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旦那が抱いてくれない場合は離婚できる?慰謝料請求は可能?

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夫とのセックスレスを理由に離婚できる可能性はありますが、後悔しないためにも慎重に判断しましょう(c)Getty Images
「旦那が抱いてくれない」と悩んでいる場合、セックスレスを理由に離婚できる可能性があります。性交渉を拒否されたことを惨めに感じ、離婚を検討する人も少なくありません。セックスレスでの離婚を考える際は、慎重に判断して後悔のない選択をしましょう。セックスレスでの離婚、必要な対策について弁護士が解説します。
目 次
  • 1. 夫が妻との性行為を望まない理由
  • 1-1. 妻を女性として見られなくなった
  • 1-2. 仕事で疲れている
  • 1-3. 不倫をしている
  • 1-4. 体力や性欲が衰えたから
  • 1-5. もともと性行為が好きでない
  • 2. 「旦那が抱いてくれない」ことを理由に離婚できる?
  • 2-1. お互いの合意があれば可能
  • 2-2. 裁判で認められるかはケース・バイ・ケース
  • 3. 「旦那が抱いてくれない」ことを理由に慰謝料を請求できる?
  • 3-1. 慰謝料が認められるケース
  • 3-2. 慰謝料が認められないケース
  • 3-3. セックスレスの慰謝料の相場
  • 3-4. セックスレスの慰謝料請求に必要な証拠
  • 4. セックスレスで離婚して後悔しないために考えるべきこと
  • 4-1. セックスレスの解消に取り組むことはできないか
  • 4-2. セックスなしで夫婦関係を続けることはできないか
  • 4-3. 離婚でより寂しい思いをしないか
  • 4-4. 離婚で子どもに悪影響を与えないか
  • 4-5. 離婚後の生活環境は整っているか
  • 5. 夫のセックスレスに悩んだ場合の対処法
  • 5-1. 後悔がないようにしっかり話し合う
  • 5-2. 夫婦カウンセラーなどに相談する
  • 5-3. 男女問題の経験豊富な弁護士に相談する
  • 6. 夫とのセックスレスで離婚を考えている妻からのよくある質問
  • 7. まとめ 専門家の意見も聞いて後悔しない判断を
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1. 夫が妻との性行為を望まない理由

夫が妻との性交渉を望まないのは、以下のようにさまざまな理由があります。

  • 妻を女性として見られなくなった

  • 仕事で疲れている

  • 不倫をしている

  • 体力や性欲が衰えたから

  • もともと性行為が好きでない

1-1. 妻を女性として見られなくなった

理由の一つは、「妻を女性として見られなくなった」ことです。その原因にも、以下のようにさまざまなケースがあります。

  • 長年の付き合いで異性としての魅力を感じなくなった

  • 子どもができて男と女の関係から、母親と父親の役割が優先されるようになった

  • 出産後に体型が崩れた、太った

  • いつも同じ服、メイクをしなくなった

このような理由で夫が性生活に消極的なのであれば、まだ改善できる余地があるかもしれません

1-2. 仕事で疲れている

夫が仕事で忙しく、「疲れているから」と性行為を拒否することもあります。この場合、夫婦でよく話し合い、必要に応じて仕事を見直し、夫婦の時間を作ることが大切です。

1-3. 不倫をしている

夫が性行為を望まない理由としては「不倫をしているから」ということもよくあります。夫が急に身だしなみに気を使ったり、休日に一人になりたがったり、スマホを手放さなくなった場合は、不倫している可能性があります。疑わしい行動が見られる場合は、問い詰める前に不倫の証拠を集めることが重要です。

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1-4. 体力や性欲が衰えたから

夫の体力や性欲が衰えたパターンもあります。中には「妻にだけED」のケースもあります。心身の調子と男性の性欲は関連しており、EDによって自信を失い、性行為を拒否することがあります。EDは男性にとって非常に深刻な問題であり、医療機関を受診するのも勇気がいります。夫婦にとっても重要な問題であることを認識してもらい、改善を試みることが重要です。

1-5. もともと性行為が好きでない

夫がもともと性行為を好まないために、性行為を拒否されることもあります。この場合、性行為を強要することはできないため、夫婦で一定のルールを作ることも検討するとよいでしょう。

2. 「旦那が抱いてくれない」ことを理由に離婚できる?

セックスレスを理由に離婚を求める人は少なくありません。2023年の司法統計年報(家事編)によれば、「性的不調和」を原因とする離婚調停は4,234件(夫側1,592件、妻側2,642件)で、全体の離婚理由の中で4番目に多い理由となっています。これらは全体の約7%を占めています。

では、セックスレスを理由に離婚できるのでしょうか。一般的に知られる協議離婚と裁判離婚では異なるため、以下で詳しく解説します。

2-1. お互いの合意があれば可能

夫婦間での話し合いで離婚をめざす協議離婚であれば、どのような理由でも離婚可能です。ただし、夫が離婚を拒否した場合は、離婚調停を行う必要があります。調停が不成立となった場合、裁判で離婚を判断してもらうことになります。

2-2. 裁判で認められるかはケース・バイ・ケース

裁判で離婚する場合は、法律上離婚が認められる「法定離婚事由」が必要です。典型例として不貞行為やDVが挙げられます。ここで問題となるのは、セックスレスが法定離婚事由に該当するかどうかです。

セックスレスは法定離婚事由の一つである「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(民法770条1項5号)に該当し、離婚が認められる可能性があります

ただし、性行為を拒否する正当な理由がある場合、セックスを拒否しても「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当しません。「正当な理由」とは、高齢による性機能の低下(EDなど)や病気などです。

夫に性行為拒否の正当な理由がある場合でも、裁判で離婚を認めてもらうためには他の法定離婚事由を問題とするか、一定期間別居するなどの方法を検討する必要があります。

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3. 「旦那が抱いてくれない」ことを理由に慰謝料を請求できる?

妻が夫との性行為を望んでいるにもかかわらず、拒否された場合は、妻にとって非常にショックで傷つく出来事です。そのため、精神的な苦痛に対して慰謝料を請求したいと考えることもあるでしょう。

セックスレスに慰謝料請求が認められるかどうかは、事案によって異なります。以下では、慰謝料請求が認められるケースや相場について解説します。

3-1. 慰謝料が認められるケース

過去にセックスレスを理由に慰謝料が認められた事案には、以下のようなケースがあります。

【理由なく一度も性行為に応じなかった】
東京地裁平成29年8月18日判決では、結婚後、夫が理由もなく一度も性行為に応じなかった事案において、50万円の慰謝料が認められました。裁判では、妻の心情を察していた夫が、性行為以外の身体的な接触や言葉を交わすなど、精神的な交わりを試みることもなかったため、夫婦関係の破綻に至り、不法行為に該当すると判断されました。

【性行為ができないことを隠して結婚した】
京都地裁昭和62年5月12日判決では、性的不能を隠して結婚した夫に対し、3年半のセックスレスで婚姻関係が破綻したとして、200万円の慰謝料が認められました。

このように正当な理由がなくセックスレスであれば、慰謝料請求が認められる可能性があります。

3-2. 慰謝料が認められないケース

慰謝料請求が認められないケースは、性行為を拒否する正当な理由がある場合です。例えば、性機能の低下や病気により身体的に性行為に応じられない場合や、妻が感染症にかかっている場合などは、性行為を拒否する正当な理由として、慰謝料請求は認められないと考えられます。

3-3. セックスレスの慰謝料の相場

セックスレスの慰謝料の相場は、婚姻期間やセックスレスの期間などによって異なりますが、一般的には数十万円から200万円程度です。高額になるケースとしては、婚姻期間が長く、セックスレスの期間が長い場合や、セックスレスが直接的な原因で夫婦が離婚に至った場合が挙げられます。

3-4. セックスレスの慰謝料請求に必要な証拠

裁判で慰謝料を請求する場合、セックスレスであったことがわかる証拠が必要です。具体的には、夫に性行為を拒否された際の会話の録音記録、性行為を拒否されたことを示すメールやLINEのやり取り、日記などが証拠となります。

これらの証拠をどの程度集めるべきか、また記録する方法については、離婚を切り出す前に弁護士に相談し、証拠を集めておくとよいでしょう。

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4. セックスレスで離婚して後悔しないために考えるべきこと

セックスレスで悩んでいる場合、夫に対してまだ愛情が残っている人が多いかもしれません。そのため、離婚後に後悔しないためにも、離婚すべきかどうかをじっくり考えることが重要です。

4-1. セックスレスの解消に取り組むことはできないか

セックスレスの解消に向けてまだできることがあるのなら、離婚することで後悔する可能性があります。もしセックスレスの原因が「妻に対して魅力を感じられない」ことであれば、夫婦で過ごす時間を意識的に作るなどの解決策が考えられます。

また、性機能の低下や病気が原因の場合には、適切な医療機関を受診し治療することで、問題が改善される可能性があるでしょう。

4-2. セックスなしで夫婦関係を続けることはできないか

セックスなしで夫婦関係を続けることはできないか、いま一度考え直すことも大切です。セックスは婚姻関係において重要な要素ですが、それが全てではありません。セックスができない場合は、別の方法で愛情表現ができないか考えてみましょう。セックスがなくても婚姻関係を継続できるか、後悔しないように夫婦間でよく話し合うことが重要です。

4-3. 離婚でより寂しい思いをしないか

夫に対する気持ちが残ったまま離婚すると、離婚後の生活に喪失感を覚え、一層の寂しさに襲われるかもしれません。一方で、離婚をすれば別のパートナーと出会い再婚する可能性もあります。離婚のメリットとデメリットを比較し、慎重に検討しましょう。

4-4. 離婚で子どもに悪影響を与えないか

離婚が子どもに悪影響を与えないかどうかも重要な判断材料です。仮に離婚をする場合でも、父母として子どもに会う機会を多く持ち、子どもの生活環境が変わらないよう配慮することで、離婚により生じる影響を抑えられる可能性があります。

4-5. 離婚後の生活環境は整っているか

離婚後は基本的に、養育費を除き夫からの経済的支援は得られません。そのため、離婚後に一人で生計を立てられるかどうかを考慮する必要があります。専業主婦や非正規社員の方は、離婚後に再就職して十分な給与を得られるかを検討することが必要です。

また、離婚に伴い家を出る場合は、住まいの確保が不可欠です。家賃や引越し費用、職場や保育園・幼稚園までの距離、実家との距離などが検討要素となります。離婚後にこれらを検討するのは難しいため、離婚前から準備しておくことが重要です。

なお、実家で暮らせる場合は家賃がかからないため、その選択肢も考慮するとよいでしょう。

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5. 夫のセックスレスに悩んだ場合の対処法

夫とのセックスレスに悩んでいる場合には、離婚を決断する前に以下の対処法を検討してみましょう。

5-1. 後悔がないようにしっかり話し合う

離婚の意思が固まっている場合は、離婚後に後悔しないように、夫婦でしっかり話し合うことが重要です。夫婦双方でマンネリなどがあるなら環境に変化をつけるなど、改善の努力も必要です。

夫にEDの可能性がある場合は、体の変化についてやんわりと確認してみる方法もあります。EDはプライドに関わる問題であるため、繊細な対応が必要です。自分にも非がある場合には、一緒に乗り越えていきたいことを伝えましょう。相手が問題を受け入れる時間を作りつつも、夫婦の問題として二人で改善を試みることが重要です。

5-2. 夫婦カウンセラーなどに相談する

夫婦関係を改善して結婚生活を続けたい場合、夫婦カウンセラーに相談するのも一つの手です。夫と一緒に相談できるカウンセラーもいます。カウンセラーに相談することで、男性心理の理解が深まり、状況に応じたアドバイスを得ることができるでしょう。

5-3. 男女問題の経験豊富な弁護士に相談する

さまざまな事情を考慮した結果、夫と離婚する決意が固まった場合は、男女問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談することで、離婚手続きの進め方や証拠の収集についてのアドバイスを受けられます。

また、依頼することで代理交渉や調停に同席してもらい、有利な条件で離婚するためのサポートを受けられます。事務所によっては女性弁護士を指名できるところもあるため、異性の弁護士に相談することに抵抗がある場合は、そのような法律事務所を選ぶのもよいでしょう。

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6. 夫とのセックスレスで離婚を考えている妻からのよくある質問

Q. セックスレスを理由に離婚したら後悔する?

セックスレスを理由に離婚したら後悔するかどうかは、人によります。夫に気持ちが残っている場合や、十分に話し合いができなかった場合は後悔するかもしれません。しかし、今後出産を希望するのであれば、早めに離婚を決断した方がよいでしょう。

Q. 性行為を望まない旦那の心理は?

妻との性行為を望まない夫の心理には、妻を女性として見られなくなった、仕事で疲れているなどの理由があります。中には妊娠のためだけに行う性行為に義務感を覚え、苦痛に感じる人もいます。理由は人それぞれなので、夫に合わせた対応が重要です。

7. まとめ 専門家の意見も聞いて後悔しない判断を

夫が性行為を望まない理由は、妻の変化や仕事の忙しさ、身体の衰えなどさまざまです。中には妻に責任がないこともあるため、自分を惨めに思う必要はありません。

夫と十分に話し合いができずに離婚すると、後悔する可能性があります。一方で、夫が話し合いに応じない場合、今後別の問題が起きても夫婦で乗り越えるのは難しいかもしれません。

後悔しないためにも、離婚を検討する際は専門家の意見を聞いた上でさまざまな事情を考慮し、総合的に判断しましょう。

(記事は2025年7月1日時点の情報に基づいています)

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