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監護権とは? 親権との違い、権利者を分けるメリットとデメリット

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日常生活において子どもを育てる「監護権」は原則として親権者が行使します(c)Getty Images
親権は「身上監護権」と「財産管理権」に分けられ、このうち身上監護権にあたるものを「監護権」と言います。簡単に言うと、監護権とは「日常生活において子どもを育てていく権利」です。親権者や監護権者を決める際には一定の判断基準があり、調停や裁判によって分離や変更もできます。親権者と監護権者を分離するケースやそのメリットとデメリット、親権者と監護権者を変更する手順や注意点、2026年5月までに導入される共同親権制度や法定養育費制度などについて、弁護士がわかりやすく解説します。
目 次
  • 1. 監護権とは
  • 1-1. 身上監護権の内容
  • 1-2. 財産管理権の内容
  • 2. 親権と監護権の違い
  • 2-1. 監護権は親権者が行使するのが原則
  • 2-2. 例外的に親権と監護権を分けるケース
  • 3. 親権と監護権を分けるメリットとデメリット
  • 3-1. メリット
  • 3-2. デメリット
  • 4. 親権者や監護権者を定める手続き
  • 4-1. 親権者を定める手続き
  • 4-2. 監護権者を定める手続き
  • 5. 親権者や監護権者を定める際の判断基準
  • 6. 親権者や監護権者を変更する手続き
  • 6-1. 親権者の変更
  • 6-2. 監護権者の変更
  • 7. 親権者や監護権者を決定、変更する際の注意点
  • 7-1. 親権者の決定、変更における注意点
  • 7-2. 監護権者の決定、変更における注意点
  • 8. 監護権者になれなくても子どもには会える?
  • 9. 2026年5月までに導入|共同親権制度や法定養育費制度、先取特権が監護権に与える影響は?
  • 9-1. 共同親権と監護権行使
  • 9-2. 法定養育費制度
  • 9-3. 養育費債権に対する先取特権の付与
  • 10. 監護権について弁護士に相談するメリット
  • 11. 監護権についてよくある質問
  • 12. まとめ 親権と監護権の分離を考えている人は弁護士への早期相談を
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1. 監護権とは

未成年の子どもを社会人になるまで監護・養育する権利義務である「親権」は、子どもの財産を管理したり、署名押印が必要な契約に対応したりする「財産管理権」と、子どもと一緒に暮らし、養育する「身上監護権」に分けられます。このうち、身上監護権を「監護権」とも言います。

親権の内容についての図解
親権の内容を図解。身上監護権、あるいは監護権は「日常生活において子どもを育てていく権利」を指す

1-1. 身上監護権の内容

監護権は、簡単に言うと「日常生活において子どもを育てていく権利」です。監護権には、以下の権利が含まれているとされています。

  • 日常的な世話や教育をする権利

  • 居所指定権:子どもの居所を指定する権利

  • 懲戒権:子どもに対して懲戒やしつけをする権利

  • 職業許可権:子どもの就業を許可する権利

このほかに、子どもが婚姻や離婚、養子縁組、相続の承認などの身分行為を行う際に親が同意し、代理する権利である「身分行為の代理権」が監護権に含まれているとする見解もあります。

一方、たとえば相続の承認や放棄などは法的にも重要な行為であり、親権に含まれる財産管理権にも直結します。そのため、身分行為の代理権は監護権には含まれないと考えるほうが自然です。

1-2. 財産管理権の内容

財産管理権は、日常的な生活というよりも、子どもの権利を守ったり、財産管理をしたり、子どもの法的な地位を定めたりといった重要な権利行為を対象としています。主な内容は以下のとおりです。

  • 包括的な財産管理:子どもの財産全般を維持管理する権利

  • 法律行為の代理権:財産の売却や贈与などを代理する権利

  • 同意権:子どもが財産に関する法律行為をする場合に同意を与える権利

2. 親権と監護権の違い

親権は未成年の子どもが成人になるまで監護・養育する権利であり、監護権はそのなかの「日常生活において子どもを育てていく権利」を指します。

監護権は子どもの日常生活に必要な行為をする権利、親権は子どもの法的権利を守ったり、財産の管理をしたりする権利と覚えておくとよいでしょう。

2-1. 監護権は親権者が行使するのが原則

監護権は親権の一部であるため、親権者、つまり父母が行使するのが原則ですが、親権者でない人が監護権を行使する場合もあります。何らかの理由で、親権のなかの財産管理権と身上監護権が分離された場合がこれに該当します。

親権と監護権が分離されている場合は、親権者と言っても、監護権者の監護行為が正当である以上は、その行為の結果は認めなければなりません。

2-2. 例外的に親権と監護権を分けるケース

親権と監護権は本来分離するものではありません。通常であれば離婚後に親権者が監護権を行使するのが適切ですが、夫婦間の話し合いで合意すれば、親権と監護権を分けることができます。たとえば、離婚を契機に親権を有する配偶者が遠方に引っ越し、子どもたちの一部が、元の居住地にとどまりたい場合などには、夫婦間の話し合いにより、元の居住地に残留する他方の配偶者が監護権を取得するケースもあります。

話し合いで合意できず調停や裁判になったときには、浪費など財産管理の能力に問題があり、親権を行使できるか疑わしい場合などに、裁判所は親権と監護権を分ける判断をすることがあります。逆に言えば、調停や裁判になると、例外的な状況でない限りは親権と監護権は分離されません

親権と監護権を分離した審判例として、福岡家庭裁判所平成26年12月4日が挙げられます。

これは、離婚時に母を親権者とし、父は1カ月に1回、2泊までの宿泊を伴う面会交流を行うほか、毎年8月に1週間以内、冬休みや春休みなどの休暇期間中にも5泊以内の宿泊付き面会交流を行う、面会交流が実現できない場合は養育費の支払い義務を免除する、という条件で離婚した事案です。その後、父と子の面会交流が不能となり、父が親権者変更の申立てをしました。

裁判所は、面会交流ができない理由が、子に対する母の言動に原因があると認めたうえで、監護権まで移すことには躊躇(ちゅうちょ)があるとして、親権は父に、監護権は母に残すという決定をしました。これにより、子は引き続き母と生活することになりますが、親権者が父に移ったことにより、双方が協力して子を養育する枠組みが形成されました。

3. 親権と監護権を分けるメリットとデメリット

親権と監護権の分離には、以下のようなメリットとデメリットがあります。

3-1. メリット

監護権を持たない親が親権を持つことで、子の養育に対して自発的な意思を持ち続けられるようになります。

また、現在の日本では、離婚後は父母のどちらか一方しか親権者になれない「単独親権制度」が採用されており、親権をめぐる争いが長引くケースも少なくありません。親権と監護権を分けることで双方が納得できるケースもあります。さらに、離婚係争を通じて双方の信頼関係が破綻する前に早期解決をすれば、子に関する信頼関係だけは維持できるメリットもあります。

3-2. デメリット

親権と監護権を分離した場合、子と離れて暮らす親が親権を握ります。親権には財産管理権も含まれるため、子に法的な権利や財産管理に関する行為が発生した場合は、子と離れて暮らす親権者の同意が必要になります。

こうした状況は、頻度は少ないとは言え確実に発生します。必要なタイミングで同意が得られなければ、その行為自体を円滑に行うことができなくなり、適切な子育てが難しくなります。

親権と監護権を分離するケースが少ないのはこのような理由のためです。

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4. 親権者や監護権者を定める手続き

親権者を決めずに離婚することはできないため、離婚時に必ず親権者を定めます。また、親権と監護権を分離するときは、定義や対象を示し、法的に有効な言葉で離婚協議書に明記する必要があります

裁判所で離婚協議書を作成した場合は法的有効性に疑義が生じる可能性は低いものの、当事者間のみで作成する離婚協議書には法律家の手が入らないため、あとで監護権の範囲などでトラブルが生じる可能性があります

4-1. 親権者を定める手続き

協議離婚の場合は、当事者同士の話し合いでどちらが親権を持つのかを定めます。

当事者同士の協議で親権が定まらない場合は、調停や裁判を通じて離婚時に定めます。

4-2. 監護権者を定める手続き

通常の離婚手続きでは、親権者と監護権者はまず分離されません。

必要性がある場合に、例外的に分離するケースもあります。この場合、夫婦間の離婚協議において合意すれば、親権者と監護権者の分離について定められます。

また、離婚裁判で親権と監護権を分離するケースはほとんどないものの、調停のなかでお互いの譲歩策として分離する場合もあります。

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5. 親権者や監護権者を定める際の判断基準

裁判所が親権と監護権を分離する場合は、それが子の福祉にかなうと認められる特段の事情があるかどうかで判断されます。具体的には、子どもへの愛情や監護状況といった親子関係、子どもの意思、子どもの年齢、父母の健康状態や精神状態、経済状況などを総合的に考慮して定められます

協議や調停など、双方の話し合いで決める場合は、もう少し柔軟に定められるでしょう。

離婚をするからには男女の信頼関係はすでにないと思われますが、家事や育児をどちらかの配偶者に任せきりにせず、子に対していわば5対5の割合で関わってきたケースなどでは、子の養育に関する信頼は残りやすいと考えられます。そのため、監護権の分離や、共同監護に関する話がしやすくなるでしょう。

6. 親権者や監護権者を変更する手続き

親権者や監護権者は、離婚後にも変更できます。それぞれの手続きを解説します。

6-1. 親権者の変更

双方のみの話し合いでは親権者を変更できません。親権の変更は重大な事案となるため、裁判所での手続きが必要です。

ただし、離婚後に親権者の変更をするのは、例外的な事由がない限りは認められていません。すでに親権者である親と子との生活を裁判所が半ば強制的に変更するわけですから、虐待などの事由が客観的に確認できるケースでないと認められる可能性は低いです。

親権者の変更は子どもの福祉にかなうか、変更に正当な理由があるのかが論点となりますが、あくまでそうしなければならないほど強い事由があるかどうかで審理します。筆者の弁護士としての経験上も、親権者変更が認められるのは、児童相談所が介入している場合や、親権者が子どもの不登校を解消できない場合など、例外的なケースです。

なお、2024年5月に民法改正が成立し、2026年5月までに導入される予定の「共同親権」への変更の申立てについては、子どもの生活状況自体を大幅に変更するものではないため、上記の場合とは別で、もう少し緩やかに判断されるかもしれません。ただし、今のところは法律の施行前であり、実際に判断された実績がないため、具体的な基準は明らかではありません。

6-2. 監護権者の変更

監護権についても、子の意思や父母の生活状況など、子の福祉の観点から判断されます。

ただし、監護権は双方の協議(話し合い)による変更も可能です。実際に親権と監護権を分離している元夫婦のなかには「子の成長度合いに合わせて定期的に協議する」という条項を定めている事例も少なくありません。また、離婚協議で監護権者が決まらないときは裁判所の調停や審判で定めていきます。

7. 親権者や監護権者を決定、変更する際の注意点

親権者を決定、変更する際は「子の連れ去り」「面会交流の拒否」「不貞行為」「年収の差」などに注意する必要があります。

7-1. 親権者の決定、変更における注意点

【子の連れ去り】
「子の連れ去り」とは、夫婦が別居する際、一方が他方の同意を得ずに子どもを連れ出す行為を指します。

これまでは主たる監護者が子を連れて別居しても法的に問題とされる可能性はほとんどありませんでした。しかし、共同親権の施行を控え、警察や検察も体制や考え方を変えてきており、子の連れ去りについては誘拐として刑事罰を適用する可能性が検討されています。また、今後、家庭裁判所でも親権者決定において不利に扱われる可能性が高まっています。これから別居を考えている人は、「子の連れ去り」は避けたほうが無難です。

【面会交流の拒否】
正当な理由がないにもかかわらず、面会交流をさせない行為も親権者の決定に影響を与えます。上述した福岡家庭裁判所平成26年12月4日の審判でもそのように述べられています。

【不貞行為】
不貞行為自体は、親権者の決定に大きく影響しません。ただし、離婚していないにもかかわらず子どもを交際相手に会わせている、あるいは子どもの養育をせずに遊んでいるといった証拠があれば、子の福祉の観点から、親権の決定に大きく影響する可能性があります。

【年収の差】
現在のところ、家庭裁判所が親権者を決定する際に重視しているポイントは、子の養育実績や養育能力です。経済的なケアは親権や監護権の取得ではなく、養育費で行うべきだと考えています。そのため、年収の差は親権者の決定にはほとんど影響しません。

7-2. 監護権者の決定、変更における注意点

監護権は子どもの福祉に必要性があるために設定されるものであるため、子の養育環境に著しい変更があれば、監護権が変更される可能性があります。

ただし、たとえば監護権者が再婚したとしても、それだけを理由に監護権が親権者に戻されるわけではありません。再婚相手と子どもがうまくいっていないなど、子の福祉の観点から監護権を持ち続けることが不適当とみなされれば、親権者のもとに戻る可能性があります

監護権者は、適切な監護権の行使を怠ると児童虐待防止法違反や保護責任遺棄罪などに問われることがあります。

共同親権施行後は、夫婦共同監護が難しいと裁判所が判断した場合、双方が親権を持ちながら、どちらか一方が単独で監護権を持つように指定するという運用が増えるかもしれません。

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8. 監護権者になれなくても子どもには会える?

親権者になれなかった場合と同じく、面会交流を通じて子どもと適切な交流を続けるかたちになります。親権者と監護権者が分離されていても、面会交流は通常の離婚の場合と同じです。

面会交流は子どもの権利としての側面が強いため、子どもの心身の成長を害する場合や子どもの意思に反する場合は面会交流が実施できなくなる場合があります。また、子どもと円滑に会う前提として、面会交流を義務として迫るのではなく、監護権者との信頼関係を構築し、損なわないようにしなければなりません

9. 2026年5月までに導入|共同親権制度や法定養育費制度、先取特権が監護権に与える影響は?

2026年5月までに施行される改正民法によって共同親権が認められるようになり、法定養育費制度や先取特権も導入されます。これらの新制度と、監護権に与える影響について解説します。

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9-1. 共同親権と監護権行使

共同親権を選択する場合は、双方が親権を持つため、お互いが監護権を分担してもいいですし、どちらかが単独の監護権者となるケースもあります。

双方が離婚後も信頼関係を保っているのであれば問題はないものの、コミュニケーションをとるのが難しく、早く離婚するために共同監護計画を定めたような元夫婦の場合、早々に行き詰まる可能性があります。また、一度合意で決めた計画は、引っ越しや子どもの生活状況の変更などの事情がない限り、簡単に変更できない可能性があります。

そのため、離婚後の子どもとの関わりを父と母でどのように分担していくのか、監護権の分掌、あるいは単独での監護権行使について、離婚時にきちんと理解したうえで定める必要があります

また、離婚時において離婚後の監護に関する双方での話し合いが難しい場合は、事実上は監護している親権者が日常行為について単独で養育を行い、進学先や引っ越し先の決定、重大な医療行為などは、相手方の同意を得て進めるかたちになります。

9-2. 法定養育費制度

「法定養育費制度」とは、離婚後に養育費に関する取り決めをしていなくても、監護権を持つ親が持たない親に対し、一定期間にわたって法律で定められた額の養育費を請求できる制度です。

これまで養育費などは、監護者である親から非監護者である親に具体的な請求がされた場合に請求権が発生する、というのが司法の実務的な理解でした。

法定養育費制度が導入されると、具体的な請求がない期間についても、法務省令で定める最低限の養育費については請求が可能となります。具体的にいくらとなるかはまだ審理中です。

ただし、この法定養育費は、最低限の生活保障を維持するためのものであり、本来の養育費を定めるためのつなぎ的な性格が強いため、本来の養育費に比べて金額が低くなる可能性があります。そのため、法定養育費制度が始まったからといって、養育費調停などを行わなくてよいわけではありません。

また、法定養育費と本来の養育費との差額は過去にさかのぼって請求できないため、別居時や離婚時には婚姻費用額や養育費の金額を定める必要があります

そして、この法定養育費にも後述の先取特権(さきどりとっけん)が付与されているため、その存在を証明すれば調停などを経ることなく強制執行ができます。

9-3. 養育費債権に対する先取特権の付与

「養育費債権に対する先取特権」とは、養育費の支払いが滞った場合、相手方の財産を調停や審判などを経ずに差し押さえられる権利です。民法改正により、家族としての生活に必要な婚姻費用のほか、養育費や扶養料など、子の生活に必要な金銭債権についても先取特権の対象となりました。

これにより、今まで養育費などの強制執行には、執行文付与がされた公正証書や、審判書等の厳格な文書が必要だったのに対し、当事者間で作成された離婚協議書、合意書などでも強制執行できるようになりました

従来は、仮処分を含め、調停や審判のために数カ月単位の時間が必要だったものの、先取特権が付与されることで監護者は迅速に生活費を確保できる可能性があります。

ただし、強制執行で確実に養育費を得るためには、相手の勤務状況や資産状況の健全性が前提となるのは今までと変わりません。

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10. 監護権について弁護士に相談するメリット

親権と監護権の分離、あるいは共同親権施行後の監護権の分掌などは、離婚した元夫婦の生活を多く見ている人間でないとイメージがつきません。そのため、監護権が取得できるかはもちろん、その定め方などについて、離婚問題を多く扱った経験を持つ弁護士に相談するのは非常に重要です。

親権と監護権の分離や監護権の分掌については書面化する必要があるため、この問題に詳しい弁護士への事前相談をお勧めします。

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11. 監護権についてよくある質問

Q. 子どもの監護権はいつまで?

大人に対する親権や監護権はないため、親権と同じく、子どもが成人(18歳)になるまでです。

Q. 監護権は母親が優先されるのはなぜ? 監護権を父親が獲得した判例はある?

監護権は実際に子どもの監護養育の実績があるほうが選ばれます。今までの日本社会では、女性が主たる監護者として育児を担うことが多かったため、女性が取得するケースが多いとされてきました。


しかし、最近はフルタイムでの共働き世帯が増え、男性が主たる監護者となるケースも徐々に増えてきています。男性が専業主夫として家事育児を行っていた場合や、フルタイムの共働きで男性が育児休暇を年単位で取得しているケース、保育園への送り迎えや家事を主として分担しているケースなど、共同監護にふさわしいと判断されれば、男性も監護者になり得ます。

Q. 監護権と親権を分けた場合、子どもの戸籍はどうなる?

戸籍に記載されるのは親権者のみです。そのため、監護権の証明は、協議書や調停調書、審判書などで行う必要があります。

Q. 監護権者は養育費を誰に請求できる?

親権者と監護権者を分けた場合は、非監護親である親権者に養育費を請求できます。

12. まとめ 親権と監護権の分離を考えている人は弁護士への早期相談を

親権は「身上監護権」と「財産管理権」に分けられます。身上監護権にあたるものを「監護権」と言い、子どもの日常的な世話や教育をしたり、子どもの居所を指定したりといった「日常生活において子どもを育てていく権利」がこれに該当します。

離婚した際、子どもの監護権は親権者が行使するのが原則となっているものの、財産管理能力に問題があるなど、親権を行使できるか疑わしい場合には、親権者と監護権者を分けるケースもあります。協議離婚の場合は双方の合意によって分離ができ、裁判所が分離する場合は、子の福祉にかなうと認められるかどうかが判断材料となります。

また、2026年5月までに施行される改正民法によって共同親権が認められるようになれば、監護権を双方で分担するケースも出てくるはずです。

親権と監護権の分離は弁護士にとっても専門性の高い分野ですが、共同親権制度の導入に伴い監護権の分掌など、さらに複雑性が増し、取り扱いが難しくなります。

また、人それぞれに回答があるため数値化やデータ化が難しいため、机上の知識やAIで対応するのではなく、経験に基づく判断が必要となります。

親権と監護権の分離を考えている場合は、親権問題に精通している弁護士への相談をお勧めします

(記事は2025年7月1日時点の情報に基づいています)

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