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子の引き渡しの強制執行の条件は? 流れや失敗例についても解説

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子の引き渡しの強制執行は、別居中の配偶者や元配偶者に連れ去られた子どもを正当に連れ戻すための手段です(c)Getty Images
別居中の配偶者や離婚後の元配偶者によって子どもが一方的に連れ去られた場合、相手のすきを狙うなどして実力行使で子どもを連れ戻すことは法律で禁止されており、調停や審判など裁判所を活用して子の引き渡しを求める必要があります。裁判所が認めたにもかかわらず引き渡しが実行されない場合に子どもを連れ戻す手段が、「子の引き渡しの強制執行」です。強制執行の種類や前提条件、手続きの種類や流れなどについて、弁護士が詳しく解説します。
目 次
  • 1. 子の引き渡しの強制執行とは
  • 2. 子の引き渡しの強制執行の種類
  • 2-1. 間接強制
  • 2-2. 直接強制
  • 3. 子の引き渡しの強制執行の流れ
  • 3-1. 子の引き渡しの強制執行の前提条件
  • 3-2. 子の引き渡しの間接強制の手続き
  • 3-3. 子の引き渡しの直接強制の手続き
  • 3-4. 直接強制と併せて利用できる手続き
  • 4. 2020年4月施行の民事執行法改正のポイント
  • 5. 子の引き渡しの直接強制の内容
  • 6. 子の引き渡しの強制執行が失敗することもある?
  • 7. 人身保護請求
  • 8. 子ども自身が引き渡しを拒否した場合は実現は困難
  • 9. 子の引き渡しの強制執行の注意点
  • 9-1. 子どもの心理的負担のケア
  • 9-2. 弁護士に相談する
  • 10. 2025年6月までに導入|共同親権制度や法定養育費制度、先取特権が子の引き渡しの強制執行に与える影響は?
  • 11. 子の引き渡しを強制執行する場合の弁護士費用
  • 12. 子の引き渡しや親権について弁護士に相談するメリット
  • 13. 子の引き渡しの強制執行に関してよくある質問
  • 14. まとめ 子の引き渡しを望む場合は早めに弁護士に相談を
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1. 子の引き渡しの強制執行とは

わが子が一方的に別居中の配偶者や元配偶者に連れ去られた場合、対抗手段として子どもを実力行使で連れ戻すことは、法律で禁じられています。これは民法に定められた「自力救済の禁止」と呼ばれるもので、たとえ自分の権利が相手に妨害されていたとしても、実力行使で権利を実現することを禁じるルールです。自力救済を禁止しないと、父母間で連れ去りの応酬を引き起こしかねず、子どもの心身に危険が生じる可能性があるからです。

そのため、調停合意や審判、保全処分という裁判所を通じた手続きによって子の引き渡しを求める必要があります。しかし、裁判所を通じて子を引き渡すことが正式に決まったにもかかわらず、引き渡しが実行されないケースがあります。その場合、あらためて裁判所を使って子の引き渡しを実現するための正当な手続きが、「子の引き渡しの強制執行」です。

子の引き渡しの強制執行は法律に従った手続きですが、実際には難しい問題も多いのが現状です。

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2. 子の引き渡しの強制執行の種類

子の引き渡しの強制執行には、間接強制と直接強制の2種類があります。

2-1. 間接強制

間接強制とは、相手に罰金のようなものを科す強制執行の方法です。調停や審判などの裁判手続きによって子を引き渡す義務を負った側(債務者)が、子の引き渡しを受ける側(債権者)に対して引き渡しを行わない場合に、裁判所が債務者に対して強制金の支払いを命じます。これは、債務者に心理的なプレッシャーを与えることで、引き渡しを促すのが目的です。

債権者が間接強制を求めるには、裁判所に申立てをします。その際、一定の日数を記載してその期間内に子を引き渡すよう債務者に求め、「その期間内に子を引き渡さない場合は、1日あたり〇〇円の強制金を債務者から債権者に払うように命じてほしい」という内容の申立書を提出します。この申立書に加え、債務者の財産や収入、支出を記載した資料を一緒に提出し、裁判所がこの資料を参考に強制金の額を決めます。

実際の手続きでは、強制金が発生するまでの引き渡し実施期間は、1週間程度とされることが多いようです。また、強制金の額は債務者の経済状況などによるため、1日あたり数万円から数十万円と幅があります。ただし、10万円を超えることはまれで、多くは日額2万円から3万円程度です。

2-2. 直接強制

直接強制とは、裁判所の執行官の実力行使によって子の引き渡しを実現する方法です。執行官は裁判で決まった内容が実行されない際に、それを強制的に実現する役割を担っており、債務者の住居など子どものいる場所に行って、子どもの身体を確保したうえで債権者に引き渡します。当事者自身による子どもの取り戻しは禁じられているため、代わって国の機関が実施するということです。

なお、債権者は原則として、直接強制の前に間接強制を申し立てる必要があります。間接強制の手続きを経ても効果がなかった場合や、間接強制を省略できると裁判所が認めた場合に、直接強制を申し立てることができるとされています

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3. 子の引き渡しの強制執行の流れ

子の引き渡しの強制執行を求めるための条件や、実際の手続きの流れについて解説します。

3-1. 子の引き渡しの強制執行の前提条件

子の引き渡しの強制執行を実施するための前提として、引き渡しを求める親にその権利が認められている必要があります。たとえば、以下のようなケースです。

  • 離婚の前後にかかわらず、調停で引き渡しの合意がなされている

  • 離婚前で、監護者指定の審判と引き渡し命令を得ている

  • 離婚後で、親権者であることを前提に子の引き渡し命令を得ている

監護者指定とは、子どもを監護する、つまりともに暮らして育てる親を裁判所に決定してもらう手続きのことで、子どもを監護する権利を監護権と言います。

なお、緊急性がある場合は、暫定的な裁判所の決定や命令である保全処分が出されていれば、強制執行を求めることができます。

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3-2. 子の引き渡しの間接強制の手続き

間接強制の手続きを行うにはまず、子の引き渡しに関する調停や審判、訴訟などの手続きを行った家庭裁判所に、引き渡しを受ける権利を認められた親(債権者)が申立てをします。申立書には「債務名義」と呼ばれる、子の引き渡しを受ける権利が定められた審判書や判決書、調停調書などの裁判所の書面と、その確定証明書、送達証明書を添付します。

申立ての費用は2000円で、収入印紙で納めます。また、裁判所から当事者などに連絡するために必要な額の切手も納めますが、金額は裁判所によって異なります。

申立書には当事者の氏名のほか「〇〇日以内に子を引き渡さない時は1日あたり▲▲円を債権者に支払うように」という、裁判所に発してもらいたい命令の内容を記載します。また、強制金の金額を決めるための資料として、債務者の資産や収支状況を記載した表も申立書に添付します。

申立てがなされると、裁判所は債務者の主張を聞く審尋を行ったうえで、支払うべき強制金の額を決定します。債務者が結果に不満である場合、不服申立て(抗告)が可能です。そのため、手続きに時間がかかる傾向があります。

3-3. 子の引き渡しの直接強制の手続き

直接強制を求める場合も、まずは子の引き渡しに関する調停や審判、訴訟などの手続きを行った家庭裁判所に、「執行官に子の引き渡しを実施させる決定」の申立てをします。間接強制の申立てと同様に、2000円の申立て費用を収入印紙で裁判所に納めるほか、裁判所から当事者などへの連絡用として切手の納入が必要です。

法律では、より緩やかな方法である間接強制を先に試みることを原則としています。そのため、申立ての理由として、以下のような事情を記載する必要があります。

【間接強制の方法を先に試みた場合】
間接強制の決定が確定してから2週間、あるいは決定で定められた履行期限を経過していること

【例外的に間接強制を申し立てずに直接強制を申し立てる場合】
間接強制の方法で強制執行を実施しても、債務者が子を引き渡す見込みがあるとは認められない事情があること、あるいは子の差し迫った危険を防止するため、ただちに直接的な強制執行をする必要があること

子の差し迫った危険を防止するための直接強制の場合を除き、債務者の審尋が行われます。審尋の結果、直接強制の決定がなされると、次は執行官に対して「引き渡し実施」の申立てを行います。

3-4. 直接強制と併せて利用できる手続き

直接強制を実行する際に必要があれば、以下の2つの申立てを利用できます。

【第三者の占有する場所での執行の許可の申立て】
子どもの安全やプライバシー保護の観点から、直接強制は基本的に、その時点で子を監護している親(債務者)の住居などで実施することになっています。

そのため、子どもが祖父母宅や知人宅に預けられているなど、債務者の占有する場所以外を住居としている場合、その住居で直接強制をするためには、第三者であるその場所の占有者の同意を得る必要があります。同意を得られない場合には、第三者の占有する場所での執行の許可を裁判所に申し立てることで、占有者の同意に代わる許可を裁判所から得ることができます。

【債権者代理人の出頭のもとでの執行を認める決定の申立て】
直接強制の場合、引き渡しを受ける債権者が現場で立ち会うことが原則です。ただし、やむを得ない事情などで債権者が執行の場所に出頭できない場合には、申立てにより債権者の代理人の出頭のもとで執行を認める決定を裁判所から得ることができます。

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4. 2020年4月施行の民事執行法改正のポイント

2020年4月に強制執行について定めた民事執行法が改正され、それまで規定がなかった子の引き渡しの直接的な強制執行について、ルールが明文化されました。

その内容の一つが、直接強制を申し立てる前にまずは間接強制を試みることを原則とするルール(間接強制前置)です。間接強制の決定が出て確定するまでには時間がかかるケースもあるため、間接強制を経ずに直接強制を申し立てるための事情を主張し、いかに裁判所に認めてもらうかが重要になります。

また、民事執行法の改正前は、直接強制は債務者の占有する場所で債務者の立ち会いのもと行うものとされていましたが、改正後は一定の条件を満たせば債務者の立ち会いは不要となり、また債務者の占有する場所以外でも執行が可能になりました。加えて、債権者の立ち会いも代理人に代わることができるようになりました。

5. 子の引き渡しの直接強制の内容

子の引き渡しの直接強制には、二段階の裁判手続きを必要とします。

まずは裁判所に対して、執行官による子の引き渡しを実施させる決定の申立てをし、この決定が出たあと、執行官に対して引き渡し実施の申立てを行います。執行官には債務者に対する説得のほか、開錠して子を探すなどの実力行使の権限が付与されています。

執行官に子の引き渡し実施の申立てをする際には、債務者や子の写真を複数枚添付したうえ、家裁調査官の調査報告書や子の監護に関する陳述書、執行場所の周辺地図などと合わせて提出します。可能な限りスムーズに執行官による子の引き渡しを実現できるようにするためです。

ただし、子の福祉の観点から、執行官も子どもの身体に対しては実力行使できません。直接強制が成功する可能性を高めるために、執行官と債権者があらかじめ子どものいる場所や時間などを打ち合わせたうえでその場所に出向き、子どもを債務者から債権者に引き渡します。そのため、事前に債務者の住居の間取りや地図なども、債権者から提供することがあります。

6. 子の引き渡しの強制執行が失敗することもある?

子の引き渡しの直接強制は、必ず成功するわけではありません。特に子どもの年齢が上がってきて子ども自身が嫌がると、強制執行が実現できないことが多くなります

子の引き渡しの直接強制が失敗に終わるケースでまず挙げられるのは、直接強制を実施する場所に、子どもがいない場合です。子の引き渡しの直接強制は、自宅など債務者の占有する場所で、あらかじめ執行官と債権者が子どもの在宅する時間を打ち合わせて行いますが、偶然の理由で子どもが留守だったり、債務者が直接執行を事前に察知して子どもを一時的に誰かに預けたりした場合は、強制執行は実現しません。

また、子どもが債務者にしがみついて離れなかったり、泣き叫んで動こうとしなかったりする場合、執行官が子どもを力づくで引っ張ったり抑えつけたりする実力行使はできません。状況にもよりますが、ある程度自分の意思を明確に持ち始めると考えられる12歳以上くらいの子がかたくなに債務者のもとを離れることを拒んだ場合などは、強制執行が実現しないこともあります。

7. 人身保護請求

人身保護請求は、子の引き渡しの強制執行とは異なる裁判手続きで、もともとは違法に拘束を受けた人を保護するための、人身保護法に基づく手続きです。保護される対象は子に限られませんが、子を取り戻す手段の一つとして利用されることがあります

間接強制や直接強制は家庭裁判所に申し立てるのに対し、人身保護請求を申し立てる先は地方裁判所です。人身保護請求がなされると、裁判所は審問期日を定め、拘束者に対してその期日に子どもを連れて審問に出頭するように命じます。期日前に、当事者や関係者などの審尋を行い、事実調査がなされます。

人身保護請求では、「違法かつ意に反する」子どもの拘束があると認められた場合、申立人に子を引き渡すことを命じる人身保護判決が出されます。審問期日から判決までは5日以内という迅速な手続きです。ただし、判決が出されたからといって子が引き渡されるとは限らないため、引き渡しの成功のために、子どもが裁判所にいる審問期日に判決を出し、裁判所で子どもを申立人に引き渡すこともあります。

拘束者が監護者や親権者である場合は、子どもの監護は原則として違法ではないと認定されます。そのため、審判や調停で監護者として指定された人物や、親権者となっている人物が申立てをする場合は、拘束者の拘束が違法であると認められやすくなります。

8. 子ども自身が引き渡しを拒否した場合は実現は困難

直接強制の場合、意思能力が認められるおおよそ10歳を超えた子どもが引き渡しを強固に拒否すると、引き渡しの実現が困難になることが多々あります。人身保護請求でも、子ども自身が拒否した場合には引き渡しは認められません。人身保護請求では、拘束が違法かつ子の意思に反することが要件だからです。

9. 子の引き渡しの強制執行の注意点

子の引き渡しの強制執行を行う際には、以下の2点について特に注意が必要です。

9-1. 子どもの心理的負担のケア

引き渡しの強制執行は、父母の対立が最高潮に達する現場を子ども自身が目撃する場になります。また、子どもの自発的意思に沿わないかたちで、もう一方の親に引き渡されることもあります。さらに、それが自宅以外の場所で行われると、子どものプライバシーが侵害されるおそれもあります。そのため、引き渡しのあとに心理的な傷が残らないよう、ケアが必要です。

9-2. 弁護士に相談する

引き渡しの直接強制では子どもを直接紛争に巻き込むことになるため、なるべく子の心的負担を少なくする必要があります。また、子どもが現場にいないなど失敗のリスクを減らすために、執行官と綿密に事前の打ち合わせをしたり、役立つ資料を事前に執行官に手渡したりする準備も必要になります。当事者が一人でそれらを行うのは困難であるため、弁護士への相談が有効です。

また、弁護士は強制執行に立ち会うことも多く、当事者と執行官との連携をスムーズにする役割も担います。そのため、弁護士に相談してサポートしてもらうことで、引き渡しが成功する可能性が高まります。

なお、人身保護請求は弁護士を代理人として行わなければならないことが、法律で決められています。

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10. 2025年6月までに導入|共同親権制度や法定養育費制度、先取特権が子の引き渡しの強制執行に与える影響は?

2024年5月に民法が改正され、共同親権制度に加え、法定養育費制度や法定養育費の先取特権(さきどりとっけん)の制度が導入されました。

法定養育費制度とは、離婚の際に養育費の取り決めをしなかった場合、最低限の一定金額の法定養育費の支払い義務が自動的に発生する制度です。先取特権とは、その養育費が支払われなかった場合に、支払い義務者の財産を差し押さえて養育費を優先的に回収することができる権利のことです。これらの制度の導入自体は、子の引き渡しに直接の影響はありません。

ただし、共同親権制度の導入により、離婚の際に共同親権として父母の両方が親権を持つことに合意している場合、あるいは裁判所が共同親権の決定を出した場合には、子どもと同居して育てる監護権者も決めておく必要があります。

共同親権の場合、子どもを連れ去った親も、連れ去られた親も、離婚前と同様にどちらも親権者であるため、引き渡しをもう一方の親権者に求める場合は、自分が監護権者と認められる根拠が必要になるからです。

11. 子の引き渡しを強制執行する場合の弁護士費用

子の引き渡しの強制執行を行う場合の弁護士費用は、着手金と成功報酬がそれぞれ税別20万円程度です。子の引き渡しの強制執行では弁護士も現場に立ち会うことが多いため、そのような手間も考慮し、通常の金銭の差押えなどよりもやや高額になる傾向があります。

12. 子の引き渡しや親権について弁護士に相談するメリット

子の引き渡し請求は、親権や監護権の問題と複雑に絡み合っているうえ、迅速性が求められることが多く、強制執行が必要となる可能性もあります。当事者が単独でこれらの手続きを行うことは困難であるため、早めに弁護士に相談することをお勧めします。弁護士に依頼すれば、法律的観点や過去の経験を踏まえ、適切に手続きを進めることができます。

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13. 子の引き渡しの強制執行に関してよくある質問

Q. 子の引き渡しの強制執行の費用は誰が払う?

強制執行の費用は、強制執行を申し立て、子の引き渡しを受ける側(債権者)が負担します。

Q. 子の引き渡しの予納金はいくら?

強制執行をする場合の裁判所に納める予納金は、執行官1人に対し7万円です。援助執行官を付ける場合は1人につき5万円が加算されます。事案によっては児童心理の専門家を執行補助者として参加させることもあり、その場合はさらに追加の予納金が必要になります。

Q. 子の引き渡しの保全処分の期間は?

保全処分とは、子どもの安全や福祉を守るために緊急性があると判断された場合に、裁判所が暫定的に下す処分で、申立てから1カ月から2カ月で出されるのが通常です。子を引き渡す義務を負った側(債務者)が保全処分に応じない場合、処分が出てから2週間以内に強制執行の申立てをする必要があります。

Q. 子の引き渡しの直接強制や人身保護命令を無視したらどうなる?

子の引き渡しの直接強制に応じなかったからといって、特にペナルティーが生じるわけではありません。執行官による子の債権者への引き渡しは、債務者の意思とは無関係に行われるものだからです。


ただし、離婚前である場合は引き渡しに応じないのは好ましくない対応だとして、離婚時の親権者の決定の際に不利益に扱われる可能性があります。また、債務者が裁判所の決定に従わないことは違法であるため、不法行為として引き渡しを求めた側から慰謝料を請求される可能性もあります。


人身保護命令を無視した場合は、2年以下の拘禁刑または5万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

Q. 親権に基づく妨害排除請求とは?

親権に基づく妨害排除請求とは、親権者が、親権を持たずに子を監護する者に対して子の引き渡しを求める民事訴訟手続です。


通常、人身保護請求を除く子の引き渡し請求は、家庭裁判所で行われる手続きですが、これは自分が親権者として子どもと暮らす権利が妨害されていることを理由に、親権を持たずに子と暮らす親などに対して子どもを返せと請求する手続きです。


この民事訴訟では、家裁の手続きと異なり「子の意思の把握・考慮」が法律で義務づけられていません。しかし、最高裁判所の判例では、子どもの福祉や利益の観点から審理し、それを害する親権の行使は権利の濫用にあたるとしています。そのため、子の引き渡しの請求や強制執行と比べても、結論にあまり差は出ないと考えられます。


とはいえ、家庭裁判所は家庭の問題を専門に扱う裁判所であるため、調査官が属しているだけでなく、裁判官も夫婦や親子の問題に慣れています。「餅は餅屋」と言われるように、子の引き渡しの問題が生じたときは、やはり家庭裁判所に調停や審判を申し立て、その強制執行でも家庭裁判所を使うのが、子どもの福祉を考慮した場合には無難な方法であると言えます。

14. まとめ 子の引き渡しを望む場合は早めに弁護士に相談を

子の引き渡しの強制執行を求めるには、間接強制や直接強制、人身保護請求など、法律上いくつかの方法があります。しかし、子の引き渡しには親権や監護権の問題、子どもの意思などが複雑に関係するため、裁判所が認めたからといって必ずしも実現するわけではありません。

実現の可能性を高めるにはどの方法を選択するのがよいか、専門の知識や経験に基づく判断が必要になります。また、子どもの安全や福祉をめぐって緊急性が高い場合には、スピードを優先して保全処分を選択したほうが有利に進むこともあります。子の引き渡しを望む場合には、早めに弁護士に相談することをお勧めします。

(記事は2026年3月1日時点の情報に基づいています)

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