-
1. 離婚したらもらえるお金とは?
-
2. 離婚後に国や自治体からもらえるお金
-
2-1. 児童手当|子どもを扶養する場合
-
2-2. 児童扶養手当|子どもを扶養しており、所得が一定以下の場合
-
2-3. 特別児童扶養手当|障害のある子どもを扶養する場合
-
2-4. 障害児福祉手当|子どもが重度の障害によって要介護状態にある場合
-
2-5. 生活保護|経済的に困窮している場合
-
2-6. 自治体が独自に設けている給付金・助成金など
-
3. 離婚する際に(元)配偶者からもらえるお金
-
3-1. 財産分与
-
3-2. 年金分割
-
3-3. 慰謝料
-
3-4. 養育費
-
3-5. 婚姻費用
-
4. 手当や給付金以外のひとり親世帯に対する支援制度
-
4-1. ひとり親控除
-
4-2. 母子父子寡婦福祉資金貸付金制度
-
4-3. 自治体が独自に設けている支援制度
-
5. 離婚したらもらえるお金については弁護士に相談を
-
6. 離婚したらもらえるお金に関する質問
-
7. まとめ 離婚したらもらえるお金を把握して離婚後の生活に備えよう
無料相談OK 事務所も!
離婚問題に強い弁護士を探す
1. 離婚したらもらえるお金とは?
離婚後、ひとり親になると経済的負担が大きくなるため、国や自治体はさまざまな支援制度を設けています。条件を満たせば手当や給付金を受け取れます。
また、離婚時には夫婦間で金銭的な条件を取り決めるのが一般的です。財産分与、慰謝料、養育費などが挙げられます。離婚後の生活を安定させるためにも、適切に取り決めることが重要です。
2. 離婚後に国や自治体からもらえるお金
離婚すると、国や自治体から以下のお金を受け取れる場合があります。
・児童手当|子どもを扶養する場合
・児童扶養手当|子どもを扶養しており、所得が一定以下の場合
・特別児童扶養手当|障害のある子どもを扶養する場合
・障害児福祉手当|子どもが重度の障害によって要介護状態にある場合
・生活保護|経済的に困窮している場合
・自治体が独自に設けている給付金・助成金など
2-1. 児童手当|子どもを扶養する場合
児童手当は、0歳から18歳までの児童を養育している人が受給できる手当です。2024年10月から所得制限がなくなり、支給対象となる子どもの年齢も拡大されました。これまでは中学卒業まででしたが、高校卒業(18歳に達した日以後の最初の3月31日)まで受給できるようになりました。
3歳未満の児童は1人当たり月1万5000円、3歳以上高校生までの児童は1人当たり月1万円の児童手当を受給できます。また、第3子以降は1人当たり月3万円となります。
婚姻中は原則として、父母のうち所得が高い方が児童手当を受給します。しかし、離婚協議中に別居した場合や離婚後は、児童と同居している方が児童手当を受給できます。元配偶者が受給していた児童手当を自分が受け取れる場合、市区町村に認定請求を行いましょう。
2-2. 児童扶養手当|子どもを扶養しており、所得が一定以下の場合
児童扶養手当は、18歳まで(障害児の場合は20歳未満)の児童を監護していて、所得が一定水準以下である人が受給できる手当です。経済的に厳しい状況にあるひとり親世帯の支援を目的としています。離婚が成立していなくても、裁判所から保護命令が出されているDV被害者は受給できます。収入が少なく、子どもと暮らす場合は受給できる可能性があるので、市区町村役場の窓口に相談してみましょう。
2-3. 特別児童扶養手当|障害のある子どもを扶養する場合
特別児童扶養手当は、精神または身体に障害がある児童を監護・養育し、所得が一定水準以下の人が受給できる手当です。経済的負担が大きい障害児のいる世帯の支援を目的としています。
児童手当と同じく、婚姻中は原則として父母のうち所得が高い方が受給しますが、別居や離婚した場合は、児童と同居している方が受給できます。元配偶者が受給していた場合は、市区町村役場で手続きを行いましょう。
2-4. 障害児福祉手当|子どもが重度の障害によって要介護状態にある場合
障害児福祉手当は、重度の障害により要介護状態にある20歳未満の人に対して、介護費用の負担軽減のために支給される手当です。
障害児福祉手当には扶養義務者の所得制限が設けられていますが、離婚によって扶養義務者が変わると、所得制限の対象外となる場合があります。受給できるかどうか、市区町村役場で確認してみましょう。
2-5. 生活保護|経済的に困窮している場合
生活に十分な収入を得ることが難しい場合、生活保護を受給できる可能性があります。受給できる金額は、収入や住む場所によって異なります。離婚後の生活が苦しい場合は、住んでいる地域の福祉事務所に相談してみましょう。
2-6. 自治体が独自に設けている給付金・助成金など
これまで紹介した手当は全国で利用できますが、自治体によっては独自のひとり親世帯向けの給付金や助成金の制度を設けていることがあります。内容は自治体ごとに異なるので、市区町村役場で受給要件に該当する制度があるか相談してみてください。
3. 離婚する際に(元)配偶者からもらえるお金
離婚する際には、さまざまな離婚条件を取り決めます。特に金銭に関する条件は、離婚後の生活に直結するため漏れなく請求しましょう。
3-1. 財産分与
財産分与とは、夫婦の共有財産を公平に分けることです。結婚生活で取得した財産は、一部の例外を除いて財産分与の対象となります。特に配偶者よりも収入が少なかった場合は、財産分与によって利益を得られる可能性が高いです。相手の財産を正確に把握し、適正な財産分与を受けましょう。
3-2. 年金分割
年金分割とは、婚姻期間中の厚生年金保険や共済年金の加入記録を夫婦間で公平に分ける手続きです。
配偶者が会社員や公務員で、自分は専業主婦(主夫)やパート勤務だった期間が長い場合、年金分割により将来の年金額を増やせます。共働きであっても、配偶者よりも収入が少なければ、年金分割により年金額が増える可能性があります。
年金分割は原則として夫婦の合意によって行いますが、婚姻中に国民年金の第3号被保険者だった期間がある場合は、単独で年金分割(3号分割)を請求できることがあります。年金分割の詳しい手続きについては、最寄りの年金事務所に相談しましょう。
3-3. 慰謝料
相手が離婚原因を作った場合は、慰謝料を請求できることがあります。慰謝料が発生する主なケースは以下のとおりです。
不貞行為(不倫)
DV(暴力)
モラハラ(精神的な攻撃)
無断別居
生活費の不払い
慰謝料の相場は100万円から300万円程度ですが、具体的な金額は個々の事情によって異なるため、弁護士に相談することをおすすめします。
3-4. 養育費
離婚後に子どもと同居する側は、元配偶者に養育費を請求できます。毎月の養育費の金額は、裁判所が公表している「養育費算定表」を参考に決定するのが一般的です。
また、養育費とは別に、特別費用を請求できる場合もあります。特別費用は、私立学校の入学金や授業料、留学費用、医療費などです。特別費用についても離婚時に取り決めておきましょう。
3-5. 婚姻費用
離婚が成立前に別居する場合、収入が少ない側は多い側に婚姻費用を請求できます。婚姻費用の額を計算する際には、裁判所が公表している「婚姻費用算定表」が参考になります。婚姻費用は、離婚手続きとは別に「婚姻費用の分担請求調停」を通じて請求することも可能です。婚姻費用は請求段階から発生するため、早めに請求を開始しましょう。

相談アリ
得意な弁護士
探せる
4. 手当や給付金以外のひとり親世帯に対する支援制度
手当や給付金以外にも、行政が行うひとり親世帯向けの支援制度があります。利用できるものがあれば、積極的に活用しましょう。
4-1. ひとり親控除
ひとり親となり、合計所得金額が年間500万円以下の場合は、その年の所得から35万円の「ひとり親控除」を受けられます。ひとり親控除を受けることで、所得税および住民税の負担も軽減されます。
4-2. 母子父子寡婦福祉資金貸付金制度
20歳未満の児童を扶養しているひとり親は、使途に応じて資金を借りられる「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」を利用できる可能性があります。保証人を付ければ無利子など好条件で借り入れができます。
4-3. 自治体が独自に設けている支援制度
そのほか、各自治体が独自に設けている支援制度もあります。支援制度は各自治体によって異なるため、市区町村役場の窓口で相談してみるとよいでしょう。
5. 離婚したらもらえるお金については弁護士に相談を
離婚によって受け取れるお金は、離婚問題を取り扱う弁護士が熟知しています。弁護士に相談することで、知らなかった手当や支援制度の情報が得られるかもしれません。また、依頼することで有利な条件で離婚できる可能性が高まるため、離婚後の生活に不安がある人は、一度弁護士に相談することをおすすめします。
6. 離婚したらもらえるお金に関する質問
財産分与、年金分割、慰謝料などは、子どもがいなくても配偶者に対して請求可能です。離婚後の生活が苦しい場合は、生活保護を受給できる可能性があるほか、女性の場合は「寡婦控除」を受けられることもあります。
離婚した場合、児童手当や児童扶養手当を受給できます。
【児童手当】
・3歳未満の児童については1人当たり月1万5000円
・3歳以上高校生年代までの児童については1人当たり月1万円
・第3子以降は1人当たり月3万円
児童扶養手当は一部支給となる可能性が高いですが、月1万円~数万円程度は受給できます。そのほか、配偶者から財産分与、慰謝料、養育費などを受け取れる可能性があるため、弁護士に相談しましょう。
児童扶養手当は原則として、認定請求をした月の翌月分から支給されます。支給月は1月、3月、5月、7月、9月、11月の年6回で、各回で前2カ月分がまとめて支給されます。例えば、離婚成立後の2月15日に認定請求をした場合は、3月分と4月分をまとめた5月の支給が初回となります。
離婚後は夫婦が協力して扶助する義務がなくなるため、自分の生活費を元夫に請求することはできません。
7. まとめ 離婚したらもらえるお金を把握して離婚後の生活に備えよう
離婚したらもらえるお金には、国や自治体からの支援と、離婚時の財産分与や養育費などがあります。離婚後の生活を安定させるために、請求できるお金は漏れなく請求しましょう。また、離婚する前から定職に就くなど準備しておくことで、離婚後の生活の不安を軽減できます。
弁護士に相談すれば、支援制度や請求方法についてアドバイスを受けられます。また、離婚後に養育費が支払われない場合なども考慮して、離婚条件の取り決めについても相談しておくと安心です。離婚を考えている人は早めに相談しましょう。
(記事は2025年7月1日時点の情報に基づいています)