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1. 無職の人が離婚する際に不安に感じること
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1-1. 離婚後の生活費
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1-2. 仕事が見つかるか
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1-3. 子どものこと
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1-4. 保険料の納付
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2. 無職の人が離婚前に準備すべきこと
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2-1. 離婚後に必要なお金を試算する
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2-2. 仕事を探す、就職に有利な資格を確保する
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2-3. 離婚時にお金を得るための準備をする
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2-4. 親にサポートをお願いする
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3. 無職の人が離婚によって得られるお金
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3-1. 財産分与
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3-2. 年金分割
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3-3. 養育費
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3-4. 婚姻費用
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3-5. 慰謝料
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3-6. 公的支援
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4. 無職の人が離婚で後悔しないためのポイント
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4-1. 本当に離婚すべきかよく考える
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4-2. 別居も選択肢に入れる
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4-3. 弁護士に相談してアドバイスをもらう
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4-4. 準備が整ってから離婚を切り出す
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4-5. 離婚条件は合意書を作成して履行させる
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5. 無職の人が離婚をする際によくある質問
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6. まとめ 離婚後に生活していけるかが最も大事
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1. 無職の人が離婚する際に不安に感じること
無職の状態で離婚する場合、いくつかの課題や不安な点があります。無職の人が離婚する際に不安に感じることを紹介します。
1-1. 離婚後の生活費
結婚期間中に専業主婦(主夫)だった人は、離婚後の生活費をどのように確保するかが大きな不安要素でしょう。これまでは配偶者の収入から、住居費・食費・水道光熱費・通信費といった必要な支出をまかなっていた場合、離婚後はすべて自分で支払う必要があります。
また、結婚生活の中で浪費癖がついてしまった人は、離婚後に支出を抑える工夫も求められます。収入と支出のバランスを見直し、無理のない生活設計を立てることが大切です。
1-2. 仕事が見つかるか
十分な貯蓄がない限り、生活のために仕事を見つける必要があります。正社員経験がない人や、ブランクがある人は、就活に不安を感じやすいでしょう。
仕事が見つかっても、生活に必要な収入を確保できるか、長く続けられるかなどを考えることも重要です。正社員の仕事が決まるまで単発のアルバイトで生活費を補ったり、生活レベルを維持するために副業を検討したりする人もいるでしょう。
1-3. 子どものこと
子どもがいる場合、親権や養育費の確保が大きな不安要素になります。また、離婚は子どもの成長にも影響を与える可能性があるため、心理的ケアについても考える必要があるでしょう。
離婚後、親のサポートを受けながら育児できるケースもありますが、一人で育児と仕事を両立しなければならない状況も考えられます。そのため、育児と仕事のバランスをどう取るかも重要な課題となるでしょう。
1-4. 保険料の納付
離婚後は、生活費に加えて、健康保険料や年金保険料も自分で支払う必要があります。これまでは配偶者の扶養に入っていたため免除されていたこれらの費用も、離婚後は負担となるので注意が必要です。
もし離婚後に国民健康保険に加入した場合、国保には扶養という概念がないため、子どもがいれば、子どもの保険料も支払う必要があります。
2. 無職の人が離婚前に準備すべきこと
無職の人が離婚後に不安のない生活を送れるように、準備すべきことを紹介します。準備が不足していると離婚後に後悔する可能性があるため、参考にしてください。
2-1. 離婚後に必要なお金を試算する
離婚後の収入と支出を試算し、シミュレーションします。シミュレーションで収支がプラスなら生活に問題はありませんが、マイナスなら対策が必要です。
養育費についても考慮するべきですが、支払われないリスクもあるため、支払いが遅れる場合に備え、余裕を持ってシミュレーションするのが賢明です。
また、長期的なシミュレーションも重要です。子どもが成長するにつれて、学費や習い事にかかる費用が増えることを想定して、将来の支出を見越した計画を立てましょう。
2-2. 仕事を探す、就職に有利な資格を確保する
シミュレーションで月々の支出が赤字になった場合、収入を増やす必要があります。無職の人は就職を、アルバイトやパートの人は正社員を目指しましょう。正社員で働いていて収入が足りない場合には、副業や転職を検討してもいいかもしれません。就職活動は離婚準備と並行すると、効率的に進められます。
また、離婚準備期間がある程度あるなら、その間に就職に有利な資格(例:パソコンスキルやTOEIC、TOEFL)を取得するのも一つの手です。職業訓練や自立支援教育訓練給付金などの制度もあるので、上手に活用してスキルアップを目指しましょう。
2-3. 離婚時にお金を得るための準備をする
離婚時にお金を得るための準備も重要です。法律に基づき、財産分与、養育費、年金分割などを請求できます。請求できる内容や必要な書類(通帳や不動産の資料など)を整理しておくとよいでしょう。
配偶者にDVや不貞行為がある場合は、慰謝料を請求できる可能性があります。そのため、それを証明できる証拠をしっかり収集しておくことが大切です。
2-4. 親にサポートをお願いする
親を頼れる場合は、離婚後の生活のサポートをお願いするとよいでしょう。実家に住むことで、家賃や食費、水道・光熱費などを抑えられます。
実家に住むことが難しい場合でも、生活費の援助や、子どもがいる場合は育児のサポートを受けることを考えましょう。親に離婚後の生活について相談することで、精神的にも楽になるかもしれません。
3. 無職の人が離婚によって得られるお金
3-1. 財産分与
財産分与とは、結婚期間中に取得した財産を夫婦で半分ずつ分けることです。もちろん、無職の人にも財産分与を請求する権利があります。しかし、結婚前に得た預貯金や相続した財産などは「特有財産」として分与の対象にはなりません。離婚後は、無職の人が経済的に困窮しないよう、扶養的な意味での財産分与が認められる場合もあります。
3-2. 年金分割
無職の人は、配偶者に年金分割を請求できる可能性があります。年金分割とは、結婚期間中に支払った年金の記録を夫婦で分ける制度です。専業主婦(主夫)の場合でも、働いていた配偶者の年金の一部を分割してもらうことで、将来受け取る年金額を増やせます。年金分割は、夫婦間の合意または裁判で分割割合を決めることができます。
3-3. 養育費
養育費は、未成年の子どもが生活するための費用です。離婚後、元配偶者に対して親権者が請求できます。養育費は、裁判所の養育費算定表を参考に、双方の実際の収入を基にして算定されます。養育費の支払いについては、書面で支払額、支払時期、支払いの終了時期などを明確にしておくことが重要です。
3-4. 婚姻費用
婚姻費用は、夫婦が共に生活していくための費用です。離婚前に別居した場合、専業主婦(主夫)は婚姻費用を請求できます。婚姻費用は、双方の収入に基づいて算定され、未成年の子どもがいる場合は養育費も含まれます。そのため、養育費単体よりも高額になる場合があります。
3-5. 慰謝料
結婚生活において元配偶者のDV(家庭内暴力)や不貞行為(性的行為を伴う不倫)があった場合には、慰謝料を請求できます。しかし、金額が高額な場合、不払いや支払いの遅れが発生することも少なくありません。そのため、一部のみでも支払うよう請求する方法がとられることもあります。
3-6. 公的支援
離婚後にひとり親となった場合には、児童手当や医療費補助制度など、公的な支援を受けられます。手続きの方法や金額について、離婚の際に調べておくとよいでしょう。また、離婚の際に財産が一切なく、仕事もすぐにできないような状況であれば、生活保護を受けることも検討しましょう。

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4. 無職の人が離婚で後悔しないためのポイント
無職の人が離婚で後悔しないためには、事前の検討や準備が非常に大切です。ここでは、離婚後に後悔しないためのポイントを紹介します。
4-1. 本当に離婚すべきかよく考える
一時の感情に流されず、本当に離婚すべきかしっかりと考えましょう。夫婦間で改善の余地があれば、離婚せずに関係修復を試みた方がいい場合もあります。離婚後に経済的に苦しくなる可能性がある場合は、生活のシミュレーションをしたうえで慎重に離婚の時期を決めましょう。
4-2. 別居も選択肢に入れる
離婚を急がず、別居を選ぶのも一つの方法です。別居すれば婚姻費用を請求できるので、経済的な不安が軽減します。同居によるストレスも解消されるでしょう。別居中に離婚後の生活準備を進めるのも有効な手段です。
しかし、長期間別居すると夫婦関係が破綻していると見なされ、民法で定められた「法定離婚事由」に該当する可能性があります。この場合、配偶者から離婚請求されると認められることに注意が必要です。
4-3. 弁護士に相談してアドバイスをもらう
離婚時は弁護士に相談してアドバイスをもらうことをおすすめします。財産分与や親権、養育費など、離婚に伴う条件について自分がどのような権利を主張できるのか把握しておくことが重要です。弁護士は、法律的なアドバイスを提供し、交渉を有利に進める方法を教えてくれます。
4-4. 準備が整ってから離婚を切り出す
離婚をする決断に至った場合でも、離婚後の生活を見据えたうえで離婚を切り出すのが大切です。収入の確保をどのように行うのか、子どもがいる場合には預け先をどのように確保するのかなど、具体的な計画をたてましょう。離婚後の生活の目途が立たないまま感情を優先させて離婚すると、生活が苦しくなる可能性があるので、冷静に判断する必要があります。
4-5. 離婚条件は合意書を作成して履行させる
後になって言った言わないの争いにならないよう、離婚協議書を作成し、条件を明確に記載しましょう。特に金銭の支払いについては、金額や支払時期を定め、公正証書にすることがおすすめです。公正証書は証明力が高く、支払いがされない場合には財産の差し押さえも可能になるため、いざというときに安心です。
5. 無職の人が離婚をする際によくある質問
無職が理由で親権獲得に不利になることはありません。親権は、「子どもの育成に適しているのはどちらなのか」が基準です。実務上は、母親が親権を得ることが多いですが、それは必ずしも母親が無条件で適しているからではなく、実際の育児状況などが影響しています。
元配偶者が無職であっても、慰謝料や養育費の請求は可能です。ただし、無職の場合、未払いや遅延の可能性があるため、一部だけの支払いを求めることも選択肢です。状況に応じて、支払方法や期限について柔軟に交渉することが大切です。
弁護士に依頼する際、着手金が準備できない場合でも、分割払いや後払いを受け入れている事務所もあります。また、法テラスを活用することで、弁護士費用を立て替えてもらうことも可能です。経済的に厳しい場合でも、法的なサポートを受ける方法はあるので、相談してみましょう。
6. まとめ 離婚後に生活していけるかが最も大事
無職で離婚する場合、「その後一人で生活できるか」が大きな不安要素となります。仕事探しはもちろんのこと、離婚時にもらえるお金も重要です。子どもがいる場合、親権を持つと養育費をもらえますが、支払い遅れなどのリスクがあるため、過度の期待は禁物です。
離婚時にもらえる財産分与や慰謝料は高額になるため、離婚後の生活の支えになります。もし、なるべく有利な条件で離婚したいと考えるのならば、弁護士に相談しましょう。それぞれにとってベストな提案をしてくれます。
(記事は2025年7月1日時点の情報に基づいています)