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1. 「離婚は男性が不利」と言われるのはなぜ?
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1-1. 男性はお金を「取られる側」になりがち
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1-2. 男性が子どもの親権を得られるケースは少ない
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2. 男性が不利な離婚条件を押し付けられないためのポイント
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2-1. 妻に責任があるなら、その証拠を確保する
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2-2. 離婚事件を得意とする弁護士に相談する
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3. 離婚問題に悩む男性が利用できる主な相談窓口
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3-1. 【おすすめ】法律事務所(弁護士事務所)
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3-2. 法テラス
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3-3. 市区町村役場の法律相談会
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3-4. 公的な相談窓口|DV相談プラス・DV相談ナビなど
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3-5. 夫婦カウンセラー
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3-6. 探偵
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4. 男性が離婚について弁護士に相談するメリット
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4-1. 妻側の不合理な要求を拒否できる
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4-2. 早期に離婚が成立する可能性が高まる
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4-3. 希望する離婚条件が実現されやすくなる
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4-4. 対応の時間や労力が省ける
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4-5. ストレスが軽減される
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4-6. 夜間や土日祝日も柔軟に対応してもらえる
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5. 男性が離婚について弁護士に相談した方がいいケース
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5-1. 突然妻から離婚を切り出された場合
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5-2. 妻から多額の金銭を請求された場合
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5-3. 妻からDVやモラハラを受けている場合
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5-4. 妻の不倫が発覚した場合
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5-5. 妻が過剰な浪費をしている場合
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5-6. 妻が育児を放棄している場合
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5-7. 親権について妻と争っている場合
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6. 男性が離婚について依頼する弁護士を選ぶ際のポイント
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6-1. 離婚問題の実績が豊富か
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6-2. 説明が分かりやすく、対応が丁寧か
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6-3. 事務所の場所は家や職場の近くか
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6-4. 探偵を紹介してもらえるか
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6-5. 弁護士費用がリーズナブルで明確か
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7. 男性の離婚相談に関する質問
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8. まとめ 男性が適正な条件で離婚するには、弁護士に相談すべき
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1. 「離婚は男性が不利」と言われるのはなぜ?
男女平等であるため、離婚に関して男性が女性よりも特に不利益な取り扱いを受けることはありません。
しかし、社会における男女の傾向の違いが離婚条件にも反映された結果、「離婚は男性が不利」と言われるケースもあるようです。特に、男性はお金を「払う側」になりがちである点や、親権を得られるケースが少ない点などは、男性が注意すべきポイントといえるでしょう。
1-1. 男性はお金を「取られる側」になりがち
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、2023年度における男性の全年齢平均賃金は月35万900円、女性の全年齢平均賃金は26万2600円で、男性の方が高くなっています。特に30代以降では、男性の方が女性よりも多くの賃金を得る傾向が強くなります。この傾向は、出産や育児によって女性のキャリアが途絶えてしまいがちであることを反映していると思われます。
夫婦が離婚する際には、婚姻中に得た財産を公平に分ける「財産分与」を行います。財産分与ではほとんどの場合、収入の多い側が少ない側に対して金銭を支払うため、男性が妻に対して金銭を支払うケースが多いです。
また、男性が子どもの親権を得られなかった場合には、養育費の支払いも発生します。財産分与や養育費などのお金を支払う義務を負うケースが多い男性は、離婚条件が自分にとって「不利」だと感じることがあるようです。
1-2. 男性が子どもの親権を得られるケースは少ない
人口動態調査によると、2023年度に離婚した夫婦のうち、子どもの親権を得た側の割合は、下表のとおり分布しています。
夫が(子ども全員の) 親権者 | 妻が(子ども全員の) 親権者 | その他 (子どもの親権者が 分かれている) | |
---|---|---|---|
子ども1人 | 5288件(11.6%) | 4万352件(88.4%) | - |
子ども2人 | 3484件(10.2%) | 2万9404件(85.7%) | 1403件(4.1%) |
子ども3人 | 1265件(8.7%) | 1万2090件(83.1%) | 1201件(8.3%) |
子ども1人の場合、男性側が子どもの親権を得られるケースは11.6%と低くなっています。子どもが2人または3人の場合でも、夫が子どものうち1人でも親権を得られるケースはそれぞれ14.3%、17.0%と低くとどまっています。
子どもの親権が裁判で争われる場合は、子どもと一緒に過ごした時間が長い側に親権が認められる傾向にあります。収入にも反映されているように、日本では母親が子どもと一緒に過ごす時間が長いことが多く、男性は親権争いにおいて不利な立場に置かれがちになっていると思われます。
2. 男性が不利な離婚条件を押し付けられないためのポイント
離婚に当たって男性が不利な条件を押し付けられないようにするためには、特に以下の点を意識する必要があります。
2-1. 妻に責任があるなら、その証拠を確保する
不貞行為やモラハラ(精神的な攻撃)など、妻側の行為が離婚の原因になっている場合は、その事実を基に慰謝料を請求しましょう。妻が自分の責任を否定するなら、妻の不法行為に関する証拠を確保します。訴訟(裁判)でも妻の責任を立証できるように、客観的な証拠をできる限り確保しましょう。
【不貞行為の証拠例】
・不貞行為の現場を記録した動画、音声、写真
・不貞行為を窺わせるメッセージの記録、通話録音
・不倫相手の自白
【モラハラの証拠例】
・モラハラに当たる言動を記録した動画、音声、メッセージ
・医師の診断書
どんなものが証拠になるのか知りたい人は、弁護士に相談してください。
2-2. 離婚事件を得意とする弁護士に相談する
離婚案件を得意とする弁護士に相談すれば、妻側の不合理な要求を拒否し、適正な条件で離婚をさせられる可能性が高まります。男性が納得できる条件で離婚したいなら、離婚を得意とする弁護士へ早い段階で相談しましょう。
3. 離婚問題に悩む男性が利用できる主な相談窓口
妻との離婚を検討している男性が利用できる相談窓口としては、以下の例が挙げられます。
【おすすめ】法律事務所(弁護士事務所)
法テラス
市区町村役場の法律相談会
公的な相談窓口|DV相談プラス・DV相談ナビなど
夫婦カウンセラー
探偵
相談したい内容や目的によって窓口が変わりますので、自分に合ったものを選びましょう。
3-1. 【おすすめ】法律事務所(弁護士事務所)
離婚について弁護士に相談するなら、法律事務所(弁護士事務所)へ直接連絡するのが最もスムーズです。特に弁護士に依頼することを検討している人は、初めから弁護士事務所に足を運ぶほうがいいでしょう。
初回相談は無料で対応している事務所も多くなっています。離婚ポータルサイトなどを利用して、離婚問題への対応を得意とする弁護士を探し、インターネット上から法律相談を申し込みましょう。
3-2. 法テラス
収入と資産がいずれも一定水準以下の方は、法テラスを通じて弁護士に相談することができます。法テラスを利用すれば、30分の無料法律相談を3回まで利用できるほか、弁護士費用を立て替えてもらえます。
ただし、担当弁護士が離婚問題への経験が豊富とは限りません。また、法テラスを通じて依頼できるのは、法テラスと契約している弁護士に限られる点にご注意ください。
3-3. 市区町村役場の法律相談会
市区町村役場では、定期的または不定期に法律相談会を開催していることがあります。20分から30分程度、弁護士に無料で相談することができます。
いきなり弁護士と連絡をとることに抵抗がある方は、市区町村役場の法律相談会に参加してみましょう。ただし、相談する弁護士を選べないため、担当弁護士が離婚に強いとは限らない点にご注意ください。
3-4. 公的な相談窓口|DV相談プラス・DV相談ナビなど
妻からDV(暴力)を受けている場合は、「DV相談プラス」や「DV相談ナビ」などの公的な窓口へ相談してみましょう。DV被害から逃れる方法などについて、専門の相談員のアドバイスを受けることができます。
3-5. 夫婦カウンセラー
夫婦関係の改善を目指したい場合は、夫婦カウンセラーに相談することも選択肢の一つです。妻との険悪な関係を原因とする悩みについて、心情面にも寄り添いながら解決をサポートしてもらえます。
3-6. 探偵
妻の不貞行為(不倫)の証拠を掴みたい場合は、探偵に依頼することが有力な選択肢です。尾行調査などを通じて、不貞行為の証拠となる映像や写真を撮影してもらえる可能性があります。
4. 男性が離婚について弁護士に相談するメリット
男性が離婚問題について悩んでいるなら、弁護士に相談することをおすすめします。離婚について男性が弁護士に相談することのメリットを解説します。
4-1. 妻側の不合理な要求を拒否できる
相場をはるかに超える財産分与や慰謝料を請求されるなど、男性が妻側から不合理な離婚条件を要求されるケースはしばしば見られます。弁護士に代理人として対応してもらえば、妻側の不合理な要求に対し、法的な観点から適切に反論することができます。
4-2. 早期に離婚が成立する可能性が高まる
弁護士は妻側との間で論点を整理しながら、適切な条件によるスムーズな離婚成立を目指すため早期に離婚が成立する可能性が高まります。
4-3. 希望する離婚条件が実現されやすくなる
弁護士に希望する離婚条件を伝えることで、その条件に基づいて妻側と交渉を進めてもらえます。交渉がまとまらない場合には、裁判を通じて男性側の希望する離婚条件を主張することも可能です。
弁護士が法的根拠を示しつつ説得力のある主張を行うことで、男性側の希望する条件を実現できる可能性が高まります。
4-4. 対応の時間や労力が省ける
弁護士には、妻との離婚協議から裁判手続きまで、離婚に向けて必要な対応のほとんどを任せることができます。弁護士に対応を一任すれば、自分で対応する場合に比べて時間や労力が大幅に省けます。
4-5. ストレスが軽減される
離婚しようとすると、妻との感情的なやり取りなどが発生して、精神的にも大きなストレスがかかってしまいがちです。弁護士に代理対応を依頼すれば、自分で妻と直接話をする必要がなくなるので、ストレスはかなり軽減されるでしょう。
4-6. 夜間や土日祝日も柔軟に対応してもらえる
弁護士によって異なりますが、正式に依頼すれば夜間や土日祝日も柔軟に対応してもらえるケースが多いです。仕事などで忙しく、離婚手続きへ対応する暇がない男性の方は、早めに弁護士へ相談しましょう。

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5. 男性が離婚について弁護士に相談した方がいいケース
特に以下のような状況にある男性は、離婚について速やかに弁護士へ相談しましょう。
突然妻から離婚を切り出された場合
妻から多額の金銭を請求された場合
妻からDVやモラハラを受けている場合
妻の不倫が発覚した場合
妻が過剰な浪費をしている場合
妻が育児を放棄している場合
親権について妻と争っている場合
これらの状況にある場合は、自分で対処しようとすると不利になる可能性があるため注意が必要です。
5-1. 突然妻から離婚を切り出された場合
妻から突然離婚を切り出されたら、気が動転してしまうかもしれません。そんなときこそ冷静になって、どのように対応すべきかを慎重に考えるべきです。弁護士に相談すれば、客観的かつ専門的な視点から、良い問題解決の方法を提案してもらえます。
5-2. 妻から多額の金銭を請求された場合
財産分与や慰謝料など、妻から多額の金銭を請求された場合は、本当にその金額を支払う必要がないかを法的な観点から検討することが大切です。
弁護士に相談すれば、金銭的な離婚条件の相場観が分かります。もし妻の提示する金額が不合理な場合は、弁護士に依頼すれば法的な観点から反論してもらうこともできます。
5-3. 妻からDVやモラハラを受けている場合
妻からDVやモラハラを受けている場合は、まず自分の身を守ることが先決です。自分だけではDVやモラハラから逃れる方法が分からなくても、弁護士に相談すれば自分の身を守るための具体策を教えてもらえます。
5-4. 妻の不倫が発覚した場合
妻の不倫が発覚した場合は、離婚と併せて慰謝料も請求できます。慰謝料請求に当たっては、不倫の証拠を確保することが大切です。弁護士に相談すれば、不倫の証拠を確保する方法などをアドバイスしてもらえます。
また、妻や不倫相手に対する慰謝料請求の対応も、弁護士に一任すれば成功率が高まるとともに、労力やストレスも大幅に軽減されます。
5-5. 妻が過剰な浪費をしている場合
妻が過剰な浪費をしている場合は、「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)を理由に離婚を請求できる可能性があります。
ただし、妻が男性側の収入を浪費につぎ込んでいる場合には、妻は経済的な拠り所を失うことを恐れて、離婚を拒否してくる可能性が高いです。あらかじめ弁護士に相談して、離婚を拒否された場合の対応を検討しておきましょう。
5-6. 妻が育児を放棄している場合
妻が育児を放棄している場合は、子どものために男性側が離婚後の親権者となることを検討すべきです。しかし実際には、男性が離婚後の親権を得られるケースは少数となっています。親権を得る可能性を高めるためにも、弁護士のサポートを受けることをおすすめします。
5-7. 親権について妻と争っている場合
自分も妻も子どもの親権を希望している場合は、離婚手続きの中で激しい親権争いが予想されます。
親権獲得の可能性を高めるためには、子どもの養育に関する実績を積み重ねるなど、地道な対応が必要です。弁護士に相談して、親権獲得のために何をしたらいいのかアドバイスを受けましょう。
6. 男性が離婚について依頼する弁護士を選ぶ際のポイント
相談する弁護士は誰でもいいわけではありません。男性が離婚に関して弁護士を探す際には、以下のポイントに注目して弁護士を選びましょう。
6-1. 離婚問題の実績が豊富か
離婚事件の対応実績が豊富な弁護士は、適切な条件で早期に離婚を成立させるための引き出しをたくさん持っています。弁護士事務所のウェブサイトや、「離婚のカタチ」のようなポータルサイトなどを参照して、実績豊富な弁護士を探してみましょう。
6-2. 説明が分かりやすく、対応が丁寧か
納得できる形で離婚を成立させるためには、疑問点や不安な点を丁寧に解消してくれる弁護士に依頼すべきです。質問に対する回答が分かりやすく、些細な疑問にも丁寧に答えてくれる弁護士を選ぶとよいでしょう。
6-3. 事務所の場所は家や職場の近くか
離婚に向けた対応について弁護士に相談する際には、弁護士事務所のオフィスに訪問する機会も何度か発生するでしょう。家や職場の近くで営業している弁護士に依頼すれば、オフィスへ行く際の時間やコストの負担を軽減できます。
6-4. 探偵を紹介してもらえるか
妻の不倫が疑われるものの、自力で証拠を確保することが難しい場合は、探偵に尾行調査などを依頼することも選択肢の一つです。探偵と連携している弁護士に依頼すれば、必要に応じて探偵を紹介してもらえるので、自分で探す手間が省けます。
6-5. 弁護士費用がリーズナブルで明確か
離婚に関する弁護士費用の額は、依頼する弁護士によって異なります。複数の弁護士から見積もりを取得し、リーズナブルな費用を提示した弁護士に依頼するとよいでしょう。
また、後から予期せぬ追加費用が発生しないなど、弁護士費用の仕組みが明確であることも重要なポイントです。分からないことがあれば、正式に依頼する前に必ず弁護士へ確認してください。
7. 男性の離婚相談に関する質問
弁護士の性別にこだわる必要はありません。男性弁護士でも女性弁護士でも、悩みに寄り添って親身に対応してくれるならば、依頼先として適任といえます。もっとも、どうしても男性がよいという希望がある場合には、男性弁護士のいる法律事務所に相談してみるとよいでしょう。
離婚条件に関する希望をまとめておくことや、妻側に責任がある場合はその証拠を確保しておくことなどが大切です。弁護士のアドバイスを受けながら、離婚に向けた準備を進めましょう。
離婚すれば、自分の時間が増え、お金も自分のためだけに使えるようになります。また、新しいパートナーを探せるなど、新たな人生へと踏み出せるメリットがあります。その一方で、財産分与などによって多額の支払いが生じたり、親権を得られなければ子どもに会う機会が大幅に減ったり、孤独感を覚えたりするデメリットがあります。
離婚のメリットとデメリットのどちらが大きいかは、人によって異なります。自分の状況をよく分析した上で、離婚すべきかどうかを慎重に判断しましょう。
8. まとめ 男性が適正な条件で離婚するには、弁護士に相談すべき
男性が離婚する際には、大きな金銭的負担が生じることや、親権争いで不利な立場に立たされることが少なくありません。こうした事態を避けるためにも、早い段階で弁護士に相談することが重要です。離婚事件の対応実績、相談対応の丁寧さ、弁護士費用などを総合的に考慮して、信頼できる弁護士に依頼しましょう。
(記事は2025年9月1日時点の情報に基づいています)