の支払いや離婚を強いられるおそれ があるうえ、社会的評価も著しく下がる非常にリスクの高い行為です。不倫相手との関係は、早急に断ち切ることをお勧めします。

もし配偶者に不倫が知られてしまったら、謝罪を尽くして夫婦関係の修復を図りましょう。どうしても離婚が避けられない場合や、慰謝料を請求された場合は、早めに弁護士へ相談 してください。

(記事は2025年1月1日時点の情報に基づいています)

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