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面会交流の間接強制とは? 直接強制との違いや要件・流れをわかりやすく解説

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面会交流の約束が守られない場合、間接強制が有効な場合があります(c)Getty Images
面会交流の取り決めがあるにもかかわらず、子どもと同居する親がこれに応じない場合、「間接強制」という法的手段によって取り決めどおりに行うよう促すことができます。 間接強制とは、違反1回ごとに金銭の支払いを命じることで心理的な圧力をかけ、間接的に義務の履行を促す制度です。もっとも、要件を満たさなければ認められないほか、かえって対立を深めるおそれもあるため、適切な理解と判断が重要となります。 面会交流における間接強制の仕組みや要件、費用、注意点、対処法を弁護士がわかりやすく解説します。
目 次
  • 1. 面会交流の間接強制とは?仕組みをわかりやすく解説
  • 1-1. 金銭の支払いを命じて心理的圧迫を加える制度
  • 1-2. まずは無料の「履行勧告」を検討すべきケースも
  • 2. 間接強制と直接強制の違い|面会交流で直接強制はできない
  • 3. 間接強制が認められるための厳格な要件
  • 3-1. 債務名義(調停調書・審判書)があること
  • 3-2. 【重要】面会交流の日時・場所・内容が具体的に特定されていること
  • 3-3. 間接強制ができる条項・できない条項の具体例【比較表】
  • 4. 間接強制金はいくら?制裁金の相場と決め方
  • 4-1. 相手方の収入や資力によって金額は異なる
  • 4-2. 一般的な相場
  • 4-3. 支払われない場合の強制執行
  • 5. 間接強制が認められない・失敗する可能性が高いケース
  • 5-1. 面会交流の条項の文言が抽象的・あいまいである
  • 5-2. 子ども自身が面会交流を強く拒否している
  • 5-3. 相手方が正当な理由(子の病気など)で拒んでいる
  • 6. 間接強制の申立ての流れと費用
  • 6-1. ①債務名義など必要書類の準備
  • 6-2. ②管轄の家庭裁判所への申立てと費用
  • 6-3. ③審尋の実施
  • 6-4. ④裁判所の決定の告知と不服申立て期間
  • 6-5. 債務名義がない場合は面会交流調停の申立て
  • 7. 間接強制の注意点
  • 7-1. 面会交流が必ず実現するとは限らない
  • 7-2. 柔軟な面会交流がしにくくなる
  • 7-3. 手続きに手間がかかる
  • 8. 間接強制を申し立てても会わせてくれない場合の対処法
  • 8-1. 損害賠償請求(慰謝料)を検討する
  • 8-2. 親権者変更の申立てを検討する
  • 9. 面会交流と間接強制について弁護士に依頼するメリット
  • 10. 間接強制に関連して、よくある質問
  • 11. まとめ 間接強制は有効だが万能ではない、条項の具体性と事前の取り決めが結果を左右する
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1. 面会交流の間接強制とは?仕組みをわかりやすく解説

面会交流の取り決めがあるにもかかわらず、相手方がこれに応じない場合、どのように対応すべきか悩む人は少なくありません。このような場面で活用されるのが「間接強制」という制度です。まずはその基本的な仕組みを確認しましょう。

1-1. 金銭の支払いを命じて心理的圧迫を加える制度

面会交流の間接強制とは、調停や審判などの裁判所の手続きによって面会交流の実施が取り決められているにもかかわらず、その約束が守られない場合に、子どもと同居する親(同居親)に対して「面会交流を実施しなかった回数1回ごとに〇万円を支払え」といった制裁金(間接強制金)の支払いを命じる制度です。

このように金銭的な負担を課すことで心理的な圧力を与え、間接的に面会交流の実施を促します。

1-2. まずは無料の「履行勧告」を検討すべきケースも

面会交流の間接強制は、強制執行の一種であり、義務者の意思に反して義務の履行を促す制度です。そのため、当事者間の対立をさらに深めてしまうおそれがあります。

特に面会交流は同居親の協力が不可欠であるため、強制的な手段を取ることで関係が悪化し、かえって実現が困難になるケースもあります

そのため、まずは裁判所から義務の履行を促してもらう「履行勧告」を検討することが適している場合もあります。履行勧告は、権利者が裁判所に申し出ることで、義務者に対して約束を守るよう促してもらう制度であり、手数料もかかりません。

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2. 間接強制と直接強制の違い|面会交流で直接強制はできない

「間接強制」と対になる方法として「直接強制」があります。直接強制とは、義務者が義務を履行しない場合に、国家権力によって直接的にその義務を実現させる手続きです。例えば、金銭の支払い義務を履行しない場合に、財産を差し押さえて回収する方法は直接強制に当たります。

一方、面会交流を直接強制しようとすると、子どもを強制的に引き離して面会させることになり、子どもの心身に重大な影響を及ぼすおそれがあります。そのため、面会交流については直接強制は認められておらず、間接強制による対応が基本となります。

3. 間接強制が認められるための厳格な要件

間接強制は、一定の要件を満たした場合にのみ認められる制度です。ここでは、特に重要となるポイントを解説します。

3-1. 債務名義(調停調書・審判書)があること

間接強制を申し立てるためには、調停や審判といった裁判所の手続きによって作成された債務名義(調停調書・審判書)が必要です。公証役場で作成される公正証書は、面会交流については債務名義として認められません。

そのため、将来的に面会交流が守られないおそれがある場合は、任意の協議ではなく、裁判所での面会交流調停を利用することが望ましいです。

なお、面会交流審判は、調停が不成立となった場合に移行する手続きであり、原則としていきなり申し立てることはできません。

3-2. 【重要】面会交流の日時・場所・内容が具体的に特定されていること

調停調書や審判書があっても、内容が抽象的であれば間接強制は認められません。間接強制を行うためには、義務の内容が具体的に特定されている必要があります。

具体的には、以下の点が明確に定められているかが重要です。

  • 頻度

  • 日時

  • 面会交流の時間

  • 子どもの受け渡し場所・方法

これらが曖昧な場合、「義務が特定されていない」と判断される可能性があります。

3-3. 間接強制ができる条項・できない条項の具体例【比較表】

間接強制が認められるかどうかは、事前の取り決め内容や状況によって大きく左右されます。判断のポイントを以下の表に整理しました。

間接強制可能な例

間接強制不可能な例

頻度

・月に1回

・月に1回程度

・年間3~4回

・当事者間で協議して随時

日時

・第2土曜日の10時から17時まで

・3時間程度

・最初の3回は1時間程度とし、4回目以降は子どもの
様子を見ながら当事者間で協議して徐々に延長させる

受け渡し場所

・○○駅の改札口

・○○公園入口

・同居親自宅近辺

実施場所

・子どもと別居する親(別居親)の
自宅以外で別居親が定めた場所

・当事者間で協議する

内容

・開始時間に受け渡し場所にて同居親が別居親に
子を引き渡し、終了時間に受け渡し場所にて別居親が
同居親に子を引き渡す

・同居親は、別居親に対して、

別居親が子に対して手紙を送ることを認める等、

そもそも直接会う内容とはなっていないもの

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4. 間接強制金はいくら?制裁金の相場と決め方

間接強制金の金額は一律ではなく、義務者の状況に応じて決められます。ここでは、決め方の考え方と相場を解説します。

4-1. 相手方の収入や資力によって金額は異なる

間接強制は、金銭的な負担を課すことで心理的な圧力を与え、面会交流の実施を促す制度です。

そのため、義務者にとって実効性のある金額となるよう、収入や資力を踏まえて設定されます

4-2. 一般的な相場

金額は個別事情によって異なりますが、一般的には、約束違反1回あたり5万から10万円程度とされることが多いです。

4-3. 支払われない場合の強制執行

間接強制金の支払いが命じられても支払われない場合は、その金銭について直接強制(差し押さえ)が可能です。すなわち、義務者の財産を差し押さえて回収することができます

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5. 間接強制が認められない・失敗する可能性が高いケース

間接強制は有効な手段ですが、すべてのケースで認められるわけではありません。ここでは、間接強制が認められにくいケースを解説します。

5-1. 面会交流の条項の文言が抽象的・あいまいである

調停調書や審判書があっても、義務の内容が具体的に特定されていない場合は、間接強制が認められない可能性が高いです。たとえば、以下のような条項は「抽象的」と判断されやすく、間接強制には不向きです。

  • 月に1回程度、面会交流を行う

  • 日時や方法は当事者間で協議して決める

  • 子どもの状況に応じて柔軟に対応する

  • 可能な範囲で面会交流を実施する

このような表現では、具体的にいつ・どこで・どのように実施するのかが明確でないため、「義務が特定されていない」と判断される可能性が高いです。

5-2. 子ども自身が面会交流を強く拒否している

子どもが自らの意思で面会交流を強く拒否している場合は、義務の履行が困難な正当な理由があると判断され、間接強制が認められない可能性があります。

5-3. 相手方が正当な理由(子の病気など)で拒んでいる

子どもの病気やけがなど、やむを得ない事情によって面会交流を実施できない場合も、間接強制は認められないと考えられます。

6. 間接強制の申立ての流れと費用

間接強制の申立ては、一定の手順に沿って進める必要があります。ここでは、具体的な流れと費用についてわかりやすく解説します。

6-1. ①債務名義など必要書類の準備

間接強制の申立てには、主に以下の書類が必要です。

  • 申立書

  • 執行力のある債務名義の正本(調停調書・審判書など)

  • 債務名義の正本送達証明書

事案によっては、追加の書類が必要となる場合もあります。

6-2. ②管轄の家庭裁判所への申立てと費用

申立てに必要な書類がそろったら、調停や審判を行った裁判所に提出します。申立てに必要な費用は、収入印紙2000円分、郵便切手(事案や裁判所によって異なるため、裁判所へ確認が必要)です。

6-3. ③審尋の実施

申立てに不備がなければ、裁判所は、義務者である同居親に対して「審尋」を行い、義務者側の意見や言い分を聞く機会を設けます。

6-4. ④裁判所の決定の告知と不服申立て期間

審理の結果、間接強制が認められる場合は、「義務違反1回につき〇万円を支払う」といった決定がなされます。

一方、認められない場合は申立てが却下されます。

決定に不服がある場合は、告知から1週間以内に「執行抗告」を行うことが可能です。抗告理由書は別途期限内に提出する必要があります。抗告が行われた場合は、高等裁判所で審理されます。

6-5. 債務名義がない場合は面会交流調停の申立て

これまで説明した手続きは、債務名義があることが前提です。債務名義がない場合は、まず面会交流調停を申し立て、調停調書などを取得する必要があります。

面会交流審判は、調停が不成立となった場合に移行する手続きです。

7. 間接強制の注意点

間接強制は有効な手段ですが、利用にあたっては注意すべき点もあります。事前に理解しておきましょう。

7-1. 面会交流が必ず実現するとは限らない

間接強制は、約束違反がある場合に制裁金を課すことで心理的に圧迫を加え、面会交流の実施を促す制度です。そのため、中には「お金を支払えば会わせなくてもよい」と誤解する同居親も存在します。

当然、そのような考え方は間違いですが、それでも同居親の協力を得なければ面会交流を実現することはできない以上、間接強制を行っても面会交流が実現するとは限らないのが実情です。

7-2. 柔軟な面会交流がしにくくなる

上記のとおり、間接強制を可能にするためには、面会交流の内容を具体的に定める必要があります。その結果、状況に応じた柔軟な対応が難しくなる場合があります。柔軟性を重視する場合は、間接強制を前提としない取り決めも検討が必要です。

7-3. 手続きに手間がかかる

債務名義を得るまでの道のり、債務名義を得てから実際に面会交流の間接強制を申し立てる手順、申立て後の裁判所の決定に対する対応など、面会交流の間接強制の場面では何かと手続きに手間がかかります。

自分だけで行うには負担が大きい場合は、弁護士に手続きの代理人を依頼することがお勧めです。

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8. 間接強制を申し立てても会わせてくれない場合の対処法

間接強制を行っても解決しない場合は、別の法的手段を検討する必要があります。

8-1. 損害賠償請求(慰謝料)を検討する

調停調書や審判書といった、裁判所が作成する文書に定められた義務である以上、その義務に反することは違法といえます。したがって、相手方の違法な行為によって損害を被ったとして、金銭的な損害賠償請求を行うことが可能です。

8-2. 親権者変更の申立てを検討する

面会交流への対応は、親権者の適格性を判断する重要な要素です。正当な理由なく面会交流を拒否している場合、親権者変更の申立てが認められる可能性があります。

もっとも、親権者の適格性は、監護状況や子どもの生活環境なども含めて総合的に判断されるため、慎重な検討が必要です。

9. 面会交流と間接強制について弁護士に依頼するメリット

面会交流や間接強制は、感情的な対立が生じやすく、かつ手続きも専門的で複雑です。弁護士に依頼することで、法的に適切な対応を取りながら、精神的な負担を軽減することができます。

【将来の間接強制を見据えた「実効性のある条項」を作成できる】
調停や審判の段階で弁護士に依頼すると、単に合意を目指すだけでなく、将来的に間接強制が可能となるような具体的な条項を設計してもらえます。たとえば、日時・場所・引き渡し方法などを明確に定めることで、後に「義務が特定されていない」として間接強制が認められないリスクを防ぐことができます

【複雑な申立手続きを一任できる】
間接強制の申立てには、債務名義や送達証明書の取得、申立書の作成、裁判所とのやり取りなど、多くの手続きが必要です。弁護士に依頼すれば、これらの煩雑な作業を任せることができ、手続きの不備による遅延や却下のリスクも抑えられます

【相手方とのやり取りによるストレスを軽減できる】
面会交流について当事者同士で直接やり取りをすると、感情的になりやすく対立が激化することも少なくありません。弁護士が間に入ることで、相手方との連絡や交渉を任せることができ、冷静かつ適切に対応を進めることが可能になります。

【状況に応じた最適な法的手段を提案してもらえる】
間接強制だけでなく、損害賠償請求や親権者変更の申立てなど、状況に応じた他の法的手段を検討すべき場合もあります。弁護士に相談すれば、個別の事情に応じて最適な選択肢を提示してもらえるため、より実効性のある解決につながります。

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10. 間接強制に関連して、よくある質問

Q. 過去の未実施分の面会交流についてお金を請求できる?

原則として、過去の分について間接強制を申し立てることはできません。間接強制は、調停や審判で決めた「約束」が守られない場合に使える制度です。そのため、これらの取り決めができる前の未実施分については、対象外となります。

Q. 相手が無職の場合、間接強制は意味がない?

無職であっても、間接強制が認められることはあります。裁判所は、相手の収入状況も考慮しながら支払う金額を決めます。そのため、「無職だからまったく意味がない」というわけではありません。

Q. 間接強制金を払わない場合、差し押さえはできる?

相手に財産があれば、差し押さえは可能です。たとえば、預金や給料などが対象になります。ただし、財産の内容が分からない場合は、まず「財産開示手続」を利用して、どのような財産があるかを確認することになります。

11. まとめ 間接強制は有効だが万能ではない、条項の具体性と事前の取り決めが結果を左右する

間接強制は、面会交流の不履行に対して金銭的な制裁を課すことで履行を促す有効な手段ですが、必ずしも面会交流が実現するとは限らず、要件や運用にも注意が必要です。

特に、調停調書や審判書の内容が具体的であることが重要であり、事前の段階から適切な取り決めをしておくことが結果を左右します。また、履行勧告や示談的な対応が適しているケースもあるため、状況に応じた判断が求められます。

不安がある場合は、早めに弁護士へ相談することが望ましいでしょう。

(記事は2026年6月1日時点の情報に基づいています)

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