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1. 生活保護とは?
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1-1. 母子家庭の生活保護受給世帯はどれくらいいる?
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2. 生活保護で受けられる8つの扶助
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2-1. 生活扶助
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2-2. 住宅扶助
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2-3. 教育扶助
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2-4. 医療扶助
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2-5. 介護扶助
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2-6. 出産扶助
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2-7. 生業扶助
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2-8. 葬祭扶助
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3. 生活保護で受給できる金額は?
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4. 母子家庭(シングルマザー)が生活保護で加算されうる金額
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5. 生活保護を受けるための4つの条件
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5-1. 収入が最低生活費を下回っている
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5-2. 働けない、または働いても収入が最低生活費以下である
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5-3. 不動産や預貯金などただちに現金化して生活費に充てられる資産がない
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5-4. 年金や手当、保険などほかの制度を活用しても必要な生活費が得られない
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6. 母子家庭が生活保護を受けるメリットとデメリットとは
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6-1. 母子家庭が生活保護を受けるメリット
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6-2. 母子家庭が生活保護を受けるデメリット
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7. 生活保護の申請方法とは
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7-1. 【STEP1】相談
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7-2. 【STEP2】生活保護の申請
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7-3. 【STEP3】審査
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7-4. 【STEP4】生活保護費の受給
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8. 生活保護の申請が却下されるケースや打ち切りになるケースとは
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9. 生活保護を受けたくても受けられない場合の相談先
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10. 生活保護に関してよくある質問
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11. まとめ 経済的に困ったら生活保護申請の検討を
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1. 生活保護とは?
「生活保護」とは、生活が経済的に苦しい世帯に対して、日本国憲法25条1項で保障されている健康で文化的な最低限度の生活を保障するための制度です。生活保護の対象になると、最低限の生活を経済的に保障するためにさまざまな項目の給付が受けられます。
生活保護は、条件を満たす限り、年齢や性別などを問わず受給できるほか、永住者など一定の範囲の外国人も受給できます。
生活保護を受ける権利はすべての国民に対して憲法で保障されています。経済的に困窮してしまったら自分だけで悩みを抱え込んでしまうことなく、ためらわずに利用することが大切です。
1-1. 母子家庭の生活保護受給世帯はどれくらいいる?
2025年に厚生労働省が発表した「生活保護の被保護者調査(確定値)」によると、生活保護受給世帯のうち母子世帯は6万4723世帯で、受給世帯の3.9%を占めています。前年からは、2630世帯減少しています。
このように、生活保護を受給している母子家庭の数は、決して少なくありません。
2. 生活保護で受けられる8つの扶助
生活保護で受けられる扶助には、次の8種類があります。
【生活保護で受けられる扶助】
扶助の種類 | 生活を営むうえで生じる費用 | 支給内容 |
---|---|---|
生活扶助 | 日常生活に必要な費用 (食費や被服費、光熱費など) | 基準額は ①食費などの個人的費用 ②光熱水費などの世帯共通費用 を合算して算出 母子家庭など、特定の世帯には加算あり |
住宅扶助 | アパートなどの家賃 | 定められた範囲内で実費を支給 |
教育扶助 | 義務教育を受けるために必要な学用品費 | 定められた基準額を支給 |
医療扶助 | 医療サービスの費用 | 費用は直接医療機関へ支払い (本人負担なし) |
介護扶助 | 介護サービスの費用 | 費用は直接介護事業者へ支払い (本人負担なし) |
出産扶助 | 出産費用 | 定められた範囲内で実費を支給 |
生業扶助 | 就労に必要な技能の修得などにかかる費用 | 定められた範囲内で実費を支給 |
葬祭扶助 | 葬祭費用 | 定められた範囲内で実費を支給 |
このうち、生活扶助、住宅扶助、教育扶助は月々受け取ることのできるものです。それ以外のものは、基本的には支出が必要になったときにその都度受け取れます。
2-1. 生活扶助
生活扶助は、日常生活に必要な費用をまかなうためのものです。いわゆる生活費に対する扶助で、食費、被服費、光熱水費などから成ります。
生活扶助は生活保護費のなかでもメインの扶助であり、生活のためであれば幅広く活用できます。
2-2. 住宅扶助
住宅扶助は、家賃などの住宅費を支援するためのものです。
住宅扶助の具体的な額は地域によって異なります。たとえば、東京23区に住む母1人、子ども1人の2人世帯であれば6万4000円が上限であり、母1人、子ども2人の3人世帯であれば6万9800円が上限です。
住宅扶助の上限額よりも家賃が高い住宅に住んでいる場合、それだけでただちに生活保護が受けられなくなるわけではありません。しかし、住宅扶助の上限額を超えない家賃の住宅に引っ越すよう指導されるのが一般的です。
2-3. 教育扶助
教育扶助は、子どもが小学校や中学校での義務教育を受けるために必要な学用品などを補助するためのものです。入学準備のためのお金や教材費用、給食費用などが支給されます。
教育扶助は義務教育を受けるのにかかるお金を助けるものであるため、最長で9年間受けられます。逆に、高校や大学などで義務教育ではない教育を受けるための費用は、教育扶助としては支給されません。
2-4. 医療扶助
医療扶助は、病院代などの医療サービスを受ける際の費用をまかなうためのものです。
医療扶助は原則として現金ではなく現物給付であり、必要に応じて交付された医療券を用いた医療サービスそのものが給付されます。必要となった医療費が直接医療機関などに支払われるため、医療費を窓口で支払う必要がなくなります。
現物給付であることから、利用できるのは都道府県知事の指定を受けた医療機関に限られます。また、美容医療など最低限の生活保障の範囲を超えた医療サービスについては扶助の対象外です。
生活保護を受けていない人であれば医療費の窓口負担は原則3割なのに比べると、持病があって病院に多く通う必要がある人などにとっては大きな負担軽減になります。
2-5. 介護扶助
介護扶助は、介護サービスの費用を支えるためのものです。介護扶助として介護サービスの費用が直接介護機関などに支払われるため、本人の介護サービス利用費用の窓口負担がゼロになります。
2-6. 出産扶助
出産扶助は、出産費用を支援するためのものです。出産そのものにかかる費用に加えて、産前および産後の最大8日間までの入院費用なども支給されます。
2-7. 生業扶助
生業扶助は、就労に必要な技能の修得などにかかる費用を補助するためのものです。いわゆる「手に職をつける」ためのスキルを習得するためのお金です。
子どもが高等学校に通うための学費などは教育扶助としては支給されませんが、生業扶助の一つとして支給される場合があります。
2-8. 葬祭扶助
葬祭扶助は、葬祭にかかる費用を補助するためのものです。
ただし、生活保護では最低限の扶助しか受けられません。たとえば仏式の葬式で僧侶に経を読んでもらうためのお布施などは支給対象外であり、宗教的な儀式を伴わない「直葬」という火葬などのみの最低限の葬儀費用しか扶助されません。
3. 生活保護で受給できる金額は?
生活保護で受給できる金額は、「最低生活費」を基準として、そこから障害年金や児童扶養手当などほかの制度による各種の収入を引いた差額です。支給されるお金は一般的には「生活保護費」と呼ばれますが、正確には「保護費」といいます。
最低生活費がいくらになるのかは、住んでいる地域や家族の人数、子どもの年齢など個別の事情によって大きく変わるため、一概には言えません。
一般的には、大都市のほうが最低生活費は高くなる傾向にあります。たとえば東京23区などは最低生活費が最も高くなるエリアです。
個別の家庭により異なりますが、たとえば、東京都内に住む母子家庭で18歳未満の子ども1人か2人を育てている母子家庭の場合には、各種の加算を加えた最低生活費が20万円前後になるケースもあります。
具体的に自分のケースで最低生活費がどうなるかを詳しく知りたければ、住んでいる自治体の生活保護の窓口へ相談に行ってみましょう。
基本的な考え方としては、「最低生活費=生活扶助+加算額(障害者や母子世帯など)+住宅扶助+教育扶助等+介護扶助+医療扶助+そのほかの扶助」となります。
4. 母子家庭(シングルマザー)が生活保護で加算されうる金額
生活保護には誰でも受け取れる基本のお金のほかに、一定の加算もあります。
母子家庭が受け取れる可能性のある加算には、次のものなどがあります。
母子加算
障害者加算
妊産婦加算
児童養育加算
「母子加算」は、子どもを育てているひとり親世帯が生活保護を受ける場合に加算される項目です。子どもが18歳に達する日以降の3月31日まで、障害児であれば20歳になる日までの期間、支給されます。名称は「母子加算」ですが、父子家庭も支給の対象です。
「母子加算」の額は子どもの人数と地域の等級によって異なります。たとえば、東京23区などの大都市で生活保護を受給しており、自宅で育てている子どもが1人であれば1万8800円、2人であれば2万3600円です。
「児童養育加算」は、18歳に達する日以降の最初の3月31日までの子どもを育てている家庭に対して、一律に1万190円(2025年3月現在)が加算されるものです。
なお、母子加算と障害者加算は原則として同時に両方は受け取れず、いずれにも該当する場合には高いほうの額が加算されます。
5. 生活保護を受けるための4つの条件
生活保護を受けるには、原則として次の4つの条件を満たす必要があります。
収入が最低生活費を下回っている
働けない、または働いても収入が最低生活費以下である
不動産や預貯金などただちに現金化して生活費に充てられる資産がない
年金や手当、保険などほかの制度を活用しても必要な生活費が得られない
5-1. 収入が最低生活費を下回っている
たとえば、東京で母子2人暮らしなのに月の収入が7万円しかないなど、収入が最低生活費を下回っている場合には、生活保護を受けられる可能性があります。
最低生活費は地域によって異なりますが、母子家庭に限らないで見ると、東京で2人暮らしの場合の最低生活費はおおむね16万から18万円程度(生活扶助だけで11万から12万円程度)になる場合が一般的です。
もっとも、子どもの数が多かったり医療費の支出が多かったりするなど、個別の事情によって最低生活費がこれよりも多くなるケースはあります。
収入が最低生活費を下回っているかどうかの判定は、個別の事情に応じて変わる可能性があります。「収入が少なくて経済的に生活が苦しい」と感じる場合、まずは生活保護を受けられる可能性がないか生活保護の担当窓口に相談してみましょう。
5-2. 働けない、または働いても収入が最低生活費以下である
生活保護を受けるためには、病気やそのほかの事情により十分な収入を得られるほどには働けない状況にある事実が必要です。健康で時間もあり、十分に働けるだけの能力があるのに単に働きたくないというだけでは生活保護を受けられず、まずは働ける範囲で働くように求められるのが一般的です。
また、年金や手当などがあったり少しだけ働いて収入があったりしても、「まだ小さい子どもを育てるためにフルタイムでは働けない」「パートやアルバイトのため受け取れる給料が少ない」などの事情があってその収入が最低生活費以下なら、収入との差額を生活保護費として受け取れます。
たとえば、最低生活費が13万円であり、給料やそのほかの収入が合計8万円であれば、差額の5万円を生活保護費として受け取れる計算になります。
5-3. 不動産や預貯金などただちに現金化して生活費に充てられる資産がない
すぐに売却可能であって現在住んでいないような不動産を所有していたり、多額の定期預金があったりする場合など、生活費に充てられる資産を持っている場合には、まずそれを生活費に充てることが必要です。
たとえば、親が亡くなって相続した不動産を所有している場合や、離婚の際の財産分与によって不動産や株式などを受け取っている場合などには、まずはそれらの資産を現金化して生活費に充てることを求められ、すぐには生活保護を受けられないケースもあります。
一方で、市場価値がないなどの理由ですぐに売却できる見込みもなく、生活にも欠かせずに使っているような家や車を持っている場合などには、その資産を売却しないまま生活保護を受けられる可能性もあります。
実際にどのような資産であれば保有したままでいられるかなどは個々の事情によって異なります。「自分は家や車などの資産を手放せないから生活保護は受けられない」と最初からあきらめるのではなく、まずは担当の窓口に相談してみましょう。
5-4. 年金や手当、保険などほかの制度を活用しても必要な生活費が得られない
生活保護が受けられるかどうかの判定では、働いて得た給与や賞与といったお金だけでなく、各種の年金や手当などもすべて収入として扱われます。
働いて得られる給与の額だけを見ると最低生活費に達していなくても、児童扶養手当や遺族年金などを受け取っており、それらをすべて足すことで最低生活費を超える場合には、生活保護の受給対象外となります。
6. 母子家庭が生活保護を受けるメリットとデメリットとは
母子家庭が生活保護を受けることにはメリットとデメリットの両方があります。
もっとも、「収入が足りなくて生活が苦しい」と悩んでいるのであれば、デメリットを気にしすぎて生活保護を受けることをためらわず、積極的に生活保護の申請を検討してみてください。
6-1. 母子家庭が生活保護を受けるメリット
生活保護を受けるメリットには、主に次のようなものがあります。
生活保護を受給することで生活が安定して心に余裕ができる
食費や医療費など日常の最低限の生活費が足りなくなることを心配する必要がなくなる
国民年金保険料の納付が免除されるなど経済的な負担が減る
このように、生活保護は最低限の生活を経済的に保障するものであり、生活保護を受けることで経済的に安心して生活を送れるようになります。
経済的に安心して生活を送れるようになると、自分で経済的に生活を立て直すための努力をする精神的な余裕が出てくるケースは多くあります。また、病気で働けないために収入が少ない場合などには、治療に専念する余裕もできます。
これにより、生活保護を受けながら少しずつ働く時間を増やして収入を確保し、そのうち生活保護を受けなくても生活できるようになる人も多くいます。
6-2. 母子家庭が生活保護を受けるデメリット
生活保護を受けるデメリットには、次のようなものがあります。
原則として価値のある自動車や不動産を所有できなくなる
子どものためでも多額の預貯金はできなくなる
ぜいたく品の購入が限られる
住める家の家賃に上限がある
このほかにも、生活保護を受けると生活のうえでさまざまな制限が生じる場合があります。
もっとも、最低限の収入が足りずに苦しい状況にあるのであれば、基本的には生活保護を受けたほうがよりよい方向に生活を進められる可能性が高いでしょう。
最低限の収入が足りずに困っている場合は、自分だけで解決しようと思い詰めずに、まずはためらうことなく弁護士や役所の担当窓口に相談することをお勧めします。
7. 生活保護の申請方法とは
生活保護を受けるには、自分から申請をしなければなりません。生活保護の申請方法は次のとおりです。
【STEP1】相談
【STEP2】生活保護の申請
【STEP3】審査
【STEP4】生活保護費の受給
7-1. 【STEP1】相談
住む場所を管轄する生活保護の担当窓口へ相談しましょう。基本的には、住んでいる市区町村の役所に生活保護を担当する窓口があります。
「自分だけで役所に行ってもうまく状況を説明できるかわからない」「不安なので誰かに付き添ってほしい」などという場合には、まず弁護士に相談するという方法もあります。弁護士に相談すれば、生活保護に関する制度についてわかりやすく説明してもらえるでしょう。また、法テラスと契約している弁護士であれば、公的な援助制度を使って無料で生活保護申請に同行してくれる場合もあります。
なお、役所の担当窓口への相談は必須ではなく、緊急性が高い場合など相談している余裕がないようなときには、相談というステップを踏まずにいきなり申請することもできます。相談を経ていないことを理由として役所が生活保護申請の受理を拒否することは違法であるため、このようなことがあった場合にも弁護士に相談するとよいでしょう。
7-2. 【STEP2】生活保護の申請
生活保護の申請をするには、基本的には必要書類を提出する必要があります。
生活保護申請書、収入申告書、資産申告書、同意書など必要書類をそろえて、本人あるいは本人から依頼を受けた弁護士などの代理人が申請をします。
もっとも、緊急性が高く書類を用意する余裕がない場合などには、口頭で生活保護申請をするケースもあります。書類をそろえるのが難しいからといって、生活保護申請をあきらめる必要はありません。
7-3. 【STEP3】審査
生活保護の受給を認めるかどうかの審査が行われます。審査のなかでは、家庭訪問や資産調査等の面談や調査が行われる場合があります。
審査の結果は、原則として14日以内、最長30日以内に書面で出されることとされています。
7-4. 【STEP4】生活保護費の受給
最低生活費から年金や手当、働いて得られるお金などを引いた額が生活保護費として支給されることとして認められ、生活保護が支給打ち切り(廃止)されない限り毎月支給されます。
生活保護の支給日は、毎月1日から5日の間などの月初めです。

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8. 生活保護の申請が却下されるケースや打ち切りになるケースとは
次のようなケースでは、生活保護が受けられない可能性があります。
収入などに関して虚偽の事実を申告している
本人が生活保護を申請しているものの、役所の調査などにあまり協力的でない
定期貯金や相続して住んでいない不動産など現金化して活用できる資産を持っている
生活費の援助を現実に申し出てくれている親族などがいる
また、申請の結果として生活保護が受けられることになっても、生活保護を受けるなかで生活状況などに関して虚偽の事実を申告していたり財産を隠していたり、生活保護を受けるうえで守らなければならない条件を守らないでいたりすると、生活保護の支給が打ち切られてしまう場合もあります。
生活保護を受けるにあたっては、正直に事実を申告し、求められた条件は適切に守ることが大切です。
なお、行政が生活保護の申請を受理してくれない、支給要件を満たすのに支給を開始ししてくれない、法律に反して守らなくてもよい条件を過剰に要求するといった行為は、違法行為です。このようなことがあった場合には、すぐに弁護士に相談するようにしましょう。
9. 生活保護を受けたくても受けられない場合の相談先
条件は満たしていると思われるのに生活保護を受けられない場合などは、弁護士に相談するのが一つの選択肢です。
経済的に苦しい状況にある人が生活保護の相談をしたり、生活保護申請を代理または申請に同行してもらったりする場合には、法テラスと契約をしている弁護士であれば弁護士費用が援助されて無料になる制度があります。弁護士費用を心配する必要はありません。
生活保護のことで困ったら、すぐに弁護士に相談することをお勧めします。
10. 生活保護に関してよくある質問
パートで働いていても収入が最低生活費以下などの条件を満たす限り生活保護は受給できます。
また、生活保護を受けているから正社員に昇格できないということはありません。もっとも、正社員になったことで給与が増えて収入が最低生活費を超えて多くなった場合には、生活保護は支給打ち切りとなります。
生活保護と児童扶養手当は両方とも受けて構いません。しかし、この場合には、実際に得た児童扶養手当の額が収入として計算されるため、その分だけ保護費が減らされるなど調整がなされます。児童扶養手当の分だけ受け取れる総額が増えるわけではありません。
生活保護費で大学に通うことは認められておらず、大学に通う学費などは生活保護費として支給されません。
もっとも、大学に通える年齢になった子どもを独立した世帯として世帯分離し、その子どもがアルバイトや奨学金などにより自分で学費や生活費をまかなえば、母親や幼い子どもが生活保護を受給したまま独立した子どもが大学に進学することは可能です。
母子家庭だからそうでない家庭よりもたくさん生活保護費がもらえるわけではありません。また、「母子家庭で生活保護をもらっていてずるい」ということもありません。生活保護は母子家庭かそうでないかにかかわらず平等に支給され、かつ最低限の生活のために本当に必要な分しか支給されません。
「ささやかなぜいたく」の内容にもよるものの、日常生活の範囲内で少しおいしいものを食べるなどのぜいたくは、食費をやりくりするなどの範囲内であれば許されます。
生活保護を受けるうえで「扶養義務のある親族からの扶養が優先する」という原則はあります。しかし、親族から援助を受けられないことや、親族に対して援助ができるか確認する「扶養の照会」が行われることは必須の受給条件ではありません。扶養の照会は、事情を説明すれば行われない場合もあります。
親族に影響が及ぶことをおそれて生活保護の申請をためらう必要はありません。
11. まとめ 経済的に困ったら生活保護申請の検討を
生活に困窮したら誰でも平等に生活保護を申請し、受給するという選択肢があります。生活保護が受給できれば、生活費や住居費、医療費などにおいて扶助が受けられ、最低限度の暮らしを維持できます。
特に母子家庭の場合、生活に困窮しやすい傾向がありますが、必要になったらためらわずに申請するようにしましょう。
また、生活保護の申請に関して少しでも不安や悩みを抱えているのであれば、ためらわずに生活保護申請の支援を行っている弁護士に相談するようにしましょう。
(記事は2025年7月1日時点の情報に基づいています)