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1. 面会交流の第三者機関とは
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2. 第三者機関による面会交流の支援内容
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2-1. 付き添い型
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2-2. 受け渡し型
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2-3. 連絡・日程調整型
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3. 自治体の面会交流支援事業
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3-1. 面会交流支援事業を行っている自治体の例
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3-2. 自治体の面会交流支援の利用条件と費用
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4. 民間の面会交流支援団体
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4-1. 民間の面会交流支援団体の例
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4-2. 民間の面会交流支援団体の利用条件と費用
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5. 面会交流の第三者機関を利用する際の流れ
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5-1. 第三者機関の利用の有無を含めた、面会交流のルールを考える
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5-2. 面会交流のルールや第三者機関の利用について父母で話し合う
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5-3. 話がまとまらない場合は面会交流調停を行う
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5-4. 第三者機関に支援の申し込みを行う
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6. 面会交流の第三者機関を利用する際の注意点
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6-1. 費用がかかる場合がある
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6-2. 利用条件がある
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6-3. 夫婦間で合意が必要
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6-4. 子どもが嫌がる場合がある
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7. 2026年5月までに導入|共同親権制度や法定養育費制度、先取特権が面会交流に与える影響は?
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8. 面会交流の第三者機関についてよくある質問
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9. まとめ 第三者機関の支援を受けることで円滑な面会交流を実現できる
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1. 面会交流の第三者機関とは
面会交流は「子どもの精神面や社会性の成長のためにできるかぎり実施すべき」と考えられています。しかし、面会交流を実施するためには、日程調整のために連絡を取ったり、子どもを受け渡すために会ったりといった、当事者同士の接触がどうしても避けられません。
そのため、面会交流を行うことに、負担を感じる人も多くいることも事実です。面会交流の実施を支援する第三者機関は、このような場合に 適切な支援を提供し、円滑な面会交流の実現をサポートしてくれる存在です。
2. 第三者機関による面会交流の支援内容
第三者機関が提供する面会交流の支援内容は、大きく分けて付き添い型、受け渡し型、連絡・日程調整型の3種類に分類されます。これらの方法の中から、事案ごとに適切な支援内容を選んでいくことになります。
2-1. 付き添い型
付き添い型では、あらかじめ決められた場所と日時に支援員が同行し、支援員立ち合いのもと円滑な面会交流の実施をサポートします。支援内容によっては、後述の受け渡し型や連絡・日程調整型の支援も含まれていることがあり、その場合は面会交流のために離婚相手と直接接点を持つ必要がなくなります。
そのため、元夫婦の関係性が極めて悪く直接の接点を持つことが困難なケースや、面会交流中に別居親がルール違反をしたり、子どもを連れ去ったりするおそれがあるようなケースで選択されることが多いです。
2-2. 受け渡し型
受け渡し型では、決められた実施日時・場所に第三者機関の支援員も赴きますが、支援員が行うのは面会の開始時と終了時の子どもの受け渡しのみとなります。
付き添い型を選択する必要が生じるような、別居親によるルール違反や子の連れ去りのリスクは高くない一方で、受け渡し時の直接の対面は避けたいという場合に向いている方法です。
2-3. 連絡・日程調整型
連絡・日程調整型では、第三者機関の支援員が面会交流の実施にあたって必要となる日時や場所の調整連絡を代わりに行います。面会交流当日は自分たちで受け渡しを行うことになるため、面会交流実施にあたって比較的問題が少ない事案で選択されることが多いです。
3. 自治体の面会交流支援事業
自治体によっては面会交流支援事業を行っています。
3-1. 面会交流支援事業を行っている自治体の例
例えば、東京都や千葉県、岐阜県、富山県、熊本市、北九州市などは外部委託で面会交流の支援を行っています。自治体が自ら支援事業を実施しているのは大分県です。明石市(兵庫県)は一部委託によって実施しています。
3-2. 自治体の面会交流支援の利用条件と費用
自治体が運営する支援事業では、子どもの年齢や収入などの利用要件を満たす必要がありますが、実費を除き無料で利用できることが多いです。詳しい利用方法や費用については、支援を希望する自治体に問い合わせてみることが最も確実です。
4. 民間の面会交流支援団体
面会交流の支援は、民間の団体でも行っています。
4-1. 民間の面会交流支援団体の例
民間が運営主体となっている面会交流支援の第三者機関としては、元家庭裁判所調査官が中心となり立ち上げた「公益社団法人家庭問題情報センター(FPIC)」が特に大きく、全国複数の都市で支援の相談に対応しています。
また、他には一般社団法人びじっとという団体もあります。こちらは面会交流支援のほか、ADR(民間での紛争の仲裁制度)も取り扱っているため、面会交流の話し合いをしている段階から相談に乗ってもらえる可能性があります。
4-2. 民間の面会交流支援団体の利用条件と費用
たとえばFPICでは、有料の事前相談を経てから支援を開始します。付き添い型では1回2時間まで1万5000円から2万円、受け渡し型では1回1万円から1万5000円、連絡調整型では1回3000円、といった料金設定がされているようです。
事案や利用時間によって費用が変わる可能性があるため、支援を希望する場合は支援団体に直接問い合わせることがおすすめです。
5. 面会交流の第三者機関を利用する際の流れ
面会交流の第三者機関を利用するときの流れについて、解説します。
5-1. 第三者機関の利用の有無を含めた、面会交流のルールを考える
第三者機関を利用するには、前提として面会交流のルールを当事者間で決めておく必要があります。まずは自分の希望する面会交流のルールを考え、第三者機関を利用したいという結論に達した場合は、それも面会交流のルールとして相手側に提案していくことになります。
面会交流で決めるべきルールとしては、実施する頻度や時間、場所などです。また、悪口を言わない、無断でプレゼントを贈らないなどの約束事をルールに盛り込むこともあります。
5-2. 面会交流のルールや第三者機関の利用について父母で話し合う
次に、自分の希望するルールについて、相手側と話し合いを行うことになります。第三者機関を利用することや、支援内容、費用は誰がどのくらい負担するのか、この段階で合意を得る必要があります。
話し合いがスムーズに進まない場合は、早いうちに弁護士を代理人として関与させるか、後述記の面会交流調停を申し立てることを検討しましょう。
話し合いがまとまれば、合意した内容を書面化する必要があります。当事者が後から合意内容を確認できるだけでなく、第三者機関によっては、合意した内容を記載した書面を提出することが利用の条件となっている場合もあるためです。
5-3. 話がまとまらない場合は面会交流調停を行う
面会交流のルールや第三者機関の利用の有無について、当事者同士で話し合いがまとまらない場合は、面会交流調停を申し立てることが対処法の一つです。
面会交流調停では、調停委員という裁判所の職員を交えて話し合いを行い、合意による解決を目指していきます。調停でも話がまとまらない場合は、裁判官が審判を下すことで、何も結論が出ないという事態を避けられます。
5-4. 第三者機関に支援の申し込みを行う
面会交流のルールが定まった場合、第三者機関に支援の申し込みを行うことになります。しかし、申し込めばすぐに支援が始まるわけではありません。
支援実施の前に、第三者機関の利用を定める合意書や調停調書、審判書の提示などを求められることもあります。また、当事者それぞれと第三者機関の担当者との事前面談の実施、当事者と第三者機関の三者間での支援契約の締結なども必要になることが考えられます。
6. 面会交流の第三者機関を利用する際の注意点
面会交流の第三者機関を利用する際の注意点としては、以下のようなものがあります。
6-1. 費用がかかる場合がある
特に民間の機関を利用するケースでは、支援に費用がかかる場合があります。付き添い型では1回1万円から数万円、受け渡し型では1回1万円から3万円、連絡調整型では1回数千円程度が費用の相場です。
6-2. 利用条件がある
合意書の提示や事前面談の実施、契約の締結以外にも利用条件が定められている場合があります。それは社会常識に反する行動をしないことであったり、面会交流の一般的なルールを守ることであったりと、団体によってさまざまです。
また、団体によっては契約期間の定めもあるため、そのような期間の有無や延長の場合の手続きも確認しておくと安心です。
6-3. 夫婦間で合意が必要
第三者機関は、当事者の間で意見が異なる場合の仲裁をすることはできません。したがって、第三者機関を利用する前には、必ずその旨の合意が必要となります。
6-4. 子どもが嫌がる場合がある
他者の同席や送り迎えなどを嫌がるお子さんもいます。子どもの性格や年齢にも配慮しての判断が必要です。
7. 2026年5月までに導入|共同親権制度や法定養育費制度、先取特権が面会交流に与える影響は?
2026年5月までに改正民法が施行され、離婚後の共同親権制度が開始される予定です。もっとも、共同親権を選択しても、子どもがどちらか一方と生活する点はこれまでと変わりません。
子どもが元夫婦の住居を行き来するのは負担が大きいため、現実的ではないことがほとんどでしょう。そのため、面会交流の必要性・重要性は現在と変わらず存在し続けることになります。
しかし、共同親権制度で「二人とも親権者である」という意識を持てることで、面会交流の実施が促進される可能性があります。
8. 面会交流の第三者機関についてよくある質問
一般的には折半で合意することが多いです。
団体によっては「支援対象は中学生の子どもまで」と定められていることもあります。そのため、最終的には第三者の手を借りずに、自分たちで面会交流を実施できるのが理想です。いつまで利用できるかは団体によって異なるため、不安があれば問い合わせてみるのがよいでしょう。
面会交流調停を申し立てるのが対処法の一つです。調停で決まらなければ、審判で第三者機関の利用の有無を含めた判断が下されるため、必ず何らかの結論にたどり着くことができます。
実務では「面会交流は基本的に実施する方向で考えるべき」と理解されています。そのため、子どもへの虐待があった場合は別ですが、元配偶者へのDVだけでは面会交流を拒否できるとは言い切れません。そもそも面会交流自体に争いがある場合は、第三者機関を利用するか否かも決められませんので、面会交流調停で話し合っていくことになります。
9. まとめ 第三者機関の支援を受けることで円滑な面会交流を実現できる
面会交流では、元配偶者との接触が避けられないため、負担を感じる人は多いです。元夫婦の関係が著しく悪い場合は、相手の顔も見たくないという気持ちを抱えている人も少なくないでしょう。こういったケースでは、面会交流を支援する第三者機関の利用が有効です。支援員のサポートを受けることで、円滑な面会交流を実現しやすくなります。
第三者機関の利用する際は、事前の合意や利用要件を満たしている必要があります。相手から第三者機関の利用について合意が得られない場合は、調停の申し立てや弁護士への相談を検討しましょう。
(記事は2025年7月1日時点の情報に基づいています)